PCでDSD再生を可能にする無料のTwitterウェア、AudioGate

“DSD”というオーディオフォーマットをご存知ですか?1bitオーディオなどとも呼ばれる、現在最高音質を誇るといわれるものであり、SACD(スーパーオーディオCD)にも利用されている方式です。PCMに対してDSDが存在しているのですが、PCMとまったく仕組みが異なるため、このせっかくの高音質データをPCで再生することができません。

それを可能にするWindows、Mac用のアプリケーション、AudioGaeというものが存在し、KORGがリリースしています。ただし、これは従来、KORGのDSDレコーダーを購入した人だけが入手できるバンドルソフトで、一般に開放されていなかったのです。

KORGのAudioGate


そのAudioGateが2.1.0.3へとバージョンアップし、11月15日から、無料で利用できるようになりました。ただし、これを利用するにはTwitterアカウントが必要で、データ変換をする際などはツイートすることが必須というちょっと妙なTwitterウェアなのです。

ソフト自体は、KORGサイトで公開されているので、誰でもダウンロードが可能です。ただ、インストールして起動すると、最初に認証画面が現れるのです。

初回起動時に現れる認証画面

これ自体は以前からであり、ここでKORGのDSDレコーダーをUSB接続すれば、このロックは解除されます。その一方で、このハードウェアを持っていない場合には、表示されているURLをクリックしてそこで、Twitterアカウントを入力することで、暗証番号を入手することができます。

Twitterアカウントへの接続許可をする
この暗証番号を入力し、AudioGate上に表示されるTwitterの入力画面で、何か一言ツイートすると、ロックが解除されるようになっているのです。

先日、AV WatchのDigital Audio Laboratoryにおいて、OTOTOYという音楽配信サイトでDSDによる高音質配信がスタートしたという記事を書きました。サンレコが仕掛けた非常に興味深い動きなので、もしご存知ない方はちょっとご覧になってみてください。

第430回:DSD楽曲配信を始めた「OTOTOY」が目指すもの
~ミュージシャンを“ドキュメントとしてDSDで録る” ~

第433回:DSD楽曲配信のレコーディング現場と再生環境の実際
~PS3でも再生可。ライブの雰囲気/空気感を再生 ~

こうしたデータもこのAudioGateを使うことで再生可能になるのです。なお、単に再生するだけであれば、とくに制限なく利用できますが、AudioGateにはDSDデータをWAVに変換したり、DSDディスクというメディアを焼く機能が用意されています。これらの機能を利用する場合には、再度、ツイートするためのダイアログが開くので、ここで入力することで利用可能になるのです。

データ変換する場合には、またツイートする必要がある

AudioGateはASIOドライバもサポートしているので、高性能なオーディオインターフェイスを持っている場合は、その性能をフルに発揮させてDSD再生させることが可能です。

AudioGateはASIOドライバの利用も可能

なお、DSDやAudioGateについては、私がAV Watchで連載しているDigital Audio Laboratoryでいっぱい書いているので、興味のある方はそちらを参考にしてみてください。最近の記事では以下のようなMR-2という機材の紹介記事があります。

第414回:コルグのDSDレコーダ「MR-2」を試す
~ほかのレコーダとは明らかに違うマイク性能 ~

第415回:開発者に聞く、DSDレコーダ「MR-2」開発の背景
~一番力を入れたのはマイク部分 ~

AllAboutのほうにもDigital Audio LaboratoryのDSD記事のリンク集を作っているので、ここを見るのも便利だと思います。

Commentsこの記事についたコメント

8件のコメント
  • shigtakagi

    早速、AudioGateをダウンロード、OTOTOYからDSDファイルをダウンロード、AudioGateで192_24二変換、再生しました。ちゃんと再生できました(当たり前ですが)。次の目標は、Mytek Stereo 192-DSD DAC を入手して、DSDを直接で再生すること。これは難しいのでしょうか?
    今後もいろいろの情報をお願いします。

    2010年11月15日 10:19 PM
  • 藤本健

    この手のDSDのDAC、まだ使ったことがなくて…。
    DSDデータを直接、これらのDACへストリーミングできるんでしょうか…。ぜひ、何か新しい情報が入ったら教えてください!

    2010年11月16日 12:03 AM
  • Bunpei

    2L、ototoyからダウンロードしたもの、また1ビットオーディオコンソーシアムからダウンロードしたWSD形式をAudioGateでDFFに変換したものを、ElectrArtさんのUSB Audio基板を使ってDSD信号出力し、それを米国Twisted Pear AudioのDACキットBuffalo II(ESS ES9018チップ使用)で再生して聴いています。
    2Lのソースの場合、192kHz/24bit PCMと同じハードウェアでまったく結線を換えずに聴き較べることができます。2Lのソースの場合、オリジナル録音はDXD(352.8kHz/24bit PCM)なので、DSDそのものの評価としては不適当かもしれません。このDXDはChiaki氏のSDTrans192とBuffalo IIを使って再生することができます。

    2010年11月21日 11:49 AM
  • Bunpei

    DSD信号をそのまま入力できる国産市販DAC機として、Fidelix社のCAPRICEがあります。このDACはS/PDIF入力が標準ですが、PS-Audio形式I2SまたはDSD入力はオプションとなっていて、DSDオプションの出荷実績は現時点ではまだのようです。このDACはBuffalo IIと同じES9018チップを使っており、I2S入力の場合、2LのDXDソースの再生実績があるそうです。

    2010年11月21日 11:56 AM
  • 藤本健

    Bunpeiさん、詳しいレポートありがとうございます。
    いろいろな可能性がありそうですね。
    先日、AESでKORGが参考出品したDSDのDAC/ADCも非常に気になっています。また、何か新しい情報があったら、ぜひ教えてください!

    2010年11月21日 1:35 PM
  • 中島

    初期型PS3を用いてSACDからDSDファイルをリッピングする事が可能になりましたね
    http://asoyaji.blogspot.com/2011/07/sacd.html
    初期型PS3は絶版とはいえヤフオクでもかなりの数が流通してますし
    値段もたいしたことは無いのでリッピング用と割り切って購入できますね
    問題はDSD/アナログ変換なんですよね

    2011年8月7日 8:46 AM
  • 藤本健

    こんにちは。
    驚きですね。まったく知りませんでした。
    ちょっと、このためだけに入手してみようかと思います。
    確かにDSD/アナログ変換の音質向上をどうするかは難しいところですね。
    やはり音質という面ではAudioGateも演算を簡易化しているだけに、必ずしもいいわけじゃないんですよね。やはり、いまは亡き旧VAIOのSSMSのDSDモードのほが上なんですよね。私はそれだけのために、この古いVAIOをKEEPしています。

    2011年8月7日 9:46 PM
  • jazz

    パソの調子が悪く再インストールしたところ、オーディオゲートv2.1のツイッターの7けたの数字が解らず
    参ってます。どなたかご存知でしょうか、宜しくお願いいたします。

    2016年3月19日 12:50 AM

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