Creative ZiiO 7【その3】DTMの観点からはまだ発展途上!?

CreativeのAndroidタブレットに関する記事の最終回。今回はZiiO 7本体機能というよりも、DTM系アプリへの対応状況などについてチェックしてみました。もっとも私自身、このZiiO 7がAndroidの初体験であるため、認識間違いなどもあるかもしれませんが、その点はご容赦のほどを。

前回も触れたとおり、ZiiOはあまり汎用のAndroidタブレットであることをアピールしておらず、メディアプレイヤーであることを前面に謳っているのですが、もちろんアプリを追加して使うこともできます。そして、その中にはDTM系のものもあるので試してみました。

ZiiO 7にアプリをインストールして楽器として使ってみた


ZiiO 7にアプリを追加するには、ブラウザを起動し、「ZiiO Space」というZiiOメンバー限定サイトにアクセスするところからはじまります。ここから「アプリをインストール」を選択すると、アプリ配布サイトに接続して、そこからダウンロードが可能です。

ZiiO 7からアクセスするポーアルサイト、ZiiO Space

私も全然分かっていなかったのですがGoogleの運営している「Androidマーケット」というのがAppleでいうところの「iTunes Store」というか「App Store」のところのようで、アプリを入手するサイトとなっているのですが、それ以外にもいろいろな配布サイトがあるんですね。ただ、ZiiOの場合、現在のところ、最大のストアであるAndroidマーケットへのアクセスができない仕様となっているのが、ちょっと痛いところ。日本のサイトでいうとベクターが運営している「AndroApp」およびNECビックローブが運営している「andronavi」に限定されているようです。ただ、今後広がる可能性はあるので、そこに期待したいところです。

まあ、そもそもAndroid用のDTM系、楽器系アプリは少ないようですが、この2つのサイトを探してもほんの4、5本しか見つかりませんでした。その中で比較的面白かったのがフィロスという会社がフリーウェアで配布している打楽器アプリの「リズミック」およびリズムマシンの「リズム工房」。最初にインストールしたときは、うまく動かなかったのですが、再インストールし直したら、鳴るようになりました。打楽器として使う場合、感覚的に50~100msec程度のレイテンシーがあるのが気になるところではありますが、一応楽器として動いてくれました。

フリーウェアのリズムマシン、リズム工房

ただし、第2回で紹介したapt-XコーデックでのBluetooth接続の場合、レイテンシーが500msec近くとなってしまい、楽器として使うのは厳しい状況でした。

また、AndroAppやandronaviで配布しているアプリの中には、直接配布ではなく、Androidマーケットからダウンロードさせるものもいくつかありました。たとえば鍵盤アプリであるxPianoというのもそのひとつでしたが、この場合、Androidマーケットにアクセスしようとしたところで、接続が切れてしまい、どうしても入手することはできませんでした。ZiiO Spaceでもその旨の注意書きがされています。

となると、ほとんどDTM系ではアプリを追加できないことになるわけですが、「ZiiO Space」での説明をよく読んでみるとUSB経由またはmicroSD/SDHC経由でapkファイルなるものを持ってくればインストールできる旨の記述があります。さっそくPC上で調べてみると、そういうサイトが海外にはいくつかあるんですね。

ためしに「Brothersoft」というところにアクセスしてみたら、いろいろ見つけることができました。ここはAndroid以外にもさまざまなスマートフォン用のアプリを配布しているのですが、試しにAndroid端末であるT-Mobile社の「 G1」という機種を指定して検索してみると、いくつかapkファイルを入手できました。

ピアノ楽器、AndroidPianoを動かすことができた

さっそくmicroSDカード経由でZiiO 7に持っていきインストールしてみると、鍵盤系のアプリである「AndroidPiano」、「Zeary Keyboard」を動かすことができました。やはりレイテンシーが結構あって演奏がややしずらいのと、ZiiOがマルチタッチに対応していないため、和音を弾くことができなかったのがネックでした。これはFingaerPiano風のアプリ「PianoStar Neo Lite」でも同様でした。

指でなぞって演奏するZAERY Keyboard

またレコーディングソフトである「VirtualRecorder」というアプリもあったのですが、これはレコーディングデバイス(マイクや入力など)が見つけられない旨のメッセージが表示されて、録音することができませんでした。

FingerPiano風のPianoStar Neo Lite

まだ、ほんの少しのアプリを試してみたにすぎませんが、DTM用デバイスとして見ると、まだまだ発展途上という印象でした。以前、ユードーの南雲玲生さんにインタビューした際、「Androidは仮想マシン上で動作し、Javaでプログラミングするために、リアルタイム性に問題があって、楽器アプリはかなり難しい」という趣旨の話をされていたので、期待していなかったのですが、想像していたよりは動くな、というのが正直な印象です。とはいえ、iPhone、iPadと比較すると、かレイテンシーが大き区感じられるのは、まさにそのリアルタイム性の厳しさを表している部分なのでしょう。

なお、現状においてZiiOのOSがAndroid 2.1であり2.2にはなっていないこと、またときどきシステムがハングアップしてしまう…という辺りが気になったことです。そうした意味でもまだ発展途上といえそうですが、ぜひ温かい目で今後の進歩を見守りたいところです。

Commentsこの記事についたコメント

3件のコメント
  • Jimi♪

    日本Android協会の丸山先生にリアルタイム性の高いアプリの作成について質問したことがあるんですが
    結論から言うと作り方次第で可能とのこと。
    JavaVM上で動くのはアプリケーション上の仕様で仕方ないのですが
    UI部分をJavaで記述して、そこからC言語で作成したサブルーチン郡をコールする方法で作成することでリアルタイム応答性を上げることはすでにゲーム等のアプリでは実際にされてるらしいです。
    あと、Android2.2からはJavaのJITコンパイラでの動作が可能になるので、コンパイル後に動作させることが可能になります。
    AndroidでJava+Cライブラリによるアプリ作成について記述された書籍なんかも出てきてるので、今後そういう方法は増えてくるでしょうね。
    ただ、Androidの場合はクラウド上のサービスを提供し、そこに以下に結びつけたアプリを供給するかってのがAndroidアプリの独自性に繋がるので、アプリ作成者としてはスタンドアローン的な想像力から一段飛躍する必要があるのではないかと思います。

    2011年1月4日 12:03 AM
  • 藤本健

    なるほど、いろいろと方法はあるわけですね。
    iPadと違って、音関連のAPIがない、なんて話もあるようですが、ニーズが出てきて、マーケットが広がってくれば、可能性はありそうですね。やっぱりもうちょっと追ってみようかな、ありがとうございます!

    2011年1月7日 11:55 PM
  • Jimi♪

    ワタシは元X68000ユーザーなので「システムで用意されてない」ってのはある意味自由に出来るチャンスだと思うんですよ。
    X68000だって、ユーザー側からPCM8(一基しか搭載されてないADPCM上でPCM音声を8つまでドライバー側でMIXして発音する為のドライバーとAPI)みたいなシステムが強力なデファクトスタンダードとして登場してきたり、SteinbergのASIOやVSTの様な提案が各社に受け入れられたり
    そういうチャンスだってあるということだと。
    市場が大きくなればミドルウェアビジネスなんかも育ってくる可能性だってありえますしねw

    2011年1月8日 4:15 AM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です