iPadのDTMにおける究極の周辺機器、ALESIS iO Dockが登場だ!

iPadのDTMをより快適に使うためにCamera Connection Kitを使ってUSBオーディオインターフェイスやUSB-MIDIキーボードに接続するなど、さまざまなTRYをしてきましたが、まさにこれで完璧ともいえる究極の周辺機器、ALESIS iO Dockが9月16日、プロ・オーディオジャパンからオープン価格(実売価格19,800円前後)で発売されます。

今年1月の米国の展示会、NAMM SHOWのレポートで見かけて以来、非常に気になっていましたが、国内発売を前に、知人を通じて1週間ほど借りることができたので、レポートしてみたいと思います。
iPadのCoreAudio、CoreMIDI機能を存分に使えるALESIS iO Dock


これまでもDTMステーションやAV Watchの記事で見てきたとおり、iPadはCamera Connection Kitを利用することでUSB接続が可能になり、現行のiOS4ではオーディオインターフェイスと接続可能なCoreAudio、MIDIインターフェイスと接続可能なCoreMIDIという機能を装備したため、数多くのUSB機器と接続して利用できるようになっています。ただ、iPadから供給できる電力が微弱であるため、そのままでは多くの機材を使うことができず、間に電源供給可能なUSBハブを噛ませる必要があったり、ハブ経由で複数機材を接続すると、相性の問題が出てくるなど、実用上はさまざまな問題がありました。

そこに今回登場したALESISのiO Dockはすべての問題をクリアしてくれる、まさに究極の機材となっています。簡単に紹介すると、iPadを包みこむような形でDockコネクタにドッキングさせるこの機材にはオーディオインターフェイス機能とMIDIインターフェイス機能の双方が装備されているのです。

リアパネルにはオーディオの入出力端子を装備
リアパネルには左側から2chのメイン出力LとRのコンボジャックフットスイッチ端子ビデオ出力のそれぞれの端子を搭載。このオーディオ入出力はTRSフォンにも対応した強力なものになっています。また、入力レベルは隣にあるノブで調整できるほか、INPUT2はマイクとギター(Hi-Z)の切り替えスイッチも装備ファンタム電源をオンにすることでコンデンサマイクを接続して利用することも可能です。
DIRECTボタンをオンにするとダイレクトモニタリングが可能になる

さらにメイン出力とコンボジャックの間にあるDIRECTというスイッチをオンにすると入力された音をiPadを経由せずにそのまま出力できるダイレクトモニタリングが可能になるなど、まさに“いたれりつくせり”という仕様になっているのです。

右サイドにはヘッドフォン出力およびレベル調整ノブを装備
本体右サイドには標準ジャックでのヘッドフォン端子および、メイン出力とヘッドフォンのレベル調整ノブがあります。
左サイドにはMIDI入出力およびPCと接続のためのUSB端子を装備
また左サイドにはMIDI入出力およびPCと接続するためのUSB端子も装備されているというまさに“全部入り”となっているのです。

さっそくこれをiPad1およびiPad2に接続して試してみました。もともと、これ、iPad1にフィットするように設計されているので、iPad1だととてもスマートに接続できます。一方iPad1より薄くなったiPad2を使う場合には、iPad2マウント用トレイが付属しているので、これを使ってドッキングさせることになります。

iPad2マウント用トレイをセットすることでiPad2でも使える

iPad2の場合、アダプタを使っても若干左右に隙間があって、やや接続し辛く、頻繁な抜き差しには向かないようにも思いましたが、実用上はまったく問題ないと思います。

付属のACアダプタ

iO Dockを使うにはACアダプタを接続し、電源をオンにします。するとオーディオの入出力は通常のiPadのヘッドフォン端子からiO Dockのものに切り替わり、iPod機能での音楽再生もすべてiO Dockのメイン出力およびヘッドフォン出力からとなります。また、電源をオンにするとiPadへの充電も開始され、長時間使ったり、ライブで使ったりしてもバッテリーの心配がないのも嬉しいところです。
GarageBandほか各アプリで問題なく使えた
各種ソフトシンセやレコーダー、エフェクターなどを起動して使ってみたところどれも非常に快適に使えます。唯一使えなかったのがIK MultimediaのiRig RecorderとAmpliTube。これらはiPadのヘッドフォン端子に同社のiRigやiRig Micを接続して使うことを前提としているだけに使えませんでした。ただし、同様のコンセプトのアプリであるPeavey ElectronicsのAmpKitおよびFrontier Design GroupのiShared LIVEは問題なく動作しました。

実際にギターを接続すると、やはり専用の入力だけに安心して使えるし、S/Nも非常によくて気持ちよく使えます。それよりもすごいのはファンタム電源をオンにしてコンデンサマイクを使った際の 高音質な具合。この環境は現在のところiO Dockでしか得られないのではないでしょうか?

bs-16iではDOCKという名称で見えた

一方、MIDI入出力もいい感じです。GarageBandをはじめ、各CoreMIDI対応アプリで確実に認識されます。最近USB-MIDI機材ばかり使っていて、MIDIケーブルで鍵盤や音源と接続するという機会は減っていますが、やはりMIDI、いいですね。なお、その隣にあるUSB端子は何のためにあるのでしょうか?

SONARシリーズのMusic Creator 6のMIDI設定画面

実はこれPCと接続するとPCからはiPadがMIDI入出力に見えるようになっているのです。たとえば、GarageBandがSONARの鍵盤として使えるという、ちょっと妙な感覚。ちなみに、iO DockのMIDI INからの信号もそのままPCへTHRUされるようになっていました。

強いて難点を挙げるとしたら、iPhone用アプリなどで一部、表示が逆さ向きになるものがあること。iO DockにiPadを装着すると、Dockコネクタが左側の形で手前が下になるのですが、この形で表示できないアプリだとちょっと使いづらい感じでした。とはいえ、これはまあ仕方のないところでしょう。また欲を言えば、ビデオ出力はなくてもいいから、S/PDIFの入出力が欲しかったといったところでしょうか……。

※ごめんなさい。なぜかiPadの回転ロックがかかっていたことに気づかずに書いてしまいました。写真に使ったDXi FM synthesizerはちゃんと回転します(写真は削除しました)。さきほど作者の方からご指摘をいただきました。すみません。ソフトのほう、愛用させていただいております。いつもありがとうございます!!

以上、ALESISのiO Dockについて簡単にレポートしてみましたが、いかがだったでしょうか?実はこれ、本当はAV Watchの連載で取り上げる予定だったのですが、諸般の事情によりそれができなくなったため、DTMステーションで紹介してみました。また、この機材自体はマイクロサウンド代表の須藤高宏(@Sutoh_Takahiro)さんが国内発売を前に個人輸入されたものをお借りしました。須藤さんありがとうございました。

ちなみに、個人輸入したものや並行輸入した製品は、国内代理店であるプロ・オーディオジャパンのサポートを受けることはできないそうなので、お気をつけください。

私個人的には、これを触って感激し、即Amazonでで購入予約をしました!

Commentsこの記事についたコメント

24件のコメント
  • Yuichiro

    はじめまして。
    この記事を読んで購入してみました。
    MIDIを繋いでいろいろなシンセを試しているのですが、
    どのアプリでもNote offの取りこぼしが非常に多く、
    頻繁に音が鳴りっ放しになりますね。
    藤本さんの環境ではそのようなことはないでしょうか?

    2011年12月17日 4:12 AM
  • 藤本健

    iPad2で使いましたが、とくにそうした現象はなかったように思います。
    もしかしてファームウェアのアップデートの問題でしょうか。
    1.05というファームウェアで動かしていました。

    2011年12月17日 10:13 AM
  • Yuichiro

    ありがとうございます。
    ファームウェアをアップデートしたら直りました。
    今回アップデートしたのは1.07です。
    部屋のハードシンセのリプレイスとなりそうです。
    テスト環境は、iPad2でアプリはGarageBand,Alchemy,Sunrizer,
    SynthStation,PocketOrgan,MusicStudio,ArcticKeysなどでした。

    2011年12月21日 12:22 AM
  • 藤本健

    Yuichiroさん
    無事、直ってよかったです…。
    記事で、結構よく書いてしまった手前、問題があったらマズイなと思ってちょっと心配しておりました。

    2011年12月21日 12:54 AM
  • Takeshi Kinoshita

    記事を読ませて頂いて非常に興味津々です。
    このALESIS iO Dockは例えばギターとヴォーカルとを両方同時に録音出来たりするのでしょうか?
    よろしければ教えてください。

    2012年1月29日 3:12 AM
  • 藤本健

    Takeshi Kinoshita さん、こんにちは。
    はい、ギター、ボーカルそれぞれモノであれば同時に録音することができます。トラックを分けるためには、それに対応したアプリが必要にはなりますが(マルチトラックでできるものであれば、ほぼ大丈夫)、その目的で使うことができますよ。

    2012年1月29日 6:33 AM
  • Takeshi Kinoshita

    さっそくのお返事ありがとうございます。
    ギター用コンデンサーマイク、ヴォーカル用コンデンサーマイクの2入力同時で録音したいと思っています。
    そういう使い方もできるということですね!
    いわゆるPC用オーデイィオインターフェースと同様の機能を備えていると。

    2012年1月29日 8:53 AM
  • 藤本健

    Takeshi Kinoshita さん
    いま実際に試してみました。
    2つあるXLRが使えるコンボジャックにコンデンサマイクを接続し、PHANTOMスイッチをオンにしたところ、両方とも電源供給できたので、コンデンサマイク2本でOKですね。
    あくまでも2IN/2OUTでマルチポートには対応していませんが、PC用オーディオ/MIDIインターフェイスと同様に使うことができますよ。

    2012年1月29日 9:13 AM
  • Takeshi Kinoshita

    ありがとうございます。
    最終的な確認になりますが藤本さんのオススメはどうですか?
    特に音質については気になるところです。
    通常のインターフェース(5~10万程度)ものと遜色なければこちらを買う方がお得かなと感じているのですがいかがなものでしょう?

    2012年1月29日 9:22 AM
  • 藤本健

    難しいところですね。
    PC用のオーディオI/Fは通常24bit/96kHzとか24bit/192kHzという仕様ですが、これは16bit/44.1kHz。現時点、iPadでは仕方ないところなのですが、ここには大きな差があることは間違いありません。
    もしPC環境と比較をされるのであれば、iPadよりPC+オーディオI/Fのほうが絶対にいいですよ。まあ、いま売っているPC用オーディオI/Fなら1万円のものだって24bit/96kHz以上に対応していますからね。
    それを承知の上、iPadでレコーディングをしたいというのであれば、iO Dockは悪い選択肢ではないと思います。16bit/44.1kHzの機材としてみれば、それなりの音質だと思います。
    いい音でレコーディングすることが目的であれば、そもそもiPadの利用はあまりお勧めしませんよ。PCのほうが絶対にいいです。手軽に簡単にという目的であったり、PCは使っているのでその補助としてiPadという目的であればいいのではないでしょうか?

    2012年1月29日 9:59 AM
  • Takeshi Kinoshita

    ご丁寧なアドバイスありがとうございました。

    2012年1月29日 10:14 AM
  • Yuichiro

    新型iPadがリリースされたので試してみましたが、
    iPad2用のトレイでは接続がうまくいきませんね。
    端子を延長して繋いでみると動作するので、
    新型対応のトレイのリリースなどがあると嬉しいですね。

    2012年3月19日 10:34 PM
  • 藤本健

    こんにちは。やっぱりそうですね。本日UPのAV Watchにも書きましたが、かなり動作不安定です。まったくダメではなかったのですが、このままでは、ちょっと使い物になりませんね。

    2012年3月19日 10:58 PM
  • syouta

    ちょっとお聞きしたいのですが、ガレージバンドでio dockを使って録音しようとしてるのですが、やり方がいまいちわかりません。
    教えてください。

    2012年10月21日 4:26 PM
  • 藤本健

    syoutaさん、こんにちは。
    GarageBandで録音とのことですが、普通に標準マイクから録音するのと、io DOCKを使うのとで、基本的に違いはほとんどありませんよ。何が分からないのか、もう少し明確にしていただけると答えやすいのですが…

    2012年10月22日 10:40 PM
  • syouta

    ギターをio dock経由でライン録音したいのですが、ipadが反応しません><

    2012年11月1日 1:28 AM
  •  藤本健

    syoutaさん
    こんにちは。iPadのOSをiOS6にしたら認識しなくなったという感じですか?
    とりあえず、私のiPad3&iOS6では動作しています。
    それと、io dockはファームウェアアップデートできるようになっているので、Alesisのサイトを見て、最新版にアップデートしてみてください。

    2012年11月1日 10:00 AM
  • hiroshi saitoh

    突然失礼します。
    先日、io dockを購入しましたが、手持ちのipad(第3世代、64GB、WiFiモデル)に接続したところ、ipadで認識されず、困っています。
    原因としては何が考えられるのでしょうか?

    2013年3月2日 11:17 AM
  • 藤本健

    hiroshi saitohさん
    こんにちは。私は、iPad3用のアダプタを買っていないので、使ってはいないのですが、io dockのファームウェアが古いという可能性があるのではないでしょうか?
    WinまたはMacに接続してファームウェアをUpdateすることができるので、最新版にした上で接続すれば、うまくいくのではないか、と。

    2013年3月2日 3:32 PM
  • hiroshi saitoh

    ありがとうございます。
    ファームウェアをアップデートするにはio dockのみをパソコンにつなげばよろしいのでしょうか?

    2013年3月3日 4:42 PM
  • 藤本健

    hiroshi saitohさん
    そうです。アレシスのサイト
    http://www.alesis.jp/products/iodock/data/update.php
    にファームウェアアップデート方法などの情報も載っているので、参考にしてみてください。

    2013年3月3日 5:26 PM
  • hiroshi saitoh

    度々失礼します。
    アレシスのサイトに書いてある通りアップデートは出来たのですが、依然ipadと繋いでも認識してくれません。
    ipadの「設定」→「一般」→「情報」の所にも「Alesis iO Dock」と表示されません。ipadの充電もされませんね。
    ipadの問題なのでしょうか⁈

    2013年3月3日 5:38 PM
  • 藤本健

    hiroshi saitohさん
    すみません、そうなるともう私にはお手上げですね。
    メーカーのサポートに聞いたほうが早そうです…。
    ただ、充電もされていないとなると、うまく接続できていない可能性が高いですね。3rd用のアダプタはついていますか?その辺を確認の上、やはりメーカーに聞いてみてください。

    2013年3月3日 5:41 PM
  • hiroshi saitoh

    ありがとうございました。
    ipad3用のトレーを使っておりますが、ダメな様です。
    メーカーのサポートに聞いてみます。

    2013年3月3日 5:50 PM

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