シンセ学習に最適な85円アプリ、I am Synth

DTMにおいて重要な要素であるシンセサイザ。PC上、またiPhone/iPad上で使える数多くのソフトシンセが次々と登場しているので、本当に楽しい限りです。でも、これらのシンセをどうやって使えばいいのか、イマイチよく分からないという人も多いはず。結局プリセット音色を使っているだけという人も少なくないでしょう。

そんな中、本当に初めての人でも楽しくシンセの基本が分かり、直感的に音作りができるiPhone/iPad用のアプリ「I am Synthが登場しました。開発したのは、ニンテンドーDS用のシンセサイザ、DS-10KORG M01の開発者としても著名なDETUNE佐野信義さんです。
I am Synthを手に持つDETUNEの佐野信義さん

実際に画面を見ると、とってもシンプルでかわいいユーザーインターフェイス。画面の上半分には7つのパラメーターが、下半分にはキーボードがあるだけの構造。あまり、従来のシンセサイザ的な雰囲気はありませんが、ここにシンセサイザの基本が詰まっているのです。

とってもシンプルな画面、構造のI am Synth

「何年か前から神奈川県子供会連合会のイベントでDS-10を使って子供たちにシンセサイザの楽しさを教えていました。ところが、子供からはこれを見て『黒っぽくて怖い』、『英語で分からない』、『かわいくない』…といった反応が返ってくるんですよ。最初は、『それがシンセサイザだ』と教えていたのですが、『かわいくて、怖くなくて、分かりやすいシンセサイザってないものだろうか…』と考えるようになりました」と佐野さん。
プログラミングを担当したプロキオン・スタジオの鈴木秀典さん

ただ、そうは思うものの、なかなか形にならなかったそうです。そんな中、昨年12月、DS-10やKORG M01、またKORG iMS-20などを共同で開発してきたプロキオン・スタジオのプログラマ鈴木秀典さんに簡単なラフスケッチを描くとともに、相談したところ、1週間程度でプロトタイプができあがってきたのが、このI am Synthだったのです。

I am Synthのデモムービー

「最初はPC上でプロトタイプを作りました。実は別件で佐野さんとともに、iPad用の超強力なシンセサイザを開発中なのですが、私自身iOSのアプリの経験があまりにないので、その練習用の意味もあって、作ってみました」と語るのは鈴木さん。

そうDETUNEとしては、このI am Synthが初のiアプリ製品とのこと。iMS-20はDETUNE協力によるKORG製品だったんですね。

ヘルプ画面でみる各パラメータの意味や操作法

実際に触ってみると分かりますが、これがよくできているのです。たとえば左上にある四角がオシレータとなっており、サイン波ノコギリ波矩形波、そしてノイズが選択でき、音が変わります。また指で上下に動かすと波形の大きさが変わり、オシレータの音量がリアルタイムに変わります。またその右の格子状になっているのがフィルタ。具体的にはローパスフィルタなのですが、網の目が狭くなるとまさにフィルタに引っかかって音が変化するといった感じを演出してくれるので、とっても分かりやすいのです。なるほど、これなら子供が触っても楽しく音作りができそうです。

「私はアイディアを簡単に伝えただけなのですが、鈴木さんが上手に形にしてくれたので、まさに鈴木さんの開発作品なんですよ。私が営業ですね(笑)。また、このI am Synthというネーミングも鈴木さんなんですよ。営業としては、今後海外をどう展開するといいかが見えず、困っているところなのですが……」(佐野さん)
鈴木さんと佐野さん

いわゆるシンセサイザのパラメータとは違うけれど、使っていて楽しいのがスピーカーアイコンの左にあるディレイ。いわゆるディレイとしても使える一方、最大2秒間でループを繰り返すルーパーとしても使うことができます。I am Synth自体はモノラルの音源なのですが、この機能によってどんどん音を重ねていくといったトリックも可能になっているのです。

ディレイをこのように設定すると2秒のルーパーとなる

「ぜひ試して欲しいのが、使わなくなった旧機種のiPhoneなどにもインストールして使うことです。子供のオモチャとして遊べる一方、複数台を同時に立ち上げてすべて2秒のループにした状態で、音を出すとすべてが同期したような形で面白い音の空間を作ることができます」と佐野さん。

そのほかにも、iPhone、iPadを振るとキーボードがリボンコントローラになったり、キーボードの左右部分をタップするとオクターブが切り替わるなど、いろいろなギミックも仕掛けられており、本当に楽しみながらシンセサイザの知識を身につけることができます。エンベロープもアタックとリリースだけではあるものの、これなら子供でも直感的に理解できるので、学習教材としてもよさそうです。

本体を振るとキーボードが消えてリボンコントローラに!

シンセサイザを勉強してみたい人はもちろん、シンセサイザをよく知っている人も楽しめるアプリだと思いますよ。

その一方で気になるのは、DETUNEとして現在開発中の超強力でマニアックなシンセサイザアプリ。登場までは、もう数ヶ月かかるかもしれないとのことですが、完成し次第、レポートしてみたいと思っています。

【関連サイト】
DETUNE
プロキオン・スタジオ

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