apollo twin搭載のマイクプリをNEVE 1073実機と比べてみた!

以前にも取り上げた、UNIVERSAL AUDIOThunderbolt(サンダーボルト)対応のオーディオインターフェイス、apollo twin。単なるオーディオインターフェイスではなく、プロ御用達のDSPエフェクト、UAD-2を内蔵しており、これをMacに接続するだけで、プロのレコーディングスタジオそのもの、という環境を構築できるのが大きな特徴です。

さらにapollo twinは、UADプラグインの拡張技術、UNISONテクノロジー対応のマイクプリアンプを搭載していることも大きなポイント。これは、プロ御用達の何 十万円もするマイクプリアンプのサウンドをUADモデリング技術で再現するというものなのですが、実際どんな音がするのかとても興味があるところです。そこで、先日、7月2日に行ったニコニコ生放送の番組、DTMステーションPlus!で、実演テストを行ってみたので、その様子を音を交えて紹介してみたいと思います。

シンガーソングライターの大森真理子さんに協力いただき、apollo twinのマイクプリの実験をしてみた

まず、改めてapollo twinについて、ごく簡単に紹介しておくと、これはアナログで2IN/6OUT、デジタルも加えると最大10IN/6OUTが可能なThunderbolt接続のオーディオインターフェイスで、最高で24bit/192kHzに対応したもの。ここに、以前にも紹介したUAD-2が搭載されており、PCのCPUパワーを消費することなく、プラグインエフェクトが掛けたり、apolloミキサー上で、リアルタイムにUAD-2エフェクトが使えるようになっています。しかもそのエフェクトは高級なレコーディングスタジオ定番のモノばかり。サウンドもまさに本物。各プロスタジオ機器メーカーが正式に協力した上で実物そのものという音作りをしているんですよね。


今回実験に利用したUNIVERSAL AUDIOのapollo twin | duo

そのUAD-2のDSPの数が1つなのか2つ搭載なのかによって
   apollo twin | solo (実売価格:75,000円前後[税抜き])
   apollo twin | duo  (実売価格:95,000円前後[税抜き])
という2ラインナップが存在しています。

今回焦点を当てたapollo搭載のマイクプリアンプは、UNISONテクノロジーというマイクプリアンプモデリングの機能に対応しています。このUNISONテクノロジーというのはシミュレーションするプリアンプに合わせて、インピーダンスやゲインの幅などの特性を自動的に変更してくれる機能で、ほかのオーディオインターフェイスにはない、非常にユニークなものです。


UNISONテクノロジーを使ったマイクプリのプラグイン、Neve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collection 

そしてapollo twinにはUNIVERSAL AUDIOのマイクプリアンプ、UA 610をモデリングしたプラグイン、UA 610Bが付属しています。これのオン/オフでかなりマイク入力の音の雰囲気を変えることができるのですが、オプションのプラグインが用意されているのが面白いところ。一つはビンテージの610プリアンプをモデリングしたUA 610Aです。これを使うことで、同じ610でも、ビンテージサウンドに変身してくれます。

さらにNeve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collection($299)というものもあり、これををインストールすることによって、Neve 1073 Preamp & EQそのものに変身するというのです。

知人から借りてきたAMS Neve/1073DPD dual mic preamp 

最近、知人のミュージシャンやエンジニアでも、「apollo twinのNeveがヤバイ!」と話題だったので、これを試してみることにしたのです。とはいえ、そもそもホンモノのNeve 1073がどんな音なのか実機と並べてみないことには、どれだけ似ているのかなどが分かりません。そこで、EQなしの「AMS Neve 1073DPD dual mic preamp」という製品を借りて、これをスタジオに持ち込んで試してみたのです。Neve 1073プラグインのモデリング元となった、EQがついた2chの1073 は、100万円以上しますから、かなりのお値段ですよね。


Pro Tools 11を入れたMacにapollo twinをThunderbolt接続して実験を行った

さて、説明が長くなってしまいましたが、今回はそのapollo twinとPro Tools 11を使い、

・apollo マイクプリ
・apollo マイクプリ+Neve 1073 プラグイン(UNISONテクノロジー)

・Neve 1073実機
の3つでボーカルを録って、音にどんな違いがあるかを比較する公開実験を行いました。

今回、この実験に協力してくれたのは、フルート奏者でもあるシンガーソングライターの大森真理子さん。その大森さんの最新アルバム「I am a dreamer」の中から「スローライダー」の一部を、それぞれの環境で3回歌ってもらい、レコーディングしていったのです。

映像はニコ生のタイムシフトをキャプチャしたものですが、オーディオのほうは、レコーディングしたプロジェクトデータからバウンスしたものに差し替えていますので、ぜひ聴きくらべてみてください。

この違い、お分かりいただけるでしょうか?大森さんには、apolloのマイクプリを通った音をヘッドホンのモニターに返してして歌ってもらったのですが、UNISONテクノロジーの Neve 1073プラグインをインサートしてモニターして歌ってもらった際には「すごい、全然クリアに自分の声が聴こえて歌いやすい」との感想をもらいました。


フックアップの瀬戸隆司さんにPro Tools 11、apollo twinのオペレーションを手伝ってもらった

また、ニコ生の視聴者からも

・明らかに音が良い!
・変わるなぁ
・これは喉の調子がよくなったの!?
・音像がくっきりしますね
・おおー
・いい意味で古臭い音になったwww
・立ち上がりが良い。透明感が出る。
・くっきりしてますね~
・ドライだけど、まろやか

といった声が続々と返ってきました。ネット配信の圧縮サウンドでも十分に音の違いが分かるのだな、と改めて実感した次第です。

さらにNeve 1073実機で歌ってもらったのが以下のビデオです。

UNISONテクノロジーのNeve 1073 Preamp & EQとNeve 1073実機がまったく同じ音か?というと、やはり違いはあるのですが、近い傾向なサウンドのように思いました。これについても視聴者のみなさんから、

・これまた違うな
・これも違うね
・やっぱりまろやか
・明瞭感が良いね
・傾向は似てる
・アナログ感がすごい
・実機すごいのね
・高いだけはあるのかね
・波形もけっこう似てますね

などといった声が寄せられました。

この3つの歌声ともに、Pro Tools側ではリバーブもEQもコンプも何も掛けず、マイクから録音した音をそのまま記録し、再生させています。また、マイクはノイマンのU87を使っていますよ。


ボーカルレコーディングに用いたノイマンのコンデンサマイク、U87

ちなみに、このオケは、大森さんのCDを聴いて2時間で多田さんが耳コピして作ったというもの。バックのコーラスが入っていますが、これはVOCALOIDの東北ずん子を使っているんですね!


番組終了後、大森真理子さん、多田彰文さんと3人で記念撮影

以上、なかなか普通はできない、贅沢な実験を行ってみましたが、いかがだったでしょうか?もちろん、apollo twinだって、安い機材ではないのですが、実機の価格を考えると、検討する価値があると思いました。今回はボーカルのみでの実験でしたが、ドラムを録っても、ピアノを録っても、大きな威力は発揮してくれるようなので、活用の幅も広そうですよ。

【関連サイト】
apollo tiwn製品情報
UNIVERSAL AUDIO製品情報(フックアップ)
UNIVERSAL AUDIO本社サイト(日本語)
UAD-2(フックアップ)
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ビンテージエフェクトを忠実に再現する、プロ御用達のUAD-2ってどんなもの!?
【価格チェック】
Amazon ⇒ apollo twin solo
サウンドハウス ⇒ apollo twin solo
Amazon ⇒ apollo twin duo
サウンドハウス ⇒ apollo twin duo

【大森さん情報】
大森真理子オフィシャルブログ~マリコノ言ノ葉

アルバム「I am a dreamer」

Commentsこの記事についたコメント

9件のコメント
  • 初心者DTまん

    素晴らしい記事ですね!
    ありがとうございます!
    実は最近Apollo twin duoを買うかzoomのtac-2を買うかで悩んでいます。
    むしろコスト的にzoomに揺れていたのですが、これがあればuniversal audioのプラグインが利用できる、この記事にあったようにこれ一台で自宅でもかなりのクオリティーのボーカルRecができるようきなる、さらにneveのプラグインもついてくる?
    ということでしょうか?
    こう考えるとapolloのほうがとも思うのですがご意見お聞かせいただけませんでしょうか?

    2014年7月30日 12:55 PM
  • 藤本健

    初心者DTまんさん
    こんにちは。たしかにapollo twinとTAC-2、ともにThnuderboltだし、形もなんとなく似ていますが、考え方、使い方、機能はまったく違うものです。
    単にオーディオインターフェイスとしてであればTAC-2のほうが安くていいと思います。それに対しapollo twinはこのマイクプリの機能はもちろんですが、UAD-2の機能が備わっているのが大きなポイントで、その点から考えると、恐ろしくコストパフォーマンスの高い製品だと思います。UAD-2に関しては、以前、記事を書いているので、ぜひ、そちらも参照してみてください。
    「ビンテージエフェクトを忠実に再現する、プロ御用達のUAD-2ってどんなもの!?」
    http://www.dtmstation.com/archives/51851086.html

    2014年7月31日 7:46 AM
  • 初心者DTまん

    そういうことだったのですね!
    ためになるご意見本当にありがとうございます!twin-duoを購入しようと思います!
    いつも記事拝見しておりますが今後も楽しみにしております(*^_^*)

    2014年7月31日 1:21 PM
  • sick1

    お初にお目にかかります。
    apollo twin soloを買ってみて素晴らしく感じています。
    個人的に、
    SSL E Series Channel Strip プラグイン
    を買ってみたいのですが、apolloコンソール状で動くものがなんでしょうから。スペック足らずで、Daw上で起動になってしまうんでしょうか?
    とても気になってぃしは。
    もし、よらしけろば教えていただけないでしょたいか?
    解答よろしくお願いします。

    2015年5月10日 2:13 AM
  • るむ

    記事の話題と逸れてしまうのですが、
    オケに入っているストリングスは打ち込みでしょうか?
    もし打ち込みでしてら使用しているソフト音源が何なのか知りたいです。
    よろしくお願いします。

    2018年4月17日 7:56 PM
  • 藤本健

    るむさん
    コメントありがとうございます。
    このストリングス、多田さんによる生のバイオリンの演奏だと思います。

    2018年4月17日 8:23 PM
  • るむ

    ご回答ありがとうございます。
    生でしたか…!とても綺麗だったのでソフト音源だとしたら衝撃でした。
    M3伺おうと思っています。ミニアルバム楽しみにしています。

    2018年4月19日 12:14 AM
  • 藤本健

    るむさん
    ありがとうございます。多田さんとともに、お待ちしております!

    2018年4月19日 2:27 PM
  • Innocentman

    こういう比較はありがたい。
    元々U87が嫌いだからっていうのもあるんだけど、、、やっぱり何も通さないのが一番かな。
    Appolloはドンシャリ音になるだけでヴォーカルが沈んでしまってどうしようもないですね。最近の楽曲でダメダメなのはこれのせいかな?
    オリジナル機材はコンプ掛かって安定感が出てU87の嫌なところも見えなくなるけど、帯域狭くなって今度はバックが訛ってしまってこれもどうしようもないですね。
    単にオリジナルの10kHz付近を持ち上げてあげるといい感じに聞こえるのと、歌い手さんがマイクとの距離をコントロールできてないのを、シンプルにレベルだけ合わせてあげるのがベストじゃないかな。

    2023年4月2日 9:27 AM

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