以前にも取り上げた、UNIVERSAL AUDIOThunderbolt(サンダーボルト)対応のオーディオインターフェイス、apollo twin。単なるオーディオインターフェイスではなく、プロ御用達のDSPエフェクト、UAD-2を内蔵しており、これをMacに接続するだけで、プロのレコーディングスタジオそのもの、という環境を構築できるのが大きな特徴です。

さらにapollo twinは、UADプラグインの拡張技術、UNISONテクノロジー対応のマイクプリアンプを搭載していることも大きなポイント。これは、プロ御用達の何 十万円もするマイクプリアンプのサウンドをUADモデリング技術で再現するというものなのですが、実際どんな音がするのかとても興味があるところです。そこで、先日、7月2日に行ったニコニコ生放送の番組、DTMステーションPlus!で、実演テストを行ってみたので、その様子を音を交えて紹介してみたいと思います。


シンガーソングライターの大森真理子さんに協力いただき、apollo twinのマイクプリの実験をしてみた
 
まず、改めてapollo twinについて、ごく簡単に紹介しておくと、これはアナログで2IN/6OUT、デジタルも加えると最大10IN/6OUTが可能なThunderbolt接続のオーディオインターフェイスで、最高で24bit/192kHzに対応したもの。ここに、以前にも紹介したUAD-2が搭載されており、PCのCPUパワーを消費することなく、プラグインエフェクトが掛けたり、apolloミキサー上で、リアルタイムにUAD-2エフェクトが使えるようになっています。しかもそのエフェクトは高級なレコーディングスタジオ定番のモノばかり。サウンドもまさに本物。各プロスタジオ機器メーカーが正式に協力した上で実物そのものという音作りをしているんですよね。


今回実験に利用したUNIVERSAL AUDIOのapollo twin | duo 

そのUAD-2のDSPの数が1つなのか2つ搭載なのかによって
   apollo twin | solo (実売価格:75,000円前後[税抜き])
   apollo twin | duo  (実売価格:95,000円前後[税抜き])
という2ラインナップが存在しています。

今回焦点を当てたapollo搭載のマイクプリアンプは、UNISONテクノロジーというマイクプリアンプモデリングの機能に対応しています。このUNISONテクノロジーというのはシミュレーションするプリアンプに合わせて、インピーダンスやゲインの幅などの特性を自動的に変更してくれる機能で、ほかのオーディオインターフェイスにはない、非常にユニークなものです。


UNISONテクノロジーを使ったマイクプリのプラグイン、Neve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collection 

そしてapollo twinにはUNIVERSAL AUDIOのマイクプリアンプ、UA 610をモデリングしたプラグイン、UA 610Bが付属しています。これのオン/オフでかなりマイク入力の音の雰囲気を変えることができるのですが、オプションのプラグインが用意されているのが面白いところ。一つはビンテージの610プリアンプをモデリングしたUA 610Aです。これを使うことで、同じ610でも、ビンテージサウンドに変身してくれます。

さらにNeve 1073 Preamp & EQ Plug-In Collection($299)というものもあり、これををインストールすることによって、Neve 1073 Preamp & EQそのものに変身するというのです。


知人から借りてきたAMS Neve/1073DPD dual mic preamp 

最近、知人のミュージシャンやエンジニアでも、「apollo twinのNeveがヤバイ!」と話題だったので、これを試してみることにしたのです。とはいえ、そもそもホンモノのNeve 1073がどんな音なのか実機と並べてみないことには、どれだけ似ているのかなどが分かりません。そこで、EQなしの「AMS Neve 1073DPD dual mic preamp」という製品を借りて、これをスタジオに持ち込んで試してみたのです。Neve 1073プラグインのモデリング元となった、EQがついた2chの1073 は、100万円以上しますから、かなりのお値段ですよね。


Pro Tools 11を入れたMacにapollo twinをThunderbolt接続して実験を行った 

さて、説明が長くなってしまいましたが、今回はそのapollo twinとPro Tools 11を使い、
・apollo マイクプリ
・apollo マイクプリ+Neve 1073 プラグイン(UNISONテクノロジー)
・Neve 1073実機
の3つでボーカルを録って、音にどんな違いがあるかを比較する公開実験を行いました。

今回、この実験に協力してくれたのは、フルート奏者でもあるシンガーソングライターの大森真理子さん。その大森さんの最新アルバム「I am a dreamer」の中から「スローライダー」の一部を、それぞれの環境で3回歌ってもらい、レコーディングしていったのです。
 
  

映像はニコ生のタイムシフトをキャプチャしたものですが、オーディオのほうは、レコーディングしたプロジェクトデータからバウンスしたものに差し替えていますので、ぜひ聴きくらべてみてください。



この違い、お分かりいただけるでしょうか?大森さんには、apolloのマイクプリを通った音をヘッドホンのモニターに返してして歌ってもらったのですが、UNISONテクノロジーの Neve 1073プラグインをインサートしてモニターして歌ってもらった際には「すごい、全然クリアに自分の声が聴こえて歌いやすい」との感想をもらいました。


フックアップの瀬戸隆司さんにPro Tools 11、apollo twinのオペレーションを手伝ってもらった

また、ニコ生の視聴者からも
・明らかに音が良い!
・変わるなぁ
・これは喉の調子がよくなったの!?
・音像がくっきりしますね
・おおー
・いい意味で古臭い音になったwww
・立ち上がりが良い。透明感が出る。
・くっきりしてますね~
・ドライだけど、まろやか
といった声が続々と返ってきました。ネット配信の圧縮サウンドでも十分に音の違いが分かるのだな、と改めて実感した次第です。

さらにNeve 1073実機で歌ってもらったのが以下のビデオです。



UNISONテクノロジーのNeve 1073 Preamp & EQとNeve 1073実機がまったく同じ音か?というと、やはり違いはあるのですが、近い傾向なサウンドのように思いました。これについても視聴者のみなさんから、
・これまた違うな
・これも違うね
・やっぱりまろやか
・明瞭感が良いね
・傾向は似てる
・アナログ感がすごい
・実機すごいのね
・高いだけはあるのかね
・波形もけっこう似てますね
などといった声が寄せられました。

この3つの歌声ともに、Pro Tools側ではリバーブもEQもコンプも何も掛けず、マイクから録音した音をそのまま記録し、再生させています。また、マイクはノイマンのU87を使っていますよ。


ボーカルレコーディングに用いたノイマンのコンデンサマイク、U87 

ちなみに、このオケは、大森さんのCDを聴いて2時間で多田さんが耳コピして作ったというもの。バックのコーラスが入っていますが、これはVOCALOIDの東北ずん子を使っているんですね!


番組終了後、大森真理子さん、多田彰文さんと3人で記念撮影 

以上、なかなか普通はできない、贅沢な実験を行ってみましたが、いかがだったでしょうか?もちろん、apollo twinだって、安い機材ではないのですが、実機の価格を考えると、検討する価値があると思いました。今回はボーカルのみでの実験でしたが、ドラムを録っても、ピアノを録っても、大きな威力は発揮してくれるようなので、活用の幅も広そうですよ。


【大森さん情報】