高感度コンデンサマイク内蔵でギター録りにも使えるSonic Port VX

InterBEE 2014や2014楽器フェアのヤマハのブースでも展示されていたので、ご覧になっている方も少なくないと思いますが、Line 6からちょっとユニークなマイク兼オーディオインターフェイス、Sonic Port VXが発売されました。

これは以前にも紹介したことのあるLine 6のギター用のオーディオインターフェイスSonic Portの姉妹機器ともいえるものですが、高性能なステレオコンデンサマイクが搭載されているため、より汎用性の増した機材となっており、iOSデバイスはもちろんWindowsやMacでも利用できるオーディオインターフェイスとなっています。どんな製品なのか紹介してみましょう。

ステレオおよびモノラルのマイク内蔵のオーディオインターフェイス、Line 6のSonic Port VX


製品紹介の前にLine 6とヤマハの関係について簡単に紹介しておきましょう。ご存じのとおり、Line 6は1997年に発売したギターアンプシミュレータ、PODで一躍有名になったアメリカの会社。数多くのPODシリーズをリリースしてきたほか、DSP内蔵のユニークなギター、Variaxシリーズを出したり、MIDI MobilizerMobile KeysMobile In、そしてSonic Portといった一連のiOSデバイスを発売してきたことは、これまでもDTMステーションでいろいろと取り上げてきた通りです。

そのLine 6の全株式を2013年12月にヤマハが取得したことにより、現在はSteinbergなどと同様、ヤマハの完全子会社となっています。それに伴い、国内においてLine 6製品はヤマハが流通させるようになっているんですね。


左がSonic Port、右が今回紹介するマイク内蔵のSonic Port VX 

今回のSonic Port VXは、その新体制で発売する初の新製品となるもの。見た目の形はSonic Portとよく似ていますが、並べてみると親子のように違った大きさになっていますよ。


マイクスタンドにも取り付けることができるほか、カメラの三脚への取り付けも可能 

単体を机の上などに置いて使うこともできますが、付属の部品を接続すると、スタンドとなって、さまざまな方向に向けてレコーディングすることができるようになります。また、マイクスタンドとの取り付け用コネクタも装備されているので、スタジオなどに持ち込んだときにも便利に利用できそうですね。


網目の内側に左右にステレオ、上部にモノラルのマイク素子が搭載されている

では、このSonic Port VXがどんな機材なのか、もう少し詳しく見ていきましょう。まずこれのiPhoneやiPadで高品位なレコーディングをすることをコンセプトとした2IN/2OUTのオーディオインターフェイスであり、最大の特徴はプロクオリティのプリアンプ(45dBゲイン)を装備したステレオ用、モノ用の計3つのコンデンサーマイクを内蔵していることです。この網目になっている部分の内側に装備されているんですね。以下のビデオを見るとマイク性能の雰囲気が掴めると思いますよ。

一方で、Sonic Portと同様、ギター入力を装備しているので、エレキギターまたはエレキベースを接続し、レコーディングすることも可能になっています。「2IN/2OUTなのに、マイクもギター入力もあるって、どういうこと?」と思う方もいるかもしれません。その答えは簡単。再度にモード切替のスイッチがあり、これによって、ギター入力専用、ステレオマイク、モノ・マイク+ギター・インというように切り替えることができるようになっています。


左側のスイッチで、ギター入力、ステレオマイク、モノラルマイク+ギターと切り替えが可能 

実際にマイクでレコーディングしてみると、想像していた以上にハイファイであるのと同時に、マイクの口径が大きいからなのか、低域がしっかりと入ってくるんです。もちろん、コンデンサマイクだけあって、MAIC GAINを上げると、かなり高感度であるのも特徴。かなり小さな音も拾ってしまうから、ボーカルをレコーディングするような場合には、エアコンを切るとか、PCのファンが聞こえないようにするなどの工夫は必要ですよ。


右上がギター入力、左にAUX INがあるほか、下なTRSのメイン出力+ヘッドホン出力

また入出力を見ると、ギター以外にもいくつかの端子がありましたよね。これらについても見ていきましょう。まず入力として用意されているのはステレオミニ端子のAUX INです。ここはキーボード・シンセサイザやミキサー、オーディオ機器などを入力するためのものです。また、AUX INににケーブルを接続すると、その他の入力は無効となるので注意しましょう。

その下にはステレオミニのヘッドホン出力および、TRSフォンでのバランス出力によるステレオライン出力が用意されています。ここにモニタースピーカーなどを接続すれば、かなり高品位なスタジオ環境を構築できるというわけですね。


iPhoneやiPadとは下の端子で接続する。PCとは上のMicroUSB端子で接続する

一方でiPhoneやiPadとの接続はリアにある下の端子を利用します。ここに付属の14ピンLightningケーブルを使ってiPhone、iPadと接続すれば、即利用することができます。接続すると、iPhoneもiPadも本体のスピーカー、マイク、ヘッドホン出力は無効となり、Sonic Port VX側がアクティブになります。つまり、接続するだけで、とくにセッティングの必要はなく、GarageBandでもCubasisFL STUDIO Mobile HDでも利用できるし、ミュージック機能で音楽を聴くのも、Sonic Port VXを通して、より高音質で再生できるようになるわけです。

なお、このレコーディングにおいて、マイクやギター入力の端子、またAUX INから入力された音を、モニターすることが可能となっているのですが、ここには2種類のモニター方法が用意されています。ひとつは、GarageBandやCubasisなどのDAWを経由してモニターする方法です。この場合は、DAWに搭載されれているエフェクトやEQなどを介して音が出てくるので、非常に応用範囲も広がりますが、音に遅延が出てくる可能性もあります。


DIRECT MONITORをオンにすると、入力された音がそのまま出力されるようになる

それに対し、DIRECT MONITORというスイッチをオンにすると、エフェクトはかからないけれど、入力した音が、そのままヘッドホンやスピーカーへ出力されるため、まったく遅延のないモニタリングが可能になります。どちらがいいかは、CPUパワーなども加味しながら、それぞれで選んでみるといいでしょう。

また上の端子を使ってWindowsやMacと接続すると、いずれもドライバなしでオーディオインターフェイスとして認識されるようになります。というのも、これがUSB Audio Class 1対応のデバイスだからですね。ただし、上限が24bit/48kHzとなっているので、24bit/96kHzなどには対応していません。


Line 6のサイトからWindows用のドライバーをダウンロードして、インストール

またWindowsで使う場合、とりあえずドライバなしで利用することは可能ですが、Line 6のWebサイトからドライバをダウンロードしてインストールすると、ASIOおよびWDMのドライバとして利用することも可能になり、レイテンシーも小さく抑えることができますよ。


ASIOドライバの設定でバッファサイズを小さくしてレイテンシーを短くすることができる

最後にもう一つ重要なポイントがあります。これはSonic Portシリーズですから、Sonic Portの一番のウリともなっていた、Line 6のアプリ、Mobile PODが利用できるのが大きな特徴となっております。Mobile PODについては、これまでも何度も紹介しているので、ここでは詳細は省きますが、一言でいえばLine 6のPOD 2.0を、ほぼ完全な形でiOS上で再現できるようになっているんです。


MoiblePODを利用することで、アンプシミュレター+ストンプエフェクトとして使うことができる

使ってみるとわかりますが、アンプシミュレータとして、ギター用エフェクトとして、かなり使えるアプリですよ。ちなみに、Mobile POD自体は無料のアプリではありますが、Sonic Port VXやSonic Port、Mobile InなどLine 6製の対象ハードウェアが接続して使うことが基本となっています。

いずれにせよ、Sonic Port VXは非常にオールマイティーで利用できるオーディインターフェイスです。iOSデバイスで高品位なレコーディングをしてみたいと思っている方は、試してみる価値があると思いますよ。

【価格チェック】
◎Amazon ⇒  Sonic Port VX
◎サウンドハウス ⇒  Sonic Port VX
◎Amazon ⇒  Sonic Port
◎サウンドハウス ⇒  Sonic Port

【製品情報】

Sonic Port VX製品情報
Sonic Port VXドライバダウンロード

【関連記事】
ついに出た!Lightning対応オーディオI/F、Sonic Portを使ってみた

Commentsこの記事についたコメント

21件のコメント
  • poco

    凄く便利な製品が出たと一瞬大喜びしましたが、残念ながら私の使っている30pinのipadには非対応と言う事でガックリです。sonicport用の30pinケーブルは繋ぐ事が出来ないのでしょうか?またカメラコネクションキットを使ってUSB接続する様な裏ワザも無理なのでしょうか?コンパクトで良さそうな製品なので本当に残念です!!

    2014年12月15日 10:02 AM
  • 藤本健

    pocoさん
    こんにちは。明日か明後日、時間があるときに試してみますよ。
    メーカーとしては対象外とするんでしょうが、
    直感的には動いてしまうように思うんですけどね…。
    しばらくお待ちください!

    2014年12月15日 5:12 PM
  • to41

    いつも楽しく記事を見させて頂いてます。これはMacとつなぐとAmpfarmは使えるのでしょうか?使えるならSonicPortから買い替えを検討中です。お時間あるときでも試して頂けましたら幸いです。よろしくお願いします♪

    2014年12月15日 6:01 PM
  • Poco

    藤本様 、お忙しい中を試してみて頂けると言う事で有難うございます!結果を楽しみにお待ち致しております。宜しくお願い致します。

    2014年12月15日 7:28 PM
  • to41

    藤本様
    先ほどAmpfarmが使えるかという質問させて頂いたのですがPodfarmの間違いでした。引き続き、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

    2014年12月15日 8:28 PM
  • 藤本健

    POCOさん
    さっそく試してみました。
    結論からいうと、使えます。
    おっしゃるとおり、Sonic Port用の30pinケーブルやMobile Keys用のケーブルを利用すれば使えます。条件としては、最新のMobile PODをインストールすることとなっているので、iOS7以上であればOKですね。
    ただメーカーに確認したところ、動作は保障できないとのこと。また記事では触れていませんでしたがLightningだとUSB経由でACアダプタにつないでおくと、iPhone/iPadの充電が可能になっていますが、それには対応していないようですね。
    GarageBandほか、その他アプリでも使うことができたので、充電を除けば問題なく動きそうです。

    2014年12月16日 8:10 AM
  • 藤本健

    to41さん
    POD Farmですね。いま試してみました。
    これは残念ながらダメでした。
    POD Farm2で試してみたのですが、これのライセンス対象として入っていないので
    認証されないですね。ただ、トライアル版として使う限り、ASIOドライバが認識されるので
    (Windowsでのテストだったので)、普通に使うことはできます。
    またiLokでライセンスを持っているのであれば、問題なく利用可能だと思います。

    2014年12月16日 8:34 AM
  • poco

    藤本様
    大変貴重な情報を有難うございました。
    早速、貴HPからアマゾンで購入手続き致しました。
    年末年始は友人の家や、いろいろな所でセッションが楽しめそうです!
    取り急ぎ御礼まで。

    2014年12月16日 2:07 PM
  • 藤本健

    pocoさん
    お役に立ててよかったです。
    ぜひ、今後ともDTMステーションをよろしくお願いします。

    2014年12月17日 1:53 AM
  • to41

    藤本様
    お忙しいなか検証して頂きまして、ありがとうございました。私の環境だとPodstudioをオーディオインターフェイスとしてもMacと繋げて使っているので、もし使えれば最高だったのですが…もう少し悩んでみますσ(^_^;)
    本当にありがとうございました!
    これからもレビュー楽しみにしております♪

    2014年12月17日 12:59 PM
  • タケーン

    いつも楽しくとても参考になる記事をありがとうございます。これをiPad air2につなげてカメラアプリ(例えばFiLMiC pro等)で動画撮影した場合、Sonic Port VX で取った音で動画が取れるのでしょうか?ネットで調べてもよくわかりませんでした。それができればyoutube動画作成にとてもありがたいと思います。お時間あるときに検証して頂けませんでしょうか?よろしくお願い致します。

    2015年2月23日 3:33 AM
  • 藤本健

    タケーンさん
    こんにちは。このSonic Port VXをiPad Air2に接続すると、オーディオを関連は録音も再生もすべて内蔵のものからSonic Port VX側に移ります。そのため、普通のビデオソフトも含めて、Sonic Port VXでの録音に切り替わります。FiMiC proというのを使ったことはありませんが、よほど特殊なことをしていない限り(そんなアプリみたことないですが)、Sonic Port VXでの録音になるはずです。

    2015年2月23日 7:19 AM
  • タケーン

    早速のコメントをどうもありがとうございます。普通のビデオソフトの音をこれでとれるというなら素晴らしい製品です。近々購入したいと思います。

    2015年2月24日 12:32 AM
  • かんきち

    ASIOに対応させたいのですがドライバがどこにあるのかわからないので良かったらリンク先を教えてください。
    ドライバが無いのが理由か、Winのキューベイス5で使えない状態です。(デバイス設定でも表示されない)
    iPhoneで使ってみましたが、iPadがめっちゃ欲しくなっちゃいました!!笑

    2015年5月18日 12:54 AM
  • 藤本健

    かんきちさん
    こんにちは。失礼しました。いま記事の一番下の関連情報のところにリンクを入れました。
    ここで全製品となっているところにSonic Port VXを設定し、OSを指定すればダウンロードできます。

    2015年5月18日 4:27 PM
  • 市川

    はじめまして、このページで知ったSonic Port VXを購入したのですが、使い方が分からず困っております。このような機器を使うのは初めてです。Sonic Port VXはウイン7にそのまま使えるのでしようか? ページ内に「Line 6のWebサイトからドライバをダウンロードしてインストール」と書いてあり、ダウンロードページに行くと、「すべてのソフトウェア」の中からどれか選択するようになっていましたが、どれを選択すればいいのか分かりませんので、教えていただきたいのです。使用の目的は、パソコンに取り込んだカラオケをヘッドホンで聴き、Sonic Port のマイクからヴォーカルを録音したいのです。ギターも入れたいと思っています。よろしくお願いいたします。

    2016年1月6日 10:51 AM
  • 藤本健

    市川さん
    はい、Windows7でもWindows10でも使うことが可能です。
    確かにダウンロード先がわかりにくいですが、Sonic Port VXを選択し、
    「すべてのソフトウェア」に設定して「Windows7」とすれば、ドライバが出てきますよ。

    2016年1月10日 2:24 PM
  • 高橋

    こんにちは。とっても分かりやすい記事をありがとうございます。こちらの記事を拝見して、SONIC PORT VX 購入しました。PODは使わない派ですが、ヴォーカル録音やギター録音では非常に使い勝手がよく、iPhoneでもMacでも使えるので、iPhone+GarageBandとMac+LogicProXとで便利に使わせていただいています。ただMac+Logicでaux-inに電子ピアノ(KORG SP250)を入力して録音しようとした場合、電子ピアノ側のボリュームを最大にして、Logic X Pro側のゲインを最大にしてもかなり音量が足りません(Logicでのピーク表示が-15dB)。藤本さんならどう対処されますか?

    2016年3月1日 10:16 AM
  • maeda

    こんにちは いつも 記事を拝見しております。とても参考になります。基本的な疑問で恥ずかしいのですが、iPhone6単体の動画における録音はVXを繋げた場合、自動的にVXのマイクを
    通して録画の録音が出来るのでしょうか? ユーチューブに高音質な動画投稿が目的です。
    よろしく ご回答御指導 お願い申し上げます。

    2016年6月4日 6:43 AM
  • 藤本健

    maedaさん
    はい、自動的に切り替わります!

    2016年6月5日 1:10 AM
  • maeda

    藤本さま
    早速の御指導 ほんとうにありがとうございます。購入意欲が増してきました。感謝です。

    2016年6月6日 8:17 AM

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です