SteinbergからDoricoが発表されて、Finaleの新バージョンとともに譜面ソフトの世界が活況となってくる中、日本の譜面ソフトの老舗、カワイスコアメーカーも新バージョンを発表し、ますます盛り上がってきた感じです。ご存じのとおり、スコアメーカーは21年の歴史を持つ純国産の譜面ソフトであり、楽譜をスキャンすれば、簡単に楽譜認識してくれるということで多くのユーザーに支持されてきたソフトです。

11月24日発売となる新スコアメーカーをちょっぴり先に試してみたので、これがどんなソフトなのかファーストインプレッションとして紹介してみたいと思います。ちなみに従来は製品名にバージョン番号が付いており、これまでスコアメーカー10でしたが、今回はバージョン名が消えています。Windowsも10でバージョン表示をやめ、Mac OSもすでに廃止しているように、最近のソフト業界の傾向なのかもしれませんね。


見た目もカッコよくなり、認識精度も大きく向上したスコアーメーカー11
 
さて、新しくなったスコアメーカーを起動してみて、すぐに感じるのは、画面が洗練されて、気持ちいいUIになったな、ということ。スコアメーカーに限らず、日本のソフトって、やや野暮ったいイメージがありましたが、やっぱりUIもどんどん進化しているようで、カッコイイ。とくに楽譜作成画面では、ツールバーが上下左右に設置されたからなのか、メインとなる楽譜表示領域がすごく広く感じられますよね。あくまでも雰囲気ですが、ちょっとDoricoにも似た感じというか……。


パッケージ版のスコアメーカーをインストールし、試してみた

また、本当の初心者でもすぐに操作が分かるよう、手取り足取り、ヒントが表示されるので、まったく使ったことがない方でも安心です。ただ、すぐに、「うるさい!」と思うほど、いろいろと表示されるので、邪魔に感じたら消してしまえばいいですね!
 
このスコアメーカーは、もちろんゼロから譜面を作っていくことができるのですが、長い歴史を持つスコアメーカー最大の特徴であり、海外の譜面作成ソフトには真似られない優秀な機能が、譜面認識機能です。


とにかく、いろいろとヒントやガイドが表示されるので、初心者でも安心して使える

やはり多くのDTMユーザーにとっては譜面との付き合い方って、自分でゼロから譜面作成するというよりも、既存の譜面を活用するほうがメインですよね。その既存の譜面をさまざまな形で利用できるようにしてくれるのが、スコアメーカーであり、他の譜面作成ソフトとは大きく異なるところです。

私自身、スコアメーカーを触るのは、だいぶ久しぶりではありますが、改めてこの譜面認識のところから試してみました。


譜面をPDFやJJPEG、BMPで読み込む、もちろんスキャナで読み込んでもOK

この譜面認識機能はJPEGファイルやBMPファイルなどの画像データとして用意されているものが認識できるのはもちろんPDFの読み込み機能も装備されています。最近は譜面をPDFでもらうケースもあるので、それを直接読み込めるというのは便利ですよね。データではなく、紙の譜面があるという場合はスキャナを使って読むことも可能ですよ。


ザックリとした譜面のパート構成を指定する

読み込むと、すぐに認識が行われ、どこにどんな情報が記載されている譜面なのか、大まかに理解してくれます。表示されるパート構成を見て問題なければ、そのままでOKですが、やはり全自動とまではいかないので、どれがピアノ譜なのか、どこがどうつながっているのか、段落の切れ目がどこなのかなどを指定してやります。


直感的な操作ができるから、見開きの本をスキャンする場合でも、結構簡単にパート構成を設定できる

が、これがすごく直感的にできるようになっているんですよね。段落設定ウィンドウやパート構成ウィンドウ……といった難しいものを使うことなく、このスキャンされた譜面上で、マウスでチョイチョイと指定すれば、それでOKなんです。スキャナを使う場合、すでに1枚の紙に印刷されているものならいいのですが、ページを見開いてスキャンする場合は、影ができて、かなり見づらくなりますが、そんな場合でも、どこが段落の切れ目かなどは分かりますからね。

本当にザックリとした指定は人間が行ったうえで、「認識実行」とすると、もうそれだけで譜面が読み取れてしまうのです。

この認識精度、以前のスコアメーカーと比較して格段に向上してますね。もちろん、譜面にもよりけりなんだとは思いますが、パート構成などをしておけば、もうほぼそのまま、完璧に読み込んでくれますよ。


プレイボタンをクリックすれば、もうそれだけで読み込んだ譜面を演奏できる

そのようにして取り込んだ譜面はプレイボタンをクリックすれば、即演奏してくれるというのも嬉しいところ。もちろん、譜面を演奏する機能は、いまやどの譜面作成ソフトでも持っていますが、譜面をスキャンして、それを演奏できるという意味は非常に大きいと思います。

もちろん「譜面を見ただけで、CDを聴くように頭の中に音楽が流れる」なんていう天才的な方は別として、多くの人にとって、それを音楽として認識するまでには、結構なパワーが必要になりますよね。それをスキャンして、すぐに演奏できるとなれば、やはり革命的なことだと思うのですが、どうでしょうか?

しかも、その演奏する音が、結構いい音で鳴ってくれるんですよ!まずデフォルトでは、スコアメーカーに搭載されているカワイのGM2レベル2音源が選択されるようになっています。ここには756音色が用意されていて、一通りの音色が選べるので、かなりのことができますよ。


オプション画面では 「Kawai GM2 SW Synth」が選択されている。「ASIOを使う」にチェックを入れておく

オプション画面で確認してみると「Kawai GM2 SW Synth」となっており、ASIOドライバを使っての出力が可能となっていますから、結構いい音で鳴らすことが可能です。また、この画面を見てお気づきのとおり、VSTインストゥルメントも組み込んで鳴らすことが可能となっています。これはパートごとに設定可能となっています。


手持ちのVSTインストゥルメントで演奏させることも可能

とはいえ、スコアメーカー自体はあくまでも譜面作成ソフトですから、ここで鳴らす音というのは、あくまでも譜面が正しく入力されているかを確認するもの。演奏性を重視するのであれば、譜面作成ソフトではなく、やはりDAWで行うべきものでしょう。そんな場合は、スコアメーカーからSMFで出力して、CubaseStudio OneAbility……といったソフトで読み込んでエディットしていけばいいのです。


SMFで出力し、DAWで読み込んで編集するという使い方もある

譜面を元に自分で打ち込んで演奏させたい、というような場合、スコアメーカーを介すことで、ゼロから打ち込んでいくのと比較して圧倒的に効率がいいですからね。もちろん、譜面通りに入力したデータは音楽性は乏しくなるので、ベロシティーやデュレーションなどを調整して味付けしていく必要はありますが、打ち込み支援ソフトとしても大きな威力を発揮してくれそうですよね。


タイムライン機能では、曲全体の流れの中で、テンポの変換や拍子の変化、音量の変化などを確認できる

ところで、このスコアメーカーの新機能というのをチェックしてみると、いくつかのユニークな機能が加わっています。まず、なかなか便利なのがタイムラインという機能。これは1曲通しての状況を俯瞰的に見ることができる機能で、テンポや拍子がどのように変化しているのか、音の強弱や音の高さがどう変化しているのかを一発で確認することが可能になっています。


 マウスカーソルでなぞるだけで、その位置での演奏音を確認できる「なぞり演奏」機能

また「なぞり演奏」機能というものも追加されています。これは頭から演奏していくだけでなく、特定の場所をマウスでドラッグすると、その位置での音が演奏できるというものですね。


フリーハンドで譜面に書き込める機能は何気に便利

さらに、フリーハンドに対応した手書きによる注釈書き込み機能なんていうのも、意外と便利かもしれません。そのほか画面左側に表示されるミキサーと楽譜がどう関連づいているかすぐにわかるようにマウスのホバーが連動すること、ミニスコアを見開きのままスキャンすると、自動的に2ページに分割されることなど、いろいろと強化されているようですね。


ラインアップ比較表に、それぞれの機能の違いが記載されている

なお、このスコアメーカーにはPlatinumStandardElementsの3つのグレードとスコアパレット、学校専用の「学校版」があり、それぞれで少しずつ機能に違いがあります。今回はPlatinumを使いましたが、どのような差があるかはカワイのサイトに「ラインアップ比較表」というのがあるので、それを確認してみてください。


パッケージ版のほかに、POSAカード版というものも用意されている

また、パッケージ版のほかにPOSAカード版というものも用意されています。POSAとはコンビニで販売されているiTunesカードなどのようにレジを通した段階で初めて使用可能になる技術。要するにお店で買うのはカードであって、ソフトそのものはダウンロードするタイプのものですね。

そのダウンロード自体は、購入していなくても、誰でも行うことができ、それをインストールするとフル機能が15日間使える仕様になっているのです。なので、まずはこれを試してみて気に入ったら買うという形でいいかもしれませんね。

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スコアメーカー製品情報

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