作曲家の方やアレンジャーの方と話しをする際、「最近どんな音源を使ってますか?」とよく聞いているのですが、そうした中、よく話題になるのが米output社の音源です。先日も「新進気鋭の米メーカー、outputのmovementが面白すぎる!」という記事で、同社の音源のようなエフェクトを紹介しましたが、そのoutputから、またまたユニークな音源が発売されました。

Analog Stringsというストリングス音源がそれ。Native InstrumentsKONTAKT5 Player上で動作する39GB超(圧縮時20GB)の大容量音源なんですが、オーケストラ系のストリングス音源とは大きく異なるもので、シネマティック系トラックを作成したり、クラブ系サウンドを作成するのを得意とする、非常にユニークな音源であり、作家にとってとても強力な武器となる音源なんです。実際、どんなものなのか、紹介してみましょう。

 
いま世界中が注目する音源メーカー、outputから新たな製品がリリースされた
 
改めてoutput社を紹介すると、逆再生音が強烈な個性を放つリバースサウンド音源のREV、2つのレイヤーにアナログ~デジタルシンセや生楽器のサウンドをロードし、合成、さらに人間の脈のような「パルス」を掛け合わせ新次元のサウンドを生み出すSIGNAL、幻想的で深みのあるパッド風のサウンドから、クリエイティビティを開放する数々のフックやアドリブまで幅広く収録したボーカル音源のEXHALEなど、ほかにない非常に独特な音源を次々と生み出してきたメーカーなのです。


outputを一躍有名にした同社の第一弾製品、REV  

これらoutput製品に共通するのは、「プリセット音色を選べば、即使える音になっている」ということと、「鳴らした音色からイメージが大きく膨らむので、曲作りに大きく役立つ」という点。いずれにせよ即戦力として使える武器であり、パラメータをちょっと変えると雰囲気も大きく変わるから、ほかの人とぶつかりにくいという点も武器として重要なポイントとなっているんですよね。

そのoutputが先日、新たにリリースしたのがAnalog Stringsという音源なのですが、期待を裏切らない正にoutputらしい即戦力音源となっています。まずは、実際どんな音が出るのか以下のビデオをご覧ください。



「音色からイメージが大きく膨らむ」という意味がなんとなくお分かりいただけるのではないでしょうか?これを聴いてもわかり通り、ストリングス音源といっても、バイオリンやビオラ、チェロ、コンバスなどのアコースティック音源だけでなく、アナログシンセのストリングス音源、さらにはその他のシンセ音源も融合した独特な音源となっています。

そのため、劇伴(映画やテレビドラマ、アニメなどで流れる伴奏音楽)の作成なんかには持ってこいのツール。その一方で、クラブ系サウンドの音源素材としてもかなり活用できそうなサウンドなんですよね。

動作環境はKONTAKT5およびKONTAKT5 PLAYERが動く、というものなので、WindowsおよびMacのスタンドアロンおよびVST、AudioUnits、AAXのプラグインとして動作します。また、インストール時にハードディスクに38GBの空き容量があることも条件になるので、それなりの余裕は必要となりますね。


USB-MIDIキーボードなどで弾けるのはもちろん、画面にキーボードを表示させて音を鳴らすこともできる

さて、起動してみると、ちょっと変わった画面が登場してきます。ここでさっそくキーボードを弾いてみるとバイオリンのトリルのような音とちっと低めのシンセストリングスをレイヤーしたような荘厳な雰囲気の音が出てきます。


キーワードで絞りむなどして、500あるプリセットから好みの音色を選択 

プリセット音色を切り替えてみると、クラシック風な音やもっとシンセっぽい雰囲気の音、またポップなサウンドなど、さまざまな音が飛び出してきます。全部で500プリセットあるとのことですが、どれも選べばすぐに使えそうな音色ばかりです。

でも、プリセットを切り替えていて気付くのは、この一風変わったユーザーインターフェイスに表示されているパラメータ自体が、音色によっていろいろと変わるんですよね。そして、そのパラメータの操作子のデザインがまた妙です。基本的には水平のスライダーになっているんですが、弦というより繊維がウニョウニョしているような感じで動くものなんですよね。


main画面に現れるパラメーターは必要に応じて好みのものを設定できる 

音色によって現れるパラメータが、rhythm、delay、tone、pitch、spread、filter、shape……といろいろですが、適当にスライドするだけで、結構音の雰囲気も大きく変わってくれるので、500のプリセットといっても、実質無限にあるといってよさそうです。


2系統のアルペジエータが搭載されている 

音色によってはアルペジエイターが機能しているものもあるのですが、arpタブをクリックしてみると、その中身を見ることができます。そしてもちろん、これを自分で組むことも可能だし、ランダムで設定することもできるなど、ここでもさまざまなバリエーションを作ることができそうです。


2つのレイヤーにサンプルデータを読み込むことができる

そのほかのパラメータについても、少し見てみましょう。まず重要になるのが、どんな素材を読み込んで使うか、という点です。Analog StringsはもちろんKONTAKTベースの音源なので、サンプリング素材を使うわけですが、Layer AとLayer Bという2つのレイヤーがあり、2種類までを読み込んで同時に鳴らすことが可能になっています。


計90種類のサンプリング素材が収録されており、Layer A、Layer Bそれぞれに設定できる 

そのサンプリング素材としては、大きくOneshot、Pad、Tapeの3つに分かれており、それぞれにOrechestral=オーケストラ音源、Synths=シンセ音源、Creative=ストリングス以外を含むさまざまな音源が10種類ずつあるので、3×3×10=90種類の素材が利用できるようになっており、これらを組み合わせて好みの音色を構築していくことも可能です。

想像の通り、Oneshotは、一発録りのサウンド、Padは音を埋めていくことができ雰囲気を盛り上げていけるサウンド、そしてTapeは繰り返しのサウンドとなっています。もっとも、これらはあくまでも原音であり、波形を逆再生にしたり、Tapeのものならループ時間を変えたり、さらには読み込んだ原音を元にシンセ的に加工していくことができるので、かなりいろいろな音に変化してくれますよ。


edit画面で、エンベロープなどのパラメータを設定していく

そして、そのシンセ的な加工を行う中心的な役割を果たすのがeditとfx。まずeditではエンベロープを設定したり、LFOをかけたり、音のステレオ感を調整するなど、さまざまな加工が可能になっています。


fx画面。ここでフィルターやEQ、コンプなどの設定を行う

またfxではフィルターを含む各種エフェクトの設定が可能になっています。具体的にはフィルター、EQ、ディストーション、コンプ、モーション(フェイザー&コーラス)、ディレイ、リバーブのそれぞれで、これらを使うことで、かなり自由度高く音を加工していくことができるのです。


ステップ入力するアルペジエーターと24種類のパターンが用意されているシーケンサで各種パラメータを動かす

さらにrhythmでは、LFOもしくはアルペジエーターで発生する波形を元に各種パラメータにモジュレーションをかけていくことができるセクションです。LFOはかなりさまざまな波形を選択できるし、アルペジエーターも自分で細かく設定できるので、この辺までいじると、もう何でもできるシンセサイザーという感じですね。

そして前述のアルペジエーターもrhythmのものとは独立して操作できるようになっているので、このパラメーターをいじって遊んでいるだけでも面白くて、すぐに1日経ってしまいそうです。

まあ、でもそんなに難しく考えることなく、まずはプリセットを読み込んで、キーボードを指一本で抑えるだけでも、かなりイメージが膨らんでくる音源なので、ぜひいろいろと試してみてください。


Analog Stringsのインストールができたら、最初に「Batch Re-save」を選択してこう! 

なお、Analog Stringsは38GBもある大きなライブラリであるため、起動時の読み込みに結構な時間がかかるのですが、その時間を大幅に短縮するワザがあるんです。Analog Stringsをインストール後、すぐにKONTAKTの「Batch Re-save」という機能を使って、再度、Analog Stringsのライブラリのある場所を指定すればOK。実際、私のSSDの環境で試してみたところ、当初1分程度かかっていた読み込みが7秒に短縮。これならとっても快適です。導入した方はぜひ試してみてくださいね。

ちなみに、Analog Stringsを含むoutput社製品は、国内ではクリプトン・フューチャー・メディアが運営するSONICWIREで扱っており、ここからダウンロードが可能です。販売価格は現地価格(たとえばAnalog Stringsの場合は$199)に為替レートをかけて消費税を足した金額で、日々自動で変動する形になっています。そのためoutput社からの直接ダウンロード価格とほぼ同額となります。またSONICWIREで購入した場合は日本語マニュアルが入手できたり、日本語でのサポートが受けられますが、outputから直接購入した場合は、そうしたサポートは受けられないのでご注意ください。 

【関連情報】
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