melocyというサービスをご存知ですか?「演奏や歌を重ねて録音・投稿。世界中の人と音楽でつながる!」というキャッチコピーの元に展開している主にスマホを使った演奏ネットワーキングシステムです。誰かが作ったパートに音を重ね録りして、コラボしていくというもので、福井県の会社である株式会社ignote(イグノート)が運営しています。

そう聞くと「あれ、nanaと似たもの?」という印象を持つ方も多いと思いますが、方向性に多少違いはあるものの、完全な競合といえるサービスだと思います。そのignoteの社長である中西孝之さんとは、melocyの立ち上げ当初から何度かお会いしたきとがあったのですが、先日「『melocyフェス 2017sprinrg』というライブイベントを初めて開催するので、ぜひ見に来てほしい」という連絡をもらい、ゴールデンウィーク中で、ちょっと時間があったので覗きに行ってきました。小規模ながら、なかなか盛り上がっていたので、レポートしてみたいと思います。


スマホアプリで重ね録りができるサービス、melocyのオフ会イベント、melocyフェスに行ってみた 
melocyはnanaと比較すると、小さな規模で行っているサービスであり、集まっている人数も少ないのですが、スタートしたのはほぼ同時期で2012年10月。nanaが歌を中心に展開しているのに対し、melocyはどちらかというと演奏寄りな展開をしているという印象です。クリックを流しながらの演奏ができたり、録音の尺が5分までとなっているあたりも、演奏系の人が集まる所以となっているところかもしれません。


melocyを運営するignoteの代表取締役、中西孝之さん

バンドなど一緒に音楽をする仲間を探すのはなかなか難しいものです。とくに地方になるとそのハードルは上がります。スタジオや楽器屋さんでメンバー募集してもなかなか集まらないし、まして自分の好きなジャンルとなると、ほぼ無理というのが実情です。もちろん地理的な問題だけでなく、時間的な問題で休みが合わなかったり、夜勤の人、昼に働いているひと……と難しいですよね。でもそれをネットなら解決できるはず、という思いは10年ほど前から考えていて、地元の開発仲間とブレストはしていたんです」と語るのは中西さん。


melocyはiPhoneやAndroidで利用できるアプリ型のサービス 

確かにネットを介してバンドをするとかセッションするというアイディアは、世界中の人たちが実現しようとしている一つのテーマですからね。手法は違いますがヤマハのNETDUETTOなんかもその一つだし、Pro Toolsのクラウド・コラボレーションやCubaseのVST ConnectやVST Transitなど最近のDAWが目指している方向も近いと思います。

PCベースだと、なかなか現実的でないな……と思っていたところ、iPhoneなどのスマホが登場するようになり、これならできそう!と同じ福井県のウォンツさんなどにも協力してもらいながら開発したんです」と中西さんは当時を振り返ります。


渋谷のMI JAPAN東京校前には、 開場前から人が集まってきていた

そのスタートから約5年。これまでmelocyユーザーのオフ会は何度か行われていたそうですが、今回初めてライブハウスを借り切ってのイベントを行ったとのこと。場所はDTM系のイベントでも時々使われる、東京・渋谷にある音楽学校MI JAPAN東京校のライブステージです。


melocyの中ではよく知っている人と、ここで初の顔合わせということも多く、盛り上がっていた 

開場時間に行ってみると、10代~20代と思われる人たちがいっぱい集まってきており、歓喜に沸いています。そばにいって聞いてみると「わぁぁ、〇〇さんですね!初めまして!!会いたかった!」なんて言い合って盛り上がっているんですね。まさに「THEオフ会!」という感じです。


宮城県から日帰りでやってきた高校2年生ののんのんさん 

何人かに少し話を聞いてみました。宮城県から電車と新幹線を乗り継いでやってきたという高校2年生ののんのんさんは、「中学3年生のときに受験勉強で疲れていたときに、息抜きとして始めたんです。最初は歌から入ったのですが、melocyでギターを弾いている人に憧れて昨年の夏にアコギを買ったんです。さらにエレキも買い、今はギターを使ってセッションするのがすごく楽しくて!以前、宮城県内で数名のオフ会はやったことがあったんですが、こんなにいっぱいの人と会えたのは初めて。もう嬉しくて、嬉しくて」と興奮冷めやらない様子です。


melocyでのみんなの反応が気持ちいいという、わん子さん

その一方で、プロの歌い手さんも参加しているのも面白いところ。ステージ上でback numberの『青い春』を熱唱していたわん子さんは「もともと芸能事務所に所属して歌をやっていたんですが、いまはフリーでモデルと歌をうたってます。私がmelocyを始めたのは3年くらい前ですね。ここはプロの世界みたいにカッチリしすぎず、でも技術がある人もいっぱいいてコミュニティーがしっかりしているのが楽しいところ。ここでいろいろなことを教えてもらっています。ライブと違って歓声は聞こえないけれど、melocyではコメントは結構いっぱいもらえるので、気分もいいですね。今後はmelocyの人たちと組んでライブとかをやってみたいですね」と話していました。


大学受験勉強の息抜きにDTM作品を作ってmelocyにUPしているという霧馬さん 

もちろん、ここにはDTMをしている人もいました。今高校3年生で理系大学を目指して受験勉強中という霧馬さんは「melocyは人と人の繋がりの温かさが、すごく好きでやってます。曲はGarageBandで作ってアップしていて、ボカロ曲のカバーを作って投稿すると、いっぱいの人たちがコラボしてくれたり、コメントがつくのが楽しいですね。またTwitterで“これすごい!”なんてシェアしてくれると、すっごく嬉しいですね。私自身はエレキギターを弾いていて、これをGarageBandにレコーディングしたりもしています」とのことでした。


オープニングに演奏した2人組ユニット、Skyscrapers

このイベントでは、オープニングはSkyscrapersという2人組のユニットによるギターの弾き語りからスタート。もちろんmelocyで活躍している方々なんですが、実はギターの方は福井県出身で、melocyの立ち上げ当初からライブの現場とmelocyとの橋渡しに関わっていたのだとか…。


盛り上がる会場内で、プロミュージシャンをバックに歌うmelocyのユーザーのみなさん 

その後は事前にエントリーのあった9人のmelocyユーザーによる歌の披露。事前にくじ引きをして順番を決めてのライブです。気になるバックバンドはMI JAPANの先生などのプロが担当したのですが、その日・その時が初セッションとのこと。どんなことになるのだろう……とちょっと不安もありましたが、さすがプロ、その場で譜面を見ての演奏ですが完璧ですよね。もちろん歌い手の方々も、みなさんなかなかの力量でした。


トリを飾ったのはmelocyから生まれたバンド、MeRodick 

その後登場したのが、このmelocyフェスのメインとなるMeRodickというバンドによる演奏。実は、このMeRodickは、まさにmelocyのコミュニティーの中で生まれたバンドであり、melocyの在り方を象徴するようなバンドのようです。


MeRodickのバンドリーダーである大学1年生のカイザさん 

MeRodickのバンドリーダーである、カイザさんに話を伺ってみました。
ボクが中学校1年のきに、311があり那須で被災しました。中高一貫の男子校だったのですが、校舎が壊滅的な被害を受けたことから、学校全体で東京へ移転したのです。ただ人数は減ってしまい、ボクの代の卒業をもって閉校となってしまいました。その最後の文化祭をなんとか盛り上げたいと思っていたとき、バンドを組もうと思い立ちました。全校で8人しかいないので、当時ハマっていたmelocyのメンバーに声をかけて集まったのがこのバンドなんです。キッカケは文化祭でしたが、これからもこのMeRodickの活動に打ち込んでいきたいと思っています」と思いがけないエピソードが返ってきて、驚かされました。

そのカイザさん、この4月からは大学1年生となって、作業療法士の勉強をしていくそうですが、ぜひ頑張っていってほしいですよね。


後半は軽食も出て、オフ会に! 

大きく盛り上がったMeRodickの演奏の後は、ビンゴゲームなども交えつつのオフ会に。コミュニティーがまだ小さいからか、とってもアットホームな印象でしたが、こうしたところからバンドやユニットが生まれてくるというのも、まさに現代を象徴する動きなのかもしれません。


ビンゴの景品にはDTM系製品もいろいろ

ちなみにビンゴの景品にはIK MultimediaのiRig NANO AMPやインターネットのSinger Song Writer LOOPSなどDTM機材もいろいろ。会場に行くまでまったく知らなかったのですがIK製品の発売元であるフックアップやインターネットが後援として参加していたんですね。

当日の様子はYouTube Liveで配信されており、その内容はアーカイブされているので、興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか?

 

今回のmelocyフェス 2017spring、初めて行ったイベントでしたが、多くの人が集まってくれて、無事に終えることができてホッとしたところです。みなさん、とっても喜んでいただけたようなので、ぜひ、これからも定期的にこんなイベントを開催していけたらと思っています。今回は東京で行いましたが、melocyユーザーは日本全国いろいろなところにいるので、今後は全国を回っていけたらいいな、と思っています」と中西さん。

そのmelocyでは昨年11月からDTM制作した楽曲データのPCからの直接アップロードが可能になっていましたが、今後のmelocyの発展を期待しつつ、DTMとどう絡んでいくかなどについて、注目していこうと思います。

【関連情報】
melocyサイト 
 
【アプリダウンロード】
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