ギター・プロセッサの最高峰、Line 6 Helixにソフトウェア版が誕生だ!

ギター・アンプシミュレーター&エフェクトとして、現在最高峰といわれているのがLine 6Helixです。ラックタイプのHelix Rack、そしてフロアにおいて使うタイプのHelix Floorは、いずれも20万円前後となかなか簡単には手を出せないシステムではありますが、多くのプロギタリストが導入しているので、「できるなら入手してみたい!」と思っている方も多いと思います。

そうした中、先日Helix Nativeというソフトウェア版がリリースされ、ハードウェア版とまったく同じ音が出せるようになったのです。価格は$399,99とそれなりの値段ではあるものの、ハードウェア版であるHelix Rack、Helix Floorより断然入手しやすい価格になっています。さらにHelixファミリーPOD Farmシリーズの登録ユーザーであれば、より手ごろな価格で購入可能となっているのもポイント。このHelix Nativeとはどんなものなのか、実際に試してみたので、簡単に紹介してみたいと思います。

手前にあるのがHelix Rack、それをソフトウェア化したのが画面に映っているHelix Native


多くの方がLine 6のHelixをご存知だとは思いますが、「Helixって何?」という方もいらっしゃると思うので、簡単に紹介しておきましょう。HelixはLine 6が発売しているギター・プロセッサ、つまりギター・アンプシミュレーターかつギター・エフェクトとして使えるデジタル機材です。PODをご存知なら、その進化系であり、よりリアルでアナログに限りなく近いサウンドが出せる機材と説明したほうがわかりやすいかもしれませんね。

フロアに置いて使うHelix Floor

実際PODは90年代にLine 6が開発して、世界中で爆発的にヒットした機材で、現在もPOD HD500XPOD HD Pro Xといったハードウェア、さらには以前DTMステーションでも記事で取り上げたPOD FarmMobile PODなどソフトウェア、iOSアプリとしても存在していますが、その最上位にあるのがHelixなのです。

ラックマウント型のHelix Rack

そのHelixには、前述のHelix RackHelix Floor(当初これをHelixと呼んでいましたが、Helix Rackなどが登場した現在、Helix Floorと呼ぶようになっています)という形状の異なる2種類の製品があるほか、同じDSPパワーを持ちつつハードウェアの一部を簡素化したHelix LTという3つのモデルが存在していましたが、そのHelix ファミリーと同等のサウンドをコンピュータ上で実現するHelix Nativeが登場したのです。


Helixのハードウェアをソフトウェアで実現したHelix Native

このHelix NativeはWindowsおよびMacのプラットフォーム上で、プラグインとして動作するソフトウェアであり、WindowsであればVST2/VST3およびAAX、またMacであればAudioUnits、VST2/VST3、AAXのそれぞれで動作する仕様になっています。


Helix NativeはDAWのプラグインとして動作する

実際、ここにはHelix RackやHelix Floorと同様、62種類のアンプ、 37種類のキャビネット、16種類のマイク、104種類のエフェクトが収録されており、サウンド的にもまったく同じ音がするようになっています。

ちなみに、Helixのエフェクトには、ギター用だけでなく、LA-2AT.C.ELECTRONIC 2290Eventide H3000などのスタジオ系のエフェクト・モデルも含まれています。今回、Helix Nativeとしてプラグイン化したことで、ボーカル、キーボード、ドラムなどギター以外の幅広いトラックでも活用することができ、1つのインサートで多数のエフェクトを自由なルーティングで使用できるのも大きなメリットとなっています。

62種類のアンプ、 37種類のキャビネットなどが収録されている

Helix RackとHelix Nativeのプリセットを比較してみたところ、それぞれまったく同じ。そしてハードウェア側で作ったプリセットとの互換性があるので、これをHelix Nativeで読み込んで、同じトーンを再現することもできるんですよね。

これがまさに重要なポイントで、今回のこのHelix Nativeの登場により、プラグインで作り込んだ音をハードウェアに取り込んでライブに持ち出したり、またその逆が瞬時に行え、スタジオ/ステージ間のサウンドをシームレスに統合するソリューションが提供されることになるわけです。

世界中のLine 6ユーザーがプリセットデータを共有するサイト、CustomTone.com
とくに面白いのはCustomTone.comの活用です。CustomTone.comというのはHelixシリーズやPODシリーズを使ってユーザーが作ったプリセットをみんなで共有するというデータベースサイト。ここには著名曲を再現するプリセットなどが数多く登録されていて、誰でも無料でダウンロードして使うことができるし、自分で作ったプリセットをここにアップロードして公開することが可能になっているんです。

CustomTone.comからダウンロードした拡張子.hlxのデータを読み込む
Helixデータのプリセットの場合、拡張子が.hlxとなっているのですが、このHelix NativeのImport機能を使って読み込むと、世界中のユーザーが作ったデータを再現できるようになっているのです。

このようにDAWを使っている人であれば、PCとオーディオインターフェイスだけでHelixのサウンドをそのまま再現できるというのは大きなメリットです。とくに音楽制作を行っていく過程においてはハードウェアのHelix RackやHelix Floorを使うよりも、よりコンパクトなシステムでHelixの強力なサウンドを活用できるというメリットは大きいと思うし、何より低価格でHelixを活用できてしまうというのは嬉しいところですよね。

ただし、Helix Nativeさえあれば、Helixのハードウェアはなくて大丈夫なのか、というと、やはりそれぞれの長所・短所があるようです。たとえばHelix Nativeにはチューナー機能を装備していないし、スナップショット機能も現時点ではサポートされていません。またギターの演奏を考えた際、レイテンシーという問題も出てきます。


Helixファミリーのハードウェアの中では一番安価なHelix LT

そう、Helix RackやHelix Floor、Helix LTというハードウェアの場合、内部のDSPで処理するので、限りなくゼロレイテンシーに近い形で音を出すことができますが、Helix Nativeの場合は、使っているPC性能やオーディオインターフェイス性能、そしてドライバの設定によって、レイテンシーは大きく変わってきます。とくにスペックの低いPCの場合、どうしてもレイテンシーが大きくなりがちです。

そこで例えば、レコーディング時にHelix Rackの音をゼロレイテンシーでモニターしながら、DAWにはドライで録っておいて、プレイバック時にはプラグインを使うといった連携も考えられます。この場合、ハードウェアとソフトウェアでプリセットを共通化しておけば効率よく制作できるというわけです。

そしてもちろん、ライブなどで利用する場合の操作性の面では、Helix Floorのほうが断然有利であり、マウスで操作する必要があるHelix Nativeだと実用上なかなか厳しい面があります。そのため、レコーディング用にはHelix Native、プレイ・パフォーマンス用にはHelix Floorというように使い分けできるのがベストですね。

ちなみにHelix NativeではDAWのオートメーション機能を利用することで、フットスイッチやノブなど、各操作を曲中で行っていくことも可能です。

さて気になるのが、そのHelix Nativeの入手法です。実は楽器店の店頭にいってもHelix Nativeのパッケージが置いてあるというわけではないのです。冒頭でも書いた通り、通常価格$399.99とドル建てとなっていることからもわかるとおり、アメリカのLine 6サイトからクレジットカード決済での購入となっているのです。

HelixやPODユーザーだと、より安く購入可能になっている

ただしLine 6製品を持っているユーザーの場合、割引が適用されるというのも大きなポイントです。具体的にはHelix FloorまたはHelix Rackの製品登録ユーザーなら1/4の価格の$99.99、Helix LTまたはPOD Farm Platinumの製品登録ユーザーであれば$299.99、そしてPOD Farm Standardの製品登録ユーザーでも$349.99で入手可能となっているんです。

ダウンロード前にLine 6アカウントを作っておく必要がある

もちろんこの製品登録ユーザーというのは日本で購入し、日本語のLine 6サイトで登録していればOKです。また、いきなり買わなくても、まずは無料で15日間試してみることができる、というのも大きなポイントです。この場合は、まずLine 6サイトでのアカウント作成が必要となり、名前やe-mailアドレス、パスワードなどの登録を行っておく必要があります。

どのプラグイン形式を使うのかなどを設定してインストールする
その上で、Line 6の英語サイトからHelix Nativeのインストーラーをダウロード。そしてそれを実行してインストールしていきます。どのプラグイン形式を使うかなど選択し、指示にしたがっていけば完了。あとは各種DAWを起動の上、エフェクトとしてHelix Nativeを立ち上げればいいわけです。

プラグイン起動後、「Start Free Trial」の選択で15日間は無料で使用することができる

まずはこれを使って、Helixサウンドのすごさを体験してみるだけでも大きな価値があると思いますよ。その上で気に入ったらHelix Nativeを買ってもいいし、思い切ってハードウェア購入に踏み切ってもいいかもしれませんね。

体験版として使える15日間、Helix Nativeのすべての機能を使うことができる
なお、15日間フル機能が使える体験版はもちろんのこと、購入した場合でも、ドル建てでアメリカのLine 6からの購入ということになるため日本でのサポートは受けられません。あくまでの英語でのサポートということになるので、その点は注意が必要です。「日本語サポートがないと絶対だめ!」という人は避けておいがほうがいいかもしれません。

とはいえ、この価格でHelixが入手できるというのは、やはり魅力なので気になっている方は、まずは無料の体験版から試してみてはいかがですか?

【関連情報】
Helix製品情報

Helix Native製品情報
Helix Native関連情報
Helix Nativeマニュアル(英語)

【価格チェック】
◎Line6サイト(英語) ⇒ Helix Native
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Commentsこの記事についたコメント

1件のコメント
  • ponpoko

    こ、これは欲すぃ・・・

    2017年8月29日 11:13 PM

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