最近、電車の中でDAWを立ち上げて何やら編集作業を行っている人を時々見かけるようになりました。実際、電車の中やカフェで、また会社の休憩時間中にDTMで音楽制作をした経験がある人も多いのではないでしょうか?でも、PC内蔵のヘッドホン端子からの音では音質が悪かったり、レイテンシーが大きかったりとDTM用途には向きません。かといってオーディオインターフェイスも一緒に持ち歩くとなると、かなりかさばるし、重いし、何より人の目が気になるところです。

そんなときに、まさにピッタリという小型で高音質な再生専用のオーディオインターフェイス、SPECTRAという製品が発売されました。見た目にはオーディオケーブルとかオーディオコネクタという感じのコンパクトなもので、32bit/384kHzにまで対応するという優れもの。実際どう使うのかなどを紹介してみましょう。


モバイルDTMにピッタリな超コンパクトな再生専用オーディオインターフェイス、SPECTRA登場

SPECTRANextDriveというメーカーが開発した製品で、USB端子にヘッドホンを接続するための小さなアダプタという感じのものです。全長235mm、重さ17gですから、まさに超軽量なオーディオインターフェイス(オーディオの世界でいうところのUSB-DAC)なのですが、音質も抜群にいいのです。というのも、このSPECTRAはもともとHi-Fiオーディオの再生用に作られた製品で、32bit/384kHz対応という一般のオーディオインターフェイスの世界ではほとんど見たこともないような高スペックとなっているのです。


とっても軽量コンパクトなSPECTRA。先端にあるのは3.5mmのステレオミニ出力

もちろん内部には高品位なD/Aコンバータが搭載されているのとともに、アンプ機能も搭載。これによって、かなりな音量でサウンドチェックすることが可能になっています。ここに採用されているDACチップはESS Technology社製のSABRE9018Q2Cというもので、オーディオの世界でも結構話題になっている高性能ICなんですよね。


ガンメタリックブラックのSPECTRA

一方で、重要なポイントの一つがデザインです。これ、見た目にもなかなかグッとくるスタイルでしょ。ブラック(ガンメタ)とシルバーと2色があり、どちらが好きかは人によって違ってくると思いますが、このSPECTRAを手掛けたデザイナーのワン・ホンヤンさんはNextDriveのiOT関連でグッドデザイン賞を受賞しているんだとか。


ボディーはシルバータイプ、ケーブルがホワイトのSPECTRA

「音楽界隈の人々がDACと聞くとまず頭に浮かべるのは、恐らくかさばる、持ち運ぶのが大変、不便、といった印象ではないかと思います。それが高音質での音楽鑑賞を妨げている側面もあります。SPECTRAの製品デザインも、こうしたポータブルアンプに付きまとっている従来のイメージを覆したいというところからスタートしました。『コンパクトさ』、これがSPECTRAのコンセプトです」とワンさん。


デザインに徹底的にこだわったSPECTRA

実際、SPECTRAは筐体と線材がほぼ一体化しており、コーティングにはアルミ合金の無光沢メッキ処理を施すことで、製品サイズをさらに縮小し、重量をわずか17グラムに抑えることに成功したのだとか。


もちろんモバイルでの使用だけでなく、普段使いにも高音質でなかなか便利

さらにSPECTRAに込められた思いとしてワンさんは
「ユーザの生活の一部として溶け込めるよう、製品のデザインをシンプル化する、ということに尽きると思います。SPECTRAの企画から開発、量産に至るまでのあらゆるプロセスにおいても、この理念が徹底されていました。そのため、できることなら、ユーザーのみなさんにはSPECTRAを、単なる音楽再生デバイスとしてだけではなく、ライフスタイルそのものを再発見し、味わい直すためのツールとして捉えてほしいと切に願っています」とかなりこだわりの設計をしているんですね。

さて、本題に戻りましょう。外でのDTM業務(!?)って、その多くはエディットだったり、打ち込みだったりで、レコーディング機能は使わないから、この再生専用のオーディオインターフェイス、SPECTRAで十分ことは足りますよね。では、どう使うかですが、これはMac、Windowsでちょっと違うのでそれぞれ紹介していきましょう。


Macの場合、接続すればすぐに認識され、普通に使うことができる。画面はKORG Gadgetでの使用

まず、このSPECTRAはUSB Audio Class 2.0対応といわれるUSBクラスコンプライアントな仕様であるためMacにおいては、とくにドライバも不要で接続すれば各種DAWでそのまま問題なく使うことが可能です。


Windowsで使う場合にはドライバインストールが必須

一方、Windowsの場合、最新のWindows 10 Creators Update以降のOSであれば、USB Audio Class 2.0に対応したのでドライバを入れなくても、とりあえずSPECTRAを認識して各種プレイヤーソフトで鳴らすことは可能になります。ただし、SPECTRAを認識しても、ASIOドライバはサポートされていないし、WASAPIやDirectSoundで動かしても、どうしても音切れなどが発生してしまうため、最新のOSであっても、NextDriveのサイトからドライバをダウンロードした上でインストールするようにしてください。


ASIOドライバとしてBRAVO-HDというものが表れる。画面はStudio One 3.5

ドライバをインストールすると、DAW側からはBRAVO-HDというASIOドライバが見えますが、それがSPECTRAのドライバに相当します。他社製品でもこのBRAVO-HDというのを使っているのを見たことがあるので、サードパーティー製のドライバだと思いますが、使ってみたところ安定して動作してくれるようでした。

ややUIが変わっていますが、ここでサンプリングレートの設定(多くのDAWではDAW側でサンプリングレートを設定するので、ここでの操作は不要です)、ビット解像度の設定、そしてバッファサイズの指定を行います。再生専用であれば、それほどバッファサイズを詰める必要もないので、ほどほどのところに設定しておけばよさそうですね。


ドライバの設定画面を開くとBRAVO-HDの画面でバッファサイズなどが指定できる

あとは、ほかのオーディオインターフェイスと同じように操作することができます。ただし、SPECTRA自体にはハード的なスイッチ、パラメータなどは1つもありません。そのため音量調整もDAW側で行うことしかできないので、ここはひとつの注意点ですね。


USB-Lightningアダプタを使えばiPhoneやiPadでも利用可能

一方、SPECTRAはUSBクラスコンプライアントなので、iPhone/iPadで使えるのでは…と試してみました。結論からいうと、これもよかったです。ただし、Lightning端子に直接挿せるわけではないので、USB-Lightningアダプタ経由での接続となります。また、SPECTRA自体、省電力設計となっているだけに、iPhone/iPadからの電源供給で動作させることができ、電源面での不安定さもありませんでした。とくにiPhone 7以降のヘッドホン端子のないiPhoneにおいては好みのヘッドホンで高音質に聴くためのいい手段だと思いますよ。


microUSB接続の製品も存在している

ところで、使ってみて不便に感じたのは、今のMacBook Proでの使用です。そう、現行機種だと普通のUSB Type A端子がないため、USB Type-Cに変換アダプタを取り付けてから、そこにSPECTRAを接続しなくてはならず、せっかくスッキリした設計のSPECTRAの良さを十分に生かすことができません。


microUSBタイプならスマホとの直接接続が可能だが、USB Type-Cも近い将来登場しそうだ

そこで、発売元のディリゲントに確認してみたところ「現在、SPECTRAは一般的なUSB Type Aの製品とmicroUSBのものがありますが、NextDriveによるとUSB Type-C対応の製品も企画しているようです。まだ発売時期は未定ですが、MacBook Pro用であれば、USB Type-C対応だとコンパクトに扱うことができると思います」とのことでした。

いずれにせよ、一つ持っておいて損のないデバイスといえそうですね。

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