先日「RolandがCES 2018でリニアPCMレコーダー、ワイヤレスギターアンプ、多重録画アプリを発表!」という記事でも紹介した、1月8日に登場したRolandのiOSアプリ、4XCAMERA(フォーエックスカメラ)。ビデオカメラ版のMTRともいえるユニークな無料アプリで、480円のアプリ内課金をすれば最大4トラックまで使えるようになるというものです。このアプリを使えば、画面分割のPVが簡単に作れるということなので、実際にどんなものができるのか試してみました。

協力してもらったのは、DAW女シンガーソングライター小南千明(@c_1115)さん。先日ネット放送のDTMステーションPlus!に出演してもらったのですが、その本番前にちょっとお願いして、放送現場である音楽学校メーザー・ハウスの別のリハーサルスタジオで撮影してみました。所要時間はスタジオに入ってからビデオ完成まで1時間弱。慣れれば30分程度でできると思うのですが、どのように行ったのか紹介してみたいと思います。


RolandのiOSアプリ、4XCAMERAでミュージックPVを作ってみた

この4XCAMERAは無料だと2分割まで、480円で最大4分割画面・計10種類のパターンのビデオ作品を作ることができるビデオ撮影・編集アプリです。どんなものができるか、まずはその完成版をご覧ください。



どうですか?撮影が揺れているのは、私のiPhoneビデオ撮影が下手なせいです。すみません。でも、こんなビデオが簡単にできちゃうって、スゴイと思いませんか?もちろん、お願いしたら、すぐにこんな演奏・歌唱をしてくれた小南さんもスゴイんですけどね。どんなことをしたのか、簡単に流れを見ていきましょう。


音楽学校メーザー・ハウスのリハスタで撮影

今回、私が用意していったのは、普段使っているiPhone Xのほかに、オーディオインターフェイスのRubix 22、それにiPhone XとRubix 22を接続するためのLightning-USBカメラアダプタのみ。Rolandアプリなので、Rubix 22を使ってみましたが、iPhoneで使えるオーディオインターフェイスであれば他社製品でもまったく問題ないですよ。


持ち込んだのはiPhone XとRubix 22

もちろん、オーディオインターフェイスなしに、iPhone内蔵マイクでの録音でもOKです。最近のiPhone、内蔵マイクでも結構いい音で録れますからね。ただし、オーディオインターフェイスを利用するのは音質の面だけではないんですよ。内蔵マイクの場合、ビデオ撮影で録れる音はその仕様上、モノラルになってしまうけれど、オーディオインターフェイスを使うことでステレオで録れるんです。せっかく音楽のPVを作るならステレオで録音したい、ということでオーディオインターフェイスを使ってみました。

小南さんには、4テイクを重ねてビデオを作るという話は事前に伝えており、キーボードを持参してもらいました。小南さん愛用のミニ鍵盤のシンセ、RolandのJD-Xiですね。ただ実際どの曲を録るのか、どんなパートの構成にするかは、スタジオに入って音を出してから決めていったという状況です。


まずはドラムパートをビデオ撮影しながらレコーディング

まず最初に、チチチチ…とハイハットだけをJD-Xiのシーケンス機能で鳴らすよう打ち込み、それにかぶせる形でキック、スネア、シンバルなどをキーボードを叩いて鳴らします。これを4XCAMERAの撮影機能でビデオ撮影するわけです。オーディオ接続はJD-Xiのステレオライン出力をRubix 22にアナログで入力して形なので、歌っている声などは入ってきませんね。

次に4XCAMERAの選択画面で、いま撮影したビデオを選びます。すると、このドラムパートの音だけ再生しながら、2番目の撮影&録音ができるのです。8帖程度の小さなリハーサルスタジオではありますが、方向を変えるとバックの色も変わってちょっと違う雰囲気になるので、接続をいったんバラしてから、方向転換してから元の配線に組みなおし。さっそく次のパートの撮影です。


バックの壁を変えて、録ったドラムを聴きながら2つ目のパートを演奏し、撮影

小南さんにはRubix 22のヘッドホン出力をモニターしてもらい、リズムを聴きながら、演奏してもらいます。右手でパッド、左手でシンセベースを鳴らすわけですね。ただ、このままでは音は小南さんにしか聴こえないので(まあ、それでも大きな問題はないのですが)、私もモニターできるようにRubix 22のメイン出力をスタジオにあるPAミキサーに接続して聴けるようにしました。

演奏&撮影ができたら、試しに4XCAMERAの結合機能というものを使い、ドラムを撮ったビデオと、パッド&ベースを撮ったビデオを並べてプレビュー再生。私、個人的には、まったく問題ないなと思ったのですが、小南さん「もう一回弾き直したいです!」というので、再度同じ構図で撮影し直し。確かにさらにいい感じになりました。


2つのビデオを並べてプレビューで再生してチェック

続いて3パート目のレコーディングです。再度向きを変えて今度はホワイトボードをバックに。もう一つシンセパートを追加しようということだったので、先ほどのプレビュー再生を何度か繰り返しながら、音色探しです。ブラス系の音やストリングス系の音だと、パッドの中に埋もれてしまう感じでパッとしません。そうした中、ベル系のキラキラ・サウンドだとぶつからずにいい雰囲気ということで、これに決定です。


さらにホワイトボードをバックに3つ目のレコーディング

再度選択機能で、先ほど撮影した2つのビデオを選択した状態でレコーディング。すると、これに合わせて3つ目の音が重なっていきます。ちなみに、iPhoneからの音と今弾いている音の3つが重なって聴こえているのは、ダイレクトモニタリング機能がONになっているからですね。これがオフだと、弾いている音をモニターできないので注意が必要です。

そして、最後はボーカル。ボーカル用にSHUREのSM58がスタジオにあったので、これを使うことにしたのです。最初、Rubix 22のマイク入力に接続して録音するつもりだったのですが、考えてみればこれだと完全な生声になってしまい、3パートのバックトラックとやや浮いてしまいます。やっぱりボーカルには軽くリバーブをかけたいところですよね。


最後にボーカルパートのレコーディング

そこで思いついたのが、モニター用に使っていたスタジオ備え付けのPAミキサーの活用です。モニターはできなくなりますが、ここにSM58を入力し、ミキサー内蔵のリバーブをかけた結果の出力をRubix 22に入れるというもの。DAWでのレコーディングのように、あとでじっくり調整……といったことはできず、現場での突貫工事的なセッティングではありますが、これで間に合わせてみました。

これも3回歌ってみて、比較して、ベストテイクを選択。Melodyneなどを使ったピッチ調整もできないし、複数のテイクのいいところを組み合わせるコンピングなどもできないので、一発録りのみ。そこが緊張感も出ていいところではありますね。


無料版の場合は2分割ビデオまで。また完成したビデオの右下にRolandロゴが入る

これで4トラック分がそろったので、ここから画面分割のビデオ作品に仕上げていきます。前述の無料版の場合は横2分割か縦2分割の2種類のみの選択となり、完成させたビデオには、右下にRolandロゴが入るようになっています。


デフォルトではInstagramにピッタリなスクエアサイズ

しかし、480円のアプリ内課金をすることで3画面、さらには4画面分割が可能になり、そのパターンも10種類の中から選ぶことができます。


480円の内部課金でアップグレードした

また、デフォルトではInstagramなどへの投稿にピッタリな正方形のビデオとなりますが、16:9を選ぶことで、YouTubeなどへの投稿に適した横長の画面サイズになります。


16:9にすると、普通の横長なビデオ画面になり、YouTubeなどへのUPならこちらがお勧め

先ほどのビデオを縦4分割のものにすると、こんな風になりますが、だいぶイメージも変わってきますよね。



ただし、音楽作品を作るとなると、やはり重要なのが各トラックの音量調整です。DAWのミキシングコンソールのようなすごいものではないし、リバーブなども使えませんが、それぞれのバランスを整えることは可能です。


選択した4つのビデオの音量調整が可能

また位置調整という機能もあり、分割表示されるそれぞれのビデオの位置や向き、大きさなどを調整できるようになっています。もっとも、決めた位置で頭から最後まで固定であるから、動きのある人物を追う、といったことまではできないけれど、これをうまく使うことでだいぶ印象が違うビデオにはなりそうですね。


必要に応じてビデオの向きや位置などを調整できる

そしてもう一つあるのが、ビデオ自体のトリミングです。冒頭の無音部分を切るとか、撮影終了時間がそれぞれバラバラになっているのを揃えるなどができるようになっています。ただし、ここに並べるビデオはあらかじめ同期していることが前提であるため、スタート位置は4本とも同じになる仕様となっています。


スタート位置は4本とも固定だが、最後の部分のトリミング調整は可能

使っていくと、「ビデオのフェードアウト機能が欲しい」とか、「やっぱりリバーブくらい欲しいかも」……など多少物足りなさを感じなくはないけれど、だからこそ、すぐに完成できるという簡単さがあるのも事実。どうしてもビデオ処理を工夫したければ、iMovieなどで、撮影した各素材を編集してから、4XCAMERAに読み込ませることもできるので、あとは工夫次第かもしれませんね。


必要に応じて各ビデオ素材のタイミングを微調整することも可能

なお、基本的にはすべて重ね録りしていく上で、タイミングがピッタリ合うのですが、なんらかのキッカケで微妙にズレてしまった場合は、ビデオ素材選択をしてプレビュー再生をする際に、微調整することも可能になっています(この機能は、2月26日のアップデート、1.0.2で対応された)。何かおかしいと思った場合は、これを使ってみるとよさそうですね。

このようにして完成したビデオは、iOSの写真アルバムに追加されるので、そのままYouTubeやInstagramへアップロードすることも可能だし、iMovieなどで編集することもできれば、PCへ転送してから編集することも可能なので、

いずれにせよ、初めて使って1時間弱でこんな作品ができるのですから、なかなか便利なアプリだと思います。とりあえず無料で使うことが可能なので、iPhone/iPadユーザーの方は試してみてはいかがでしょうか?

【ダウンロード】
◎App Store ⇒ 4XCAMERA

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