AIエンジンでボーカルをいい具合にしてくれるEZVoxが誕生。EQ、ディエッサ、コンプ、ダブラー、リバーブなどを自動で調整

最新技術を用いてユニークなプラグインを次々と開発する米Sound Magicがまた面白いプラグインを出してきました。今回登場したEZVoxはAIがボーカルを分析していい感じに仕上げてくれるという便利なもの(通常価格$169=約25,000円)。内部的にはEQ、コンプ、リバーブ、ダブラー、SUPERNOVAという5つのモジュールがあり、AIがこれらを自動で調整してくれるので、エフェクトに詳しくないユーザーでも簡単にいい具合に仕上げることが可能です。

またAIによる分析をオフにして手動で調整することも可能となっているおり、ユーザーが思いのままに細かく調整する使い方もできるようになっています。またSound Magicでは、このEZVoxとは別にボーカルに特化したフォルマントエキサイターVox Harmony、ボーカルの音量を自動で整えてくれるVolume Riderの3つをセットにしたNEO VOCAL BUNDLEもリリースしており(通常価格$449=約67,000円)、現在それぞれ$69=約10,000円、$149セール=約22,000円で販売されています。いずれもWindows XP以上で32bit/64bitのVST、macOS X 10.6以上で32bit/64bitのVST、AUの環境で動作するようになっています。どんなプラグインなのか試してみたので紹介してみましょう。

AIを使ったボーカル調整プラグインEZVoxなど3つのソフトをセットにしたNEO VOCAL BUNDLEが発売に

ボーカルトラックをAIがキレイに整えてくれるEZVox

これまでも「EQの常識を覆す画期的なイコライザ、AIが調整すべき周波数帯を自動で割り出してくれるNeo EQシリーズのスゴさ」、「手ごろな価格でフルオーケストラサウンドを実現できるSound MagicのNeo Orchestra CEの実力」といった記事で紹介したアメリカの新進気鋭なプラグインメーカー、Sound Magic。ほかのメーカーにはない、ユニークなプラグインを次々と開発しているのですが、先日また新たなプラグイン、EZVoxなるものをリリースしています。

このEZVoxはボーカルトラックをいい感じに整えてくれるプラグインでその調整をAIが自動で行ってくれるというもの。英語ではありますが、その効果を紹介するビデオがあるのでご覧になってみてください。2分33秒のビデオですが、前半で機能紹介があり、1分12秒あたりからオリジナルのサウンド、1分48秒あたりからAIによる調整後のサウンドが聴ける形となっているので、ちょっとチェックしてみてください。

EZVoxが持つ2つのモードの使い分け

このEZVoxについて、なんとなく雰囲気はお分かりいただけたでしょうか?このビデオにもあったとおりEZVoxには2つのモードがあり、それによって画面も動作も異なってきます。まずは誰でもとっても簡単に使えるメインモードでありAIによる自動調整が行える画面です。

メインモードでは、その設定にしたがってAIがボーカルをいい感じに仕立ててくれる

この画面、パラメータがいろいろ並んでいますが、とりあえずすべて気にせずデフォルトのままボーカルトラックに挿すだけで、全自動でいい感じに仕上げてくれます。

がパラメータを見ていくと、赤いFrequecy=周波数領域という部分、オレンジのDynamics=ダイナミクスという部分、そして青いSpace=スペースという3つのパートに分かれており、たとえばFrequencyのところであればCLEANとかAIRとかDE-ESSERなどの項目があり、それぞれ2段階とか3段階で指定できるようになっているので、必要に応じて調整することで自分の好みのボーカルにしていくことが可能です。

各パラメータごとに2つか3つの設定から選択することができる

一方で画面右上のCONTROLという部分をクリックして詳細モードに変更すると、EZVoxを構成するエフェクトが見える形になります。これまでDAW、そして各種プラグインを使ってきた人であれば、こちらの画面のほうが馴染みがあるものだと思います。

詳細モードでは5つのエフェクトモジュールをユーザーが直接調整することができる

ご覧のとおり、EQ、COMPRESSOR、REVERB、DOUBLER、SUPERNOVAという5つのモジュールで構成されており、それぞれのパラメータを調整できるようになっています。先ほどのメインモードでは、実際にボーカルトラックの音をAIが判断して、この5つのモジュールの各パラメータを自動設定してくれるわけですが、。逆にいうと、とりあえずAIに判断させた後に、この詳細モードに移って細かく調整するというのが効率よさそうですね。

なお、EZVoxを使った効果に関して、先ほどのYouTubeのほかにもSoundCloudでBefore/Afterの比較音源が4種類掲載されているので、こちらも参考にしてみてください。

音に輝きを与えるSound Magic独自の技術、SUPERNOVA

ところで、この詳細モードには5つのモジュールがありますが「一番右にあるSUPERNOVAって何だ?」と不思議に思った方は少なくないと思います。

一番右にあるモジュール、SUPERNOVAで音をキラリとさせる

実はこれ、Sound Magic独自のエフェクトであり「音をキラリと光らせる技術」なのだとか。先日紹介した、NeoEQの中にもまさにSUPERNOVAというパラメータがありましたが、まさにそれと同様のものです。

NeoEQ ScarlettにもSUPERNOVA機能が搭載されていた

一般のエフェクトとちょっと違うのはこれをオンにすれば、いつでもキラキラしたサウンドになる、というわけではない点。「ここだ!」というタイミングで「キラン!」とした音にしてアクセントをつけるという面白い技術なんです。

キラキラ具合はBRIGHTNESSで調整し、そのタイミングを見つけ出すポイントをTHRESHOLDで指定するという形。通常はAutoの設定でいいと思います。

EZVoxに日本語に対応したUIも登場

そんなユニークなボーカル用のプラグインEZVoxですが、実はこのリリースタイミングで日本が対応版というものも登場しています。中身はまったく同じなのですが、インストーラーが別になっており、Sound Magicのサイトで日本語設定にして購入した場合のみEZVoxの日本語版が別途入手できるリンクが送られてくるようです。

日本語版EZVoxではすべて日本語表示で使うことができる

見ると分かる通り、EXVoxのメインモードも詳細モードもともに、各パラメータの表記が英語ではなく、日本語になっています。

好みは分かれると思うが、日本語表示にはちょっと違和感を感じる人も多そう!?

ただ、英語版が好きか日本語版が好きかは人によって分かれそうです。個人的には英語版のほうが見た目もカッコイイなと思う反面、ヘルプやマニュアルが存在しないので、日本語版のほうが何をする機能なのかが見やすいのも事実。

もっとも、日本語設定にして日本語ページから購入した場合でも通常の英語版は入手できるし、両方を同時にインストールすることも可能。価格も同じなので、日本語ページから購入しておくほうがよさそうですね。

Vox Hamony、Volume RiderもセットにしたNEO VOCAL BUNDLE

そんなEZVoxとともに販売されているのがEZVoxを含むボーカルエフェクト3点パックであるNEO VOCAL BUNDLEというパック製品です。

3つのエフェクトをセットにしたNEO VOCAL BUNDLE

ここには

・EZVox
・Vox Harmony
・Volume Rider

という3つのプラグインが入っており、いずれもWindowsの32bit/64bitのVST環境およびMacの32bit/64bitのVSTおよびAudioUnits環境で動作する形になっています。

フォルマント・エキサイターのVox Harmony

一つ目のVox Hamonyは単独では$169=約25,000円のソフトで、フォルマント・エキサイター+リアルタイム8ボイスハーモニージェネレーターという、「何それ!?」という不思議でユニークなエフェクトです。

フォルマントエキサイター+8ボイスハーモニージェネレーターのVox Harmony

フォルマントというと、一般的には人の声質を意味していて、これを動かすことにより男性ボイスを女性ボイスっぽくしたり、女性ボイスを男性ボイスっぽくするなど、結構声質を大きく変換することができます。

が、このVox Harmonyは男性・女性変換を狙ったものではなく、もっと声にメリハリをつけることができるエフェクトです。人の歌声を分析する際、基音となるのがf0、その第一倍音をf1、第2倍音をf2と呼ぶのですが、そのf1、f2を上げたり下げたりすることで声の雰囲気を変えられるというエフェクトなんです。以下がその紹介ビデオです。

これを見てもわかる通り、フォルマント・エキサイターだけでなく、ピッチシフターが8つ用意されていて、それを使うことでハーモニーを作り出すことも可能になっています。ただし、最近のピッチシフターのようにDAW側のコード設定で何度上げるとか下げるというのを動かすのではなく固定式なので、利用用途は限られそうですが、そのピッチシフトした結果の音像を調整できるというのが面白いところ。つまり左右のパンニングに加え、奥行まで表現でき、しかも8つ独立したディレイも用意されているので、面白い表現もできそうです。以下に、そのVox HarmonyのデモのSoundCloudがあるので、こちらもチェックしてみてください。

歌声のボリュームをいい感じに調整してくれるVolume Rider

もう一つ、NEO VOCAL BUNDLEに含まれているエフェクトがVolume Riderというもの。これはボーカルの音量をターゲットとして設定した音量に自動調整してくれるというツールです。以前、「配信音声を最適化する画期的なツール。Dotec-Audioが生み出したOBS用魔法のプラグイン、DeeTrimCast」という記事で紹介したDOTEC-AUDIOのDeeTrimCastなんかに少し雰囲気が近いソフトで、自動でフェーダーをコントロールするというものです。

ボーカルの音量をターゲットのレンジに収めてくれるVolume Rider

「音量を一定レベルにするのならコンプレッサを使うのが普通では?」と思う方も多いと思いますし、それも一つの手段ではあります。しかしコンプレッサを使うと、どうしてもダイナミックスが狭くなって音が潰れるというか、声の雰囲気が変わってしまいます。それに対しフェーダーをいじるのであれば、コンプ感はなく、自然な声のまま音量を調整できるわけです。

Volume Riderでは、ターゲットとする音量の範囲を決めて、その間に来るように自動で調整してくれるため、声の張りやツヤは残しつつ、いい感じの音量にして、ボーカルを前に出していくことが可能となっています。こちらの通常価格は$129=約20,000円。この3つがセットになったトータル$467=約70,000円が$149=約22,000円となっているので、買ってみる価値はあると思います。

【関連情報】
EZVox製品情報
NEO VOCAL BUNDLE製品情報
Vox Harmony製品情報
Volume Rider製品情報

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