高性能なヤマハのバーチャルアナログシンセ、AN2015を無料でGET

すでに持っているよ!」という人も多いとは思いますが、意外と知られれていない絶対GETしておくべきiPhoneアプリがあるので、改めて紹介しておきますね。今年1月にヤマハから無料で公開されたYamaha Synth Bookというもの。表向きは「ヤマハのシンセサイザ40年の歴史を1冊の本にまとめたものをアプリ化した」というものなのですが、そのオマケ(?)のコンテンツとしてAN2015という強力なバーチャルアナログシンセサイザが搭載されていて、これが結構つかえるんですよね。

1月のNAMM SHOWに合わせて発表されたアプリでしたが、4月のMusikmesseに合わせてv1.5にバージョンアップしたタイミングで、Inter-App AudioAudiobusに対応するなど、ほかのアプリとの連携もできるようになっているんです。しかも、これが無料で公開されているのですから、入手しておかなくては損ですよね。実際どんなアプリなのかを簡単に紹介しておきましょう。

ヤマハが無料提供しているiPhone用のバーチャルアナログシンセ、AN2015

最初のシンセサイザ、SY-1を発売してから昨年で40年を迎えたヤマハ。2014年末の楽器フェアではSY-1をはじめ、DX7、VL1など歴代のシンセサイザが展示されるとともに、数量限定という形で「ヤマハシンセの歴史」という40周年記念ブックが配布され、「これは完全保存版だ!」と思い、私もしっかり入手しました。


昨年の楽器フェア会場で数量限定の配布を行っていた豪華冊子、「ヤマハシンセの歴史」

この40周年記念ブック、102ページにもおよぶ立派な本だったのですが、これを電子書籍化したというのが、「Yamaha Synth Book」なんですね。「アーティストメッセージ」というページだけ見当たりませんでしたが、すべてのページがここに凝縮されており、歴史的資料として見応えがありますよ。もっとも、現在、これと同じ内容のものが、ヤマハのサイトでも公開されているので、資料を見るだけなら、Webでいいのかもしれませんが、このアプリには超強力なオマケがついているんですよね。


iPhoneアプリの「Yamaha Synth Book」は上記冊子を電子書籍化したものではあるが…

それが前述のAN2015というもの。この型番を見て、「おっ!?」と思った方は、ヤマハのシンセマニア!このYamaha Synth Bookの中にも記載されていますが、1997年にAN1xという61鍵のキーボードタイプのバーチャルアナログシンセが、さらに1999年にはAN1xの機能を切り出したPLG-150ANというものが出ています。これはMU100やMU128、MU2000などのDTM音源モジュールの中に組み込むプラグインボードというタイプの製品でした。

ヤマハが1997年に発売したバーチャルアナログシンセ、AN1x

さらに2001年にはPLG-150ANを単品で動く形にしたAN200という製品もリリースされるなど、過去の製品を知る方にとっては、ANは思い出深い型番ともいえるのですが、それがiPhoneアプリとなって復刻していたんですね。もちろん、iPhoneアプリなので、iPadで動作させることも可能ですよ。


AN2015を起動すると、さっそくシンセとして演奏できる

さっそく起動させてみると、レーダースコープのような、ちょっと変わった画面が出てきます。下にキーボードがあるので、これを弾いてみると、アルペジエーターがかかった状態で、かなり激しいシンセサウンドが鳴り始めます。ARPをオフにすると、アルペジオは止めることもできるし、違うタイプのアルペジオを選択することもできます。


スケールを設定することで、キーボードが弾けない人でも簡単に演奏可能となる 

初期状態は普通の鍵盤ですが、SCALEを設定することで、Major、Minorはもちろん、Blues、Dorian、Arabic、Egyptian……とさまざまなスケールが選択でき、簡単にそれっぽい音階を弾くことができるようになりますよ。もちろん、CoreMIDIに対応しているので、iRig Keysのような鍵盤をつないで演奏してもいいし、Lightning-USBカメラアダプタ経由でKORGのnanoKEY2microKEY25のようなキーボードに接続しての演奏も可能です。

CHORD PADを選択すれば、簡単に和音演奏もできる

またCHORD PADを選択することで、キーボードで和音を弾かなくても、パッドを選択するだけでコードを鳴らすことができるようになります。

そして画面上部にある音色名をタップすれば、さまざまなプリセット音色を選べるほか、レーダースコープのようなところをタップして動かすと、各種パラメータが連動して動くようになっており、フィルターやオシレータがドラスティックに変化します。シンセのパラメータについてよくわからない人でも、これなら、かなり簡単に音作りができて、楽しそうですね。


EDITをタップすると、シンセパラメータをいじれる。オシレータは3つ、ノイズジェネレータも装備 

さらにEDITをタップすると、バーチャルアナログシンセの中心部分であるシンセのパラメータが細かく表示されます。オシレータが3つ+ノイズ、フィルター、LFOが2つ、アンプ、その他という構成になっており、これらを使うことで、キーボードを弾きながら、音色を変化させていくこともでき、まさにシンセサイザという感じでの操作ができますね。


ドラム画面には5ジャンル×16種類のパターンが用意されている

また、DRUMタブをタップすると、ドラム画面に切り替わります。こちらは、Electro、House、HipHop、Rock、Danceの5カテゴリー、各16パターン用意されたリズムを鳴らすというもので、あまり凝ったことができるものではありませんが、これらのリズムを鳴らしながら、シンセを弾くことができるので、結構楽しく遊べますよ。


GaragebandのInter-App AudioデバイスとしてYamaha Synth Bookを設定するとオーディオでレコーディングできる

さて、ポイントとなるのがInter-App AudioとAudiobusへの対応です。Garagebandで使ってみたところ、ほかのアプリと同じように、AN2015で弾いたものが、そのままオーディオとしてGaragebandでレコーディングできることが確認できました。


CubasisにおいてもYamaha Synth Bookを設定できたのだが、どうにもうまく動いてくれなかった… 

一方、Cubasisで使ってみたところ、確かにシンセとしてCubasisから確認することができ、連携するところまではうまくいったのですが、なぜか音を出すことができず……。AN2015側のMIDI入力設定をCubasisにしても、鳴ってくれませんでした。ここは、相性問題とかがあるんでしょうか……。無料アプリにあんまり文句を言うのも申し訳ないところですが、ヤマハのグループ会社アプリ同士ですから、ぜひ解決してくれるとうれしいところです。


Audiobusのほうはバッチリ動作。エフェクトをかけてCubasisへのレコーディングもOK! 

さらにAudiobusのほうはINPUTデバイスとして、Yamaha Synth Bookを設定することができ、各種エフェクトが使えることも確認でき、OUTPUTにCubasisを設定すれば、オーディオとしてレコーディングしていくこともできました。いろいろ使えそうではありますよ。

とにかく、無料アプリですからね。iPhoneユーザーもiPadユーザーもぜひGETして楽しんでみてください。

【関連情報】
ヤマハシンセ 40th Anniversary

【ダウンロード】
App Store ⇒ Yamaha Synth Book
App Store ⇒ Garageband
App Store ⇒ Cubasis
App Store ⇒ Audiobus

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