ヤマハが無料提供しているiPhone用のバーチャルアナログシンセ、AN2015
最初のシンセサイザ、SY-1を発売してから昨年で40年を迎えたヤマハ。2014年末の楽器フェアではSY-1をはじめ、DX7、VL1など歴代のシンセサイザが展示されるとともに、数量限定という形で「ヤマハシンセの歴史」という40周年記念ブックが配布され、「これは完全保存版だ!」と思い、私もしっかり入手しました。
この40周年記念ブック、102ページにもおよぶ立派な本だったのですが、これを電子書籍化したというのが、「Yamaha Synth Book」なんですね。「アーティストメッセージ」というページだけ見当たりませんでしたが、すべてのページがここに凝縮されており、歴史的資料として見応えがありますよ。もっとも、現在、これと同じ内容のものが、ヤマハのサイトでも公開されているので、資料を見るだけなら、Webでいいのかもしれませんが、このアプリには超強力なオマケがついているんですよね。
ヤマハが1997年に発売したバーチャルアナログシンセ、AN1x
さらに2001年にはPLG-150ANを単品で動く形にしたAN200という製品もリリースされるなど、過去の製品を知る方にとっては、ANは思い出深い型番ともいえるのですが、それがiPhoneアプリとなって復刻していたんですね。もちろん、iPhoneアプリなので、iPadで動作させることも可能ですよ。
さっそく起動させてみると、レーダースコープのような、ちょっと変わった画面が出てきます。下にキーボードがあるので、これを弾いてみると、アルペジエーターがかかった状態で、かなり激しいシンセサウンドが鳴り始めます。ARPをオフにすると、アルペジオは止めることもできるし、違うタイプのアルペジオを選択することもできます。
そして画面上部にある音色名をタップすれば、さまざまなプリセット音色を選べるほか、レーダースコープのようなところをタップして動かすと、各種パラメータが連動して動くようになっており、フィルターやオシレータがドラスティックに変化します。シンセのパラメータについてよくわからない人でも、これなら、かなり簡単に音作りができて、楽しそうですね。
さらにEDITをタップすると、バーチャルアナログシンセの中心部分であるシンセのパラメータが細かく表示されます。オシレータが3つ+ノイズ、フィルター、LFOが2つ、アンプ、その他という構成になっており、これらを使うことで、キーボードを弾きながら、音色を変化させていくこともでき、まさにシンセサイザという感じでの操作ができますね。
また、DRUMタブをタップすると、ドラム画面に切り替わります。こちらは、Electro、House、HipHop、Rock、Danceの5カテゴリー、各16パターン用意されたリズムを鳴らすというもので、あまり凝ったことができるものではありませんが、これらのリズムを鳴らしながら、シンセを弾くことができるので、結構楽しく遊べますよ。
GaragebandのInter-App AudioデバイスとしてYamaha Synth Bookを設定するとオーディオでレコーディングできる
さて、ポイントとなるのがInter-App AudioとAudiobusへの対応です。Garagebandで使ってみたところ、ほかのアプリと同じように、AN2015で弾いたものが、そのままオーディオとしてGaragebandでレコーディングできることが確認できました。
一方、Cubasisで使ってみたところ、確かにシンセとしてCubasisから確認することができ、連携するところまではうまくいったのですが、なぜか音を出すことができず……。AN2015側のMIDI入力設定をCubasisにしても、鳴ってくれませんでした。ここは、相性問題とかがあるんでしょうか……。無料アプリにあんまり文句を言うのも申し訳ないところですが、ヤマハのグループ会社アプリ同士ですから、ぜひ解決してくれるとうれしいところです。
とにかく、無料アプリですからね。iPhoneユーザーもiPadユーザーもぜひGETして楽しんでみてください。
【関連情報】
ヤマハシンセ 40th Anniversary
【ダウンロード】
App Store ⇒ Yamaha Synth Book
App Store ⇒ Garageband
App Store ⇒ Cubasis
App Store ⇒ Audiobus