NEUMANN(ノイマン)というと、U87Aiなどの高級マイクをイメージする方が多いと思います。でも、そのNEUMANNから小型な高品位モニタースピーカーが6月22日より発売されます。実はNEUMANNとしては4つ目のモニタースピーカーとのことですが、KH80DSPというこの製品は税抜標準価格75,000円(1本)という、ちょっと高級なモニタスピーカーで、大きさや価格帯的にはGenelec8020などが競合となりそうな製品です。

DSPという名前からも想像できるように、このスピーカー内部にはDSPが搭載されており、将来的には、キャリブレーション、つまり設置する部屋に合わせた音の補正ができるようにする機能を備えたハイスペックなモニタースピーカーなのです。国内発売を前に少し製品をお借りして試してみたので、どんな製品なのか紹介してみたいと思います。


NEUMANN(ノイマン)ロゴが光る4インチの高品位モニタースピーカー、KH80DSP

KH80DSPは4インチ・ウーファーと1インチ・ツィーターを搭載した120W+70Wの2Wayパワーアンプ内蔵のモニタースピーカーです。DTM環境に設置してみると、非常にコンパクトに収まってくれるのが嬉しいところ。しかし、音を出してみると、その迫力には驚かされます。


ウチのDTM環境に設置してみると、コンパクトにまとまり、非常に気持ちいい環境になった

108.8dBの最大音圧が出せる仕様であるため、自宅で作業をするのであれば、かなり音量は抑え目で使う必要がありそうですが、十分過ぎるほどのパワーを持っていますね。気になる音質はというと、非常にクリアーで、高品位なサウンド。まさにモニターサウンドという音であり、色付けはまったくない感じで、録った音がそのままに再現されます。

小さいスピーカーなので、スウィートスポットが狭いのでは……と思ったのですが、これがすごく広かったのも驚きの一つ。液晶ディスプレイーと同様に2本とも正面に向けて設置したところ、中央に置いたイスで聴いてみてバランスがいいのはもちろんですが、少し離れて左右に動いても、バランスが崩れることなく、気持ちよく聴くことができます。


ツィーター部分が横に広がる形でくぼむMMDウェーブガイド設計

発売元のゼンハイザージャパン(Sennheiser)によると、これは、MMD(Mathematically Modeled Dispersion)ウェーブガイド設計と呼ばれるツィーター部分のくぼみの形状が大きく影響していて、上下には音が広がらないけれど、左右には広がる構造になっているために、広いスウィートスポットが実現できているそうです。


でも「なんでNEUMANNがモニタースピーカーを出しているんだ?」「しかもどうしてNEUMANN製品をSennheiserが売ってるの?」と不思議に思う方もいると思うので、その辺を少し整理してみましょう。


業務用マイクとしてお馴染み、NEUMANNのU87Ai

ご存じの通りNEUMANN=ノイマンはドイツのメーカーで、U47U67U87またKU100……などなど数多くの高性能マイクで知られているわけですが、NEUMANNでは「Best Input. Best Output.」というキャッチフレーズを掲げ、最高品位のマイクで収音し、最高品位のスピーカーで出力していく方針を打ち出しています。その出力側のデバイスとして登場した一つが、今回のKH80DSPというわけなんです。


左が以前からある5インチのKH120、右がKH80DSP

NEUMANNとして出したモニタースピーカーはこれが4製品目。ラージスピーカーであるKH420、その1つ下のサイズのKH310、スタジオモニターとしても世界中で幅広く使われているKH120に続き、コンパクト製品としてこのKH80DSPが登場したのです。これまでの製品は日本でも放送局などでかなり導入された実績があるとのことです。


ベルリンにあるNEUMANNは、ハノーバー近くにあるSenheiserの傘下にあるのだ

そのNEUMANN製品はマイクもスピーカーもすべてゼンハイザージャパンが販売しているのですが、「特にSennheiser(ゼンハイザー)のマイクと競合するのでは…?」なんて心配は無用。そう、実はNEUMANNって、Sennheiserの子会社であるって知ってました?正確には1991年に独Sennheiserによって買収されたのですが、もう長年、親子関係にあるから、発売元がゼンハイザージャパンであるのは当然なんですね。

では、どうしてNEUMANNのスピーカーが放送局で数多く導入されているのか?これもSennheiserとしての企業戦略と大きく関係があるようです。実はSennheiserは2005年にスピーカーの老舗メーカーであるKlein + Hummel(クライン・ウント・ハンメル)を買収しています。この=Klein + Hummelは世界中のスタジオ、放送局で実績があるメーカーであり、それを現在はNEUMANNブランドに切り替えたということもあって、このスピーカーが放送局に好まれているんですね。KHという型番にKlein + Hummelの名残があるのです。


アクセントとなっている白く光るNEUMANNロゴ

KH80DSPも電源を入れると、NEUMANNのロゴが白く光るのもカッコイイところ。フロント側に操作するところはなく、端子・スイッチ類はすべてリアにまとまっています。


リア・ボトムにXLRとTRSが刺さる入力端子がある

その入力端子は、XLRとTRSが兼用となったコンボジャック。ここにミキサーからの出力やオーディオインターフェイスの出力を接続すればいいわけですね。電源は付属のメガネ型コネクタの電源ケーブルを接続する形となっています。

基本は電源スイッチを入れるだけで、そのまま使えばいいのですが、上のほうにスイッチなどが並んでいるので簡単に紹介しておきましょう。右側にあるのが音量レベルの調整でINPUT GAINとOUTPUT LEVELを使って調整します。通常INPUT GAINは0dBの設定でいいと思いますが、過大入力となっている場合はここを少し絞ってみましょう。OUTPUT LEVELは114dB、108dB、100dB、94dBの4段切り替えなので、適当なものを選択します。


リアの上側に設定のためのスイッチ類が用意されている

また真ん中のACOUSTICAL CONTROLはFREE STANDING、SMALL DESK、MEDIUM DESK、LARGE DESKから選択できるようになっており、設定によって中低域の出方が微妙に変わってきます。どれを選ぶかは部屋にもよるし、好みにもよるところですが、個人的にはSMALL DESK
の音がよかったです。

そうしてもう一つSETTINGSというスイッチが用意されており、長時間音を鳴らしていないと電源が自動的に切れるオートパワーオフの設定にすることができます。このSETTINGSをよく見るとLOCAL CONTROLとNETWORK CONTROLという2種類があるのですが、現時点で選べるのはLOCAL CONTROLのほうのみ。NETWORK CONTROLは2018年予定で発売される拡張キットを用いることで、使えるようになるとのことです。


まだ接続キットが出ていないので使えないが、リアにはLANの端子がありPCなどと接続できる

その拡張キットというのは、アラインメントキットPAK 1というもので、測定用マイクをセットとした機材。IPネットワーク接続してWindowsやMac、またiPhone/iPad、Androidなどに接続するたものものです。PCやスマホ上でNeumann.Controlというソフトウェアを動作させることで、KH80DSPのキャリブレーションを行っていくのです。


キャリブレーションを行うためのNeumann.Control(開発中のもの)の画面

この画面はまだ開発中のもので、今後変化する可能性もありそうですがブロックダイアグラムを見ると、このNeumann.Controlで検知しあ情報を元にDSPを動かして補正を行っていくというわけですね。LANを用いてPCからコントロールするという点を見てもGenelecの8020あたりと競合しそうですが、かなりいいライバルの登場といった感じでしょうか。


KH80DSPのブロックダイアグラム

Nuemann.Controlの情報が入ったらまたお知らせしたいと思いますが、今後楽器店などで展示されているのを見かけたらぜひそのサウンドをチェックしてみてはいかがでしょうか?

【製品情報】
KH80DSP製品情報

【価格チェック】
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