iPadやiPhoneのワイヤレス同期システム、WISTWireless Sync-Start Technologyというものをご存知ですか? これはKORGが開発したシーケンサ同士を同期させるためのシステムで、近くにある2台のiPadやiPhone、iPod touchをBluetoothを使って接続するものです。

当初はKORGの開発したiELECTRIBEとiMS-20を接続するためのものとして登場したWISTでしたが、今年9月にKORGがSDK(ソフトウェア開発キット)を無料公開したことにより、PropellerheadReBirthやtempo rubatoのNLogSynth PROなど、サードパーティーも数多く登場し、いまやiPad/iPhoneにおける標準規格として確立しています。


KORG以外も数多くのメーカーのアプリがWISTに対応 
WISTについては、私もAV WatchのDigital Audio Laboratoryの連載などで紹介したことがありまし、ほかのメディアでもいろいろと取り上げているので、すでにご存知の方もいらっしゃると思います。ただ、これを使うにはiPadが2台なくてはならないということで、実際に使ったことがある方は、それほど多くなかったかもしれません。


WISTはKORGが規格し、オープン化されている 

しかし、SDKが公開されて以降、iPhoneさらにはiPod touch用のアプリもWISTに対応するようになったので、より多くの人が使えるようになったと思います。そう、iPadとiPhoneを持っている人でもいいし、iPhoneを新しい機種に乗り換えたため、古いiPhoneが手元に残っている……という人もWISTで遊ぶことが可能になったわけです。

従来、同期というと、かなり厳密さが求められる世界で、「素人お断り!」というような雰囲気が漂っていたように思います。ところがこのWIST、従来の同期の絶対条件だった厳密さを捨てて、誰でも簡単に楽しめるものにしたのがすごいところだと思います。


iELECTRIBEの「WIST ON」ボタンをタップ 

ここではiPad上のiELECTRIBEiPhone上のReBirthの接続を例に、WISTで同期させる手順を紹介してみましょう。あらかじめ、それぞれのBluetoothをオンにした上で、まずiELECTRIBEの「SETTINGS」ボタンをタップし、画面上にある「WIST ON」ボタンをタップしてオンにします。



すると、ほかにWISTアプリを動かしているiPadやiPhoneなどがあるかを探しにいきます。続いて、ReBirthを起動し、画面下の「WIST」ボタンを使ってこちらもWISTをオンにします。


ReBirthを起動し「WIST ON」ボタンをタップ 

しばらくするとお互いに相手が見つかった旨の表示がされるので、ここではiPad側で見つかったiPhoneをタップして、iPhoneに対しての接続リクエストを行います。


iPadにはiPhoneが見つかった旨が表示される 


iPhoneにはiPadが見つかった旨、表示される

しばらくすると、iPhone側が反応し、リクエストを受け付けるかどうかの表示がされるので、「Accept」をタップします。


iPadからのリクエストを受ける「Accept」ボタンをタップする

以上でWISTによる接続は完了。この場合はiPhone側がマスター、iPad側がスレーブという関係になり、マスター側からスレーブ側を同期させることが可能になるのです。もしiPadをマスターにしたい場合は、リクエストをiPhone側から出せばいいのです。

さて、この状態で、iPhoneのReBirthの「PLAY」ボタンをタップすると、ReBirthが鳴り出すのと同時に離れた場所にあるiPadのiELECTRIBEも同じテンポで鳴って同期演奏ができるのです。


iPhoneのプレイボタンをタップするとiPadが動きだす

テンポは「PLAY」ボタンをタップする前に設定しておくと、スレーブ側に伝わるようになっています。また「STOP」ボタンをタップすればお互い停止します。

このWIST、あくまでもPLAYボタンをタップするタイミングを合わせるだけで、途中でテンポを変更するということはできません。また長時間鳴らしていると、少しずつズレてしまう可能性もありますが、数分使っている限りではまったく問題はないようです。

ReBirthとiELECTRIBEのように、お互いシーケンサ同士であれば、うまくプログラミングすることで、面白い作品を作っていくことができそうです。

一方で、もっと簡単で、より効果的な使い方ができるのがシンセのアルペジエーターとの組み合わせです。私も以前から使っているNLog Synth PROがWISTに対応していることに、今更ながら気づいたのですが、開発元であるtempo rubatoの作った以下のビデオを見ると、その面白さがよく分かるでしょう。



iELECTRIBEの演奏に合わせて、NLog Synth PROの演奏をするのですが、その際のアルペジオのテンポ、タイミングがピッタリ合うわけですね。自分でも試してみましたが、これはかなり遊べますよ。

ほかにも現在、以下のようなアプリがWISTに対応しており、今後まだまだ増えていきそうな勢いです。もちろん、同じアプリ同士でも同期させることができ、その場合、自分のマシンであればアプリを1つ購入するだけでいいのも嬉しいところ。ぜひ一度試してみてください。