iPhone5にLightning-30pinアダプタで“ほぼ”使えたDTM機材

徐々に入手しやすくなってきたiPhone5ですが、DTMユーザーにとってやはり気がかりなのは、数多くあるiPhone用周辺機器がiPhone5で利用できるのか、という点でしょう。アプリのほうはiOS6になっても、ほぼ問題なく使えるようですが、DOCK接続の周辺機器のほうは、基本的にそのままでは使うことができません。そう、以前の記事でも書いたとおり、DOCK端子が8ピンのLightningという仕様のものに変わってしまったからです。

ただ、Lightningを従来の30ピンのDOCKに変換するためのLightning-30pinアダプタなるもの使えば、利用可能なように思えます。このアダプタ、iPhone5発売から遅れること約3週間、ようやくAppleから発売され、10月10日、私の手元にも届いたので、さっそく各機材を接続し、問題なく使えるのかを試してみました。
MIDI I/FやオーディオI/FをLightning-30pinアダプタ経由で試してみた


Lightningと30pinの変換は、アダプタタイプの小さなものと、20cmのケーブルタイプのものの2種類があります。先に発売されたのは前者。私はこれをAppleに予約していたので、いち早く入手できました。ケーブルタイプも12日に発売されたようですが、こちらはちょっぴり安いAmazonに注文していたせいか、今日現在まだ届いてません。

とっても小さなLightning-30pinアダプタは定価2,800円

というわけで、アダプタタイプのものを利用し、iPhone用のMIDIインターフェイスやオーディオインターフェイスなどのDTM機材が使えるかどうか試してみました。

まず最初に試したのは、Line 6のMIDIキーボード、Mobile Keys 25からです。iPhone5にLightning-30pinアダプタを挿し、ここにMobile Keys 25の付属ケーブルを使って、Mobile Keys 25に接続すると……。

Line 6のMobile Keys 25は問題なく動作する

はい、バッチリ動作してくれます。ということは、ちゃんと電源供給もできているということですよね。これならほかの機材も大丈夫そうな気がしてきます。ちなみに、30ピンのDOCK端子は表と裏があり、ひっくり返すと接続できませんでしたが、Lightningはどちらでも挿せるようになっています。そのため従来とは逆の挿し方も可能になるわけですね。

引き続きMIDIインターフェイスも試してみましょう。ウチにあるYAMAHAの電子ピアノに各社MIDIインターフェイスを接続してみました。

各MIDIインターフェイスは基本的に問題なく動作してくれた

Line 6MIDI Mobilizer IIIK MultimediaiRig MIDIYAMAHAi-MX1といずれも動いてくれました。ただ、i-MX1だけは認識するものの、最初なぜかGarageBandで使うことができず、戸惑いました。が、いろいろなアプリを起動して試しているうちに、GarageBandでも認識できるようになり、一度認識したらその後は問題なく動いてくれています。

また、現在はディスコンになっているLine 6 MIDI Mobilzerの初代機(初代機は、古いVerのiOSにも正式対応していることもあり、現行機種として販売されていました。お詫びして訂正いたします)も使ってみたところ、これも大丈夫ですね。初代機はiOSにCoreMIDIが搭載される前に出た機種であるため、CoreMIDIに対応しておらず、Line 6の独自規格になっていますが、現在でもbs-16iなどが律儀にサポートしてくれているので、問題なく利用することができました。

では次にオーディオ系に行ってみましょう。最初に試してみたのはTASCAMエレクトレットコンデンサマイクiM2。これはTASCAMのリニアPCMレコーダーに搭載されているマイクをiPhone用に切り出したという製品で、私も愛用している製品ですが、アダプタ経由で接続すると、青いLEDが点灯し、しっかりと音を捉えてくれました。首が長くなったようで、ちょっと不恰好で、不安定にな形状になってしまうのは、まあ仕方ないところですかね。
iM2のLEDが青く点灯し、しっかりレコーディングできた

さらに、ROLLYさんとのFMラジオ番組でもよく活用している使っているLine 6のMobile Inもギターに接続するとちゃんと音が出ますね。ちょうど、新バージョンのアプリ、MobilePODのVer1.2.3がリリースされたところで、より使いやすくなっていました。

Mobile InもMobilePODとの組み合わせでバッチリ動作

ただ、先ほどのiM2の場合もそうなのですが、iPhone5のヘッドホン端子がLightning端子の横に来てしまったために、ヘッドホンが挿しにくくなったという問題があります。ちょうどこのアダプタがあるから、なんとかなるものの、従来のようにiPhoneの大きさにぴったりフィットする周辺機器というのは今後開発できなくなりそうなのが残念です。
※Mobile PODを起動後に、MobileInを接続すると、うまく動作しないケースがあるようです。その場合は、先に接続をしてからMobile PODを起動するとうまく動作すると思いますので、試してみてください。

ヘッドホンジャック接続のためのスペースがギリギリになっている

さて、ここまで順調にどのデバイスもうまく行っていたのですが、問題が起きたのはこの後。オーディオもMIDIも利用できるということで、最近とてもよく利用しているTASCAMのiU2をアダプタ経由で接続したときでした。当然、普通に使えるだろうと思って、ソフトシンセを鳴らしてみると、なぜかiPhone5のスピーカーから音が出てしまいます。MIDIインターフェイスを試そうと思ってみたのですが、こちらもアプリ側からポートが見えません。


iU2はなぜか認識してくれなかった

接続の具合が悪いのかと思い、何度か抜き差ししたり、iPhone5を再起動したり、日を置いて試してみましたが、認識してくれませんでした。もしかして、iU2が壊れたのかなとiPhone4Sと接続すると、こちらはバッチリ動くので壊れてはいないようです。もしかしたら、iOS6との相性が悪いのかもしれませんが、iPad3にiOS6をインストールしたものではしっかり動くので、原因はハッキリしないところです。

まだTASCAMへの確認などがしっかりできていませんが、新しい情報が入れば、また紹介していきたいと思っています。個人的には、非常に気に入っているiU2だけに、なんとか動いて欲しいところですね。

以上の結果をまとめてみると、以下の表の通りです。

MIDI I/F Line 6 MIDI Mobilizer
MIDI Mobilizer II
YAMAHA I-MX1
IK Multimedia iRig MIDI
MIDIキーボード Line 6 Mobile Keys
マイク TASCAM iM2
オーディオ I/F TASCAM iU2 ×

なお、懸案のアナログ出力のほうは、しっかりと動いてくれました。これについての詳細レポートは10月15日掲載予定のAV Watchで取り上げる予定ですので、お楽しみに。

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