VOCALOID製品は、これまでクリプトン・フューチャー・メディア、インターネット、AHSといった会社が企画し、声主を探してレコーディングし、編集してパッケージ化する、という形で世の中に出ていました。しかし、今回新たな試みとして、VOCALOIDのユーザーであるPさん達がVOCALOID製品を企画・プロデュースしたものが、製品化されることになりました。

その企画をしたのは、7名のメンバーから構成されるVOCALOMAKETSボカロマケッツ)。「VOCALO(ボーカロイド)+MAKE(作る)+TS(なんとなく付けた)」という意味から作ったボカロ制作に関わるチーム名で、メンバーはBumpyうるしPYS/ぱやPアカサコフちょむP喜兵衛かごめPazumaという著名なPさん達(敬称略)。先日、彼らと会って話しをすることができたので、紹介してみましょう。


VOCALOMAKETSのみなさんとAHSの尾形社長(PYS/ぱやPさんは欠席でした)
--VOCALOMAKETSって、どういう目的のどんなチームなんですか?
Bumpyうるし:話は2年ちょっと前に遡るのですが、PYS/ぱやP、にいとPと雑談をしている中で、「自分たちでボーカロイドを作れないものだろうか…」という話になったのです。興味本位というか、そんなことできるんだろうか…という思いでしたが、試しに自分の持っている小さな会社「株式会社BumpyFactory」名義でヤマハに話を持ちかけてみたところ、楽器フェアのときに時間を作ってくれて、まじめに対応していただいたんです。さすがに、すぐに制作というわけにはいきませんでしたが、そこから少しずつ話が動き出しました。


Bumpyうるしさん

--VOCALOMAKETSのメンバーは7名ということですが、どのようにして集まったのですか?
アカサコフ:主にTwitter上のやりとりなどから、気心が知れたメンバーが集まった感じです。みんなそれぞれ違った得意分野を持った人たちが集まっています。それぞれの発表している楽曲を比べてもらうとわかりますが、ジャンルもバラバラなんですよ。結局いまのメンバーになったのは1年前ですね。


アカサコフ(にいとP)さん

--2年前がスタートとなると、結構な時間がかかっているようにも思えますが……。
Bumpyうるし:実は、われわれだけで製品化というのは事実上困難であったため、最初に組む相手ということでAHSをヤマハから紹介してもらったんです。そこからVOCALOMAKETSとAHSの二人三脚がスタートしました。最初の1年はどういう方向で作ろうか…という話をしていました。みんなそれぞれ仕事を持っているので、仕事が終わった後に集まって、飲みながら話をしたりしてね。もっとも全員が集まれることはなかなか難しいのですが……。当時はVOCALOID2用で考えていましたが、その後AHS経由でVOCALOID3の話が出てきて、じゃあ、それが具体的になるまで待とうかとしているうちに、2年が経ってしまいました(笑)。

(ここでAHSの尾形友秀社長が登場、尾形社長のプロフィールについては先日の記事「AHS、尾形社長が語る私のVOCALOIDの原点」を参照ください!)

尾形:ヤマハさんを通じて話をもらったのは、mikiやユキ、先生を出す前のこと。当時、VOCALOMAKETSのメンバーとはまったく面識もなかったのですが、使う側からの観点で製品作りができれば、これは面白いことができそうだということで、いっしょにやっていくことになりました。


ちょむPさん

--具体的にはどうやって作っていったのですか?
ちょむP:まずは、メンバーそれぞれでお互いが思っていることを出し合い「この人をボカロにしたい」という候補者を連れてきてオーディションを行いました。 
Azuma:たくさんの候補者がいて、もともと20人以上はいたように思います。ヤマハで場所を借りて、候補者の公開されている音源を聴きながら絞っていき、最終的に9人になったところで、6月末にオーディションを行いました


Azumaさん

--オーディションって、昔テレビでよくあった、アイドルを選考するような感じのもの?
Bumpyうるし:顔で選ぶわけじゃないですから(笑)。
かごめP:ボカロに向いているかどうか判断するテストがあるので、事前に候補者にテスト内容を伝えておき、当日来てもらって、指定どおりに歌ってもらいました。ただ、私たちもその場で判断できるわけではないので、それをレコーディングした結果を分析して決めていきました。だから、オーディオションの場では、誰が選考されるのかという結果は、候補者には分からないし、私たちにも分からないんですよ。


かごめPさん

--では、どうやって決めていくのですか?
尾形:AHSとしてこれまで溜めてきたノウハウもいろいろあるので、オーディオションでの結果を元に、当社としての寸評をつけていきました。それぞれの方の長所、短所を挙げながら、実際にボカロにした場合、このような傾向になるだろう、という形で。
喜兵衛:その結果、VOCALOMAKETSのメンバーみんなで検討し、1人に決定しました。ほかの8人がダメというわけではないのですが、ボーカロイド化した際、ノイズ成分や声そのものの良さが最もよくでた方を採用させていただきました。ただ、中の人が誰なのかは、当面非公開にしておきたいと思っています。


喜兵衛さん

デモ音源(VOCALOMAKETSサイトより転載)

demo03:Prototype03 - せかいのはて / かごめP
BRE:0(default) / BRI:64(default) / CLE:0(default) / OPE:127(default) / GEN:64(default)
demo02:Prototype02 - 名称未定 / azuma
BRE:19 / BRI:106 / CLE:23 / OPE:127(default) / GEN:52
demo01:Prototype01 - プロトタイプ / Bumpyうるし
BRE:0(default) / BRI:64(default) / CLE:0(default) / OPE:127(default) / GEN:64(default)

--すでにVOCALOMAKETSのサイトで、サンプル音が公開されていますが、いわゆる萌え系ではない、大人っぽい雰囲気の歌声ですね。
Bumpyうるし:まだ、調整前のあくまでもサンプル音ではあるのですが、私が気に入っているのは母音の息の抜ける感じが非常にセクシーなところ(笑)。ぜひ、その母音の言葉の末尾とか、よく聴いてみてください。子音の発音もキレイだし。エンジニアさんからも「この人、波形キレイだって」いわれました。まあ、波形の何がどうキレイなのか、私にはよくわかりませんでしたが……。
尾形:VOCALOID向きの声と、そうではない声というのはあるんです。またちょっと聴いた感じで、VOCALOID向きかなと思っても、実際に編集してみるとノイズが乗ってしまったり…。その中で今回選んだ人は、技術的に見て、えらい波形がキレイな人だったんですよ。

--製品について、名前やキャラクタ、発売日などについても教えてください。
Bumpyうるし:年内にAHSから発売する予定ですが、現在のところ詳細を詰めている段階なので、発表までもう少しお待ちください。

--ありがとうございました。

【関連サイト】
AH-Software 
VOCALOMAKETS


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