15,000円以下で買えるDTM入門用セット、TASCAM US-200

先日、知人から「今、DTMを始めるには、何を買えばいい?」と聞かれました。しかも「それなりに機能・性能、拡張性がありつつ、できる限り安く!」という条件付きで。私も、今の相場がすべて頭に入っているわけではないので、その場では「DAWソフト付きのオーディオインターフェイスを買うのがいいのは…」と答えた上で、「詳細は後日に!」と言って、ちょっとネットで価格を調べてみました。

直感的にはRolandかYAMAHA、TASCAMのいずれか(よく勘違いしている方いますが、3つとも日本のメーカー/ブランドですよ)の製品だろうなとは思ったのですが、調べてみたところ、スペックと低価格が両立する機材として、「いま一番コストパフォーマンスが高いかも!」と思ったのが、TASCAMUS-200でした。私の手元にも1台あるので、改めて使ってみました。
TASCAMのオーディオインターフェイス、US-200



このTASCAMのUS-200、2011年3月に発売された機材なので、目新しさがあるわけではないのですが、発売当初から結構安く、現行価格をネット調べてみ限り、実売価格が13,000~15,000円程度。これでソフトもハードも揃ってしまうのだから、やっぱり安いですよね。

彼も、一昔前のMIDI音源モジュールの時代にDTMをしていたことはあるようなのですが、浦島太郎状態で、現状はまったく知らないようなのです。確かに、その当時なら、「ミュージ郎」や「Hello!Music!」などのお手軽DTMセットがあり、それを買えばとりあえずDTMを始めることができました。

が、考えてみると最近は、そうした「DTMセット」という見せ方をした製品って見かけませんが、多くのオーディオインターフェイスにはDAWがセットで付いているので、実質的にはオーディオインターフェイスがDTMセット製品なわけです。

TASCAM US-200にはCubase LE5がバンドルされている

初心者ユーザーの方のために、簡単に説明しておくと、オーディオインターフェイスとはマイクやギター、その他楽器を接続して高音質にレコーディングをしたり、レコーディング中の音をモニタリングしたり、シンセサイザの音を出したり、DTMで作り上げたサウンドを再生するための入出力機器。

そしてDAW=Digital Audio Workstationとは、現在のDTMの中枢となるソフト。ボーカルや楽器の演奏をマルチトラックでのレコーディングしたり、エフェクト処理を行ったり、ソフトウェアで実現するシンセサイザを鳴らしたり、ミキシング、マスタリングまでできる万能ソフトを意味しています。

US-200のリアパネル。2IN/4OUTでMIDI入出力も装備

ここでピックアップしたUS-200は、2入力/4出力を持つオーディオインターフェイスで、マイクでもギターでも各種機材と接続することが可能。4つある出力はRCAピンジャックのラインアウトで、さまざまな機器に接続できるし、フロントにはヘッドホン出力も用意されています。MIDIインターフェイス機能も装備しているので、必要に応じて手持ちの電子楽器と接続して使うことも可能となっています。もちろん昔のDTM機材もここに接続して使うことができますね。
肝心のスペックのほうも、24bit/96kHzにまで対応しており高音質なレコーディングが可能で、WindowsでもMacでも使うことができます。またUSBのバス電源で駆動してACアダプタが不要というのも便利なところです。このハードウェアに関する詳細は、以前にAV Watchの記事「第456回:TASCAMから登場した新たな低価格USBオーディオ~実売15,000円からの「US-200」と「US-600」をチェック ~」でレポートしているので、興味のある方はぜひご覧ください。

また、TASCAM製品としてはやや珍しくフロントオペレーションとなっていますが、個人的にはこの辺も好きなところです。
非常に高機能なDAW、Cubase LE 5

一方、ソフトは、人気DAWであるSteinbergCubase LE5がバンドルされています。バージョン的には、1つ前のバージョンのCubaseということになりますが、機能、性能的にはほとんど変わっていないので、初めてのDAWということであれば、これで十分過ぎると思います。そう、前述のとおり、これでオーディオのレコーディングもMIDIのエディットも、エフェクト処理も、ソフト音源処理も、ミキシング、マスタリングも全部できてしまうわけですから。もちろん、こちらもWindowsでもMacでも使えるハイブリッド対応になっています。
オーディオ編集機能もしっかりしている
バンドルされているエフェクトやソフトシンセの数はそれほどいっぱいはありませんが、デファクトスタンダードといえるVSTプラグインに対応しているので、必要に応じてフリーソフトのプラグインエフェクト、ソフトシンセを追加していくことができます。
もちろん昔ながらのMIDI機能も充実

ただし、初心者ユーザーに限らず、ひとつネックになるのはLE版とはいえ、Cubaseはかなり高機能なDAWであるということ。とくに初心者の場合、何をどうしていいか分からないかもしれません。バンドルソフトであるだけに、紙のマニュアルはなく、PDFのヘルプマニュアルを読んでいかなくてはならないので、戸惑ってしまうかもしれません。

Cubase LE 5で利用可能な解説書

そんな場合は、ぜひ私の書いた解説書、「Cubase 5 Series 徹底操作ガイド ~THE BEST REFERENCE BOOKS EXTREME~」を使ってみてください。Windows版の本とMac版の本に分かれていますが、1問1答形式の解説書になっているので、きっと役立つと思いますよ。

もちろん、Cubase専用のオーディオインターフェイスというわけではないので、SONARと組み合わせてもProToolsやLogicなどと組み合わせてもOK。発展性としても、いろいろな可能性を持ったオーディオインターフェイスだと思います。

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