NAMM発表のRolandフラグシップ機、STUDIO-CAPTUREを見てきた

1月24日にスタートしたNAMM SHOW 2013。各社から新製品が続々と登場しているようですが、やっぱり気になるのはDTMに力を入れているRoland製品。すでにRolandサイトでもNAMMで発表の新製品をズラリと公表しているので、ご覧になった方も多いのではないでしょうか?Rolandブランド、BOSSブランドを含め全13製品が並んでいますが、DTMステーションとして一番気になるのは、やはりUSBオーディオインターフェイスのSTUDIO-CAPTUREです(実売価格100,000円前後)。

OCTA-CAPTUREの上位モデルとなるフラグシップモデルとの位置づけで登場したSTUDIO-CAPTUREは最大24ビット/192kHz、16IN/10OUTの入出力に対応し、マイク・プリアンプ「VS-PREAMP」を12系統搭載したというもの。Rolandの東京オフィスに実機があるという話を聞きつけ、実物を見に行ってきました。
NAMM SHOW 2013で発表になった16IN/10OUTのオーディオインターフェイス、STUDIO-CAPTURE



同社サイトの情報で写真は見ていたのですが、実物を見ると、かなり「いかつい」感じで本気を感じさせる出で立ち。ただ、いわゆる業務用機材とも雰囲気が違います。ん?と思って改めてみると、横幅はラックマウントのサイズではないし、縦は2Uのサイズという、これまであまり見たことのない形状なんですよね。

担当者に聞いてみたところ、「ノートパソコンとセットにしてリュックに入れて持ち歩けるサイズにしました」とのこと。確かに、スタジオやライブハウスなどに自分の機材を持ち込むケースが増えていますから、「マルチで、かつできる限りいい音で録りたい」というニーズには合致しそうです。

横幅、奥行きはOCTA-CAPTUREとまったく同じ大きさ

その横幅や奥行きはOCTA-CAPTUREと近いのかなと思い、OCTA-CAPTUREを上に置いてみると、やっぱりピッタリ同じサイズ。ということはOCTA-CAPTURE×2=STUDIO-CAPTUREなのかな……と思って聞いてみました。

24bit/192kHzというスペック自体は同じですが、エンジン部分の設計をしなおした、新世代のオーディオインターフェイスになっています。これまで汎用DSPを採用していましたが、STUDIO-CAPTUREでは自社開発のカスタムチップを使っています。これによって、より高いパフォーマンスを発揮できるようになりました。またアナログ回路も大きく変わっています。電源周りを強化し、さらにワイドレンジにするとともに、ゲイン幅も広くなっています

カスタムチップ採用と同時にドライバも刷新され、プリアンプ設定画面もOCTA-CAPTUREとは少し違う

なるほど、すごそうな感じはしますが、カスタムチップを使ったことによる、目に見えるメリットというのはあるのでしょうか?この点について担当者は「当社独自のオーディオ・ストリーミング技術、VS STREAMINGを採用していること自体はOCTA-CAPTUREなどと同様ですが、バッファサイズ(レイテンシー)を下げたときの安定性を高めています。これによって実用上の設定においては、他社製品と比較しても最高レベルになっています。さらに新エンジンのコンプレッサーを搭載したことも挙げられます。カスタムチップの採用により、V-Mixerシリーズゆずりのコンプレッサーを搭載することができました」と自信を示してくれました。

フロントにマイク入力可能な4つの端子があるほか、リアにも8つのマイク入力がある

また他社のオーディオインターフェイスにもほとんどない多数のマイクプリアンプを搭載しているのも大きな特徴です。アナログ回路強化によって従来よりも広域でヘッドルームの大きくなったVS-PREAMPを12基も搭載しているのです。他社の多チャンネル入力対応オーディオインターフェイスって、ADATで数を稼いでいる?ものが多く、実際にマイクを接続するとなると、別途A/Dやマイクプリを用意する必要がありますが、STUDIO-CAPTUREはこれ1台で直接12本のマイクを接続できてしまうのは、大きなメリットといえそうですね。
STUDIO-CAPTURE(下)とOCTA-CAPTURE(上)のリアパネル

さて、このSTUDIO-CAPTURE、実際に動いているのを見て、派手に見えるのがフロントのレベルメーターです。やはり各チャンネルごとの状況が一気に見渡せるというのはいい感じですね。またレベルメーターの下にあるのはインプット・チャンネル・セレクト・ボタン。これで目的のチャンネルをすぐに選択できるだけでなく、たとえば4chと10chを同時に押すと4~10chの7chを選択でき、ここのファンタム電源のON/OFFやマイクプリの設定が一気にできてしまいます。こうしたユーザーインターフェイスの向上というのも見逃せないポイントです。

パッチベイによって、自由度の高いモニタリング設定などが可能になっている

一方、出力はメイン出力のほかに4系統のモニター出力があり、これによって計10ch出力となっているのです。それぞれに何を出すかはパッチベイで設定できるようになっているので自由度は非常に高そうです。これによって16IN/10OUTとなっているわけですが、これは24bit/96kHzまでの場合。24bit/192kHzで動作させる場合には8IN/4OUTに制限されます。

また非常にユニークなのは、2台のSTUDIO-CAPTUREをPCに接続した場合、これを1台のオーディオインターフェイスとして使うことができるようになっている点です。とにかくより多くのチャンネルでの一発録りをしたいというときには非常に有効そうですよ。ちなみにこのとき96kHzまでならば32IN/18OUTのオーディオインターフェイスとなります(2台連結時は192kHzには非対応)。

このSTUDIO-CAPTUREの発売は3月とのことで、まだ少し先ですが、入手できたら詳細なレポートをしてみたいと思っています。

PC無しでのレコーディングが可能なCD-2u(左)とSD-2u(右)

ところで、このSTUDIO-CAPTUREを見にRolandに行った際、同じNAMMで発表されたCD-2u(実売60,000円前後)およびSD-2u(実売45,000円前後)という製品も見せてもらいました。これらはPCがなくてもレコーディングができ、CDやSD/SDHCカードに焼けるという製品。プレイヤーとしても高性能を誇っており、キーやスピードを自由に変えられるのが大きな特徴となっています。

これまであったCD-2iの後継モデルという位置づけですが、やはりDSP性能のキーチェンジ、スピードチェンジした際の音質が劇的に向上しているのとともに、ボーカルキャンセル機能にR-MIXのアルゴリズムを採用したことにより、よりキレイに抜き出せるようになっているとのことでした。

【製品情報】
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NAMM SHOW 2013発表新製品

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