歌ってみた、演奏してみたを即制作できるマイク内蔵、エフェクト搭載の高音質システム、iTrack Pocket

“歌ってみた”や“演奏してみた”を自分で作ってUPしてみたいけど、どうやればいいの……?」、そんな質問をよくいただきます。DTMステーションでも、いろいろな切り口で取り上げては来ていますが、ビデオも音も、ある程度のクオリティーが求められるので、なかなか簡単にはいきませんよね。

そんな中、とっても手軽にボーカルやアコースティックギターのレコーディングと撮影ができると同時に、エレキギターを接続してアンプシミュレータを通した音で録ることができるという、結構画期的な機材が登場してきました。イギリスFocusrite社が開発したiTrack Pocketというのが、それ!どんなシステムなのか紹介してみましょう。


iPhoneを使ってのプロモーションビデオ作成が簡単にできるFocusriteのiTrack Pocket 


このiTrack Pocket、パッと見は「ああ、よくあるiPhone用のDOCKスピーカーだよね……」という恰好をしているのですが、実は全然違うんです。このメッシュ状になっているのはスピーカーではなく、ステレオのエレクトレットコンデンサマイク。


パッと見た目は、iPhone用のDOCKスピーカーのようにも見えるけど…… 

iPhoneとの接続も、DOCKスピーカーのように、iTrack Pocketに直接刺すのではなく、付属ケーブルを通じて横置きで接続するようになっているのです。「それの何がいいの?」とピンと来ない人も多いと思いますが、これが実に便利で、iPhone5sだろうとiPhone6 Plusだろうと、iPad miniだって、何でも使えてしまうんですよ。


iPod touchを置くとiPhone5sなどと横幅が同じなのでピッタリ 

一応、メーカーのスペックを見ると対応機材はiPhone5、iPhone5s、iPhone5cとなっていましたが、私が試してみたところiPhone6 Plusでも使えたし、iPad miniでも使うことができました。iPad Airでも使えはしたけど、頭でっかちになるので、下に重石を置くなどしないと、倒れそうで不安定でしたが……。


iPad miniでも問題なく使えてしまった 

ここまで読んで「ああ、なんだ、ちょっと変わった形状のiPhone用のLigitning接続のマイクか……」と思うかもしれません。でも、iTrack Pocketはそれに留まらないんです。右サイドを見ると、ここにはギター接続の端子が用意されており、エレキギターやエレアコなどを接続することができるんです。


右サイドにはギターとの接続端子が用意されている 

そしてこのギターの入力に対し、アンプシミュレーターを使うことが可能になっており、FenderのTwinReverb、MarshallのJCM-800、VOXのAC-30っぽい音などにすることができちゃうんです。


ギターにアンプモデリングを掛けることも可能。 詳細は後ほど…

しかもマイクとギター入力を同時にONにすることができるため、ギターを弾きながら、ボーカルもこのマイクでレコーディングすることもでき、ギターとボーカルという曲なら、iTrack Pocket一つあればOKというわけなんです。なんか、凄そうでしょ!?もう少し詳しく見ていきましょう。

ハードウェア的には、今見た通り、ステレオマイク+ギター入力のオーディオインターフェイスとなっているわけですが、ここで重要になってくるのが、App Storeで無料配布されているアプリ、Impact by Focusrite(以下Impact)です。これを使った紹介ビデオがあるので、以下のをちょっとご覧ください。これで雰囲気が分かると思います。

このImpactは基本的にビデオ撮影&編集アプリであり、撮影して、トリミングして、完成したビデオをYouTubeへそのままアップロードできるというもの。iPhoneユーザーなら誰でも使えるアプリなので、便利ではあるのですが、これをiTrack Pocketに接続すると、大きく機能拡張され、いろいろなことができるようになるのです。

Stereo Mic、Guitar、Guitar+Micからモード選択ができる

まずは入力の切り替えで、「ステレオマイクのみ」、「ギターのみ」、「マイク+ギター」の3つのモードを選択することが可能とります。そして、そのギターに対しては、何もかけない素の音を通すCleanがあるほか、前述のような3つのアンプシミュレータモードが用意されており、どれを使うかを選ぶことができるんですね。


TwinReverbをモデリングする画面 

たとえばTwinRerverbのモデリング(Twin)の場合はDriveとReverbというパラメータが、JCM-800のモデリング(Brit)ならDriveとDelay、AC-30のモデリングではDriveとReverbのそれぞれが調整可能になるので、ある程度の音作りも可能になります。このアンプを通した音とともに演奏している姿をビデオで録画できてしまう、というわけなのです。


AC-30をモデリングする画面 

過去にギターアンプシミュレータとビデオ録画がセットになったソフト、アプリって無かったのではないかと思いますが、いかがでしょうか?ここでの録音については、いわゆる掛け録り。後でアンプを変更するとか、パラメータを変えるということはできませんが、誰でも分かりやすく、扱いが簡単という面では、非常によくできていると思います。


左サイドのボリュームで入力レベルは調整する

入力に対して波形がリアルタイムに表示されていくのも面白いところですね。またその入力レベルはiTrack Pocket本体の左側にあるボリュームで調整可能となっています。ちなみにHeadphonesをONに設定すると、マイク、ギターから入ってきた音にアンプシミュレータがかかった音をiPhoneのヘッドホン端子からモニターできるようになります。

さて、このようなセッティングをしてから、レコーディング。これによってビデオとサウンドが同時に録れていくわけですが、操作自体はレコーディングボタンを押し、終了したらストップするだけ。これでプロモーションビデオの基本が録れてしまいます。


不要な部分をカットするトリミング機能

でも、ここからさらに手を加えられるのもImpactの面白いところです。まずは、不要部分をカットするトリミングができるのですが、それだけでなく、音の加工も可能になっています。具体的にはエンハンサーを掛けて、音をクッキリさせたり、リバーブやコーラス、ダブラー、エコーなどで音に広がりを付けたり、さらにはコンプレッサで音圧を調整するなどエフェクト処理ができるんですね。


撮影後にエンハンサー、リバーブ、コンプレッサなどで最後の仕上げをすることが可能 

こうした処理をすることで、レコーディング時とは少し雰囲気を変えた音にすることもできるため、ここはじっくりと演出を図ることができます。


FacebookやYouTubeへ直接アップロードする機能も用意されている

このようにして完成したビデオは、ここから直接YouTubeへアップロードできるのもとっても便利なところ。HDモードでUPすれば、かなり高画質・高音質なプロモーションビデオが簡単にできてしまいますよ。


一度、カメラロールに保存すれば、Safariからニコニコ動画への投稿も簡単 

じゃあ、ニコニコ動画に投稿するには、どうすればいいのでしょうか?さすがに海外アプリなので、ニコニコ動画へ直接投稿する機能はありませんが、心配ありません。こうして作ったビデオを一旦、iPhoneへ保存すればいいのです。保存するとカメラロールへと登録されるので、その後改めて、Safariからニコニコ動画へアクセスし、動画投稿すればいいのです。ここで、保存したファイルを選択すれば、すぐにアップロードできますよ。

たったこれだけの作業で「歌ってみた」でも「演奏してみた」の高音質・高画質な作品が簡単に出来上がってしまうのですから、画期的なシステムといっていいのではないでしょうか?

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