旧SONARユーザーは格安で買える!?サブスクリプションではない?国内正式発表された新SONAR購入制度を徹底的に聞いてみた

先日の記事「SONARの新製品が発表に。国内もサブスクリプション制に移行する!?」で大きな話題となったSONARの新バージョン。DSDの対応といった機能もさることながら、年間でのライセンス契約という販売方法に多くの関心が集まったようです。すでにAdobeがサブスクリプション制度を導入しているほか、DAWの世界でもPro Toolsがサブスクリプション制度の導入を発表している中、SONARもサブスクリプション制度に移行するとしたら、どうするべきか……といった議論がユーザーの間でなされていたわけです。

そのSONARの新バージョンが2月19日、国内でもTASCAMから正式に発表されました。発表内容によれば、「サブスクリプションではなく、メンバーシップ制という大きく異なるもので、価格的にみてもユーザーメリットがあるものだ」というのです。でも、それって単なる名前のすり替えではないのか、結局毎年お金を払い続けなければならないのではないのか、ライセンスが切れたら使えなくなるのではないか……など疑問もいっぱい。そこで国内におけるCakewalk製品の発売元、TASCAMの小泉貴裕さん(ティアック株式会社 音響機器事業部 ミュージックインダストリービジネスユニット 事業企画部 企画販売促進課 課長)に気になる疑問を片っ端からぶつけてみました(以下、敬称略)。

国内でも、3月上旬よりSONAR新バージョンの発売が開始される


--単刀直入に伺います。今回のSONAR、サブスクリプションン制度導入による、実質的な大きな値上げだったりはしないのでしょうか?

小泉:アメリカ側でも「サブスクリプションではなく、メンバーシップ制だ」とFAQの最初に明言しているのですが、このメンバーシップ制は、いわゆるサブスクリプション制とは大きく異なるものなんです。ユーザーのみなさまから見ると、これまでのパッケージ販売と大きく変わりません。端的な例でいうと、サブスクリプション制だと契約が終了すれば使えなくなってしまいますが、SONARのメンバーシップ制は、従来のパッケージ販売とまったく同じように使い続けることができますし、価格的にもこれまでのSONARと大きく変わりません。


お話を伺ったTASCAMの小泉貴裕さん

--え?契約が切れても使い続けられる?

小泉:はい、その通りです。基本的にメンバーシップ制では12か月での契約となるのですが、12か月を過ぎると起動しなくなる……なんてことはなく、普通に使い続けることができます。それどころか、12か月の間に、徐々にいろいろな新機能が追加されていき、その12か月後のバージョンを使い続けることができるため、ユーザー様にとってはこれまでよりもメリットは大きいと思いますよ。


2月19日、TASCAMがSONAR新製品発表会をおこなった

--契約というか、販売の方法はどうなっているのですか?

小泉:販売方法がいくつかあるので、混乱される面もあると思うので、まずはその販売方法からご紹介していきます。一番シンプルなのは、店頭でのパッケージ販売です。これはバージョンアップユーザー様向けではなく、新規にSONARを導入する方のためのもので、店頭予想価格は以下のとおりです。

市場想定価格(税抜き)
SONAR Platinum (通常版) 61,111円
SONAR Professional (通常版) 27,777円
SONAR Artist (通常版) 14,444円

ご覧いただくと分かるとおり、Platinum、Professional、Artistと従来と少し名称は変わったものの、これまで同様の3ラインナップで、国内販売価格は見直しが行われています。このパッケージの中にはマニュアル(インストールガイドとユーザーズガイド)とライセンスカードが入っていて、インストールディスクは入っていません。インストールはCakewalk Command Centerというものを使ってネット経由で行う形になるからです。

--バージョンアップユーザーの場合はどうなるのですか?
小泉:バージョンアップユーザー様はCakewalk Storeでオンライン購入いただく形になります。その際のバージョンアップ価格は以下のようになっています。
■同じグレードでのバージョンアップ

旧バージョン 新バージョン 税抜き価格
SONAR Producer SONAR Platinum 24,000円
SONAR Studio SONAR Professional 12,000円
SONAR Essential SONAR Artist 7,000円

■クロスレードでのバージョンアップ

旧バージョン 新バージョン 税抜き価格
SONAR Professonal
またはSONAR Studio
SONAR Platinum 36,000円
その他のSONAR SONAR Platinum 48,000円
その他のSONAR SONAR Professional 18,000円
その他のSONAR SONAR Artist 7,000円

これはSONAR X2からX3への価格と基本的に同じではあるのですが、バージョンアップ方法を簡略するために、過去のバージョンを問わない形にしているんですよ。つまりSONAR X3からのバージョンアップはもちろんのこと、X2でもX1でも、SONAR 8でも6でも初代SONARだって、最上位版からPlatinumへのバージョンアップなら24,000円、標準版からなら12,000円という設定で、下のグレードから上のグレードへの切り替えもお得な価格設定にしているんです。

--それって、Roland時代の古いSONARユーザーにとっては、ずいぶん魅力的に聞こえますね?
小泉:メンバーシップ制の採用というのは大きな変更になりますので、是非この機会に新しいSONARをお使いいただきたいという思いもあり、このような価格体系となりました。もちろん、TASCAM製品にバンドルされているSONAR LEも「その他のSONAR」に含まれるので、この機会にご検討頂ければ幸いです。

--では改めて、そのメンバーシップ制とはどういうものなのか説明いただけますか?

小泉:SONARのメンバーシップ制におけるライセンスは12か月単位となっており、12か月経過後の更新は有料という制度です。そして12か月の間は頻繁にアップデートがかかり、新たな機能が追加されたり、バグフィックスが行われていきます。これまでのSONAR X4a、X4b……のようなアップデートはありましたが、基本的にバグフィックスであり、新機能はあくまでもメジャーバージョンアップで…という開発体制でした。ところが、今回のメンバーシップ制導入により、開発体制も大きく変わることから、頻繁に行われるアップデートでも大きな機能追加が行われるようになったのです。

--気になるのは12か月を経過したらどうなるか、という点です。
小泉:メンバーシップを更新いただければ、そのままアップデートを続けられるし、サポートも受けられる一方、メンバーシップが終了すると、アップデートは受けられなく、電話等でのカスタマーサポートも受けられなくなります。ただし、ソフトウェアは使い続けていただくことができます。

--もし12か月経過した時点でメンバーシップを終了したけれど、2年後、3年後の新バージョンになった時に、また欲しいとなった場合は、また新規ユーザーとしての金額を払わなくてはならないのですか?

小泉:他社製品ではそうしたケースが多いようですが、SONARの場合は、間が何年途切れても、継続での価格と同じ扱いの優待価格で再度メンバーシップに入っていただくことが可能です。だから、とりあえず現状で満足でありカスタマーサポートも不要であれば、しばらくは契約が切れた状態でお使いいただき、その後欲しい機能が搭載されたら、再度戻ってきていただければお得に更新していくことができますよ。


間もなく登場するSONAR Platinum 

--なるほど、それは理想的だし、価格的にもメリットは大きそうですね。常にカスタマーサポートに頼りたいという人は別にすると、多くのユーザーにとって、悪くはなさそうですね。ところで、先日海外での価格設定を見た際、月額での契約というものがありましたが、これも日本で導入されるのですか?
小泉:はい、海外も国内も同じシステムを使っているので、月額でお支払いただく、マンスリー購入というものがあります。これはSONARを使ってみたいけど、最初からパッケージ版はちょっと金額が……、というユーザー様に向けたものです。このマンスリー購入を一言でいえば、12か月での分割払いですが、途中での退会も可能である、というものです。ただし価格的にみると、店頭で販売される12か月ライセンス込のパッケージ価格と比較して、だいぶ割高にはなります。最初の2か月Artistを使い、3か月後にPlatinumに切り替えるといったことは可能ですが、この切り替え時点で契約はリセットされるので、また1か月目からのPlatinumの契約となってしまうので、切り替えるより、新たにパッケージを購入されることをお勧めします。

--そういうことだったんですね!ちなみにマンスリー購入で1か月だけ使い、退会した場合、インストールしたSONARを使い続けることができたりするのですか?
小泉:途中退会されると、SONARはデモモードに戻ってしまい、通常使用はできなくなります。このデモモードの場合、保存と書き出しができません。

--そこは、しっかりしてるんですね(笑)。ところで、契約期間内にどんどん機能のアップデートができるのは嬉しい面がある一方で、「使ってみたら、前のバージョンのほうが安定していてよかった…」なんて可能性もあると思います。そうした場合の対処方法というのはあるのですか?

小泉:お話をした通り、今後SONARのインストール管理はすべてCakewalk Command Centerで行う形があるのですが、これを使うことで任意の状態に戻ることができます。もし、互換性でトラブルが起こったとか、新しい機能に馴染めないといった場合には、いつのバージョンにでも戻すことが可能になっています。


スムーズなインストール作業を実現し、バージョン管理も可能なSONAR Commad Center

--ところで先日、私の手元にも「Cakewalk社へのサイト移管に関する重要なお知らせ」というメールが届いていました。以前Rolandに登録されていた情報が昨年TASCAMに移ったものが、さらにCakewalkに移管されるということですよね。ここで何かしなくてはならないことがあるのでしょうか?

小泉:今回のメンバーシップ制に移行する関係で、すべてデータの移管を行うことになり、2月19日より作業を開始し、1週間程度で終了する予定です。ここで移管されるデータは
・お客様のE-mailアドレス
・お使いの製品のシリアル番号
・お使いの製品のレジストレーションコード
の3点のみで、お名前やパスワードなどは移管されません。したがって、バージョンアップの購入などをするために、Cakewalkサイトへ新規会員登録が必要となります。その際に、TPS-Rに使っていたメールアドレスでご登録頂くことで、自動的にシリアル番号などの情報が引き継がれるようになっています。違うメールアドレスを登録すると、そうした情報が引き継がれないので、ご注意ください。


TASCAMのDSD技術をSONARに搭載した 

--最後に新バージョンの登場のスケジュールについて教えてください。
小泉:まずは2月下旬にバージョンアップユーザー様に向けてのダウンロード販売がスタートし3月初旬から新規ユーザー様向けのパッケージが楽器店の店頭に並ぶ形になります。その後、随時新機能の追加などのアップデートがされていく予定です。なお、今回の新バージョンではTASCAM側からの要望としてDSDのインポート、エクスポート機能が搭載され、当社のDA-3000との連携なども可能になっています。実際、DSD機能の搭載にあたっては日本からCakewalkへエンジニアを送り込み、機能実装を行っています。このDSD機能のほかにもボーカルシンク機能やProChannelにREmatrix soloサンプリングリバーブが搭載されたり、ミックスリコール機能、AudioSnap機能の強化など、DAWとしての性能も大きく向上しているので、ぜひこの機会に以前のSONARユーザー様もバージョンアップしていただけると嬉しいです。

--ありがとうございました。
【関連サイト】
SONAR製品情報(TASCAM)
【価格チェック】
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