4K対応したFL STUDIO 12をでっかい画面で表示させてみた

映像の世界では、最近4Kというのが話題になっています。解像度がどんどんと向上しており、フルHDでは飽き足らず、その4倍もの解像度の時代が目前に迫ってきているんですね。16:9のアスペクト比の場合、4Kというと3840×2160の解像度を意味しているので、いまPCで広く使われているフルHDの1920×1080のディスプレイを縦・横とも2倍に引き上げた4倍の解像度というわけですね。

その4K、DTMの世界とは無縁のように思っていましたが、4Kさらには8Kにも積極的に対応するというDAWが登場してきました。そう、以前にもちょっと紹介したFL STUDIO 12です。DTMユーザーにとってどんなメリットがあるのかピンと来ないものの、やっぱり新しい機能は試してみたいところ。とはいえ、たださすがに4Kのディスプレイなんて持ってないし、まだ高価でなかなか買えそうにありません。そこでディスプレイメーカーのEIZOにお願いして、銀座にあるショールームで使わせていただいたので、その状況をレポートしてみましょう。

3840×2160という非常に高解像度な4Kディスプレイに最新のFL STUDIO 12を表示させてみた

FL STUDIO 12には、「Harmless」、「Gross Beat」、「Pitcher」など今まで有償だった人気のプラグインが新しく付属プラグインとして追加されていたり、各種編集機能が強化されています。その中でも目玉の機能として挙げているのがベクトラルユーザーインターフェイスというものです。

説明書きを読むと「どんなスクリーンサイズ、解像度であっても完璧にフィットする一新された伸縮自在のベクトラルユーザーインターフェイス」とあるのですが、いまいち、どういうことなのかピンときません。私も映像関連、あんまり詳しくはないので、映像の世界では常識的な言葉なのかな……と思って「ベクトラルユーザーインターフェイス」でGoogle検索しても、FL STUDIOでの話以外に引っかかってこないんですよね。

東京・銀座にあるEIZOのショールーム、EIZO Galleria GinzaでFL STUDIO 12のテストをさせてもらいました
こうなったら、やはり試してみる以外に方法はないですよね。どこかに4Kのディスプレイがないかな……とインプレスのPC Watchの編集部に連絡してみたところ、編集長から「銀座にあるEIZOのショールームに聞いてみるといいかもしれない」とアドバイスをいただいたため、広報に連絡。すぐに取材OKのお返事をいただけたので、先日小さなデスクトップPCを持ってショールームに行ってきました。

このショールーム初めてでしたが、日本のディスプレイメーカーの老舗であり、世界のトップブランドだけに、本当にいろんなディスプレイを出しているんですよね。その中で本日のお目当てはもちろん4K対応のディスプレイ。当日対応していただいたEIZOの浅井二郎さんに案内していただいたところ、ありました!EV3237というモデルです。


EV3237は31.5インチなので、巨大というほどではなかったけれど、ものすごくきめ細かな表示ができるディスプレイ


実は、ショールームに来るまでは、4Kディスプレイって50インチとかの巨大なものなのでは……と思っていたのですが、そこまで巨大ではないんですね。これは31.5インチだそうで、解像度は前述のとおり3840×2160。15インチのフルHDを4つ並べたようなもの……と表現すればいいのでしょうか?

さっそくこれにPCを接続し、FL STUDIO 12を起動してみると……。「でかい!!」、「というか、表示が超細かい!!」という印象。この写真から、その雰囲気が伝わるでしょうか? 実物を見るとかなり圧巻ですよ。これくらい広い画面なら、巨大プロジェクトでも1画面で全貌を掴むことができそうですよね。


4Kディスプレイなら、縦も横も非常に幅広く使える!?

でも、これがベクトラルユーザーインターフェイスというヤツなのでしょうか?まあDAWの4K表示はすごいけれど、これはPC側の話だから、何もFL STUDIOに限らずとも、ほかのDAWでも同じ体験ができそうですよね。

どういうことなんだろう??」と思いながら、操作をしていたら、それらしいパラメータを発見。SettingのGeneralタブを見ると「Main GUI scaling」なる項目があります。ここにデフォルトの100%から400%までを選択できるようになっているので、試しに200%としてみました。設定した後、一度FL STUDIOを再起動させる必要があるのですが、これによって画面は縦横2倍に拡大され、一見フルHDの画面のようになります。

SettingのGeneralタブに「Main GUI scaling」なる項目があるのを発見

ところが、これは単に2倍表示させたわけではありません。ドット文字を拡大したようにギザギザになってしまうようなことはなく、4Kの解像度を保ちながら2倍サイズで表示されているのですね。文字だけでなくParametric EQ2でのFFT分析結果などを見ても、すごく細かい精度で表示されていることが分かります。ベクターグラフィックスの仕組みで作られたインターフェイス、これがベクトラルユーザーインターフェイスということのようですね。


200%の設定で表示させると、一見フルHDでの画像のようにも見えるが、非常に画質がよくなっている

現在ベクトラルユーザーインターフェイスに対応しているのはFL STUDIO本体とImage-Line製のベクトラルユーザーインターフェイス対応プラグインのみ。たとえばアナログシンセエミュレータである3x Oscは設定どおりの大きさに拡大表示されますが、人気音源のDierct WaveはImage-Line製ではあるものの、まだベクトラルユーザーインターフェイスに対応していないため、画面は小さいまま。そのことはMain GUI scalingを400%にしてみると、より違いがハッキリとしますね。


400%だと違いが分かりやすい。ベクトラルに非対応なDirect Waveは小さいままの表示となっている

 

まだ、こうした機能を持ったアプリケーションというのはDAWに限らず、デザイン系のソフトでも聞いたことがありません。400%という設定があるということは8Kのディスプレイがやってきても、自分に快適なサイズを選択しながらとってもキレイな解像度で作業することが可能というわけですね。

ちなみに、4Kディスプレイを利用するためにはPC側もそれに対応させる必要があります。一般のPCに搭載しているグラフィックボードは4K出力を持っていないので別途4K出力に対応するグラフィックボードを追加する処置がいるわけですね。今回、小さなデスクトップPCを持ち込んだでいたものの、それでは4Kディスプレイに接続できなかったため、ショールームにあったPCをお借りしてFL 12をインストールした次第。FL12は、とっても軽いシステムなので手軽にインストールできたので助かりました。システムの軽さもFL 12の大きな魅力なんですよね。

さて、せっかくEIZOのショールームに来たので、見回してみると、いろいろなディスプレイがいっぱい。これらにもFL STUDIO 12を接続して試してみました。個人的にちょっとほしい!と思ったのは普通のフルHD=1920×1080のEV2450という機種と、それより縦がちょっと長い1920×1200のEV2455というモデル。


EV2455というディスプレイ、そのベゼルの薄さにはビックリしました

何がすごいって、このベゼルの幅。見てのとおり、モニターディスプレイ丸ごと全部が液晶という感じで気持ちいいんですよね。EIZOの浅井さんにお伺いしたところ、2台並べておいても横長の1台のように見えるので、とても人気なのだとか。


ディスプレイを縦横90度回転できてしまうのも面白いところ

これらのディスプレイは90度回転させることができるため、縦長のディスプレイとしても扱うことができるんですね。実際に行ってみるとFL STUDIOもそれに追従し、縦長画面で表示することができました。が、これ、かなりカルチャーショックというか、不思議な世界ですよ。「DAWは横長であるべきで、ミキシングコンソールを俯瞰したり、タイムラインを追っていくべきもの」と決めつけていましたが、縦長にすると、膨大なトラックを一望することができ、これはこれでかなり使いやすいんですよね。


縦長に表示したDAWというのは、ちっと異次元な感じがしました

またEV2730Qという1920×1920の正方形のディスプレイもあったので、これも試してみたところ、やっぱり縦に長く、たくさんのトラックが見渡せるのが印象的でした。


1920×1920という正方形のディスプレイ、EV2730Qという機種もちょっと不思議な体験 

ところで、FL STUDIO 11からの対応ではありましたが、ディスプレイ関連ではタッチ操作に対応しているのも大きなウリとなっています。マルチタッチでの操作ができるDAWもいくつか登場してきていますが、FL STUDIOもそれに対応しているというので、EIZOのショールームにあるマルチタッチのディスプレイ、T2381Wという機種に接続して試してみました。


タッチ式のディスプレイを使えば、パフォーマンスモードやミキサー操作がより直感的に行える 

T2381WはフルHDのディスプレイなので、先ほどの4Kのディスプレイのような迫力はありませんが、直接手で触って操作できるのはやっぱり新感覚。ミキサー操作が直感的に触って行えるほか、Ableton Liveのようなパフォーマンスモードがあるため、指でタッチしていく演奏にはピッタリマッチします。

以上、今回はEIZOの協力を得て、ディスプレイ周りだけに特化して紹介してみましたが、いかがだったでしょうか?DAW本体の機能アップというのとはちょっと違うのかもしれませんが、ユーザビリティの向上という面ではひとつの前進だと思います。あとは、4Kディスプレイがいつごろ庶民の手に入るようになるのか…というのが気になるところですが、きっと数年後には手ごろな価格になっていることを期待しつつ、待ちたいと思います。
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