Native Instrumentsが国内流通をMedia Integrationに移管。ユーザーにはどんな影響があるのか担当者に聞いてみた

本日、2023年8月4日、Media Integrationから、Native Instrumentsの日本国内正規代理店業務を開始するというニュースが発表されました。これまでNative Instruments Japanが行ってきた日本国内市場における同社の製品の販売、流通、ユーザーサポートの業務が、本日、2023年8月4日よりMedia Integrationに移管される、というのです。これはNative Instrumentsの日本撤退のようにも見えるのですが、実はその真逆で、日本でのサービス体制強化、というのが背景にあるようなのです。

事実、Native Instrumentsの日本国内での売り上げは年々増しており、国内ユーザー数も増加の一途を辿っていたので、いわゆるリストラとは反対の状況。またNative Instruments Japanの社員の大半がMedia Integrationに移籍し、一部の社員は残ってNI日本法人も維持される、ということのようです。これはiZotope Japanが近年同様の協業体制により日本で大きく躍進したケースと似ています。一方でMedia Integrationへの移管に伴い、新たな日本公式ウェブサイトも8月末よりオープンし、すでに本日より、スタートページが公開されています。ここで気になるのは、NIの国内での流通が変わると、この先ユーザーにとってどんな影響が出るのか、ということ。Media Integrationのブランド担当竹本裕司さん、そしてNative Instruments Japanから同社へと移籍した大野聡一さんにオンラインインタビューしてきました。

Media IntegrationがNative Instrumentsの日本国内正規代理店業務開始を発表

Media IntegrationがNative Instrumentsの日本国内正規代理店業務を開始した理由

ーー今回NIの国内での流通が変わるとのことですが、これはどういうことなのでしょうか?
竹本:昨年、NI、iZotope、Plugin Alliance、Brainworxによる一大グループが設立されて話題になりました。そうした流れを受けて日本の組織を効率化していく中で、Native Instruments Japanの一部のスタッフ様に、Media Integrationの社員として合流いただく形となり、共同でNIの国内セールスを行っていく形になりました。もともとMedia Integrationでは、iZotopeとPlugin Allianceの国内流通を行っていたので、そういった意味でも、より日本の市場に最適化したサービスの提供が行えるようになると思います。これに伴い、ni-japan.jpというサイトを立ち上げました。

--これまでのnative-instruments.comとは別に登場する、ということですか?
竹本:その通りです。立ち上げた8月4日現在は、まだスタートページのみで、8月下旬をメドに製品紹介ページを含めた正式な公開を予定しています。このni-japan.jpがizotope.jp同様に日本のユーザーのみなさんへのポータルとなっていくので、基本的にはこちらにアクセスいただければ、必要なページへ誘導する形となります。

ni-japan.jpのスタートページ

より日本の市場に最適化されるNative Instruments

ーー今回の流通の変更、NIユーザーとして、何か変わることはあるのでしょうか?
大野:お客様に対しては、メリットとデメリットがあると感じています。デメリットとしては、今後、国内でMedia Integrationによるサポートを受けるために、Native Instrumentsでのユーザー登録とは別に、Media Integrationでの製品登録が必要になります。その点においては、煩わしさはあると思います。ですが、より多くのメリットが得られるような体制を整えています。まずはサポートの人数が増えることで、より手厚いサポートが可能になります。また日本語のコンテンツもどんどん増やしていくことで、より使いやすく、分かりやすくなるはずです。
竹本:一番大きな変化は、市場に最適化された結果、様々な面でユーザビリティが向上することです。お客様を支援できる日本語のコンテンツやマニュアルの充実、全国規模でNI製品を体験する場、イベントやセミナーなどが、今までよりも一層充実していきます。また今NIを愛用していただいているユーザーさんの困っていることに対して、FAQコンテンツやSNSでの情報発信なども充実していくので、より使いやすいものになっていくと思います。

Media Integrationの竹本裕司さん

ーー日本の市場に最適化されるとのことでしたが、具体的にどうなるのでしょうか?
竹本:具体的な例としては3ブランドが連携した国内独自のセール・キャンペーンの実施。また日本のアーティスト様を起用したNIコンテンツの配布も予定しています。さらにNATIVE SPOTとして、Native Instruments、iZotope、Plugin Allianceの体験や相談、キュレーションイベントを開催できるエリアを全国の楽器店様と協力して設置していく予定です。大野さんに協力いただくことで、各地域のアーティストさんをお呼びしたイベントも今後実施していきたいと考えています。

Native Instruments製品を購入する際の変化は?

ーーこれまでも楽器店やオンラインストアなど、国内の販売店でKOMPLETEパッケージ版を購入できる一方で、NI本国サイトでもKOMPLETEダウンロード版を買うことがきました。この点は何か変わっていくのでしょうか?
竹本:まず、KOMPLETE KONTROLのキーボードやオーディオインターフェイス、またやMASCHINEといった全てのハードウェア製品は、NI本国サイトで買うことはできなくなります。一方ソフトウェアに関して、KOMPLETEまたはアップデート版やアップグレード版は国内販売店からもnative-instrument.comからの直販でも購入可能です。
ただ、直接NI直販のページから購入されますと、前述の国内オリジナルコンテンツや特典などは受け取ることができなくなったり、いずれの場合も国内サポートはMedia Integrationでの実施となりますから、iZotope同様に国内流通から購入いただければスムーズです。

Native Instruments Japanから移籍したマーケティング担当の大野聡一さん

ーー国内の楽器店やオンラインストアなどでの価格と、NI本国サイトでの販売価格に違いはありますか?
竹本:前述の通りハードウェア製品は日本の直販サイト(NI本国サイト)で今後買うことができません。そのほかも価格自体に大きな違いはないのではと思います。ただし、楽器店やオンラインストアでの購入であれば、各お店ごとにあるポイントなどが付くという意味では実質的に安くなります。さらにPayPayやd払いといった日本独自の決済サービスも使えるので、そうした決済面でのメリットもありますから、今後はお客様の贔屓のお店から買っていただくことをオススメします。
大野:KOMPLETEシリーズにおいては通常版はもちろん、アップグレードやアップデートなど、すべての製品を日本の販売店でお求めいただくことが可能です。ただし、MASSIVEのみを買う、KONTAKTのみを買う、など単品製品に関しては、本国ページでしか購入できないのが実情です。私たちとしても、この分かりにくい状況は変えたいと思っているので、こうした問題については、本社に意見をぶつけに行こうと思っています。

ーーさらにお伺いしたいのが、これまでNIから無料で配られていたソフトなどがありましたが、こういったものは今後どうなるのでしょうか?
竹本:まだ具体的に何かが決まっているわけではありません。おそらく今日からはじまったiZotope Nectar 3Elementsの配布と同じで、Native InstrumentsからMedia Integrationにライセンスが提供されて、ユーザーの方々に配布する形になるのではないかと思います。そうした際には、我々としても積極的に告知をしていこうと思っています。

ーー今回のニュースを聞いて、驚きましたが、いい方向に向かうようで安心しました。
大野:今後、Native Instrumentsは日本のみなさんに優しいメーカーになっていけると思いますので、ぜひご期待していただければと嬉しいです。

ーーありがとうございました。

 

KOMPLETE 20周年記念SALEを開催

NI製品をMedia Integrationが扱うことになったことに伴うキャンペーンの第1弾として、アップグレード版を含むKOMPLETE全品(エデュケーション版を除く)が20%オフでゲットできセールがスタートしました。これはKOMPLETEが誕生して20周年を記念するセールとのこと。またキャンペーン期間中にいずれかのKOMPLETE 14製品(SELECTを含む)をNative Accessへ登録することで、iZotope Nectar 3 Plus(¥35,000相当)とMelodyne 5 Essential(¥11,000相当)もプレゼントされるそうなので、こちらも見逃せないポイントです。
さらに国内の楽器店や販売店、国内オンラインショップでNI製品を購入することで、秋以降に随時提供される予定のアーティストなどによる日本オリジナルNIコンテンツを観れる権利もゲットできます。

ぜひ、チェックしてみてください。

【関連情報】
Native Instruments 日本語ウェブサイト (8月末正式オープン予定)
Native Instruments 日本語サポートお問合せ窓口 (弊社サポート窓口)
2023年8月4日よりNative Instrumentsの国内代理店業務を開始
iZotope、Brainworx、Plugin AllianceがNative Instrumentsの一員になります(iZotopeブログ)

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