2020年にハンガリーのブダペストで設立されたプラグインメーカー、Karanyi Sounds。まだ新しい会社ながら、AI技術を積極的に取り入れたスタイリッシュなプラグインを次々にリリースしており、2025年4月からはクリプトン・フューチャー・メディアが運営するSONICWIREで国内販売がスタートしています。現在15タイトルがラインナップされていますが、今回はその中からボーカル向けエフェクタのCloudmax Breezeと、ローファイ系キーボード音源のLofi Keys 2の2製品をピックアップして紹介していきます。
どちらもAI機能を搭載しながら約10,000円という手頃な価格で、操作もとてもシンプル。Cloudmax BreezeはAIがボーカルを解析してリバーブやEQなどのパラメータを自動調整してくれるエフェクタであり、Lofi Keys 2はピアノ、シンセ、ウェーブテーブルの3エンジンを搭載し、現代的なローファイサウンドを即座に作り出せる音源となっています。また、5月21日までKaranyi Soundsのソフトのセールが実施中で、Cloudmax BreezeとLofi Keys 2にいたっては71%オフとなっています。実際にどんな製品なのか、その詳細を見ていきましょう。
デザインとAIにこだわるハンガリー発の新興デベロッパ、Karanyi Sounds
Karanyi Soundsは、2020年にハンガリーの首都ブダペストで設立された比較的新しいデベロッパ。まだ設立から6年ほどではありますが、すでに音源やエフェクタを合わせて15タイトルをリリースしています。
同社の製品に共通する特徴として、大きく2つのポイントがあります。1つ目は、とにかくUIのデザインがスタイリッシュであること。どの製品も統一感のある美しいインタフェースで設計されており、画面に立ち上げているだけテンションの上がる仕上がりになっています。
2つ目の特徴は、AIなどの先進的な技術に対するアンテナの感度が非常に高いことです。今回紹介するCloudmax BreezeやLofi Keys 2にもAI機能が搭載されていますが、単にAI搭載と謳うのではなく、あくまで音楽制作のワークフローを快適にするための裏方として、AIをスマートに活用しているのです。たとえば、プラグインに音声を入力したり演奏を行ったりするだけで、AIがその音質的特徴を解析し、最適なパラメータに自動調整してくれるといった機能を搭載しています。
また操作性の面でも、つまみの数を極力少なくし、直感的に触れるよう設計されているのがKaranyi Sounds全体の方針。そのため、エフェクタの操作に不慣れな初心者でも迷わず音作りができるのはもちろん、経験豊富なクリエイターにとっても、インスピレーションを逃さず素早く目的のサウンドに到達できるようになっています。
AIがボーカルを自動解析するエフェクタ、Cloudmax Breeze
さて、まずはCloudmax Breezeから見ていきましょう。これはボーカルトラックに特化したエフェクトプラグインで、実売価格は約10,000円(税込)と手頃な価格に設定されています。
Cloudmax Breezeは、ボーカル処理に欠かせないリバーブ、イコライザ、コンプレッサ、サチュレーションといったエフェクト群が1つのプラグインにまとまっており、それらを一括してコントロールできるのが最大の特徴。iZotopeのNectarといったオールインワンボーカル処理プラグインと比べると、Cloudmax Breezeはよりアナログ感が強く、トラックに適用するだけで、ふわっとした心地よい広がりを感じるサウンドになりますよ。
高域を強調しても耳に痛くならなく、自然にブーストしてくれ、ジャンルを問わず幅広く使えますが、とくにローファイやアンビエント系の楽曲との相性は抜群。
中央には大きな「Breeze」ノブが配置されていて、これがCloudmax Breezeの心臓部であり、ドライとウェットのバランスをコントロールするマクロノブとして機能しています。ここを回すだけで、内部で動作する複数のエフェクトのパラメータが連動し、ダイナミックにスケーリングされる仕組みになっています。
つまり、全体のエフェクトの深さをこのノブ1つで感覚的にコントロールできるようになっているのです。大きなBreezeノブの周りにはリング状のインジケータが備わっており、ノブの設定に基づいて各パラメータの実際の値がリアルタイムに光って表示されるため、視覚的にも効果を把握しやすくなっています。
その下に並んでいるのが、5つの詳細コントロール。「SPACE」はリバーブの量、「SPAN」はリバーブテールのフィードバックをそれぞれ調整できます。この2つの組み合わせで、親密な小部屋の鳴りから広大なアンビエンスまで、幅広い空間を作り出すことが可能です。
「MAKEUP」は、WavesのVocal Riderといったオートゲインのように、ボーカルの音量のばらつきを自動的に整えてくれます。内部的にはコンプレッサとゲイン補正が連動しており、これを回すだけでオケに埋もれない均一で聴きやすい音量感を作ることができます。「CRISP」は高周波帯域を調整し、ボーカルの明瞭さと輝きを引き出すパラメータ。そして「HEAT」は、AI技術を使って、アナログ機材を通したような温かみや、少しざらついた心地よい質感を足すことができるようになっています。ちなみにこのHEAT機能は、スイッチひとつで簡単にオン・オフを切り替えることが可能。
実際の音作りのアプローチとしては、大きく分けて2つの方法が用意されています。1つ目は、あらかじめ用意されたプリセットから好みの音を選ぶ方法。男性ボーカル向け、女性ボーカル向けなど複数のプリセットが用意されており、選ぶだけでそれぞれのパラメータが自動的にセットされます。あとは中央のBreezeノブで全体のかかり具合を調整し、必要に応じて下の5つのパラメータで微調整していくのが基本的な流れとなります。
そして2つ目が、Cloudmax Breeze最大の目玉といえる画面上部の「CAPTURE」ボタンを使う方法。ボーカルトラックにプラグインを挿し、このボタンを押した状態でDAWを数秒間再生すると、AIが入力信号を即座に分析。ボーカルの特性に合わせてリバーブのサイズやEQなどの設定を自動的に最適化してくれるのです。
つまり、自分でプリセットを選ぶか、曲を流してAIに最適な土台を作ってもらうか、2通りのアプローチでスムーズに音作りを始められるようになっています。AIが作った設定が気に入ればそのまま使えばよいですし、少し変えたい場合は各パラメータを手動で触るだけでOK。エフェクタの深い知識がなくてもプロクオリティのボーカル処理に近づけるのは、大きな魅力ですよね。素早くボーカルのサウンドを決めることができるので、インスピレーションを損なわずに作業を進められ、デモ段階での仮ボーカルミックスをサッと仕上げる用途や、コーラスなどを処理するサブのボーカルエフェクタとして使う場面など、スピード重視の作業でも大いに力を発揮してくれますよ。
3つのサウンドエンジンとAIエフェクトを搭載したローファイ鍵盤音源、Lofi Keys 2
続いて紹介するのはLofi Keys 2です。こちらはピアノや電子ピアノ、シンセサイザ、そしてウェーブテーブルシンセシスを組み合わせたハイブリッドなソフト音源となっており、その名の通りローファイ系のサウンドを得意としています。
価格はCloudmax Breezeと同じく約10,000円(税込)と、こちらもリーズナブルな価格設定となっています。
Lofi Keys 2のUIは横に広い構成になっていて、大きく3つのエリアに分かれています。左側がプレイヤーエリア、中央がエフェクトエリア、右側がカラーリングエリアです。
まず左側のプレイヤーエリアでは、KEYS、SYNTHS、MINIWAVEという3つのサウンドエンジンを切り替えて使用でき、これらを並行してミックスできます。KEYSはピアノなどのサンプル再生エンジン、SYNTHSはシンセサイザ系のサンプル再生エンジン、そしてMINIWAVEはウェーブテーブルシンセとなっています。これら3つのエンジンはそれぞれ完全に独立して動作しており、個別にゲインコントロールで音量を調整できるため、3つのレイヤーを重ねて独自の複雑なサウンドを作り上げることができるようになっています。
各エンジンには、オクターブ、デチューン、トーン、ローパスとハイパスを組み合わせたフィルタといった基本的なパラメータが用意されています。MINIWAVE選択時には、ウェーブテーブル内の再生位置を選ぶKEYFRAMEと、エンベロープに基づいて波形の変化を制御するDISTANCEという特有のパラメータが表示されます。
さらに各エンジンごとにアタック、ディケイ、サステイン、リリースのADSRエンベロープが設定でき、音の時間的な変化を細かく追い込むことが可能。これらのパラメータの調整具合が単なる数値の羅列ではなく、グラフィックによってビジュアルで表示されるのが、特徴でもありますね。現在の設定や音の変化を直感的に捉えることができるため、よりスムーズで視覚的な音作りができるようになっています。
中央のエフェクトエリアには、3つのエフェクトモジュールが並んでいます。1つ目はNEURAL AMPです。Neuralという名称が示す通り、ニューラルネットワークを用いて実機のアンプやサチュレータ特有の質感、挙動を精密にモデリングしたアンプシミュレータとなっています。この音源専用に設計された複数のアンプモデルから選択でき、トーンEQノブとドライ/ウェットのノブで直感的に音色を調整できます。
2つ目がNEURAL SPACEで、これがLofi Keys 2のAI機能に該当します。ここでもCloudmax Breezeと同様のAI技術が活かされており、LEARNボタンを押してLofi Keys 2で演奏を行うと、AIが演奏内容を解析し、その演奏に最も適したリバーブ空間を自動で構築してくれる仕様となっています。
3つ目はVAPOR DIMENSIONで、モジュレーションとステレオプロセッシングを担当しています。ステレオワイドナーといった各種プリセットが用意されて、サウンドをうねらせたり、存在感を出したり、このモジュール1つで完結するようになっています。また、これら3つのエフェクトモジュールは、ドラッグ&ドロップでシグナルチェインの順序を自由に入れ替えることができるのも嬉しいポイントですね。
そして右側のカラーリングエリアは、まさにローファイサウンドの核となる部分。VINYL、TAPE、DIGITAL、BITCRUSHという4種類のノイズタイプから選択でき、ノイズの適用量をツマミでコントロールできます。入力された楽器の音量に追従してノイズが停止するスレッショルド機能や、ノイズがフェードアウトする時間を決めるリリース機能、ノイズ自体へのフィルタリング機能なども搭載されています。さらにWOWパラメータを使えば、サウンドソースにカセットテープのような不安定さを加えることもできますよ。
画面上部にあるプリセットメニューから全体のプリセットを選べば、3つのエンジンの音色選択からエフェクト設定、ノイズの設定まですべてが一括でセットされます。
また、フッターにあるKEYS、SYNTHS、MINIWAVEの各ボタンを押すと、それぞれのエンジンの音色が個別にランダムで選択されるスマートランダマイザ機能も搭載されています。アイデアに行き詰まったときや、思いもよらないサウンドに出会いたいときに大いに活用できるはずですよ。
R&Bやヒップホップ、ローファイ系の楽曲で聴くような、ノスタルジックでありながらもモダンなキーボードサウンドから、ローファイだけでなく、シネマティックなサウンドスケープやモダンポップなど、幅広いジャンルに対応できるポテンシャルを持った優秀な音源となっていますよ。
期間限定の特別セールでお得に手に入れるチャンス
どちらのプラグインも、これだけ高度な機能と充実したサウンドメイキング能力を備えながら、通常価格が約10,000円(税込)というのは魅力的ですよね。そして、冒頭にも書いたように、さらにお得に購入できるキャンペーンが4月30日~5月2日までの期間限定で実施中で、Cloudmax BreezeとLofi Keys 2は71%オフという激安価格で販売されています。
以上、Karanyi SoundsのCloudmax BreezeとLofi Keys 2について紹介しました。どちらの製品にも共通しているのは、最先端のAI技術を活用しながらもUIを極力シンプルに保ち、直感的に使えるよう設計されている点。Cloudmax Breezeは曲を流すだけでボーカルに最適なエフェクト設定を自動で作ってくれますし、Lofi Keys 2もプリセットやランダマイザを活用すれば、すぐにモダンなローファイサウンドを手に入れることができます。ハンガリー発の新興メーカーながら、そのクオリティと洗練されたデザインセンスは確かなもの。ぜひこの機会に、Karanyi Soundsのプラグインを自身の制作環境に取り入れてみてはいかがでしょうか?
【関連情報】
Cloudmax Breeze製品ページ
Lofi Keys 2製品ページ
【価格チェック&購入】
◎SONICWIRE ⇒ Cloudmax Breeze
◎SONICWIRE ⇒ Lofi Keys 2




















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