スウェーデン・ストックホルムに拠点を置き、数々のアワードを獲得してきたプラグインデベロッパXLN Audio。そのXLN Audioから、新しいマルチエフェクトプラグインであるDB-30 Drum Butterが3月31日に発表・発売されました。通常価格は21,956円(税込)ですが、4月30日まで発売記念価格として10,978円(税込)のセールも実施しています。
XLN Audioといえば、なんといっても世界定番のドラム音源であるAddictive Drumsを開発したメーカーであり、それに次ぐ人気を誇るピアノ音源Addictive Keysの会社としてもよく知られています。またエフェクトプラグインとしては、ローファイサウンドのジャンル自体を定義づけたともいわれる大ヒット製品RC-20 Retro Colorが有名ですが、今回登場するDB-30 Drum Butterはその兄弟機種という位置づけになります。ドラム音源のトップメーカーが「ドラムは楽しいものであるべき」という理念のもと開発したドラム特化型エフェクトであり、ループ素材やドラムマシン、実際に録音したドラムトラックなど、あらゆるドラムサウンドに個性と力強さを手軽に与えることができる強力なツールとなっています。VST3、AU、AAXフォーマットに対応し、主要なDAWで幅広く使用することができるDB-30 Drum Butter。実際どのようなことができるプラグインなのか、紹介していきましょう。
大ヒットツールRC-20の思想を受け継ぐドラム専用エフェクト
ドラムの音作りは難しく、狙った通りのカッコいいサウンドが作れず、悩んでいる方は多いのではないでしょうか?キックの低域処理やスネアの抜け具合、また金物系の広がりなど、複数のエフェクトを組み合わせて緻密な調整を行う必要があり、時間と労力がかかる作業であるというのは、DTMユーザー共通の悩みだと思います。
そうした中、ドラムのプロセッシングをもっと直感的に、そして楽しく行えるように設計されたのが、今回XLN AudioからリリースされたDB-30 Drum Butterです。世界標準のドラム音源であるAddictive Drumsを開発しているメーカーだからこそ、ドラムサウンドの要点や、ユーザーが音作りでつまずきやすいポイントを知り尽くしており、そんなノウハウが、このエフェクトには凝縮されているのです。
XLN Audioはこれまでにも数多くの優れたインストゥルメントやエフェクトを世に送り出してきましたが、中でもRC-20 Retro Colorは、世界中の音楽クリエイターに愛用され、現代の音楽シーンにおけるローファイサウンドの質感を決定づけた名機となっています。
今回登場したDB-30 Drum Butterは、そのRC-20 Retro Colorのレイアウトとワークフローの思想を色濃く受け継いだ兄弟機として位置づけられる製品。RC-20 Retro Colorを使用したことのある方であれば、画面を見た瞬間に使い勝手のよさを理解できると思います。画面内には6つのエフェクトモジュールが並んでおり、それぞれが連携して動作するように設計されています。複雑な配線や難解なパラメータに悩まされることなく、柔軟性と使いやすさの最適なバランスが保たれています。
各モジュールには、コ大きなノブが配置されています。基本的にはこの大きなノブを回すだけで、各エフェクトの適用量を調整し、直感的に音色を変化させていくことが可能。また、画面上部にはプリセットブラウザも用意されており、豊富に収録されたプリセットの中から好みのものを選ぶだけで、簡単にいい感じのサウンドを作ることもできます。まずはDAW上のドラムトラックにこのプラグインを挿入し、用意されているプリセットを順番に試していくだけでも、これまでとはまったく異なるドラムサウンドに出会うことができますよ。
ドラムサウンドを激変させる6つの強力なモジュール
さてDB-30 Drum Butterの心臓部である、画面に並んだ6つのエフェクトモジュールを見ていきましょう。それぞれがドラムサウンドおいしいところを調整できたり、サウンドを変化させるために特化したアルゴリズムが搭載されています。
BOOM SHACK
1つ目のモジュールはBOOM SHACK。これはドラムサウンドに重厚感と個性を与えるためのモジュールとなっています。キックドラムなどの低域に対しては、サブベース成分であるブームを追加し、スネアやハイハットなどの高域に対してはノイズ成分であるシャックを簡単に追加可能。現代のポップスやダンスミュージックでは、キックの低域を補強するためにサイン波などをレイヤーする手法は一般的ですが、このモジュールを使えばそうした処理をサクッと行うことができます。
BOOM SHACKの大きなノブは、中央のノブで低域のブームを、外郭のノブで高域のシャックを個別に調整できるデュアルノブ構造になっており、このノブで楽曲のボトムエンドと高域の質感を自在にコントロールできます。また、ビジュアライザ上のスライダを使えば、キックやスネアといった各レイヤーが反応するポイントを個別に調整することも可能。
SHIFT
2つ目はSHIFTモジュール。これは入力されたサウンドの周波数とフォルマント、音色そのものに作用して、サウンドのキャラクタを作り変えることができるモジュール。1970年代半ばから先進的なプロデューサたちによって用いられてきたエフェクトを基にしており、大きなノブを時計回りに回すとドラム全体の音域が上がり、軽快でパーカッシブな響きに。逆に反時計回りに回すと、ピッチとフォルマントが下がり、高域が削られてハイカットフィルタを掛けたような、落ち着いたサウンドになります。
単なるピッチシフトではなくフォルマントも制御できるため、ドラムのシェルサイズを変えたような自然な響きの変化から、別物の打楽器へと変える過激な加工まで幅広く対応しています。さらに下部のFocusフィルタを使うことで、特定の周波数帯域にだけこのシフト効果を適用するといった音作りも行えるのもポイント。
SPACE
3つ目はSPACEモジュール。これはサウンドに残響効果を加えるモジュールで、自然なドラムルームの響きから、過去の名機とされるビンテージのハードウェアリバーブの質感まで、複数のオプションが用意されています。大きなノブを回すことで、リバーブのレベルを調節するというシンプルなものとなっています。
空間を加えることでドラムの存在感を大きく広く見せることができたり、奥行きといった距離感も簡単にコントロール可能。また、Pan/Widthコントロールを備えているため、リバーブの広がりを狭めたり、左右どちらかに寄せたりと、空間内の配置まで細かく設定することもできます。
COMPRESS
続いて4つ目はCOMPRESSモジュールです。コンプレッサはドラムの音作りにおいて重要ですが、難解なエフェクトの1つでもあります。そんなコンプレッサも、DB-30 Drum Butterであれば、簡単に設定することが可能。このモジュールには、定番のコンプレッションスタイルをベースに、ドラム向けに最適化された6つのコンプレッサモードを搭載しており、ノブを上げていくだけでいい感じのコンプを効かせていくことができます。
また、原音と深く圧縮した音を混ぜ合わせるパラレルコンプレッションがミックスノブで簡単に実現できるだけでなく、スライダ操作で小さい音を引き上げるUpwards Compressionをブレンドしたり、シングルバンドコンプとマルチコンプの割合を自由自在にコントロールすることもできます。
SATURATE
5つ目はSATURATEモジュール。名前の通り、これはサウンドに歪みを加えるセクションであり、ノブを上げていくことでサチュレーションやディストーションが増し、ドラムの音にエッジ感を加えることができます。6種類の歪みモードから選択することができ、おとなしいアナログテープの飽和感から、激しく破壊的な歪みまで、ドラムのキャラクタを大きく変えることのできるモジュールとなっています。
ただ全体を歪ませるだけでなく、Targetスライダを調整することでトランジェントはクリーンに保ったまま、余韻部分だけにサチュレーションを加えるといった処理も、直感的に行えるのが大きな特徴です。
MORE
そして最後、6つ目がMOREモジュールです。サウンドにもう少し何かが欲しいと感じたときに使うモジュールで、技術的にはウェーブシェイパーとクリッパーを組み合わせたものとなっています。ピークを抑えつつ倍音を付加して音圧を稼ぐことができ、微妙にラウドネスを持ち上げたい場合から、ビートを思いっきりクラッシュさせたい場合まで、さまざまな使い方をすることができます。
さらに「x2」や「x4」といったボタンを使うことで、歪みを何段階にも重ね、強烈な倍音とアナログ感を追加していくことも可能になっています。
直感的な操作性を高める自由なルーティングとMagnitudeスライダー
DB-30 Drum Butterの魅力は、個々のモジュールの質の高さだけでなく、それらを統合してコントロールするための直感的なインターフェースも大きな特徴です。
音声信号は左のモジュールから右のモジュールへと順番に流れていき、各モジュールで処理されていきます。この際、最初にあるBOOM SHACKモジュールと、最後にあるMOREモジュールは位置が固定されていますが、その間にあるSHIFT、SPACE、COMPRESS、SATURATEの4つのモジュールについては、自由に順番を並べ替えることが可能。各モジュールの左上隅をマウスで掴んでドラッグアンドドロップするだけで、簡単に順序を変更できますよ。
たとえば、コンプレッサの後にリバーブをかけるか、リバーブの残響も含めてコンプレッサで圧縮するかによって、出力されるサウンドは変わってくるので、直感的な操作で信号の流れを組み替えながら、新しいサウンドの可能性を探求できるようになっています。
さらにユニークなのが、画面の右上にあるMAGNITUDEスライダー。これは、6つのモジュールの適用量とマスターセクションの音量バランスを、一度にまとめて増減させることができるマスターコントローラー。このスライダを動かすと、各モジュールの大きなノブが比例して動く様子が視覚的にも確認できるようになっています。
DAW上でこのMAGNITUDEスライダをオートメーションで動かせば、楽曲の展開に合わせてドラムのエフェクト量を徐々に増やしていったり、サビの直前で一気にエフェクトをオフにしてドロップを作るなど、ダイナミックな演出を簡単に作ることが可能。複数のパラメータを個別にオートメーションさせる手間を省いて、より音楽的で感覚的なアプローチを行うことができます。
また、少し触れましたが各モジュールにはFocusフィルターやTargetスライダーといった詳細なパラメータも用意されており、効果を適用する周波数帯域を限定したり、トランジェント部分とサステイン部分のどちらにエフェクトを強くかけるかを個別に操作したりすることもできます。
まずはプリセットを選択し、各モジュールの大きなノブでかかり方をコントロール。操作に慣れてきたり、より詳細にコントロールしたくなったりした際には、各モジュールの細かいパラメータを調整していくことができるという、懐の広さもポイントです。
最終的な質感を決定づけるマスターセクション
画面の最下部には、サウンドの最終的な仕上げを行うマスターセクションが設けられているので、ここについても簡単に紹介しましょう。ここでは、プラグインに入力されるレベルと出力されるレベルを調整できるほか、不要な低域や高域をカットするハイパスやローパスフィルター、全体のトーンを素早く整えるためのトーンオプションが備わっています。
また高域のきらびやかさを調整するAirコントロールも搭載されており、単に高域のイコライザをブーストするのとは違い、耳障りな成分を強調することなく、ドラムサウンドに自然な空気感やプレゼンスを加えることのできるパラメータも用意されています。
また、このマスターセクションにはAttackとSustainという2つのノブが配置されていて、ドラムのアタック感と余韻の長さを簡単に調整することも可能。いわゆるトランジェントシェイパーで、過激なディストーションや強烈なコンプレッションをかけると、ドラム本来のパンチやアタック感が失われてしまい、音が奥に引っ込んでしまうことがよくあります。が、このAttackノブを上げると、エフェクト処理を施す前のドライサウンドのトランジェント部分がうまくブレンドされ、失われたパンチを効果的に補うことができるようになっています。
さらに、このセクションにはUndoおよびRedoボタンが用意されており、操作を誤った場合でもすぐに前の状態に戻すことができます。また、現在の設定状態を一時的に保存できるSNAPSHOTSスロットが4つ用意されており、異なる設定を保存して聴き比べを行うといった作業もワンクリックで行えます。プリセットとして保存するまでもない、ちょっとしたアイデアの比較検討などに役立つ機能となっています。
世界のトップクリエイターも絶賛する新感覚のドラムツール
このXLN Audio DB-30 Drum Butterについて、開発者やクリエイターによるコメントが、公式ページに載っていたので、少し紹介しておきますね。
まず、XLN AudioのプロダクトマネージャであるMatt Mitchinson氏は、開発の背景について次のように語っています。
「私の経験上、ドラムのプロセッシングはミキシング作業のように、完璧を追い求めるだけの単調な作業になりがちです。DB-30 Drum Butterは、RC-20 Retro Colorがもたらしたような魔法をドラムにもかけられるように、そしてクリエイティブなワークフローの中で刺激と楽しさを提供できるように開発を進めてきました」
また、デザインリードを務めたStaffan Ösp氏も、このプラグインに込めた思いについて
「新しいディストーションペダルを手に入れると、すぐにギターを弾きたくなりますよね。DB-30にもそれと同じ感覚を求めたのです。細かな調整に没頭するのも良いですが、私としてはもっと直感的にサウンドを探求できる機会を作りたかった。2つの異なる要素を融合させる大きなノブとクロスフェーダは、これまで以上に楽しく新しい要素をもたらしてくれるはずです。実際、開発プロセス自体がとても楽しいものでした」とのこと。
このように、単なる音響処理の道具としてだけでなく、楽器のように直感的に触って新しいサウンドを生み出す「楽しさ」を追求して誕生したのが、このDB-30 Drum Butterのようです。実際、すでにこのプラグインを試した世界の第一線で活躍するトップクリエイタたちからも、絶賛の声が多数寄せられているみたいです。
たとえば、The WeekndやTravis Scottなどのプロデュースを手掛けるTommy Rush氏は「これはもう、すべての楽曲で使うことになるプラグインだね」とのこと。Ed SheeranやTiëstoと作業を共にするプロデューサデュオのParisiも「時代を作り変えるレベルのプラグイン。驚異的なパワーだ」と高く評価しています。また、伝説的DJであるDJ Jazzy Jeff氏も「すべてのドラムバスにこれを挿すことになりそうだよ。これだ、これが決定版だ」と語るなど、業界内でもかなりの期待が集まっているようです。
さらに、TYCHOとして知られるScott Hansen氏は「最高だ。これはすごい。作ってほしいと思っていた機能が、すべてひとつのプラグインに詰まっている」と述べ、ビートメーカのRohan氏も「DB-30は、シンセのようなカスタマイズ性とモジュラー性をドラムの世界にもたらしてくれる」と、その革新性に太鼓判を押しています。
RC-20 Retro Colorがそうであったように、このDB-30 Drum Butterもまた、今後の音楽制作における新たなスタンダードツールとして定着していく可能性を大いに秘めていそうです。直感的な操作性と圧倒的なサウンドクオリティを両立させたこのプラグインは、ドラムの音作りに悩む初心者から、さらに新しいサウンドを追求したいプロフェッショナルまで、幅広い層のDTMユーザーにとって強力な武器になってくれるはずですよ。
以上、XLN Audioの新しいドラム専用マルチエフェクトプラグイン、DB-30 Drum Butterについて紹介しました。RC-20 Retro Colorの直感的なワークフローを受け継ぎながら、ドラムサウンドを劇的に変化させる6つの強力なモジュールと、全体を自在にコントロールするMAGNITUDEスライダーを備えた、魅力的なツールに仕上がっていましたね。複雑なルーティングや細かいパラメータ設定に頭を悩ませることなく、音楽的な直感に従って操作するだけで、誰もがプロフェッショナルなドラムサウンドを手に入れることができる画期的な製品でした。
冒頭でも書いたように4月30日までは、お得な発売記念価格で購入することが可能です。普段のドラムサウンドに物足りなさを感じている方や、もっと自由で創造的なビートメイクを楽しみたいという方は、ぜひこの機会にDB-30 Drum Butterを導入し、魔法のような効果を体験してみてはいかがでしょうか?
【関連情報】
DB-30 Drum Butter製品情報
【価格チェック&購入】
◎ハイ・リゾリューション ⇒ DB-30 Drum Butter

















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