無料のDAW、Cakewalk(旧SONAR)がまたまた大幅アップデート。安定度が向上し、より使いやすく

ギブソンの経営破綻の影響で、一度は廃業に追い込まれたCakewalk。しかしシンガポールの企業、BandLabがCakewalkの事業を買い取ったことにより、奇跡の復活を成し遂げたことは「SONARが名称変更して復活!旧ユーザーは無料でアップグレード!?Cakewalkを買収したBandLabのCEOに聞いてみた!」という記事でもお伝えしました。しかも、BandLabのCEOの「多くの人にDAWを気軽に使ってもらいたい」という考えによって、SONARとして販売を続けるのではなく、フリーウェアとして配布してしまうという、常識外れともいえる展開となり、昨年4月4日にリリースされた話は、「シンガポールのBandLab社によりCakewalk=SONARが奇跡の復活、全ユーザーへ完全無料公開!インストール方法と、いくつかの注意点」でもお伝えしたとおりです。

そのCakewalkは、その後も着実に進化を続けており、8月1日に、また最新版となる「Cakewalk by BandLab 2019.7」というバージョンがリリースされました。従来通りWindowsのみの対応ではありますが、BandLabによると、これまでのバージョンアップの中でも最大級のものなのだとか。改めて、インストールして試してみたので、紹介してみましょう。

Cakewalk by BandLabが2019.7いうバージョンになった

音楽制作をする上での中枢となるソフト、DAWが無料で本当にいいのだろうか、これが無料だと業界全体に悪影響を及ぼさないのか……という思いは持つものの、ユーザーにとっては、これ以上の嬉しいことはない、Cakewalkの無料提供。Cakewalkという会社自体は消滅し、DAWとしての名称はSONARからCakewalk by BandLabと変わったわけですが、5万円程度で販売されていたときと比較して、機能ダウンするどころか、機能強化されていて、さらに進化を続けているのです。また、当初、英語のみの対応となっていましたが、その後、従来通り日本語メニュー表示となり、最新版でも問題なく使うことができます。

Cakewalkがギブソン傘下にいた時代、国内ではTASCAMから販売されていましたが、その当時のSONAR PlatinumにはD-ProやRapture、Session Drummer 3などCakewalk開発のプラグイン音源がいろいろ入っていたものはなくなり、現在は

SI-Bass Guitar
SI-Drum Kit
SI-Electric Piano
SI-String Section
Cakewalk TTS-1
という5つのみになっているのが、機能ダウンしたポイント。とはいえCakewalkはVSTに対応しているので、自分の好きな音源を自由に使うことができるから、インストールサイズが小さくて、より機動力高く使えるDAWと割り切って考えてもいいかもしれません。

最新版をダウンロードし、インストールしたが、非常にスムーズに作業できた

必要あれば、先日「TR-808の開発者、元Roland社長の菊本忠男さんが40年の時を経て、新バージョンRC-808を発表。度肝を抜くサウンドと拡張性を持ち無料でリリース」の記事で紹介したRC-808をCakewalkの音源として使うことも可能ですよ。その場合、まだVST版がリリースされていないため、Cakewalk用とRC-808用、それぞれにオーディオインターフェイスを用意したほうがいいと思いますが、CakewalkのMIDIトラックのMIDI出力先をLoopBe Internal MIDIに設定した上で、MIDIチャンネルを10chにすれば、すぐに使うことができますよ。

RC-808との問題なく連携させることができた

今回のバージョンアップでは、編集機能と、長年の残っていたバグを徹底的に潰す、ということに主眼が置かれており、150以上のバグ修正が行われた、とのこと。そのため、日本語Windows環境においても、非常に安定した動作を実現しているようです。

日本語Windows上で日本語メニューのソフトとして安定して動いてくれる

長年CakewalkのCTOとしてSONARの開発を行い、BandLab傘下となった現在もCTOとして開発を続けているNoel Borthwickさんが、ビデオを交えて機能解説(https://discuss.cakewalk.com/index.php?/topic/5812-201907-feature-overview/)をしているので、そのビデオを少しお借りしつつ、新機能をいくつか紹介してみましょう。

まずは、1つのトラックに繰り返し録音するなどして複数レーンに分かれたレコーディング結果らから、いいところをつなぎ合わせるコンピング。そのコンピングした結果の一部を自由に他の場所にコピーしていくという方法。派手な機能ではないですが、とっても便利そうですよね。

一方、マウスカーソルを置く位置によって、機能が自動的に変わる便利な機能、スマートツール。そのスマートツールで使える機能をあえて設定できるようになったのも今回のバージョンアップポイントです。

たとえば、コンピンングは通常はオンになっていますが、これをオフにすることによってレーン表示での編集機能の動作に違いが出てきます。

また、レコーディングの際、デフォルトではコンピングモードになっており、繰り返しループレコーディングすると、1つのトラックに複数のレーンが自動的に生成され、それぞれに記録されていくのは従来通りですが、このレコーディングを終了した際、最終レコーディングでは、標準のコンピングルールを使用してデータが適切にトリミングされ、最新のテイクのみが聴こえるようになるのも新機能です。


そのほかオートメーションのコピー&ペーストというのも使えるようになりました。たとえばVolumeのオートメーションをコピーして、PANに貼り付けるといったことが可能になったのです。そんな用途がホントにあるのか、いまひとつピンとこないところではあるけれど、自由度は増しているわけですね。

ほかにも、いろいろと進化し、とにかく安定して使えるというのが最大のポイント。ほかのDAWを使いつつMIDIの入力だけはCakewalkを使うとか、ミックスだけはCakewalkを使う……など、利用法はいろいろありそうなので、Windowsユーザーであれば、一度試してみても面白いと思います。

【関連情報】
Cakewalk by BandLab
BandLabサイト

【ダウンロード】
◎BandLab ⇒ Cakewalk

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