誰でも簡単にカッコいいドラムの打ち込みができるUJAMのVirtual Drummer 2、サウンドも自由に変えられて超強力

「いい感じのドラムを入力したいけど、なかなかカッコよくできない」、「オーディオループ素材のドラムもいいけど、手直しがしづらくて……」なんて思いを持っている方も少なくないと思います。そうした中、ドイツのUJAM(ユージャム)が先日リリースしたVirtual Drummer 2というソフトが非常に強力で便利です。

Virtural Drummer 2は、WindowsおよびMacのVST、AAX、AudioUnitsで動作するプラグインのドラム音源ですが、数多くの音色プリセットを持ち、音色をいろいろとエディットできると同時に、非常に多くのドラムパターンを持ち、それをドラッグ&ドロップで各種DAWのMIDIトラックに置いてドラムトラックを簡単に作っていくということができるソフトなんです。オーディオのループ素材と違い、自分の思う形に少し修正するのも簡単だし、キックだけをよりタイトな音にする、スネアのリバーブを深めにかける……なんてことも自由自在にできるのです。どんなソフトなのか紹介してみましょう。

誰でも簡単にカッコいいドラムフレーズを入力できるUJAMのVirtural Drummer 2。画面はSOLID

UJAMはドイツ・ブレーメンにあるソフトウェアメーカーで、同社が出している簡単にカッコいいギターフレーズが入力できるVirtual Guitaristをご存知の方も多いと思います。Virtual Guitaristの姉妹ソフトのように開発されたドラムを簡単に入力するソフトがVirtural Drummer 2なのです。先日、UJAMの日本マーケティング担当のジャネム@ujam_jp)さんがVirtual Drummer 2の紹介ビデオを公開していたので、ご覧になってみてください。
※2019.8.17追記
UJAMの日本公式Twitterがあり、ジャネムさんが担当していることが分かったので追記しました。

ジャネムさん、日本が好きで、以前、福岡に1年、東京に1年ほど住んでいたこともあるのだとか。そんな方がいる会社というのも、日本のユーザーとしては、ちょっと嬉しいところですね。このビデオからなんとなくこのソフトの面白さはわかったでしょうか?

ビデオの中にもありましたが、Virtual Drummer 2はサウンドの系統によって3種類の製品があります。具体的には

汎用的に使えるSOLID
ファンク系のPHAT
ロック系・メタル系のHEAVY
の3種類。いずれもかなり強力なサウンドを備えた音源なのですが、たとえばWindows用のインストーラの容量を見てみるとSOLIDが535MB、PHATが466MB、一番大きいサイズのHEAVYでも1.40GBという音源となっています。

ファンク系なドラムサウンドを作成できるVirtural Drummer PHAT 2

そして、それぞれに190種類以上のサウンドプリセットを備えるとともに60のミュージックスタイルで収録された1380種のリズムパターンが収録されているのですが、実際使ってみると、あまりにも簡単で便利に使えて驚きます。

CubaseでもStudio OneでもAbilityでも何でもいいので、DAWを起動した上で、Virtual Drummer 2を組み込んだ、インストゥルメントトラックを作成します。この状態で、画面左側に表示されている鍵盤をクリックする、キック、スネア、タム、ハイハット……と各ドラムパーツを鳴らすことができます。画面にも表示されている通り、MIDIのC1~B2に割り振られているので、MIDIキーボードからも鳴らすことが可能なわけですが、これは一般的なドラム音源と同様の配列なので、このまま普通に打ち込んでいくこともできますね。

ロック系、メタル系を得意とする音源、Virtural Drummer HEAVY 2

一方、画面右側の鍵盤(鍵盤の下側の暗くなっている部分)をクリックしてみると、クリックしている間、ドラムフレーズが演奏されます。ここにもある通り、こちらはMIDIのC3~B4に割り振られているので、やはりMIDIキーボードから、フレーズも鳴らすことができるようになっています。

ここでサウンドプリセットのメニューから音色を選んでみると、そのドラムサウンドはかなり大きく変化します。SOLIDだけでも、非常に多くのバリエーションがあるので、幅広いジャンルの音楽制作に使えそうですね。そして、プリセットを変更すると、それにマッチしたスタイルが自動的に設定されるので、C3~B4を鳴らした際のフレーズも大きく変わるのも、なかなかグッと来るところ。どのフレーズもすごくカッコいいんですよ。たとえばそのSOLIDでのプリセット音色とフレーズで作った楽曲のデモがこちらです。


では、いい感じのプリセット音色、プリセットパターンが見つかったらどうするのか?これが実に簡単で、見つけたパターンをDAWのインストゥルメントトラックへドラッグ&ドロップで持っていくだけで、MIDIパターンが入力されるのです。この際、Virtual Drummer 2の画面右側の鍵盤の上半分、明るく表示されているところをドラッグ&ドロップするだけですね。

Virtural Drummer 2からMIDIトラックにドラッグ&ドロップすることで、ドラムフレーズを入力できる(画面はStudio One)

試しに、その生成されたMIDIのフレーズを開いて見てみましょう?たとえばキックの位置がドンピシャなタイミングから微妙にズレていたり、ハイハットの音量が揺れているなど、それぞれ独特なグループができていて、これがカッコよさを引き立てているんですね。もちろん、見ての通りの打ち込みのMIDIデータとなっているから、このフレーズを自由に修正することが可能となっています。

フレーズは独特なグルーブを持っている(画面はAbility Pro)

また、ドラム音色設定、音色づくりもとても分かりやすく簡単に、また必要あればより細かく突っ込んで行うことができるのもVirtual Drummer 2の重要なポイントです。たとえばPHATの場合、画面左側のDRUM KITというところを見ると、DRY、FRESH、DEEP、HIP、FATと5種類のドラムキット名がありますよね。これを変えていくと、同じプリセットであっても、かなりサウンドが変わっていきます。

DRUM KITを変更することでサウンドは大きく変わってくる

また、画面右側にはMIX PRESETと書かれたものがあります。たとえばHEAVYの場合、HIFI、RAW、RETRO、PUNCH、COMP、CRUSHという6つが用意されていますが、それぞれによってドラムキットのミックスの仕方が変わるので、同じドラムキットであっても、ずいぶんと雰囲気が変わってきます。

MIX PRESETを変更することでも、音の雰囲気は大きく変わる

さらに、ドラム音色をもっと作り込んでいきたいという場合は、各パーツごとにユーザーが積極的に音色調整することも可能になっています。たとえば画面左下のキックを見てみましょう。これを選択すると音量の調整ができるほか、Typeを使ってA、B、C、Dと、基本的に大きく傾向の異なるキックに替えることが可能です。さらにDecayで音の絞り具合、Tuneでチューニング、そしてReverbで音の残響を自由に変えられるようになっています。

キック、スネア、タム、ハイハット、ライド、クラッシュと各パーツごとに音を作り込むことができる

さらに、このVirtual Drummer 2では各パートごとに音の出力先をIndividualに設定することにより、DAWに対して別々のオーディオチャンネルに出力できるので、DAW側でボリュームのバランスを調整したり、キックだけにコンプをかけるとか、ハイハットのみにEQを設定する……なんてこともできるのです。こうした点からみても、すごく自由度が高いドラム音源だといえますよね。

パラアウトさせることで、DAW側で個別の音のバランスをとったり、エフェクト処理も可能(画面はCubase)

なお、Virtual Drummer 2は体験版を入手すれば30日間は、全機能をそのまま使うことが可能となっています。また、製品を購入後、その体験版をアクティベートすれば、製品版として使えるようになっています。SOLID、PHAT、HEAVYを1つずつ購入することもできるし、割安な3本セットを購入することも可能。まずは体験版を試してみてはいかがですか?

【関連情報】
Virtual Drummer SOLID 2製品情報
Virtual Drummer PHAT 2製品情報
Virtual Drummer HEAVY 2製品情報
Virtual Drummer BUNDLE 2製品情報

【価格チェック&購入】
◎SonicWire ⇒ Virtual Drummer SOLID 2
◎SonicWire ⇒ Virtual Drummer PHAT 2
◎SonicWire ⇒ Virtual Drummer HEAVY 2
◎SonicWire ⇒ Virtual Drummer BUNDLE 2

Commentsこの記事についたコメント

4件のコメント
  • ayu

    SteinbergのGroove Agentの旧いバージョンを思い出しました。バージョン4や現行の5は普通のドラム音源の方向にシフトしてライバル勢と真正面の戦いを繰り広げてます。バージョン3までは年表的なゲージの上でスライダーを動かすと時代ごとのリズムパターンを再生するタイムマシンのようなユニークなUIで勉強にもなったものです。そこにパラメーターで手数の多さやアクセント、フィルインのバリエーションなどを指定する流れ。音色サンプルの質と量で勝負するタイプのバーチャル音源は大手の優位になりがちですが、リズムを組むプロセスにフォーカスしたツールは新興メーカーにも参入障壁が低いでしょうしまだまだ可能性があると思えます。次世代を牽引していってほしいです。

    2019年8月16日 11:29 AM
  • pluteus junoh

    バージョンアップ記念50%OFFキャンペーン時の猛プッシュにほだされて、つい試しに「HEAVY」を手に入れてみましたが、さすがにオールマイティというわけにはいかないもののイージー・オペを標榜するだけあってなるほど良くできてますね。
    あらかじめ音も結構今風に作り込んであるのであまりいじる必要もなさそうですし、売りであるオペレーションの手軽さはやはりなかなかに魅力的。ループパターンのMIDIデータ搭載は他の音源でもありますけど、なによりそのダイレクトなワンストップ感覚が斬新ですよね。
    ザックリ使ってみた感じでは、ふと曲想が浮かんだらとりあえず即プリセットMIDIデータを放り込んでイメージが逃げる前に固めてしまう・・・のになにかと重宝するんじゃないでしょうかね。
    一方で、先ごろ社名変更したばかり新興のUgritone(旧 It might get Loud)がほぼ同時期に大幅オフで攻勢をかけてきた「Assault-Drums」。あまり期待せずこちらも手に入れてみたのですが、こちらはUJAMとは思想が正反対というか、基本構成としては愚直なくらい至ってシンプルであるが故にセットごとの設定が細かく行えることを売りにしているようで、じっくり時間をかけて作り込むことに特化していきたいらしい様子が伺えて面白かったですね。(事前にガッツリ準備が必要なのでまだちゃんとは試せていないですが・・・アイデア次第でいろいろできそうです)。
    いずれにしてもDrum音源は楽曲の要ですし、つまるところ結局はコレ!という決定打がいまだ定まらない(=安定の定番モノであってもなにかしら不満が残る)というのがユーザー・メーカー双方共通の実情認識なのでしょうか。
    UJAMにしろUgritoneにしろ、新興メーカーが低価格帯で隙間を狙った絞り込んだ新機軸をこぞって打ち出してくるこういった状況というのは、仮に「外れ」を引いたとしてもさして痛手にもなりませんし織込み済みの納得ずくで、なんだか楽しいです。
    「その仇花、おおいに結構!」ってところなんじゃないでしょうか。
    ただ、どうせならどちらもSnare-rollをプリセットしておいて欲しかったです・・・
    需要があまりないのかも知れませんが、いざ打ち込むとなるとなにかと面倒なので。

    2019年8月17日 2:01 AM
    • 藤本 健

      pluteus junohさん

      確かに、スネアロール、あってもいいですね。
      昨日、UJAMのジャネムさんがツイッターで絡んできていたので、気づきましたが、日本語Twitterアカウントがあるようです。
      @ujam_jp
      ここに直接要望してみるのもよさそうですよ。

      2019年8月17日 10:47 AM
  • pluteus junoh

    藤本さま
    そういえば「VirtualGuitarists」の日本語版紹介アニメを最近ネットで見ましたわ。
    UJAMさん、日本市場に本腰を入れてきてるのかも知らんですね。
    なるほど、直にリクエストしてみる、ってのもアリですかね。
    アドオンみたいに音源を追加できるといいなあ。
    もちろん二桁のラウンドロビンで。
    ダメ元でコンタクトしてみようかな、一応カスタマーではあるし。

    2019年8月17日 1:42 PM

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