DAW操作を超絶快適にするNovationのコントローラー搭載MIDIキーボード、Launchkey MK3の実力

先日、Novationの新たなUSB-MIDIキーボードLaunchkey MK3が4機種(25鍵、37鍵、49鍵、61鍵)が発売になりました。名前の通り第3世代目となる、このLaunchkeyは25鍵モデルのLaunchkey 25 Mk3で実売価格17,800円(税別)と手ごろな価格ながら、8×2のパッドや、各種フィジカルコントローラ、コード入力機能やスケール設定、アルペジエーター……と非常に多彩な機能を備えた機材。これをDAWと連携させることで、DAWの操作環境を劇的に向上させることができるというUSB-MIDIキーボードなのです。

Novationのサイトを見ると、冒頭から「Launchkeyは、Ableton Liveでトラックメイクをするための直感的で完全に統合されたMIDIキーボードコントローラーです」と書いてある通り、Ableton Liveと有機的に結合し、その機能を余すことなく使うことができるのですが、Ableton Liveに限らず、CubaseStudio OneFL StudioLogic Pro X……などほかのDAWでも快適に使うことができます。実際にどんなものなのか、49鍵のLaunchkey 49 Mk3と37鍵のLaunchkey 37 Mk3の2機種を借りて試してみたので、紹介してみましょう。

先日発売されたNovationのLaunchkey Mk3の4機種

Launchkey Mk3はさまざまなインテリジェントな機能を搭載したMIDIキーボードで、USBバスパワーだけで動作させることが可能です。USBクラスコンプライアントなのでWindowsでもMacでもドライバ不要で動作させることが可能で(Windowsの場合は、ファームウェアのアップデートなどをするためにNovationのドライバを入れることが推奨)、難しい設定など不要ですぐに活用できるのが大きな特徴となっています。

今回Launchkey 37 Mk3(上)とLaunchkey 49 Mk3(下)を借りて試してみた

とくにAbleton Liveで使う場合はDAW側の設定も一切不要で自動で最適なセッティングになるのがポイントですが、ほかのDAWでもMackie HUIという設定を行うことで、存分に活用することができます。そこで、あえてCubaseだったらどうなのかを最初に試してみたので、その様子をビデオでご覧ください。

どうですか?なんとなく雰囲気は分かったと思いますが、何をしたのかを簡単に解説してみます。Cubaseの場合は、Luanchkeyを自動認識・設定はしてくれないので、あらかじめ、スタジオ設定の画面でリモートデバイスとしてMackie HUIを追加するとともに、MIDIの入出力にLaunchkeyのコントローラ用MIDIポートを設定すればOK。

CubaseではコントローラとしてMackie HUIを指定すればフル活用できる

これでトランスポートボタンなども使えるので、プレイボタンを押すと再生がスタートします。ドラムパターンが鳴っていますが、これはCubase付属のループ素材をただ並べただけのものです。さらに録音ボタンを押すと、録音が開始されます。

ここではRoland Cloudの音源、JUNO-106を使ってみた

音源は何でもいいですが、ここでは先日紹介したRoland CloudにあるJUNO-106を設定しています。この状態でキーボードを弾けば普通に演奏できるのですが、試しにScale Chordというモードにした状態で、8×2のパッドを適当に押してみると、いい雰囲気のコードが鳴ってくれます。

視認性のいい液晶ディスプレイを搭載。スケールはデフォルトでC Minorとなっている

ちなみにデフォルトではC Minorとなっているので、そのままの状態。8つ並んだパッドの上の段は7th、下の段は9thとなっていますが、矢印キーで切り替えることで3和音のtriadにしたり、6/9thにしたり……なんてことも可能です。

上の8つのパッドは7th、下の8つのパッドは9thになっている

また事前にArpボタンおよびScaleボタンをオンにしておきました。Arpはアルペジエーターで、鍵盤を押すと押した音を自動的にアルペジオで鳴らしてくれるというもの。さらにScaleボタンは、先ほどのC Minorというスケールに合わせてくれるというものであり、どの鍵盤を押しても音を外さないようになっています。

Arpボタンを押してアルペエーターが機能するようにする

そんな状態にしておいたので、先ほどのパッドからのコード入力に加える形で、鍵盤を弾いてみたのです。弾くといっても、スケール設定されているから、デタラメに適当に鍵盤を押しただけで、ちゃんと合った形で音が鳴ってくれます。これならキーボードが弾けない人にとっても夢が広がると思いませんか?

また、このアルペジオがドラムのリズムにピッタリ合っていることにも気づいたと思いますが、Mackie HUIを設定したことで、CubaseとLaunchkeyが同期するようになり、DAWのテンポに追従する形になっているんですね。

Studio OneでもMackie HUIの設定を行えば使うことができる

たとえば、こんなことがいとも簡単にできてしまうのがLaunchkey Mk3なのです。Studio Oneの場合は「デバイスを追加」でMackieのHUIを選べば同様のことができ、FL Studioの場合はMIDI SettingのページでInputにおいてLaunchkey MK2(keyboard)を選べばOKです。ちなみにNovationのFL Studoの設定紹介ビデオではContorller typeではgeneric controllerを選ぶように紹介されていましたが、やはりLaunchkey MK2を選ぶほうが良さそうでした。きっと今後のバージョンではより快適に使えるLaunchkey MK3というメニューが用意されることを期待したいところです。

FL StudioではContorller typeとしてLaunchkey MK2(keyboard)を選ぶのが良さそう

ところでLaunchkey Mk3では61鍵と49鍵タイプには9つのフェーダーが用意されているのに対し37鍵、25鍵タイプにはありません。またよく見ると、ほかにも少し違いがあります。その各モデルでの違いは以下のとおりです。

もっともフェーダーがない37鍵、25鍵タイプでも、Pod Modeという設定をVolumeにすることで、ツマミを回してDAWの各トラックの音量設定ができるし、PanにすればPANのコントロールが、Sendsにすればセンド量の調整ができるようになるので、どのDAWでも一通りの操作は可能ですよ。

Launchkey 49 Mk3およびLaunchkey 61 Mk3には9つのフェーダーおよびトラックボタンなどが装備されている

ではAbleton Liveだったら、どうなるのか? Ableton Live 10で少し試してみました。すると、確かにより高度な連携がされます。

たとえばトランスポートボタンの中にCapture MIDIというものがありますが、これを押すと、録音ボタンを押してない状態であっても直前に演奏したMIDIノートをDAW内に呼び出してくれます。ちなみに、これについてはLogicでも同様のことが可能ですが、あらかじめLaunchkey Mk3 Logic Installerなるものをインストールしておく必要があります。またQuantizeボタンを押すと、一発でクオンタイズをかけてくれるのもLiveだけの機能のようです。

トランスポートボタンと並んで用意されているCapture MIDIやQuantiseボタン

そしてまさにAbleton Live専用なのがセッションモードでのパッドの利用です。Launckey Mk3のShiftボタンを押しながらSessionパッドを押すとセッションモードとなり、セッションビュー内のクリップが8×2のグリッドで表示されるようになり、それに合わせてパッドの色も切り替わるようになっています。

以前、「Ableton Liveとの連携は完璧!MIDIパッドとしてだけじゃなく、コントローラとしても優秀なNovation Launchpad Pro」、「Ableton Live専用じゃない! Cubase、FL、S1、Abilityでも使えるコンパクトで万能なフィジカルコントローラー、Novation Launchpad Xの実力」といった記事でLaunchpadについて紹介したことがありましたが、そのLauncpadの上2列分を搭載しているという感じで使えるのです。

8×2のパッドはLaunch Padの2段分として使うことが可能

また秀逸なのがDevice機能です。これはLive内蔵またはサードパーティー製のインストゥルメントやエフェクトのコントロールをLaunchkeyのノブで行うというもの。現在操作しているLive内のトラックに挿されている1つめのデバイスにLaunchkeyのノブが自動的にアサインされるので、たとえばシンセのフィルターのカットオフやレゾナンスをノブ操作で行うことが可能なのです。

DeviceモードにするとノブでLiveのトラックに設定されているデバイスのパラメータを動かすことができる

もっとも、各ノブやフェーダーはMIDIのコントロールチェンジが割り当てられているから、ほかのDAWであっても、手動設定することでシンセサイザのパラメーターを動かすことなどは可能ですが、Ableton Liveであればそのまま即使えるというメリットは大きいですね。

各ノブやボタンはMIDI Control Changeが割り当てられている

なお、今回は試すことができなかったのですが、Novationでは、これらLaunchkey Mk3のミニ版としてLaunchkey mini Mk3という製品も出しています。こちらはミニ鍵盤の25鍵タイプとなっており、よりコンパクトで安価(税込み12,500円程度)な機材となっています。ただし、液晶ディスプレイはないなど、Launchkey Mk3の4機種と比較すると機能的にも下がってしまいますが、いつも持ち歩ける小さなキーボード&コントローラーという意味ではよさそうですね。

よりコンパクトなミニ鍵盤タイプのLaunchkey mini Mk3

ちなみにLaunchkey mini Mk3を含めたLaunchkey Mk3にはAbleton Live 10 Liteも付属しているので、DAWを持っていない人はもちろん、ほかのDAWを活用している人でも、Live LiteでLuanchkey Mk3の機能を存分に活用するという方法もあるのです。

もう一つLuanchkey Mk3の面白いのが、DAW使わなくてもスタンドアロンで動作するという点。これはUSB端子をACアダプタに接続すれば、Launchkey単独で使うことが可能になり、この場合、MIDI OUTの端子からMIDI信号を出力することができるのです。これは鍵盤を弾いたMIDIノート情報やピッチベンド、モジュレーションホイールでの情報はもちろんのこと、コード機能でコードを出力したりアルペジエーターを使っての出力、さらにはノブやフェーダーを使ってのコントロール情報なども出力できるので、DAWに限らず、さまざまな機材と連携させることが可能となっています。

Luanchkey Mk3を購入後、Novationサイトで登録すると、2か月に1度の頻度でプラグインを無料でGETできるようになる

さらにLuanchkey Mk3にはAbleton Live 10 LiteのほかにもSerato Sample LE、XLN Audio Addictive Keys、Klevgrand R0Verb、Klevgrand DAW、AAS Session Bundle……とさまざまなソフトが付属しているほか、以前「毎月プラグインがタダでGETできる!?Focusrite/novationが展開するPlug-in Collective,Sound Collectiveは絶対チェック!」という記事でも紹介した通り、さまざまなプラグイン音源がもらえるSound Collectiveが利用できるので、今後さまざまな音源が入手可能になります。そういう意味でもどうせ買うなら、早いほうが多くのプラグインを入手できてお得、ということが言えそうですね。

※2020.08.20追記
2020.08.18に放送した「DTMステーションPlus!」から、第157回「JBLのスピーカーでDTMに高音質なモニター環境を!」のプレトーク部分です。「DAW操作を超絶快適にするNovationのコントローラー搭載MIDIキーボード、Launchkey MK3の実力」から再生されます。ぜひご覧ください!

【関連情報】
Launchkey Mk3製品情報
Launchkey mini Mk3製品情報

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