Ableton Liveとの連携は完璧!MIDIパッドとしてだけじゃなく、コントローラとしても優秀なNovation Launchpad Pro

今年の春、Novationから3世代目となるLaunchpad Pro(ローンチパッド・プロ)がリリースされたのをご存知の方も多いと思います。以前「Ableton Live専用じゃない! Cubase、FL、S1、Abilityでも使えるコンパクトで万能なフィジカルコントローラ、Novation Launchpad Xの実力」で記事にしたLaunchpad Xは、Launchpad誕生10周年のタイミングで小型のLaunchpad Miniと同時にリリースされた製品でした。汎用的なMIDIコントローラ、MIDIキーボードとしても優秀なので、Ableton Live以外のDAWでどう使えるものなのかを紹介しました。

そうしたラインナップがある中、フラグシップモデルとして加わった第3世代のLaunchpad Pro MkIII(以下Launchpad Pro)は、ほかのシリーズと比べても機能がかなり豊富。8×8のパッドコントローラの外側のパッド型ユーティリティボタンを使えば、ほぼマウスやキーボードを使わずに楽曲制作できてしまいます。またスタンドアローンとしても使用でき、MIDI機器と繋いで、特有の操作感で演奏も可能。シーケンサー機能が搭載されているなど、音楽制作からライブパフォーマンスまで、幅広く使えるLaunchpad Proが、どんな機材なのか紹介してみましょう。

Novation LaunchpadシリーズのフラグシップモデルLaunchpad Pro


英Novationが開発したLaunchpad Proは、8×8のパッドコントローラで、フィンガードラムをしたり、音階を持った音源をパッドを使って演奏できる機材です。実売価格は約39,000円と、AbletonのPush2と比較して、お手頃価格なのも魅力の1つ。見た目は、縦横26.8cm×26.8cm、高さ1.8cmというLaunchpadシリーズに共通する薄い正方形をしています。RGBで光るパッドは、パフォーマンスの際は派手に目立つので、機材に詳しくない方でもLaunchpadシリーズを見たことがある方は多いはず。

Launchpad Proが、Launchpad XやLaunchpad Miniと大きく違う点は、ユーティリティボタンの数です。Ableton Liveと密接に連携するので、四方に配置されたボタンを使えば、フィジカルコントローラのように使って、ボリュームやパンを操作することも可能。以前Launchpad XはCubaseやStudio One、FL Studio、Ability Pro……など、どのDAWとも連携して使えると紹介しましたが、Launchpad Proで追加されているボタンはAbleton Live専用のものがほとんど。実際どんなことができるのかは、以下の動画を観ていただければ、ざっくりと雰囲気が伝わると思います。

いかがでしょうか?この動画内では、1回もPCに触れていない状態で、カッコいいビートを作り上げています。ドラムの打ち込みをリアルタイムに行って、そこにシンセを重ねたり、インサートしているエフェクトのパラメータを操作したり……、とAbleton Live上のさまざまな操作をできしてしまうんです。

Ableton Live上のさまざまな操作を行うことが可能

とはいえ、使い始めてのユーザーの場合、すぐにここまで、使いこなすのはなかなか難しいのも事実。Launchpad Proの機能を覚えるのと同時に、Ableton Liveの使い方もそれなりに知っていないと、ここまでスムーズには使えません。そこでLaunchpad Proには、Launchpad Intro(intro.novationmusic.com)という、これまでLaunchpadシリーズを触ったことがない方向けのWEBサービスが用意されているのが大きなポイント。Launchpad Introにアクセスすると、そこにはループやワンショットが、各パッドに割り振られた状態のものが用意されています。難しい設定をしなくとも、Launchpad Proを繋いで、パッドを叩けば、すぐに音が出るので、Launchpad Proを楽しむなら、まずここから始めるといいと思いますよ。

まずは、Launchpad Introで使い方を把握する

主に演奏する際に使うのが、NoteモードとChordモード。Launchpad Proでは、スケール=音階の設定ができるようになっており、楽曲のキーに合わせれば、まったく楽器を弾けない人でも、それっぽく演奏することができます。用意されているスケールの種類は16個で、マイナー、メジャーと基本的なものから、チャーチモードや日本の筝などで使われる平調子まであるので、幅広い音楽に対応することができます。

画像では、Dのマイナースケールを設定している

このスケールの設定やNoteモード・Chordモードの機能は、Launchpad Xのときにもお伝えしましたが、Ableton Live以外のDAWでも使用可能です。Launchpad Proは、端子がUSB Type-Cとなっているので、付属のケーブルでWindowsでもMacでも接続すれば、USBバスパワー供給で動作します。またUSBクラスコンプライアントなデバイスであるため、ドライバ不要でそのまま使うことができます。

Launchpad Proの接続はUSB Type-Cの端子

さて、ここからはLaunchpad Pro特有のボタンについて見ていきましょう。前述したようにLaunchpad Proは、Ableton Liveと密接に連携するので、MIDI機器の設定をしなくても、繋げて起動すれば即使えるようになります。下に配置された16個のボタンは、上がトラック選択ボタン、下がそれぞれRecord Arm、Mute、Solo、Volume、Pan、Send、Device、StopClipのAbletonトラックコントロールになっています。

下に配置された16個のボタンで、Ableton Liveのトラックを操作できる

たとえば、Volumeボタンを押してみると、8トラック分のフェーダーが縦方向に表示されます。フェーダーを操作するかのように、上の方のパッドを押せば音量が上がり、下の方のパッドを押せば音量が下がります。さらにLaunchpad Proはベロシティー・センシングに対応したデバイスであるため、強く押せばすぐに音量が変わり、弱く押せば徐々に音量が変わっていくなど、単純なフェーダーでは難しい操作も可能です。

8トラック分のVolumeフェーダーが表示され、パッドを押してボリューム操作を行える

またPanボタンを押すと、トラックがは横方向に並び、定位させたい位置のパッドを押すと、パンを動かすことができます。同様にSendボタンを押せば、リバーブなどの音量を調整できたり、Deviceではインサートしているプラグインエフェクトのパラメータを操作することができます。

PanもVolumeと同じで、早く動かしたり、遅く動かしたりできる

さらにLaunchpad Proには、Ableton Liveで効率よく音楽制作を行うためのショートカットも用意されています。Undo/Redoはもちろんのこと、Fixed Lengthで新しいクリップの長さを設定できたり、クオンタイズやキャプチャMIDI機能に即アクセスできたりと、Ableton Liveのコントローラとしてかなり優秀です。

Ableton Liveで効率よく音楽制作を行うためのショートカットも用意

さて、Chromeなどのブラウザを立ち上げ、components(https://components.novationmusic.com/)というサイトにアクセスし、ここにあるLaunchpad Proを選ぶと、ブラウザ上でLaunchpad Proを自由にカスタマイズできるのも面白いところ。フェーダーを追加したり、4×4のドラムパッドとクロマチックキーボードを並べたり、と自分だけのコントローラを作り上げることができます。具体的なところは以前の記事でも紹介しているので、割愛しますが、自由自在に自分の考える最強コントローラを作ることが可能です。

コントローラを自分なりにカスタマイズできる

Launchpad ProにはMIDI Outが2つ、MIDI Inが1つ搭載されており、外部のMIDI機器と繋いで、パッド演奏することができます。付属のTRSミニジャックDIN MIDIアダプターを接続して、MIDI機器と繋ぎ、スタンドアロンで使用する際は付属のACアダプターを用いて電力供給します。

MIDI Outが2つ、MIDI Inが1つ搭載されている

パッドでMIDI機器を演奏するだけでも面白いのですが、Launchpad Proには、3世代目で搭載された4トラック、8ポリフォニック、32ステップシーケンサーがあるので、これを使ってパターンを作成しつつ演奏や音楽制作に活かすことができます。

Launchpad Proになって新しく搭載されたシーケンサー機能

Sequencerボタンを押すと、シーケンサーモードに入ります。シーケンサーモードに入ると、右側に配置されているボタンの、Patterns、Steps、Pattern Setting、Velocity、Probabilty、Mutation、Micro Stepが点灯し、各ステップの長さやシーンの切り替え、ノートアサイン……など、さまざまな機能が使えるようになります。

シーケンサーモード中では、シーケンサーに関するボタンが点灯する

さらに外部音源を繋ぎながら、DAWを起動したPCとも繋いで、ソフトシンセを鳴らすといったこともできます。単純なステップシーケンサー機材としても、かなり優秀な性能を持っているLaunchpad Proで作ったプロジェクトは、Projectsボタンを押してセーブすることも可能。Novation Componentsを利用すれば、作成したプロジェクトをオンライン上にバックアップもできてしまいます。

本体にセーブすることができ、呼び出しも簡単

このように、かなり豊富な機能を持ったLaunchpad Proでしたが、Ableton Live Lite 10が付属しているので、これを使って音楽制作を始めてみるのがいいと思います。以前、「毎月プラグインがタダでGETできる!?Focusrite/novationが展開するPlug-in Collective,Sound Collectiveは絶対チェック!」という記事でも紹介したように、Launchpad Proを持っていると、毎月のようにプラグインを入手できるも嬉しいところ。

Splice Soundsを2か月無料で利用できるうえ、毎月100クレジット分の権利が付与される

またLaunchpad Proの製品登録後2か月間無料でSplice Soundsを使うことができます。Splice Soundsは、200万以上のサンプル、ループ、プリセットがあり、多くのプロも使うサブスクリプション型のサンプル販売サービス。国内でもプロの作家でSplice Soundsを活用している人がどんどん増えているように感じます。そこで使える権利を1か月あたり100クレジット分もらえるので、「ビートメイクを始めてみたい!」と思っていたユーザーにとっては、最高のバンドルだと思います。ほかにもXLN Addictive Keys、AAS Session Bundle、Softube Time and Toneバンドルなど、さまざまなプラグインもバンドルされているので、上級者だけでなく初心者にもLaunchpad Proはおすすめです。

【関連情報】
Launchpad Pro MK3製品情報

【価格チャック&購入】
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