国産のマスタリングソフト、Sound it!7 Premiumが登場だ!

DAWとして人気のSinger Song Writerなどの開発元である日本のメーカー、インターネット。同社の波形編集ソフトSound it!が6月28日、3年半ぶりにバージョンアップをし、Sound it!7として発売されます。今回発売されるのは上位版のSound it!7 Premium for WindowsSound it!7 Basic for Windowsのそれぞれ。

このうち上位版であり、標準価格17,640円( ダウンロード版は12,600円 )の7 Premiumのほうは、波形編集ソフトというよりもマスタリングソフトとなっており、DAWで作成したデータのマスタリング処理はもちろん、手持ちのCDなどを取り込んでリマスター版を自分で生成するといったことを可能にしてくれるソフトです。発売に先駆けてソフトのほうを入手したので、どんなものなのか試してみました。
6月28日に発売となるマスタリングソフト、Sound it!7 Premium



まず、Sound it!、さらに言えば波形編集ソフトというのがどんなものなのかご存知ない方もいると思うので簡単に説明しておきましょう。これは、音を扱う上でもっともシンプルなソフトであり、サウンドファイルを開き( 直接録音することも可能 )、加工し、保存するというもの。機能的にいえば、DAWとは比較にならないほど単純なものではあるのです。

でもシンプルが故、軽く、加工がしやすく、扱いやすいのが特徴です。文章を作る世界でレイアウトや文字飾りが自由自在に行えるワープロソフトをDAWだとしたら、テキストエディタが波形編集ソフトに当たるものです。大は小を兼ねるので、機能的にはその大半がDAWに含まれているのですが、軽くてサクサクと動作するから、もっと気軽に使えるというメリットがあるほか、最終的な音を確認する際に、何度も自由にそしてスピーディーに出音を調整することができるため、マスタリングの世界では必須のソフトでもあるのです。

そのマスタリングに最適化した機能を満載したソフトとして登場したのがSound it!7 Premiumなのです。でも、マスタリングに最適というのは、どういうことを意味しているのでしょうか?

音楽作品として最終的な調整を行うマスタリングの工程では、いろいろな処理を行いますが、その中で最大のポイントになるのが音圧調整と音質調整の2つといっていいでしょう。そう、パンチ力のあるサウンドに仕上げるためにコンプレッサ/リミッタで処理を行うのと同時に、マスタリング用EQで全体の音質を整えていくわけです。

Sound it!7 Premiumに搭載されているSonnox  Equaliser and Filters

別のいい方をすれば、搭載されているコンプレッサ/リミッタそして、EQが大きなポイントともなるわけですが、そこにはプロのマスタリングの世界で広く使われている、Sonnox( 旧Sony Oxfordですね )のSonnox LimiterSonnox Equaliser and Filtersが搭載されているのです。ご存知の方もいると思いますが、これらとほぼ同等のプラグインを単体購入すると、それぞれ3万円程度しますから、Sound it!7 Premiumのコストパフォーマンスの高さがわかりますよね。

ほぼ同等のものをプラグインとして単体に購入すると約3万円するSonnox Limiter

さらに、Premiumには簡単に音圧を上げることができるインターネット社オリジナルのMaximizerも別途用意されています。Sonnox Limiterと使い比べてみるのも面白いかもしれません。

Sound it!7 Premiumにはインターネット社オリジナルのMaximizerも搭載されている

そのほかにも、やはりマスタリングに活用できるSonnox Reverbという、定評あるリバーブもバンドルされています。これらはすべてVSTのプラグインとしてSound it!上で動作するのですが、これをほかのソフトで利用することはさすがにできないようですね。

プロ御用達のリバーブ、Sonnox Reverbも標準装備
※SonnoxのLimiter、Equaliser and Filters、ReverbのそれぞれはPremiumのみに搭載されています。

これらのプラグインのみを目的として購入するのいいのですが、もちろんSound it!7 Premiumの良さはそこにとどまりません。内部演算処理を32bit浮動小数点演算で行っているために高品位なエフェクト処理、そしてフォーマット変換が可能であり、たとえば24bit/96kHzのファイルを16bit/44.1kHzのCD用に変換するといった場合にも、高品位なディザリング処理を自動で行ってくれるようになっています。

EBU R128およびARIB TR B32に完全準拠のLoudness Meterも搭載
※Loudness MeterもPremiumのみに搭載されています。
 

また今回のバージョンアップで搭載された新機能として、放送業界で提唱される聴感上の音量を測定するLoudness Meter( ラウドネスメーター )も搭載されています。まあ、一般ユーザーが神経質にチェックする機能ではないと思いますが、このラウドネスメーターの搭載は、最近のマスタリングソフトにおける世界の流れ。そうテレビ番組とCMの音量差などの問題を解決する手段として、聴感上の音量を測定し、人間の聴感上の音量に置き換えて表示するメーターまでもが装備されているので、まさに業務用としても使うことが可能なわけですね。

以前にも紹介した声質を変化させることができる調教プラグイン、Formant Shift 

さらに、以前にも紹介したことのある声質を自在に変化させることができる調教プラグイン、Formant Shiftやテンポ・音質はそのままにピッチを自在に変更可能なPitch Shift RT、逆にピッチはそのままに時間を変えることができるAdv TimeComp2、さらには6band EQ、Tap Delayといった新規プラグインが追加され、合計38種類( 7 Basicでは計21種類 )ものエフェクトが装備されているというのは大きな特徴です。

タッチパネルディスプレイに対応しているので、波形を指で触れて編集ができる

そしてもうひとつ特筆すべき点が、タッチパネルタイプのディスプレイに対応したことです。Windows8で注目されているタッチ操作ですが、実はWindows7の時代から使うことは可能となっているため、対応するディスプレイをもっていれば、波形を直接指で触って操作するといったことが可能なのです。

実際、Windows8上で使ってみましたが、音を指で触れるという不思議な感触は、ちょっと異次元な感じ( 笑 )。時代先取りなソフトですよね。

日本語で使える国産ソフトなだけに、安心に感じるユーザーも多いはず 

このように、マスタリング用として、また手軽に利用可能な波形編集用としても使えるSound it!7 Premium for Windows。やはり国産ソフトであるだけに、日本語表示、日本語ヘルプ、日本語マニュアルも完備されていて、使い勝手がいいのもうれしいところです。外国のソフトは、どうも苦手……という人でもすんなり使えるソフトだと思いますよ。

また今回のバージョンで新たに搭載された、メディアブラウザ。単純にサウンドファイルを選択し、試聴できるようにするとともに、Sound it!へとドラッグ&ドロップで読み込ませるためのものなのですが、結構便利でよかったです。

オーディオファイルを閲覧し、試聴し、読み込ませるというメディアブラウザは意外と便利

なお、Singer Song Writer、VOCALOID製品であるMegpoidやがくっぽいどなど、インターネット社の製品の登録ユーザーであれば、優待販売の制度があり、さらに早期割引もあるのだとか……。ユーザーの方は早めにチェックしてみるといいかもしれませんね。

【製品紹介ページ】
Sound it!7製品情報

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