1176、LA-2A、610の3つを統合した夢のアナログチャンネルストリップ、LA-6176 Signature Channel Stripが本家UAから誕生。今なら7,590円!?

Universal Audioが夢のアナログチャンネルストリップといって過言ではない強力なプラグイン、LA-6176 Signature Channel Stripを発表すると同時に発売を開始しました。これはUniversal Audioが現在も発売を続ける世界でもっとも有名な3つのアウトボード、つまり610マイクプリアンプ1176 Limiting AmplifierLA-2A Leveling Amplifierの3つをUniversal Audio自らが合体させ、ソフトウェア化したというもの。

動作環境としてはMacおよびWindowsのネイティブ(CPU)環境で動かすことができるとともに、ApolloシリーズなどDSPを搭載したUAD-2環境でも使うことができるマルチプラットフォームとなっています。しかもApolloで動かす場合には、Unisonスロットで起動させることも可能であるため、オリジナルの610真空管プリアンプと同様のインピーダンスで動作し、アナログ信号レベルにおいても忠実に再現してくれるというものです。気になる価格は税込み46,340円というものですが、リリース記念のプロモーション価格として7月1日12:00まで15,340円という激安になっています。また何らかのUAD-2プラグインを持っているユーザー(6月30日まで無料配布中のVAM Essentialや以前無償配布していたLA-2Aの所有者も含む)の場合、クロスグレード版というものが用意されており、こちらは23,090円。さらに、これもプロモーション価格で、7,590円という価格で入手可能となっているのです。実際、LA-6176 Signature Channel Stripとは何なのか紹介してみましょう。

画面はWindows版LUNAのオープンβで動かしたLA-6176 Signature Channel Strip

プラグインの元ネタ、6176 Vintage Channel Strip

今回、Universal AudioからLA-6176 Signature Channel Stripというものが発表されたわけですが、このプラグインの話に入る前に、このプラグインの元ネタとなった6176 Vintage Channel Stripについて少し紹介しておきましょう。

そもそもUniversal Audioは世界でほかに例を見ない不思議な会社です。というのも、歴史的なビンテージ機材を2024年の今も生産を続ける一方で、最新のテクノロジーによるCPUベースのプラグイン、そしてDSPベースのプラグインを開発し、どの環境でも同じ音が出せるよう、自ら非常に正確なエミュレーションを実現させているからです。

ビンテージ機材を今も丁寧に生産している話については、以前、「アメリカ探訪記:最新DSP技術でApollo、Arrowを生み出すUniversal Audioは今も50年前のアナログ機材を生産し続けるメーカーだった」という記事でも紹介しているのでそちらを参照していただくとして、これらの機材は世界中のレコーディングスタジオで使われてきたのとともに、今も生産を続け、国内でも新品が販売されています。

1176LN Classic Limiting Amplifier

具体的にいうと、1176LN Classic Limiting Amplifier(税込メーカー希望小売価格:418,000円)、Teletronix LA-2A Classic Leveling Amplifier(同748,000円)、LA-610 MkII Classic Tube Recording Channel(同319,000円)といった感じです。まあ昨今の円安が影響しているとはいえ、価格的に見て、一般のDTMユーザーがポンと買えるものではありません。いずれも50年以上の歴史を持つ機材ですが骨董品としての値段ではなく、現在生産中の製品としての値段なんですよね。

LA-2A Classic Leveling Amplifier

そうした中、2004年に誕生したのが6176 Vintage Channel Stripという機材です。これは前述のLA-610と1176LNを足し合わせて1つにまとめたチャンネルストリップです。LA-610の真空管、1176LNのFET(電界トランジスタ)という2つの要素を併せ持つユニークな機材で、これまでVance Powell、Joe Chiccarelliといった巨匠達やChris Martin(Coldplay)、Norah Jones、Wyclef Jean、James Mercer(Shins)といったアーティストがレコーディングに活用し、絶大な信頼を得るようになった機材です。こちらも20年経過したわけですが、今も現役の製品として販売されています(462,000円)。

6176 Vintage Channel Strip

ちなみに現行品であるLA-610 MkII Classic Tube Recording ChannelはマイクプリアンプであるLA-610にLA-2Aを足し合わせたものとなっています。

UA自らがソフトウェア化したLA-6176 Signature Channel Strip

そんなLA-610と1176LNを合体させた6176を、Universal Audio自ら、今のタイミングでソフトウェア化したのが、今回のLA-6176 Signature Channel Stripなのです。

今回は発表・発売となったLA-6176 Signature Channel Strip

しかも、このソフトウェア版であるLA-6176 Signature Channel Stripは、2004年登場のハードウェアである6176にはない、大きな特徴があります。それはコンプレッサとして1176LNの代わりにLA-2Aを使うことも可能としたこと。つまり、LA-610、1176LN、LA-2Aの3つを合体させた夢のシステムとなっているのです。

また冒頭でもお伝えした通り、このソフトはネイティブ環境でもUAD-2環境でも動くプラグイン。これまでUniversal AudioというとApolloなどDSP環境で動くプロ用のプラグインを作るメーカーというイメージが強かったですが、昨年「プラグイン業界に激震! Universal Audioのプロ御用達UAD-2プラグインが、CPUベースでも動作し、超低価格に!」という記事でも書いた通り、ここに来てUAD-2に限らずネイティブ環境でも動作させるように方針が大きく変わってきており、今回のLA-6176 Signature Channel Stripも例外ではありません。

つまり、これまではApolloなどを持っているユーザーだけのためのプラグインだったものが、誰でも使える一般のプラグインとなっているのです。そして音自体はネイティブで動作させてもUAD-2で動作させてもまったく同じとのことなので、誰でも安心して使うことができるのです。

ApolloならUnisonチャンネルでの利用でより本物に

では、Apolloユーザーは、無駄に高いハードウェアを買ってしまった…ということになるのでしょうか?もちろん、そんなことはなく、LA-6176 Signature Channel Stripひとつをとってもネイティブで動かすのとはいろいろな違いがあるのです。

まずは当然ではありますがApollo内蔵のDSPを使ったUAD-2プラグインとしてLA-6176 Signature Channel Stripを使う場合、CPUパワーを使わないので、コンピュータに負荷がかからない、というメリットがあります。まあ、それほど大きな負荷がかかるプラグインというわけではありませんが、それでもDAWを使う上での余力が増えるという点では、大きな意味があるといえるでしょう。

Apollo Twinなど、ApolloならUnisonテクノロジーが活用できる

しかし、それよりも大きなメリットとなるのが、これが一般的なDAWのプラグインとして使えるだけでなく、Unisonチャンネルに収めることができるプラグインになっている、ということにあります。Unisonについては以前「アナログ特性自体を制御するapolloのUNISONテクノロジー」という記事で紹介しているので、こちらも参照いただきたいのですが、Apolloの入力チャンネルに挿さる形となります。つまりApollo自体にLA-6176 Signature Channel Stripが入るとともに、その入力インピーダンスも含め、6176、もっといえば610を完全に再現するものとなるのです。

ここまでの実機の再現性は通常のプラグインでは不可能なことで、Apolloユーザーのみが得られるメリットとなっているのです。

ちなみにネイティブ版とUAD-2版のLA-6176 Signature Channel Stripが別々に販売されているわけではなく、1つ購入すればどちらでも利用できるようになっています。ただし、インストーラは別々に存在し、両方をインストールするとDAW上にはネイティブ版とUAD-2版の2つのLA-6176 Signature Channel Stripが存在形となるので、ユーザーは必要に応じてそれらを使い分ける形になるのです。

1176LNとLA-2Aをスイッチで切り替える構造

実際に、LA-6176 Signature Channel Stripを少し試してみました。使い方はとっても簡単で、普通のプラグインとして使う場合は、ネイティブ版でもUAD-2版でも、各トラックにインサーションエフェクトとして挿すだけでOK。数多くのプリセットが用意されているので、適当に選んでみるだけでも、かなりいい感じでサウンドが変化します。

1176とLA-2Aの切り替えスイッチがある

あまりゲインを上げない設定だと、柔らかく暖かい感じの音になる一方、レベル、ゲインを上げていくと、思い切りサチュレーションのかかった激しい音になるなど、面白いほど、いろいろな顔を持っています。

また左側のユニットがマイクプリである610で、右側がコンプである1176LNおよびLA-2A。ただし、1176LNとLA-2Aは同時に共存するわけではなく、スイッチで切り替える形になっていて、それによりパネルの色も変化するようになっています。

LA-2Aモードにするとパネルの色もブラックに切り替わる

この切り替えによってコンプとしての特性が大きく変わり、それにともない音の雰囲気もだいぶ変わってくるので、楽器や曲によっていろいろと切り替えて使ってみるとよさそうです。

今なら7,590円で入手できるチャンス

このように610、1176LN、LA-2Aの3つを足し合わせた夢のアナログチャンネルストリップのプラグインLA-6176 Signature Channel Stripは、通常価格が46,340円です。それぞれのハードウェアの価格からみれば、この価格でも激安といえると思いますが、冒頭でも触れたとおり、7月1日12:00まで発売記念のプロモーション価格ということで15,340円という価格で入手することが可能です。

しかし、これをさらに安い価格で入手する方法が用意されています。それが LA-6176 Signature Channel Strip – Crossgradeというもの。そうクロスグレード版の存在で、こちらなら通常23,090円で、7月1日12:00までの期間であれば超激安の7,590円となっているのです。ちなみにクロスグレード版というのは、アップグレードではなく、別のソフトから乗り換えられるという意味なのですが、ここでは何らかのUAD-2プラグインを持っている人が対象となっています。

つまりApolloユーザーであれば、ほぼすべての人が何らかのUAD-2プラグインを持っているはずなので、7,590円の激安で入手することが可能です。ではApolloユーザーだけなのか、というとそうではないんです。以前、Universal Audioがネイティブ環境でもUAD-2環境でも動くLA-2Aを無償配布したことがありましたが、これを入手した人も立派なUAD-2プラグインのユーザーということでクロスグレードの対象となります。

6月30日まで無料配布中のVerve Analog Machines Essentialを入手するとCrossgradeの購入が可能になる

さらに、もっと裏技であり、いま最安値で誰もが購入できる方法といえるのが、先日「Universal Audioが音に色付けするユニークなプラグイン、Verve Analog Machinesを発表。Essential版を5月31日まで無料配布中!」という記事で、Verve Analog Machinesが無償配布されていることを記事にしました。実はその後この無料配布が6月30日までに延期されていおり、現在、まだ無料配布中なんです。そして、これを持っていれば、クロスグレード版を入手する権利が得られるのですから、まだ持っていない人は、もらわない手はないでしょう。

以上、夢のアナログチャンネルストリップ、LAー6176 Signature Channel Stripについて紹介してみました。ぜひ、この機会に入手しておいてください。

【関連情報】
LA-6176 Signature Channel Strip製品情報
Verve Analog Machines Essential情報(6月30日まで無料配布)

【価格チェック&購入】
◎beatcloud ⇒ LA-6176 Signature Channel Strip
◎beatcloud ⇒ LA-6176 Signature Channel Strip Crossgrade