ついにSONAR X3が1月ティアックから発売になる!

9月24日、「ローランドが子会社の米Cakewalkの全株式を米Gibson Brandsに売却する」というニュースが流れ、DTM界を震撼させました。「SONARユーザーはこれからどうなるのか?」、「今年発売が予定されていたSONAR X3は出るのか?」……などなど不安に感じていた方も少なくないと思います。私自身も、長年SONARを使ってきたユーザーであるし、BNN新社からMASTER OF SONARというシリーズで本を作ってきたので、今後どうなるんだろう…と思っていました。

が、12月9日、正式にCakewalkの株式が正式にGibsonに譲渡。そして12月18日、いよいよ国内での体制も固まってきたようで、2014年1月より日本語版のSONAR X3シリーズがティアックから発売されることが発表されました。まだ、細かな情報まで把握しきれていないのですが、これまで調べて分かったことをまとめてみたいと思います。


SONARの新バージョン、SONAR X3シリーズが1月末、ティアックから発売になることが正式に決定した

まず「なぜSONARがティアックから発売されるの?」という疑問のところから、解いていきましょう。ローランドが米Cakewalkを売却した先はギターメーカーとして著名な米Gobson。そのGibsonは今年5月、TASCAMブランドを展開する日本のメーカー、ティアックを買収し、子会社化していたのです。


SONARの発売元、サポートは、従来のローランドからティアックへ移管されることが正式に発表された

そして今回、子会社として得たCakewalkを
TASCAM Professional Software
という新ブランドの元で展開することを発表しており、それを国内で販売するのがティアックである、というわけなのです。TASCAMという名称が冠についていますが、現在の話を聞く限り、日本でソフトを開発するというわけではなく、アメリカ側で開発されたソフトを輸入販売する、という形のようです。

もちろん日本語化、マニュアル作成、そして国内でのサポートもしっかり行う形になるのでユーザーからするとローランドのときの体制とは大きく変わらないだろうと思います。また、ローランドでのユーザー登録情報などは、ティアック側に引き継がれるようなので、その点も心配はなさそうです。


SONAR X3シリーズのパッケージのイメージ写真。マニュアルがPDF化されるため従来のものよりコンパクトになる模様

では、気になるSONAR X3のラインナップは、というと、これもX2のときと基本的には同様で、
SONAR X3 PRODUCER
SONAR X3 STUDIO
SONAR X3 ESSENTIAL(※海外版はSONAR X3という名称ですが日本版はESSENTIALです)
という3つの製品となります。まだ価格などは発表されていませんが、基本的にはSONAR X2の価格体系が維持される模様です。また従来のSONAR X2などのユーザーがSONAR X3へアップグレードしたいという場合もアップグレード価格が適用されます。具体的には、SONAR X2 PRODUCERからX3 PRODUCERへは15,000円(税抜き)、SONAR X2 STUDIOやX1 STUDIOからSONAR X3 STUDIOへは10,000円(税抜き)などとなっています。

SONAR X3へのバージョンアップポイントを少しピックアップしてみましょう。まずはプラグイン関連ですが、今回、各エディションともにVST3に対応しました。これにより、最新の各種プラグインを最適な形で利用できるようになっています。


アコースティックギターの物理モデリング音源、Acoustics SystemsのSTRUM ACOUSTIC GS-1

それに呼応する形で、PRODUCERには超強力なプラグインシンセが3つ追加されています。まずは、Applied Acoustics SystemsのSTRUM ACOUSTIC GS-1というアコースティックギターの物理モデリング音源。国内では定価21,000円で販売されている音源ですが、これのSession版というものが搭載される形です。キーボードを使ってリアルなアコギサウンドを得られるのはなかなか快適です。


エレピ音源のLounge Lizard EP-4

同じくApplied Acoustics SystemsのLounge Lizard EP-4というエレクトリックピアノの物理モデリング音源もSONAR Editonがバンドルされます。こちらは1970年代のRhodesやWurlitzerなどのエレピを再現するというもので、このビデオを見てもなかなかいいサウンドが出せているのが分かります。


かなりリアルなドラム音源、 XLN AUDIOのAddictive Drums

もう一つはXLN AUDIOのAddictive Drumsという強力なドラム音源が搭載されていること。こちらはサンプリング系の音源で、Tama Starclassic、Sonor Designer、DW Collectors Seriesの3種類のドラムキットを基本として搭載し、マルチマイクで収録したというものです。ここにさまざまなエフェクトを使ってエディットしたプリセット音色が用意されているので、あらゆるジャンルで利用できるほか、3,000種類以上のドラムパターンも用意されているので、即利用できるようになっています。


トータルで20種類となるアナログ系エフェクト、 Nomad Factory Blue Tubes FX

一方、エフェクトのほうではPRODUCERとSTUDIOにNomad Factory Blue Tubes FXというビンテージ系のアナログエフェクトが搭載されているほか、PRODUCERには強力なテープエミュレータやQuadCurve EQ ZoomというEQなども新たに搭載されています。

一方で、これまでのSONARと大きく変化する点が2つあります。それはCakewalkがローランドグループからGibsonの子会社へと変わったことに起因する点ですが、従来搭載されていたボーカルエディット機能が、V-VOCALからMelodyneへ変わることと、R-MIXが非搭載になるということです。


ボーカルエディット機能がV-VOCALからMelodyne Essentialに入れ替わる

Melodyneについては、DTMステーションでも何度か取り上げてきましたが、Melodyne EssentialがSONAR X3に完全な形で組み込まれて、ボーカルエディットができるようになるのです。

なお、V-VOCALやR-MIXについては、旧バージョンのSONARが入っている状態でSONAR X3をインストールすること使えるようになるとのこと。この辺については、実際のX3を入手したら試してみようと思っています。

以上、まずは、SONAR X3の日本語版が正式にティアックから発売されることになる、というニュースについてまとめてみました。

また、新しい情報が入ったら、記事にしたいと思っています。

【関連情報】
米Cakewalk 社 TASCAM Professional Software 製品取扱い開始のお知らせ(ティアック)

SONAR X3 シリーズの国内取り扱いについて(ローランド)

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