超強力なボコーダーがMacだけでなくWindowsにも対応。ZynaptiqのORANGE VOCODER IVを試してみた

魔法のようなエフェクトプラグインを次々と生み出すドイツのソフトウェアメーカー、Zynaptiq(ザイナプティク)。今回は、魔法のような…というわけではないのですが、非常に強力でユニークなボコーダーのプラグインを出してきました。ORANGE VOCODER IVというもので、その名の通りORANGE VOCODERの4番目のバージョンにあたるもの。もともと1998年にドイツのProsiniqが、Sennheiser VSM-201という著名なボコーダーを参考に開発したものですが、Prosoniqが事実上、Zynaptiqに買収されたこともあり、Zynaptiqから発売されるようになり、それが今回大きく機能・性能強化された形です。

また、これまでのORANGE VOCODERは非常に評価が高いボコーダープラグインであったのに、MacのAU専用のプラグインとなっていたこともあり、WindowsユーザーやMacでCubaseなどVSTベースのDAWでは使えないという制限がありましたが、今回はMacのAU、VST2/3、AAXに対応するとともにWindowsのVST2/3、AAXに対応したため、ほぼすべてのDAWで利用可能になりました。そのORANGE VOCODER IVがリリース記念のイントロ価格で通常30,800円のものが6月1日までの期間限定で18,400円となっています。またORANGE VOCODER IVを含む、Zynaptiqのプラグインほぼ全部入りのパック、ZAP IIIも通常171,600円が126,500円となっています。実際どんなボコーダーなのか試してみたので、紹介してみましょう。

Zynaptiqが強力なボコーダー、ORANGE VOCODER IVを発売開始

魔法のようなプラグインを数多く出してきたZynaptiq

Zynaptiq製品はこれまでも「顔認識アルゴリズムで音作り!? 人工知能でミックス、マスタリングができるZynaptiqのINTENSITYとは?」、「ステレオミックスからドラムを消せる魔法のツール、UNMIX DRUMS」、「みずみずしいサウンドから深く荘厳な響きまで、Zynaptiqの高性能リバーブSUBSPACEが無料でGETできる」、「既存曲のコードを自在に変えられる魔法のツール、PITCHMAPを使ってみた」……といった記事でいろいろ紹介してきた、まさに魔法のプラグインをいろいろ開発しているドイツのメーカーです。

右上のZynaptiqの社名ロゴの下に「science , not fiction」と書かれている

そのZynaptiqのロゴの下には「science , not fiction」と書いてあるあたりに、同社の狙いというか、凄さを感じさせてくれるのですが、まさに魔法を本気の技術で実現させている会社なんですね。そのZynaptiqが今回出したボコーダープラグインがORANGE VOCODER IV。

The 2023 NAMM ShowでのZynaptiqブースでもORANGE VOCODER IVのデモが行われていた

先日のNAMM ShowでもZynaptiqブースでのデモが話題になっていましたが、「そもそもボコーダーって何だ?」という方もいると思います。そこで、このORANGE VOCODER IVでどんな音が出るのかちょっと試してみたので、まずはこちらを聴いてみてください。

いかがですか?なんとなく雰囲気は分かったと思います。「DTMステーション」ってシンセサイザサウンドで歌っているわけですが、これはVOCALOIDとかSynthesizer V、CeVIOやVoisona…といった歌声合成とはまったく別のものです。事実ボコーダーといわれる楽器は1970年代から存在しており、ORANGE VOCODERの元になったといわれているSennheiser VSM-201は1977年にリリースされたものです。

前バージョンのORANGE VOCODERはMacのAUプラグイン専用だった

KraftwerkやYMOなども多様したボコーダーは、歌声をコンピュータが合成しているのではなく、シンセサイザの音に人間の声で変調をかけることによって機械が歌っているようなサウンドにするもの。そして、このORANGE VOCODER IVはボコーダー・アルゴリズムが従来のバージョンでは8種類だったものが、一気に24種類となり、表現できるサウンドが飛躍的に増えているのです。

新しいORANGE VOCODER IVには24種類のボコーダーアルゴリズムが用意されている

また内蔵のシンセサイザが従来モノラルだったものがステレオ仕様になるとともに、シンセサイザの機能・性能も大幅に向上。2オシレーターのシンセサイザなんですが、トンでもないほど複雑な音作りが可能で、単にシンセサイザとして見ても非常に面白いプラグインなんです。

ORANGE VOCODER IVのシンセサイザ画面

エフェクトプラグインとなっているORANGE VOCODERのDAWでの使い方

でも、このORANGE VOCODER IVを始めて使うと、「え?これどうやって使えばいいの?」となるケースが少なくないと思うので、少し使い方についても紹介しておきましょう。

一般的にシンセサイザのプラグインはインストゥルメントとなっているので、DAW上でインストゥルメントトラックを作成すればすぐに鳴らすことができます。ところが、このORANGE VOCODER IVはエフェクトプラグインの形になっているんです。そのため、各DAWでORANGE VOCODER IVをトラックに持っていくだけでは、鳴らすことができないんです。では、どうすればいいのか。

ORANGE VOCODER IVはインストゥルメントプラグインではなくエフェクトプラグイン

たとえばStudio Oneの場合、まずボコーダーに入れる声のためのオーディオトラックを作成し、ここにインサーションエフェクトとしてORANGE VOCODER IVを組み込むんです。

まず声を入れるオーディオトラックを作り、ここにORANGE VOCODERを挿入する

続いて、このオーディオトラックとは別に空のインストゥルメントトラックを作成。そして、そのインストゥルメントトラックの出力先としてORANGE VOCODER IVを選択できるようになっているので、これを選択すれば準備完了。

インストゥルメントトラックを作り、そのMIDIの出力先にORANGE VOCODERを設定する

この状態でMIDIキーボードを弾いても、音は出ないのですが、オーディオトラックにマイクを接続しておき、そのマイクから声を入力すると、キーボードで弾いた音で鳴らすことができるのです。プリセットによって、そのサウンドの雰囲気はいろいろと変わりますが、これが基本的な使い方となります。

Cubaseの場合でも基本的には同じ。まずオーディオトラックを作成し、ここにインサーションとしてORANGE VOCODER IVを組み込みます。

CubaseでもオーディオトラックにORANGE VOCODERを挿入後、MIDIトラックを作成し、出力先をORANGE VOCODERに設定

そして、これとは別にMIDIトラックを作成し、そのMIDIの出力先をORANGE VOCODER IVに設定すれば同様に音を出すことができるようになるのです。

先ほどのビデオでは、あらかじめ「DTMステーション」と喋った声をオーディオトラックに録音しておく一方で、インストゥルメントトラック(MIDIトラック)状には「ラ・ド・ミ」というAmのコードを全音符で入れておいて、ORANGE VOCODER IVのプリセットを切り替えていった形です。

先ほどのビデオでは、あらかじめ「DTMステーション」という声をオーディオトラックに入れ、MIDIトラックでAmのコードを鳴らしていた

シンセサイザやピッチクォンタイザーにもなるORANGE VOCODER IV

最初はこのようにプリセットを使うだけでも十分すぎるサウンドを楽しむことができると思いますが、ORANGE VOCODER IVには膨大なパラメーターがあるので、これらを使っていくことで、さらに突っ込んだ使い方が可能になります。メインのOVERVIEW画面においては冒頭で紹介した通り24種類のボコーダーアルゴリズムを選択できるようになっているので、これを切り替えることでも、さまざまなサウンドになります。また、このOVERVIEW画面でモード変更することでボコーダーとしてだけでなく、シンセサイザにしたり、ピッチクォンタイザーなどとして使うこともできるようになっています。

モード変更が可能で、ボコーダーモードのほか、ピッチクォンタイザーモードやシンセサイザモードを選択できる

一方、SYNTH画面においては、2オシレーターのアナログシンセ風なシステムになっており、このシンセサイザ用のプリセットも膨大に用意されています。2つのオシレーターをFM音源として組み合わせていくこともできるし、フィルターも4種類の特性に切り替えられるなど、かなり強力なものになっています。

シンセサイザのプリセットだけでも膨大に用意されている

そしてメインであるボコーダー部分も、アルゴリズム変更だけでなく、EQ特性などを細かく調整できるようになっているので、この辺も使っていくとかなり幅広い音作りができそうですね。

ボコーダー画面で、より細かく作りこんでいける

さらにシンセサイザ部分とエフェクト部分のミックス調整やエフェクト設定なども可能になっています。

MIX&FX画面で、各レベル調整やエフェクト設定ができる

そのORANGE VOCODER IVが6月1日までリリース記念のイントロ価格ということで通常30,800円のものが6月1日までの期間限定で18,400円となっています。

Zynaptiqのほぼ全部入りセット、ZAP III

またORANGE VOCODER IVを含む、Zynaptiqのプラグインほぼ全部入りのパック、ZAP IIIも通常171,600円が126,500円となっています。こちらは、以下の10種類のプラグインがセットになっているので、Zynaptiq製品、気になっていたという方は、このタイミングでまとめて購入してしまうのもよさそうです。

ORANGE VOCODER マルチアルゴリズム・ボコーダー
1998年にProsoniqから誕生した定番ボコーダーの最新バージョン。
INTENSITY マスタリング・グレード・オーディオ・プロセッサー
サウンドのディテール部分だけを浮き彫りにし、サウンドの知覚的ラウドネスと密度を高め、さらに明瞭さを大幅に向上させることが可能。
UNVEIL リバーブ調整&シグナル・フォーカシング・プロセッサー
録音内のリバーブをブーストまたは抑制、賞に輝くクオリティで全体的な明瞭さを微調整。
UNFILTER トーナル・コンターのアダプティブ・リニアライゼーション
賞に輝く精度とクオリティで、レゾナンス、ロールオフ、コムフィルターの効果を除去、マスタリング用途などさまざまなEQでの問題を解決。
UNCHIRP 非可逆コーデック・アーチファクト除去
質の悪い録音が原因の問題のあるオーディオを補正。レコーディングに明瞭さ、精細さ、パンチを追加。
PITCHMAP ミックス済み音楽をリアルタイムに書き換え
ポリフォニック録音、サンプル、ループ、さらにはフル・ミックスのハーモニーやメロディを即時に変更。ピッチをベースにチューニングの修正や個々のサウンドの抑制を同時に制御。
MORPH リアルタイム・ストラクチュアル・オーディオ・モーフィング
ハイエンドなモーフィング・アルゴリズムを2つの入力サウンドに適用し、両方の特性を持つ1つのサウンドを作成。全く新しいサウンドの世界が広がります。
UNMIX::DRUMS ミックス内のドラムをブーストまたは消す
周波数に基づきミックスやサンプル内のドラムの音をブーストまたは除去、ドラム・ステムにあり得ないほど強力なパンチを付加。
ADAPTIVERB ハーモニック・トラッキング・リシンセシス・リバーブ
最高にユニークなリバーブ、テクスチャ・シンセサイザー、クロスフィルター。
WORMHOLE 別世界のオーディオ・エフェクト・プロセッサー
荘厳なものから極端なものまで、ハイクオリティのマルチエフェクト・プロセッシングを提供。クリーチャー/ロボット・ボイス、SF効果音やドローン、ピッチシフトされたテイルを持つ、ガラスのようにきらめくアンビエントなギターなどを作成可能。

【関連情報】
Zynaptiq ORANGE VOCODER IV製品情報
Zynaptiq ZAP III製品情報

【価格チェック&購入】
◎MI7オンラインショップ ⇒ ORANGE VOCODER IV
◎MI7オンラインショップ ⇒ Zynaptiq ZAP III

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