2万円程度の気軽に買えるソフトではありますが、すでにミックスされている曲の中で使われているドラムだけを消したり、反対にブーストしたりできるという不思議なツール。WindowsでもMacでも利用できるプラグインの形で販売されており、VST、AudioUnits、AAX、RTASのそれぞれのフォーマットに対応しています。実際、どんなものなのかを試してみたので、レポートしてみましょう。
細かな説明は後にして、まずは私が試してみた結果をビデオにしてみたので、ご覧になってみてください。
いかがですか?ビデオからもわかる通り、これはドラム、ギター、ベースの3つのループ素材をステレオミックスにしたもので、そのマスタートラックにUNMIX DRUMSをインサーションの形で挟み込んでいます。
まあ、よく聴くと、多少のドラムは残っていますが、ほぼキレイに消せているのが分かりますよね。もっとキレイに消したければ、各パラメータを調整していくことで、ほぼ完ぺきに近いところまで持っていくことも可能です。まずは、プリセットとして、さまざまなものが用意されているのでこれを選んでみて試してみるといいですよ。
この大きくしていった音は単にドラムトラックのレベルを上げたとか、ドラムにコンプをかけて音圧を上げていったサウンドともちょっと違って、なかなか気持ちいいサウンドですよね。ここでは、マスタートラックにかけたわけですが、もちろん、ドラムトラックやドラムバスに直接かけて、こうしたサウンドに仕立てていくことも可能です。
たとえば古いR&Bのサウンドを今のドラムサウンドに差し替えるなんてことも簡単にできるから、面白い作品作りができそうですよね。Zynaptiqのビデオを見ると、ほかのジャンルの曲の例などもあるので、だいたいの雰囲気がわかると思います。
では、このUNMIX DRUMS、具体的にどんなパラメータがあるのでしょうか?メインの画面では左にTHRESHOLD、右にRELEASEがあって、ちょうどコンプのような感じです。要するにドラムレベル調整に対する効き具合を決めていくわけですね。
一方で、単にドラムといったって、さまざまな音色、周波数特性のドラムがあるわけだから、それらによって微調整が必要となってきます。そのために、まずFINE-TUNEという画面が用意されており、ここで、各パラメータを細かく設定できるようになっています。
具体的にいうと、DETECTION DENSITY、MAX CUT、BASS SYNTH、ATTACK、UNMIX FEATHERの5つ。DETECTION DENSITYは検知する音量をどのくらいにするかを設定するもの。強くすれば、より強く効くようになります。MAX CUTはドラムを消していく際に、どこまで効くようにするかを設定するものです。
まあ、あまり難しく考えることなく適当にいじるだけでも、その音にマッチしたパラメータを見つけられると思いますよ。さらに、細かく設定が必要であれば周波数特性を調整することもできるようになっています。
このUNMIX DRUMSをどう使うかは人それぞれですが、CDなどからリッピングした既存の楽曲からドラムを抜いて、そこに別のリズムを被せたオリジナルのリミックスバージョンを作ってみる……なんていうのには最適そうですよね。
このUNMIX DRUMSは基本的にダウンロード販売という形になっていますが、いきなり2万円を出さなくても、デモ版があるので、まずはそれを試してからでもいいと思いますよ。
またZynaptiqでは、このUNMIX DRUMS、冒頭でも触れたPITCHMAPのほかにもサウンドの自然な周波数特性を復元するUNFILTER、リバーブ成分を除去してしまうUNVEIL、コーデック・アーチファクト除去を行うUNCHIRP、音のモーフィングを実現するMORPH、とさまざまな魔法のツールを出しているので、探してみると自分の目的にマッチしたツールが見つかるかもしれませんよ。