手持ちのビデオや写真からインスタントで曲にピッタリ合ったミュージックPVを作成できるFASTCUT

音楽制作はするけれど、映像のほうはちょっと……という方は少なくないと思います。でも自分のオリジナル曲をYouTubeFacebookニコニコ動画などにアップするとなると、やはりビデオ作品として仕上げたいところです。もちろん、数枚の静止画だけで仕上げてしまうというのも不可能ではないですが、どうしても味気なくなってしまうところ。

そんな中、音楽テンポや曲の進行にマッチしたミュージックPVをとっても簡単に作成できる便利なソフトがあります。それがドイツ、MAGIXが開発したWindows用のFASTCUTというもの。VEGAS PROACIDMusicMakerなどを開発するMAGIXのソフトで、使い方はいたって簡単。まさにインスタントながら、結構立派なビデオ作品ができてしまうのです。価格も手ごろで7,980円ですが、11月30日までDTMステーションの読者限定で4,980円で購入できるキャンペーンを実施しています。実際どんなものなのか試してみたので、紹介してみたいと思います。


インスタントに音楽PVを作成できるFASTCUTを試してみた

実際、FASTCUTがどんなソフトなのかを紹介する前に、まずはこのFASTCUTを使ってインスタントに作成したビデオがあるので、これをちょっとご覧になってみてください。

いかがですか?この曲は小寺可南子さんをシンガーに迎えて4月にリリースしたDTMステーションCreativeの第1弾アルバム「Sweet My Heart」の2曲目、「Appriciation 100」をワンコーラス分にまとめたショートバージョン(CDはDTMステーションCreativeのサイトで販売中なのでぜひ!)。


DTMステーションの記事で使った写真を適当に選んだだけ

それに、素材として最近のDTMステーションの記事で利用した写真を30枚程度集めて、FASTCUTに自動生成させたというもの。なんか、それっぽいものにまとまってると思いませんか?

ここでは、映像用の素材として写真を使いましたが、もちろんビデオ素材を用いてもOK。実際どう作るかを含めたFASTCUTの紹介ビデオがあるので、これを見てみると雰囲気が分かると思います。

ビデオ素材を選び、音楽が入ったテンプレートを選んで、作品を書き出すという3ステップでもう完成なんです。まさにインスタントで超絶簡単。ビデオ編集なんてまったく経験のない人でも、これなら迷うことも何もないですよね。


FASTCUTは3ステップで簡単に音楽PVを作成できるソフト

実はこのFASTCUT自体は、音楽ビデオの作成専用に作られたソフトというわけではありません。先ほどのスキーのビデオ作成からも分かるとおり、一般のユーザーが手持ちのビデオ素材をカッコよく作品に仕上げるためのソフトであり、スマホだったりGoProのようなカメラで適当に撮ったビデオが簡単な手順で音楽付きの立派な映像になるというツールなのです。

予めロックやポップス、ジャズ、EDMなどさまざまなBGMは入ったテンプレートが用意されているので、これを利用すれば3回くらいクリックするだけでBGM付きのオリジナルのビデオ作品ができちゃうのです。


いろいろ用意されているテンプレートを選ぶだけでビデオ作品が作れる

とはいえ、ここでやりたいのは、人の作った音楽を使うのではなく、自分の音楽作品を利用し、これをビデオ作品に仕上げること。そのためには、3クリックというわけにはいかないものの、ちょっとした準備をすることで、とっても簡単に自分の音楽作品にマッチしたビデオを作ることが可能になっているのです。

その準備というのは、利用したい曲のテンプレートを作ること。テンプレートとは簡単にいってしまうと、曲の進行にしたがい、どこで画面を切り替えていくかを指定したデータのこと。先ほどのビデオを見ても分かる通り、ちょうどAメロからBメロに変わるタイミングとか、ビートが変わるタイミングに画面が切り替わっていましたよね。その画面切り替え位置を自分で指定すれば、すぐにテンプレートができてしまいます。

「独自のテンプレートを作成する」をクリックし、その後音楽ファイルを読み込む

そのタイミングを指定するテンプレートを作りはとっても簡単。WAVファイルやMP3ファイルなど、プロモーションビデオを作成するための楽曲を読み込んだ上で、再生しながら、適当にシーン切り替えとなる位置で、ポチポチとマウスをクリックしていくだけ。もうこれでテンプレートができちゃうんです。


音楽を聴きながらタイミングのいいところでマウスをクリック

とはいえ、音楽を聴きながらポチポチしても、やはり微妙にテンポとズレてしまうので、ビデオ作品としたときに、ノリの悪い中途半端なものになってしまいます。でもFASTCUTはビートを自動検出して、曲のテンポにマッチした形でシーン切り替えを行う機能をもっているのです。まあ、DAWでいうところのクォンタイズが簡単にできてしまうんですのね。順序としては、ポチポチする前に「カットを自動で配置する」をクリックして、ビートの自動検出を行ってから操作する必要があるのですが、操作自体はとっても簡単です。その結果をテンプレートとして保存しておけば、あとは好きな素材を読み込むたびに、すぐにその曲を使ったビデオ作品を作ることができるのです。


「位置合わせ」をクリックすると、ビートに合った形にクォンタイズしてくれる

先ほどは「Appriciation 100」では写真素材を利用しましたが、ビデオ素材を利用すれば、そのビデオを使ったより動きのあるビデオにしてくれます。写真の場合は、シーンの切り替えタイミングごとに写真が切り替わりましたが、ビデオ素材の場合は画面の切り替えを行ったところをFASTCUTが自動的に検出してくれるので、いい感じに仕上げてくれるんですね。


レンズの補正といったことも可能。普通のレンズの写真にかけると逆にこのように曲がってしまうけれど…

もっとも、FASTCUTができるのは、すべてインスタントのビデオ制作というわけではなく、必要に応じて自分の好みに合った編集作業もできるようになっています。たとえば、色調を自由に設定することもできるし、画面を回転させることもできれば、GoProのような広角レンズで撮影した歪んだ映像を通常の映像に修正するといったこともできます。

たとえばあるシーンをセピア色にするといったこともクリック一つでできる

また、映像のテンプレートとしてセピア色の写真に加工したり、左へトラッキングしていく映像にしたり、画面をだんだん縮小させていく……といったものがあるので、これを各シーンに割り当てていけば、簡単にプロがビデオ編集したかのような映像を作り上げることができるのです。


色を調整することも可能

シーンの切り替わる際、瞬時に別の映像に切り替わるだけでなく、徐々に切り替わっていくようにしたり、3D的に切り替えていくなど、かなり凝ったことを1つ1つ指定していくといったことも可能です。


3Dを使ったユニークなトランジションも可能

もちろん、こうしたエフェクトを掛けるだけでなく、タイトルを入れたり、そのタイトルをアニメーション化させるといったこともできるなど、かなり自由度の高いソフトでもあるのです。


もちろんタイトルなども文字エフェクトを活用しながら自由に入れられる

そうしてビデオ作品が完成したら、ビデオデータをPCに書き出すことができるのはもちろん、iPhoneやAndroid用に書き出すことも可能。また、そうした書き出したデータを手動でYouTubeやFacebook、ニコニコ動画などにアップしていってもいいですが、YouTubeとFacebookであれば、FASTCUTから直接アップロードすることも可能。これなら、どんなフォーマットを選べばいいのか……など考える必要がないので楽ですよね。

ビデオが完成したらあとは書き出し

このようにFASTCUTは一般的なビデオ編集ソフトと比較すると、とても簡単にビデオ編集の知識などまったくなくても、初めてのユーザーが即使えて、音楽のプロモーションビデオの作成ができるのです。ダウンロード販売のみで、パッケージ販売されていないため、知らなかった……という方がほとんどなのではないでしょうか?


スマホ用の書き出しも可能

Windows専用で、Macで使えないというのがネックかもしれませんが、DTMユーザーにとっては非常に嬉しいソフトだと思います。冒頭でも紹介したとおり、通常7,980円のところ、11月30日まで限定で4,980円となっているので、この機会に1つ入手してみてはいかがですか?

 

※2018.11.22追記

読者の方から、写真素材ではなく、ビデオ素材を使うとどんな感じになるのか、という問い合わせがあったので、以前のDTMステーションPlus!の録画ビデオ(小南千明@c_1115さんが出演したACID PRO 8特集)を読み込んで作ってみました。曲は冒頭で使ったものと同じ「Appriciation 100」。すでにテンプレートを作っていたので、これを指定した後、頭にタイトルを入れただけ。フルHDのデータで書き出す時間も含めて3分でできたものですが、以下のような感じになってます。

 

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