iPadでも使えるオーディオI/F、DUO-CAPTURE EXを使ってみた

Rolandが発表したDUO-CAPTURE EXという実売価格17,000円前後のオーディオインターフェイスが間もなく発売になります。オーディオは2IN/2OUTでファンタム電源対応のマイクプリアンプ「VS PREAMP」を搭載。MIDI入出力も装備していて、パッと見は、人気製品のQUAD-CAPTUREともソックリですが、並べてみると一回り小さいサイズになっています。

スペック的にも24bit/48kHzまでとなっていて、QUAD-CAPTUREの下位モデルに位置するものですが、最大のポイントは動作モードを「TAB」に切り替えると、iPadと接続して利用できるようになるという点。発売前のテスト機を使わせてもらったので、紹介してみましょう。
間もなく発売されるRolandのDUO-CAPUTRE EX


DUO-CAPTURE EXという名前から、Rolandの現行製品であるDUO-CAPTUREの後継品のようにも思えますが、見た目もスペックも大きく異なる新製品と捉えたほうがよさそうです。概要を簡単に説明すると、フロントには入力用のコンボジャック(キャノンと標準ジャックの兼用)が2つ用意されており、ここにマイクやギターなどが接続できるようになっています。

下がQUAD-CAPTURE、上がDUO-CAPUTRE EX

リアにあるスイッチでPHANTOM +48Vをオンにすると、ファンタム電源がオンになり、両方の端子にコンデンサマイクの接続が可能になります。また、INSTスイッチは通常Lo-Zに設定しておきますが、Hi-Zに設定すると、左側のINPUT 1の端子がハイインピーダンス入力になり、ギターと直結可能になります。

では、フロント右側にあるのは標準ジャックでのヘッドホン出力で、ここで音をモニタリングできるようになっています。

リアパネルにはMIDI入出力やオーディオ出力などがある

リアパネルには標準ジャックのメイン出力としてラインアウトがLとR用意されているほか、MIDIの入出力が搭載されているという仕様です。またDUO-CAPUTRE EXはUSB 1.1接続のデバイスであり、扱えるサンプリングレートは44.1kHzか48kHzとなっています。そのためUSB 2.0接続で96kHzや192kHzまでが扱えるQUAD-CAPTUREとはグレードが違うわけですが、実際使ってみるとS/Nが非常によく、入出力ともにフラットな特性なので、クセがなく、とても扱いやすい機材だと感じました。
リアパネルにあるスイッチ類、TABに設定するとiPadとの接続が可能になる

WindowsやMacと接続する場合は、リアのスイッチを48kHzまたは44.1kHzを選んで接続します。もちろんASIOドライバも利用できるので、各種DTMアプリケーションとローレイテンシーで接続して使うことができます。

もちろんASIOドライバにも対応している

またDUO-CAPTURE EXにはDAWであるSONAR X1 LEもバンドルされているので、Windowsユーザーなら、これ1つ購入すればDTMのハード、ソフトが一式揃ってしまうわけですね。

SONAR X1 LEもバンドルされているのでWindowsユーザーならこれ1つ買えばDTMができる

では、ここからが本題。その44.1kHz、48kHzを選択するスイッチにもうひとつ「TAB」というモードがあります。これはiPadとの接続するためのモードなのです。正確にいえば、以前「USBクラス・コンプライアントって何のこと?」の記事で紹介した、USBクラス・コンプライアントのモードとなるので、iPadとの接続が可能になるわけです。もちろん、この状態でWindowsやMacとの接続も可能であり、その場合はASIOドライバは使えなくなりますが、ドライバのインストール不要で、OS標準のドライバで動作してくれます。

30ピンDOCKの場合はiPad Camera Connection Kit経由で接続する

では、iPadと接続する場合はどうするのか?この場合、30ピンDOCKの第3世代までのiPadとLightningコネクタの第4世代iPadやiPad miniの場合で若干異なります。

まず30ピンDOCKのiPadの場合は、iPad Camera Connection Kitを挟み、USBケーブルで接続する形になります。一方、LightningコネクタのiPadの場合は、先日アップルから発売されたLightning to USB Camera Adapterを利用して、USBケーブルで接続することになります。

iPad miniとはLightning to USB Camera Adapterで接続できた

私はこの方法で第3世代iPadおよびiPad miniを接続したところ、バッチリ動作させることができました。ちなみに、Lightningを30ピンDOCKに変換するためのLightning to 30-pin AdapteriPad Camera Connection Kitを接続するという方法でも、iPad miniで使うことができましたよ。

GarageBandAuriaなどのDAW、またanimoogNLog ProDXibs-16iなどの定番シンセ、さらには先日発売されたKORGのiPolysixなども試してみましたが、どれも問題なく使うことができます。もちろんオーディオの入出力だけでなくMIDIの入出力ともに問題なく使うことができました。

そう、DUO-CAPTURE EXを使えば、30ピンDOCKでもLightningでもケーブル1本の接続で、オーディオもMIDIも入出力できるというのは大きなメリットです。

ところで、ファンタム電源までiPadで簡単に利用できる機材って現状ほとんどありません。そうした中、なぜDUO-CAPTURE EXで実現できているのでしょうか?実はここにはちょっとした工夫があるんですね。


DUO-CAPUTRE EXには3本の単3電池を内蔵できる

そう、多くのUSBクラス・コンプライアント対応のオーディオインターフェイスはPCからの電源供給であれば動作するけれど、微弱な電力しか供給できないiPadでは駆動することができません。そのため、どうしても使いたい場合には、間に電源供給可能なUSBハブを使うなどの対策が必要になり、接続が結構面倒なことになります。

ところがDUO-CAPTURE EXは単3電池を3本、本体内に入れることができ、これによって駆動することができるのです。仕様を確認してみるとアルカリ電池ならファンタム電源オフの状態で約4時間、オンで約1.5時間、またニッケル水素電池ならオフで約6時間、オンで約3時間使えるとのことですので、ライブなどでの利用や、外でのレコーディングといった用途でも結構使えそうですね。一方、室内で長時間使うという場合は、別売のACアダプタが使用可能です。ちなみにそのACアダプタ「PSB-1U」という9Vのアダプタで、最近のRolandのDTM機材の多くがこれを使っているので、流用可能です。

電池なしの重さが460gですから、iPadといっしょにカバンに入れて持ち歩いても軽く、なかなか機動力ある機材といえそうですね!

【関連サイト】
DUO-CAPTURE EX製品情報
OCTA-CAPTURE製品情報
QUAD-CAPTURE製品情報

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