ご存知のとおり、最近のDJはアナログレコードとターンテーブルの組み合わせよりも、PCを用いたデジタルDJが主流へと移り変わってきています。中でも注目を集めているのがiPadやiPhoneを用いたプレイであり、それに対応したアプリ、そして周辺ハードウェアもいろいろと登場しています。ターンテーブル風のハードウェアは、アナログレコードを扱う感覚でプレイできるため、多くのユーザーに支持されているわけですが、iPad、iPhoneを使う場合、ひとつ大きなネックがありました。それが出力が2chしか利用できなかった、ということです。
DJプレイを行う場合、メイン出力とヘッドホンモニター用のCUE出力を使いこなしていく必要があります。しかし、2chしか出力できないとなると、これが実現できないわけなのです。中には、メイン出力、CUE出力ともにモノラルにして行うといったワザが使えるアプリもありましたが、やはりモノラルではDJプレイとしての気持ちよさも半減してしまいます。しかし、マルチアウトが可能になると、こうした問題が一気に解消できるというわけなのです。
オーディオインターフェイスとコントロールサーフェイスの2役をこなすSpin2
一方のSpin2は10月20日に発売されたハードウェアで、オーディオインターフェイス機能とコントロールサーフェイスとしてDJプレイを実現する機能の2つを兼ね備えたもの。詳細はここでは割愛しますが、これを使って、ターンテーブル操作やクロスフェード操作、シンクロ操作といったものをiPad/iPhoneに触れることなく操作できるだけでなく、FILTERノブやFXパラメータによりフィルタリング、エフェクトがかけられたり、グルーブを損なうことなく、トリッキーなループプレイを実現できるというもの。
スクラッチなどもできるSpin2に搭載されているターンテーブル
djay単体ではできないさまざまなことが実現できるのです。その雰囲気はVESTAXの以下のビデオを見ると、だいたい分かると思います。
そのSpin2にはリアにRCAピンジャックによるマスター出力があるほかに、フロントにはヘッドホン出力を装備しています。そして、これらを完全に独立させた2系統のステレオ出力、つまり計4chの出力が可能になっていいるので、メイン出力をマスター出力に、CUE出力をヘッドホンに割り当てることで、完全な形でのDJプレイが実現できるのです。
フロント右にヘッドホンジャック、リアにはRCAのステレオラインアウトを装備
djayを起動した状態でSpin2を接続するとVESTAXのロゴが現れる
iOSデバイスとの接続は30ピンDOCKケーブルを使って行うので、iOS6をインストールしてあるiPad 3rdと接続してみたところすぐに使えました。ここで試しにLightning to 30-pin Adapterを使ってiPad miniと接続してみたところ、これでもまったく問題なく動作してくれます。
さらに、iPhone5とも接続してみましたが、こちらもバッチリです。これらLightningコネクタと接続する場合は、ケーブルタイプのLightning to 30-pin Adapterが使いやすい感じでしたね。
また驚いたのは、Spin2を使ってしまえば、1,700円のDjay for iPadでも85円のDjay for iPhoneでも実質上ほとんど差がないということ。そうDjay for iPhoneでもマルチ出力が可能だし、画面の小ささはまったく気にならないですからね。