そこでDTMをまず体験するためにお勧めしたいのがiPadの活用です。というのも、パソコン上でのDTMと比較して、できる範囲が狭いだけに、システムが単純で、機能や目的が明確になって分かりやすいからです。ここでは、DTMの第一歩を踏み出すためのiPad活用として、450円のアプリ、GarageBandを使った手法を紹介してみたいと思います。
では、iPadを入手したら、どうやってDTMを始めるといいのでしょうか?iPad用には数多くの無料DTMアプリもあり、入門用にも使えますが、やはり、まず入手しておくべきはGarageBandでしょう。というのもGarageBandは「DTMとはどんなことができるのか」を示す、すべての機能が詰まっているからです。そして、これがあれば、本格的なレコーディングまで可能な力を持っているのですが、ここではGarageBandの1つ1つの機能で遊びながらDTMを体験してみたいと思います。
Garagebandを起動すると、曲の選択画面が登場してきますが、左上の「+」をタップし、「新しい曲」を選びます。すると、「音源」という画面に切り替わりますが、ここで「Keyboard」を選んでみましょう。すると、ピアノのような画面が登場してくるはずです。
この鍵盤を弾いてみると、まさにピアノのように演奏することができますね。なぜこんなことができるかというと、GarageBand上でソフトシンセ(ソフトウェア音源とかソフトウェアインストゥルメントなどともいいます)が起動し、ピアノ音色で演奏できるようになったからです。
ためしに中央のグランドピアノのアイコンをタップすると、音色選択の画面が現れ、ピアノ以外にもオルガンやシンセパッドなどさまざまな音色に切り替えて演奏することができます。
では画面左上の「音源」というボタンをタップしてみましょう。また、前の音源選択の画面に戻るので、今度は「Drums」を選んでみます。すると、ドラムの画面に切り替わり、シンバルやスネアなどを指で叩くとドラムの音が鳴ります。まったく違う画面ではありますが、こちらもソフトシンセの一つであり、ソフトウェア的にドラムを鳴らしているんですね。
再度、左上の「音源」をタップして戻り、今度は「Audio Recorder」を選択してみます。どうですか?今度はレベルメーターの画面が現れ、iPadの前で声を出したり、歌ったりするとレベルメーターが振れますよね。
Audio Recorderを選ぶと外部の音をマイクで拾い、レベルメーターが振れる
そう、iPad内蔵のマイクから入ってくる音が反応しているのです。ここで録音ボタンをタップしてみましょう。すると「カッコッコッコ」とメトロノーム音が鳴り出し録音がスタートします。せっかくなので、ここでいい加減でもいいから歌ってみてください。少し録ったら停止ボタンをタップしてストップします。すると、ちょっと画面が変わりますよ。
同じようにTelephoneを選んで再生すると、電話での通話音のような歌声になったり、Robotを選ぶとロボットボイスのようになります。これらはそれぞれ違うエフェクトを通した結果なのです。Dryを選択すると、元の素の歌声に戻ることからも分かるように、エフェクトを使っても、元の音はそのまま残っており、原音が加工されてしまうわけではないのがポイントです。つまり、いろいろと試行錯誤しながら音を作りこんでいくことが可能なのです。
ここで、画面上のコントロールバーに並ぶマイクアイコンの隣のレンガのようなアイコンをタップしてみてください。すると、トラック表示画面に切り替わり、いま録音した音が波形で表示されているはずです。始めてみると難しそうにも思えますが、再生しながら見てみると、大きい音のとき波形が大きく、小さい音になると小さくなるという非常に直感的で単純なものであることに気づくでしょう。これもDTMにおける非常に重要なポイントです。
では、ここで画面左下の「+」をタップしてください。これでまた先ほどと同じ音源選択の画面がでてきますね。改めてKeyboardを選んだ後、今度は録音ボタンをタップしてから、弾いてみましょう。すると、同じように録音されるのですが、再度トラック表示画面に切り替えてみてみると、今度はちょっと様子が異なります。実は、これは録音とは異なりMIDIという形式で記録されているからです。
編集画面=ピアノロール画面を開くと、 演奏した結果がグラフィカルに表示される。ここでゼロから音符入力することも可能。
こうしたMIDIデータは、いろいろといじることができ、もともとピアノの音で記録したデータを後からギターやバイオリンの音色に変えることもできるし、テンポを変えることもできます。一方、マイクから録音したオーディオデータは、このMIDIデータとは大きく性格が異なり、編集においてここまでの自由度はありません。しかしボーカルをはじめ楽器では出せない音を自由に録音できるメリットがあるので、用途に応じてMIDIデータとオーディオデータを使い分けていくのです。
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