ただ、中にはVOCALOID3へのバージョンアップはされず、あえてVOCALOID2製品としてのまま残っているものもいろいろ存在しています。顕著なのがAHSの製品群でしょう。同社ではVOCALOID3製品として結月ゆかりをリリースしているほか、先日もクラウドファンディングの形で、東北ずん子のVOCALOID3化をアナウンスしたばかり。その一方で、SF-A2 開発コード mikiやボカロ小学生 歌愛ユキ、ボカロ先生 氷山キヨテル、そして猫村いろはといった製品はVOCALOID2のままで、現在のところVOCALOID3化の予定はないようです。でも、こうしたVOCALOID2製品も、VOCALOID3の恩恵を受けることができる、という事実をご存じですか?そう、単純にVOCALOID2の歌声ライブラリをVOCALOID3へと変換するだけで声質がよくなるのです。
VOCALOID2の歌声ライブラリをインポートすると同時にVSQファイルをVOCALOID3に読み込ませただけ
ところが、VOCALOID2の歌声ライブラリをVOCALOID3にインポートした場合、当然ライブラリそのものに違いはないため、3つの音素の繋がりができるわけではなく、その点はVOCALOID2のままです。でも、発音させるエンジン部分が進化しているために、先ほどのようにキレイな発音ができるようになっているのです。
では、どうすれば、そのインポートができるのか。そのためには、まずVOCALOID3 Editorを購入し、インストールする必要があります。インストールすると、VOCALOID3 Editorとともに、V2 Library Import Toolというユーティリティも同時にインストールされるので、これを起動します。すると、現在VOCALOID2としてインストールされているライブラリの一覧が表示されるので、ここからインポートしたいものを選択します。
この状態でVOCALOID STOREというボタンをクリックすると、ブラウザ上にインポート用のシリアルコードが発行されるので、このコードを入力すればVOCALOID3 Editorへインポートされ、使えるようになるのです。
VOCALOID3 Editorで使うと、ほかにもいろいろなメリットが生まれてきます。たとえばエフェクトが使えるというのも大きなポイントです。以下のビデオを聴いてみてください。これはVOCALOID3 Editorに標準搭載されているV3Compというコンプレッサを使うと、どのように声が変化するかを見たものです。
これも極端な変化ではないので、分かりにくいかもしれませんが、後者のほうが歌声が大きくなった感じで明瞭に聴こえますよね?これがコンプレッサの効果なのです。VOCALOIDに限った話ではありませんが、ボーカルはそのままだとバック演奏に埋もれて聴き取りにくかったり、音量の設定によっては反対に目立ち過ぎてしまったりしがちです。そこで音圧を整えてあげることで、歌声をしっかりとした音量、安定した迫力に保つことができるのです。
さらに、このコンプレッサに加えてリバーブもかけてみたのが以下のビデオです。こちらはリバーブによる反響音が顕著に表れるので、誰でもすぐに違いは分かりますよね。
先ほどのコンプレッサであるV3CompはTRACKにインサーションエフェクトという形で設定していたのに対し、リバーブであるV3reverbはMASTERにシステムエフェクトという形で設定しています。この辺の設定方法に関する詳細は省きますが、VOCALOID3 Editorがあれば、こんなことが簡単にできるのです。