TASCAMバージョンになったSONAR X3を使ってみた!

CakewalkがローランドからGibsonに売却されて、どうなってしまうのか…」、いろいろと心配していた人も多いと思いますが、先日の「ついにSONAR X3が1月ティアックから発売になる!」でもお知らせしたとおり、間もなくティアックのTASCAMブランド製品としてSONAR X3が発売されます。従来と同様、SONAR X3 PRODUCER(59,800円前後)SONAR X3 STUDIO(39,800円前後)SONAR X3 ESSENTIAL(19,800円前後)の3ラインナップとなり、その最上位版であるSONAR X3 PRODUCERの日本語版を一足早く入手することがきたので、試してみました。

まだ使い込んでいるわけではありませんが、基本的なユーザーインターフェイスは従来通りであり、Windows 8/8.1ならタッチパネルディスプレイでフェーダー操作などができるのも、今までと同じです。「大きく変わってしまうのでは…」という心配したのは、何だったのかと、ある意味、拍子抜けするほどではありますが、Melodyneが搭載されたり、Addictive Drumsが標準装備されるなど、嬉しい点もいっぱい。まずはファーストインプレッションということで、SONAR X3 PRODUCERとはどんなものなのかを紹介してみましょう。

ティアックから発売される日本語版SONAR X3を一足早く使ってみた! 

今回インストールするにあたり、事前にローランド時代のSONAR X2をインストールしてあるマシンに、SONAR X3をインストールしました。というのもSONAR X3になって長年親しんできたV-VOCALが姿を消すとともに、R-MIX SONARもなくなってしまうので、これがどうなるのか試すためにです。ちなみに、X3はX2の上書きという形ではなく、別のプログラムとしてインストールされるので、X2もX3も起動することが可能になります。

ではそのインストールのところから見ていきましょう。

従来通り4枚組のDVD-ROMでインストールを行っていく 

OSはWindows 8.1の64bit版が入っているPCにインストールしていきます。まずSONAR X3 PRODUCERはX2のときと同じようにDVD-ROM、4枚組。1枚目はメインのプログラムで2枚目がループ素材集、3枚目がD-Proで4枚目がデモデータ。こうした構成も従来通りですね。ただ、ちょっぴり違うところもありました。まず1つ目はインストール作業の中で自動的にMelodyne Essentialのインストーラが起動してくるという点です。これについては、単純に指示に従っていけばいいだけですが、インストール終了後、初回起動時にはアクティベーション作業が必要となります。

途中でMelodyne Essentialのインストール画面も登場する 

もう1点の違いは新プラグイン音源のAddictive Drumsの扱いについて。これは、国内でハイ・リゾリューションが実売17,800円でパッケージ販売、10,680円でダウンロード販売を行っているドラム音源ですが、そのダウンロード版とまったく同じものがSONAR X3 PRODUCERに同梱されている形になっています。

Addictive Drumsのみは、同梱されておらず、ダウンロードしてインストールを行う

そう、同梱といっても、ダウンロード版だから入っているのはシリアルナンバーだけで、別途ダウンロードしてインストールする必要があるのです。1時間弱かけてSONAR X3のインストールが終わったのに、「Addictive Drumsがない!」と焦ったのですが、そういうことだったんですね。またダウンロードするにあたり、海外サイトにてユーザーアカウントの取得作業なども必要となります。

レジストレーションサイトの画面はTASCAMロゴにはなっているけれど、従来のものとほぼ同じ

インストールが環境すると、レジストレーションが必要になるわけで、これはTASCAMのサイトで行う形になっているのですが、ログインの画面を見ても、その先のページを見ても、なんとなく見たことがある雰囲気。ロゴと配色こそ、TASCAMのものに変わっていますが、そっくりそのまま移行したようで、この点でも安心ですね。

SONAR X3を起動し、新規プロジェクトを作成した画面。従来のX2とほとんど違いはない 

このようにして起動してみると……、ん? SONAR X2とどう違うのか、パッと見ではわからないほどですね。SONAR X2を使ってきたユーザーであれば、何ひとつ戸惑うことなく使えると思いますよ。

SONAR X3ももちろんマルチタッチのディスプレイを直接コンソールとして利用可能

以前書いた「触れるDAW、SONAR X2aを使ってみた!」のときの記事でも紹介したとおり、私はACERのT232HLというディスプレイを使っているので、ここにコンソールビューを表示させて手で触ると……、X2aのときと同様、まさにミキシングコンソールの感覚で使うことができます。ディスプレイが垂直の状態だと、やや操作しづらいという面はありますが、やはり複数のフェーダーを同時に動かせるのはいいですね。

SONAR X3本体の新機能として、それほど派手なものがあるわけではありませんが、使っていて便利になったのがコンピング機能。ループレコーディングした状態で、いいとこだけを繋いでいくコンピング操作がしやすくなっています。

うまくレコーディングした部分だけを繋ぎ合わせていくコンピング機能

またYouTubeへの直接アップロード機能や、クラウドサービスGobblerとの連携機能が搭載された点なども強化点のひとつ。その他SONAR X2とSONAR X3の違いについてはローランドが運営していたCakewalk.jpに詳しい表があるので、それを見てみるとわかりやすいと思います。

本体そのものの機能ではありませんが、SONAR X3になって大きく変わったのは、やはりボーカルエディット機能がローランドのシステムであるV-VOCALからCelemonyのMelodyne Essentialに変わったことです。といっても、基本的な使い方、考え方は大きく変わっていないようですね。

Melodyne EssentialがSONAR X3の内蔵機能として完全に統合されている 

オーディオトラックにレコーディングされたボーカルのクリップを選択した上で、MelodyneのRegion FXというものに変換処理をすることで、Melodyneの画面が現れ、ここでピッチを修正したり、タイミングを補正したりすることができるのです。

確かにV-VOCALとは操作性や機能などに違いがあることは事実です。ただ、初めてのユーザーでもすぐにエディットできるようにするためのボタンも用意されているので、使いやすいという人も多いはずです。

とはいえ、これまで使い慣れてきたV-VOCALのほうがいい、という人もいるでしょう。また機能的にはMelodyne Essentialではフォルマント調整ができないなど、もっと積極的に声質をいじりたい人には物足りなさを感じる人もいると思います。そんな場合、2つの方法が用意されています。

X2が入っているマシンにX3をインストールすれば、従来通りV-VOCALを利用することができる

まず1つ目は、あらかじめSONAR X2が入っている環境にSONAR X3をインストールするという方法。この場合、上書きされるのではなく、両方が動く状態でインストールされる形になるのですが、X3でもV-VOCALが認識されて利用できるのです。ただし、1つのクリップにMelodyneとV-VOCALを同時に使うことはできないので、いずれかを選ぶ形にはなりますが、こうすることで、従来のSONARとまったく同じ環境が実現できます。
ただし、この使い方によるV-VOCALはサポート範囲外ということのようです。

もう一つはMelodyneをアップグレードするという方法。国内でMelodyneはフックアップが扱っているソフトですが、Melodyne Editor 2という上位版をインストールすることにより、これがSONAR X3に統合される形で利用できるようになるのです。

R-MIX SONARも問題なく使うことができた 

一方、もう一つ消えてしまった機能がR-MIX SONARです。これもローランドのシステムであったためGibsonへの移行でなくなってしまったのですが、やはりX2を入れた状態でX3をインストールすれば、使えることが確認できました。
Addictive Drumsもかなり強力なドラム音源として使うことができる

なお、新プラグインについては、以前の記事「ついにSONAR X3が1月ティアックから発売になる!」でも紹介したとおりで、かなり充実しています。Addictive Drumsもなかなかいい音源ですね。従来通り、Session Drummer 3もそのまま残っているので、曲によって使い分けていくとよさそうです。

Nomad Factoryというアナログ回路シミュレーションのエフェクトが20種類も入っている

さらに「使えそうだ!」と感じたのが、アナログ回路をシミュレーションするエフェクト、Nomad Factoryです。EQ、コーラス、ディレイ、コンプ、フェーザー……と計20種類も入っているので、音作りにはかなり使えそうですよね。

まだ、とりあえずインストールして触ってみたという程度ではありますが、SONAR X3は完成度も高く、いい出来のようです。しばらくSONARをアップデートしていなかったという人も、ローランドからティアックへと移管されたこのタイミングで、導入してみてはいかがでしょうか?旧バージョンのユーザーには優待販売もされているようなので、チェックしてみてはいかがでしょうか?

【関連サイト】
TASCAMのSONAR X3シリーズ製品情報
Cakewalk by Bandlabサイト

【価格チェック】
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