マルチエフェクトとオーディオIFを合体させたBOSS GT-001が秀逸

ギター用マルチエフェクトといえば、フットスイッチ装備で床に置いて使うのが一般的ですが、時代の要請なのか、PCとのUSB接続を基本とするデスクトップタイプのマルチエフェクト、GT-001という製品がBOSSから4月25日に発売されました。これは人気のマルチエフェクト、GT-100とほぼ同じ機能を持ちながらオーディオインターフェイスとしての機能を備え、よりコンパクトになり、USBバスパワーで動作するというユニークな機材。

ギター入力だけでく、マイク接続もでき、ボーカル用エフェクトも搭載。入出力数は2IN/2OUTだけど、ルーティング設定によってリアンプが簡単にできるのも大きなポイントです。さらにギターをリアルタイムにMIDI信号に変換するGuitar to MIDI機能を装備するなど、機能てんこ盛りなユニークな機材です。そのGT-001を一足早く入手することができたので、どんな機材なのか試してみました。

ギター用マルチエフェクトとオーディオインターフェイスを1つにまとめたBOSS GT-001を使ってみた

GT-001BOSSのフラグシップ製品GT-100と同等の機能を持ったマルチエフェクトで、ビンテージエフェクトから最新のMDPエフェクトまで数多くのエフェクトを装備した機材。プリセットを見てみると計200のパッチがあり、もちろん本体だけの操作で好みのプリセットを簡単に選ぶことができます。

iPhone5sと並べてみてもとってもコンパクトなGT-001

ためしにプリセットのP001を見てみると、HiGAIN STACKというプリアンプにノイズサプレッサ、リバーブが接続された構成で、本体だけで各パラメータをいじっていくこともできるのですが、音作りにおいては、やはりPCが威力を発揮します。


本体の液晶ディスプレイでエディットすることもできるけれど……

USBでPCと接続した状態でWindows/Mac対応のアプリケーションであるBOSS TONE STUDIOを起動すると、EDITOR画面でGT-001の状態がすべて見れるようになっています。この画面で、細かくエディットしていくことができるようになっていて、本体液晶で見るよりも圧倒的にわかりやすいですよね。


PCソフトであるBOSS TONE STUDIOを使うことで、ずっと見やすく、エディットしやすくなる

画面上部を見るとわかるとおり、プリアンプコンプOD/DSEQディレイコーラスリバーブ、そしてFX-1FX-2という名のマルチエフェクトなど計18個ものモジュールを自在に接続して1つのエフェクトパッチを作っていくことができるんですね。

各モジュールのオン/オフ設定はもちろん、順番も自由自在に変えられるほか、2系統のエフェクトチェインを作っていくことができるのもユニークなところです。


USBでPC接続することでデータのやり取りができるとともに、電源も供給される。ACアダプタでの電源供給も可 

PCのプラグインでも高性能で多機能なアンプシミュレータがいろいろありますが、反応速度、レイテンシーといった点では、やはりGT-001のようなハード製品のほうが優っているのも事実。しかも、これだけの自由度があってPCで操作できるのでわかりやすいですね。

さらにGT-001の大きな魅力は予め用意されている200のパッチだけでなく、さまざまなギタリスト、アーティストが作ったパッチが公開されていて、どれも無料で入手できるという点です。そう、このBOSS TONE STUDIOからBOSS TONE CENTRALというサイトにアクセスすることが可能で、ここにいろいろなパッチが用意されているのです。


BOSS TONE CENTRALへネット接続することで、さまざまなアーティストが作ったパッチをすぐにGETできる

たとえばSteve LukatherRandall WallerFernando MiyataMarty Friedman……。実際、Steve Lukatherが、そのパッチで演奏しているビデオもチェックでき、その音が手元ですぐに再現できるというのは、スゴイですよね。

では、このGT-001、DAWからはどのように見えるのでしょうか?GT-001は入力が2ch、出力が2chのデバイスではあるのですが、Cubaseから見ると、4IN/4OUTのオーディオインターフェイスとして見えています。ポート名もPRIMARYSECONDARYとあるのですが、これはどういう意味なのでしょうか?


本体右サイドにはギター入力のほか、XLRのマイク入力、AUX IN、そしてペダル端子がある

まずPRIMARYからの入力をレコーディングしてみると、トラックにはエフェクトの掛かった音がレコーディングされます。でも、これをSECONDARYに変えてレコーディングすると、エフェクトの掛かっていない状態で録れるんです。つまりSECONDARYに設定しておけば、レイテンシーのない環境でエフェクトの掛かった音でモニターしながら、ギターの生音がそのままレコーディングできる、というわけです。

Cubaseからは4IN/4OUTのオーディオインターフェイスとして見える 

一方、再生時においてはPRIMARYを選択すると、普通のオーディオインターフェイスとして音を出力できる一方、SECONDARYを選択すると、GT-001のエフェクトを通した音が出てくるのです。この際、GT-001側の設定を変更すれば、まったく別のアンプ、エフェクトを通した音で再生することができるわけです。


4ch=2系統の入出力を使うことでエフェクトを掛けた音、掛けない音を自在に使い分けられる 

そして、「このエフェクト設定がベストだ」と決まった時点で、別のオーディオトラックをPRIMARYからレコーディングすれば、リアンプされた形でバウンスできてしまうのです。文章で書いていると、ややわかりにくいかもしれませんが、この手軽さは画期的ですよ!


標準ジャックL/Rのメイン出力端子があるほかステレオミニのヘッドホンジャックでのモニターも可能

そして、もう一つGT-001の特徴として挙げられるのがGuitar to MIDIの機能です。そう、その名の通りギタープレイをそのままMIDIに変換できる機能です。ギターで演奏した音や鼻歌をMIDIに変換する機能は、古くからありましたが、なかなか精度が高くならず、実際にはあまり役立たないというケースが多かったように思います。でも、このGuitar to MIDI、思っていた以上に使えます。

単音に限られるので、ストロークで弾いたり、コードを鳴らしたりするとダメですが、ソロで弾くと、かなりしっかりと変換してくれます。チョーキングをしても、うまくピッチベンド情報が出るようで、違和感なくMIDIになるんですね。ソフトシンセを鳴らしても、外部のハードシンセを鳴らしても問題なく使えます。ただし、間隔値で200msec程度のレイテンシーはあるのは仕方ないところですね。ちょっとディレイが掛かっていると思えば、十分許容範囲内だと思います。

使い方も至って簡単。USB接続しているDAWには3つのMIDI入出力ポートが見えるのですが、このうちのGT-001がGuitar to MIDIの信号。そう、何の設定をしなくても、ギターを弾けばすぐにMIDI信号が出力される仕様になっているんですね。


本体の4つのボタンをトランスポートボタンとして利用できる

ちなみにGT-001 DAW CTRLというポートもあって気になるところですが、これはGT-001の4つのボタンをCLICK、STOP、PLAY、RECのそれぞれに割り当てるというもの。まあ、オマケ機能ではあるけれど、便利に使えそうに思えました。

以上、BOSSのGT-001について見てきましたがいかがだったでしょうか?とにかく機能豊富で、マイク回りやボーカルエフェクト、ループバック機能など、触れることができなかった機能もいっぱいありますが、この辺、また改めて取り上げられたらと思っております。


もちろんチューナー機能なども搭載されている

なお、「最近GT-100を買ったばかりなのに、こんなに新機能がついて、失敗した……」なんて思う方もいるかもしれませんが、大丈夫。GT-001の発売と同じタイミングでGT-100 Ver.2というファームウェアが登場しており、これにアップデートすることで、各種機能が追加されGT-001と同等以上に変身させることができます。

 【関連サイト】
GT-001製品情報
GT-100製品情報
BOSS TONE CENTRAL

【価格チェック】
◎Amazon ⇒ GT-001
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