KORGがNAMM Show 2018に向けてアナログシンセprologueやドラムマシンKR-55 Proなど一挙リリース

1月25日~28日の4日間、米カリフォルニア州・アナハイムで開催されるNAMM Show 2018に向けて、各楽器メーカーなどが新製品を続々と発表しだしていますが、KORGも本日さまざまな製品を発表しました。アナログシンセのフラグシップモデル、prologueやドラムマシンのKR-55 Provolcaシリーズ用のミキサーであるvolca mixなどなど…。まだ私自身も、実物を見ているわけではないのですが、発表内容を見ると、いろいろ楽しそうなものがいっぱいです。

私も今年はNAMM Showに参加する予定なので、詳細については、実際にモノを見て、触ってからレポートしてみたいと思っていますが、まずは各製品についてごく簡単に紹介してみたいと思います。


KORGがフラグシップアナログシンセのprologueのほか、各種製品を一挙発表


いろいろと発表された中で、やはり目玉製品と思えるのはアナログシンセサイザーのフラグシップモデル、prologueでしょう。miniloguemonologueと来てたので、prologueとかepilogue(これは終わっちゃいそうだから出ないのかな)って名前のが来るのでは……と思ってましたが、すごいのがやってきました。

16ボイスで61鍵盤のprologue-16
今回リリースされたのはステージでもスタジオでも使える16ボイスと8ボイスの2機種
prologue-16(16ボイス・61鍵:実売価格220,000円)
prologue-8(8ボイス・49鍵:実売価格170,000円)
の2機種。

面白いのはKORGによる「prologueはフラグシップではありますが、モンスター・シンセは目指しません」という一言。monologue、minilogueの延長線上にあるシンセサイザーである、ということなんでしょうね。

8ボイスで49鍵盤のprologue-8

構成は2VCO + MULTI ENGINE、1VCF、2EG、1VCA、1LFO。オシレーターの倍音を形成するウェーブ・シェイプや、シンク/リング・スイッチ、などシリーズ共通の特徴的な回路に加え、ブラッシュアップされた効きの鋭い2 ポール・ローパス・フィルター、強力な歪みを加えるドライブ、そしてローカット・スイッチを搭載されているとのことです。

11,000ものディスクリート部品で構成されているprologueの内部基板
ここで気になるのはMULTI ENGINEって何?という話。これはVCO3として位置づけられたオシレーターですが、普通のアナログVCOではなく、3つの異なるオシレーターを組み合わせたものなのです。具体的には以下の3種類。

ノイズ・ジェネレーター パーカッシブな音色やSE サウンドに欠かせない4 タイプのノイズ・ジェネレーター。デジタル・フィルターによる、ノイズ・カラーのダイレクトな変化を味わえます。
VPM オシレーター prologue のために新たに設計されたVPM(Variable Phase Modulation)/ FM オシレーター。複雑な倍音を含む金属的でシャープなサウンドは、アナログでは決して得られないもの。16タイプのオシレーターとSHAPEノブ・コントロールが、複雑な音作りを直感的に導きます。
ユーザー・オシレーター 自作のオシレーター・プログラムをロードできるユーザー・オシレーター。16 スロットを備え、プリセットとしてモーフィング・ウェーブテーブル・オシレーターを1 タイプ内蔵しています。

ノイズ・ジェネレーターやVPM(つまりPM/FM音源ということなのかな?)はいいとして、ユーザー・オシレーターって何だろう…と触ってないのでわからないことだらけですが、やはりmonologue、minilogueとはちょっと次元の異なるシンセに仕上がっているようですね。

prologue-16にはアナログVUメーター付きのアナログコンプ/ブースターも搭載

そのほかにも数多くのデジタルエフェクトを搭載していたり、prologue-16にはアナログVUメーター付きのアナログコンプ/ブースターが搭載されたり、アルペジエーターが搭載されていたり……とかなり充実した内容になっています。端子にはオーディオ出力やペダル用などがあるほかMIDI IN/OUTされにはUSBもあるので、PCとのやりとりも可能となっているようです。ぜひ、どんなものなのかしっかりと試してみたいところです。

従来のドラムマシン、リズムボックスとはかなり違った発想のKR-55 Pro

一方、ちょっとレトロな雰囲気のドラムマシン、KR-55 Pro(実売価格34,000円)。〇R-55という型番が、某社の昔のドラムマシンを想像してしまいましたが、当然それとは関係ないですね。そもそも1976年にKORG RHYTHM-55(KR-55)というのを出していたので、名称的には、それの42年ぶりの復活ということみたいです。


生録のドラムを鳴らすというKR-55 Pro
このKR-55 Pro、主な特徴として、以下の点が挙げられていました。
■コルグ独自の「Real Groove Technology」により、生録音されたリアルなドラム/パーカッション・スタイルを24 種類内蔵
■各リズム・スタイルには2 つのバリエーションに加え、ベーシック、フィルイン1、フィルイン2、およびエンディングの豊富なパターンを用意
■チェイン機能を使用すれば1 曲分のリズム構成を作成して自動演奏させることが可能
■XLR マイク入力×1、ギター/ベース入力×2、ステレオAUX 入力と豊富な入力端子を装備し、多チャンネルのミキシングも可能
■高品位なリバーブ・エフェクトやイコライザーを搭載し、サウンド・メイクも自由自在
■自分の演奏とリズム・スタイルやSDカード内のオーディオ・ファイルと合わせて録音が可能
■多重録音にも対応し、より複雑なトラック制作も可能
■ループ再生、自動連続再生も可能なオーディオ・プレーヤー機能
■大きく見やすいメーター表示のチューナー機能。ガイド音によるチューニングも可能
■Acoustage 技術により広がりのあるサウンドを獲得。
■単三乾電池6本によるバッテリー駆動。最大7時間まで使用可能

■別売りフット・スイッチにより、足元でコントロール可能

各リズム・スタイルには2 つのバリエーション、ベーシック、フィルイン1、フィルイン2、エンディングがある
そう、最大のポイントはドラムマシンなのに、機械的ではなく、まさにプロが演奏した音そのものを使っているということ。実際に触ってみないことには、まだピンと来ないというのが正直なところではありますが、早く試してみたいですね。

個人的にはすぐにでも欲しいと思ったのが、KORG volcaシリーズ用のミキサー、volca mix(実売価格18,000円)です。小さなガジェット的電子楽器、volcaシリーズにはvolca keysvolca bassvolca beatsvolca samplevolca fmvolca kickなどがありますが、これらの機能を存分に引き出すための機材がvolca mixなのです。


volocaシリーズ用のミキサーとして誕生したvolca mix

本質ではないかもしれないけど、すぐ欲しいと思う最大の理由はvolca mixから3台までのvolcaへ一括電源供給できること。つまりACアダプタとして使えるのが便利だな、と。

ACアダプタで動作するvolca mixにはvolcaシリーズと接続する電源ケーブルとオーディオケーブルが付属
ミキサーとしてはモノラル2系統、ステレオ1系統の入力があり、3台までのvolcaから入力することが可能となっています。それぞれにフェーダーがついているのは当然として、LO/HI CUTというノブが独立してついて、ここで思い切り音色をいじれるようなのです。KORGによれば「これはアナログならではの効きの鋭いフィルター」とのことですから、なかなか面白そうです。

さらにSENDつまみも用意されていますが、これは外部エフェクトへの送り。マスターセクション側にこれらをまとめたSEND OUTがあり、エフェクトからの戻りを受けるためのAUX INがある構成となっています。

3つのフェーダーの上にはLO/HI CUT、SENDのパラメータがある
またここにはすべてアナログ回路によるマスター・エフェクトも搭載されています。WIDTH、DYNAMICSというのがそれで、WIDTHを使ってモノラル・ソースをステレオ音像へと拡げるエキスパンダー効果を実現。そしてDYNAMICSで低域のレベル変化に合わせて高域をコンプレッションすることができるそうです。

この小さいミキサーとして、面白いのは、スピーカーを搭載していること。つまりこれだけでミックス結果を鳴らすことができるわけですね。もちろん、ヘッドホン出力、およびLINEでのメイン出力は持っているけれど、スピーカーで鳴らせられる簡易さがまさにvolcaシリーズのミキサーという感じです。

今回、KORGはこれらのほかにもポータブル・ステレオPAシステムのKONNECT(実売価格50,000円)、フルサイズARP ODYSSEYにKORG SQ-1をバンドルしたARP ODYSSEY FSQ(同200,000円)、デジタルピアノのD1(同49,800円)、さらには各種チューニングメーターなど、かなり数多くの新製品を投入しています。

ODDESYとセットで発売される特別版のSQ-1

もう一つ気になるのは仏Arturiaの動き。同社ではやはりアナログシンセであるMini Brute 2およびMini Brute 2Sという2製品を発表しています。まだ詳細を追えてないのですが、これらもかなり面白そうなシンセで、minilogueやprologueとは別の方向性の製品のようです。直接バッティングすることはないでしょうが、アナログシンセという意味では競合。これらArturia製品も日本国内ではKORGが輸入販売を行っているのですから、なかなか不思議な関係といえそうですよね。

Arturiaから発表になったアナログシンセ、Mini Brute 2
これらArturia製品も併せて、またDTM的使い方などレポートできればと思っているところです。

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