以前DTMステーションでも紹介した超低遅延ワイヤレスヘッドホン、OneOdioのStudio Max 1。付属のトランスミッタを使った20msのワイヤレス接続が大きな話題となりましたが、その後継モデルとなるStudio Max 2がついに登場しました。最大の進化ポイントは、独自技術RapidWill+ Ultra-Low Latency 3.0によって実現した9msという驚異的な超低遅延。
前モデルの20msから半分以下にまで短縮されており、さらにLDACコーデック対応によるハイレゾワイヤレス再生、120時間の長時間バッテリ、3.5mm・6.3mm有線接続とM2トランスミッタ・Bluetoothを合わせた4つの接続モード、そして新たにスマートフォンアプリにも対応するなど、全方位にわたって強化が図られています。価格は27,980円。実際にStudio Max 2を試してみたので、DTMでの使い勝手を中心に紹介していきましょう。
前モデルStudio Max 1から何が変わったのか
まずはStudio Max 2が前モデルからどのように進化したのかを整理しておきましょう。2025年に発売されたStudio Max 1は、付属のM1トランスミッタを使った20msの超低遅延ワイヤレス接続を武器にしており、DTMステーションでも以前「20msの超低遅延ワイヤレスヘッドホンは、DTMでも使えるのか?有線接続も可能なOneOdio Studio Max 1を試してみた」という記事で紹介しました。そんなStudio Max 1は、CES 2025でアワードを獲得するなど、海外でも高い評価を得たモデルでした。
そして新たに登場したStudio Max 2では、まずワイヤレス通信の核心部分が大きく進化しています。独自技術であるRapidWill+ Ultra-Low Latency 3.0テクノロジーを採用し、トランスミッタ経由の遅延が20msから9msへと半分以下に短縮されました。9msは、音が空気中を約3メートル伝わる時間に相当し、まさにスタジオのラージモニターとの距離が3mくらいですから、十分実用的なスピードといえますね。人間の聴覚がこの程度の遅延をズレとして認識するのはかなり難しいレベルとなっています。
ワイヤレスイヤホンなどで標準的に使われるSBCやAACといった定番のBluetoothコーデックでは、音声データを圧縮して送受信する仕組み上、どうしても150msから300ms以上の大きな遅延が発生してしまいます。比較的高速とされるaptX Low LatencyやaptX Adaptiveなどの低遅延コーデックでも40〜80ms程度の遅延は避けられません。そのため、鍵盤を弾いてから音が鳴るまでのズレがどうしても気になってしまい、DTMでのリアルタイムな演奏や録音には到底使うことができないというのが常識でした。そんな常識を覆したのが、Studio Max 1であり、それをさらにアップデートしたのが、Studio Max 2というわけです。
またドライバについても変更があり、Studio Max 1の50mmから45mmへとサイズが変わっています。インピーダンスは32Ωから34Ωに、感度は110dBから98dB ±3dBへと変更され、最大音圧レベルは118dBとなっています。周波数特性は20Hzから40kHzを維持しており、Hi-Resオーディオ認証とHi-Resワイヤレス認証のデュアル認証を取得しています。ドライバーサイズが小さくなった点は一見すると後退に見えるかもしれませんが、ご存知の通りドライバーのサイズだけで音質が決まるわけではなく、振動板の素材や内部構造の設計を含めたトータルでのチューニングが重要になってくるので、この点はそこまで気にするポイントではないかな、と思いますよ。
そのほか、Bluetooth接続時にはOneOdioアプリを使って、イコライザのカスタマイズなどが可能になりました。EQモードも4種類に増え、ミュージックモード、ベースモード、モニタリングモード、カスタムモードの4つを多機能ボタンのダブルクリックで切り替えることが可能。原音に忠実な音を求めるDTMユーザーにとって、モニタリングモードが標準で用意されたのは嬉しいポイントですね。
また、カスタマイズモードでは、動かせる周波数は決まっているものの、±12dBコントロールできるようになっています。
さらにアプリ上ではイコライザの調整だけでなく、左右の音量バランスの変更や、デュアル・デバイス接続の切り替え、自動電源オフや最高音量制限の設定、ヘッドホンを探す機能など、さまざまなコントロール可能。また本体にはENCマイク穴が2つ搭載され、Bluetooth接続時には環境ノイズを低減したクリアな通話が可能になっていたりと、音楽制作以外の通常使いする際の利便性が向上しています。
M2トランスミッタが進化しUSBデジタル入力に対応
さてStudio Max 2の目玉の一つ、9msという超低遅延を可能にしたM2トランスミッタ自体についてもう少し詳しく紹介していきましょう。
まず注目したいのが、M2トランスミッタ自体に1000mAhのバッテリが内蔵されており、M1トランスミッタの50時間の連続使用が可能になった点。USB-C端子を用いて約2時間でフル充電が完了します。ちなみにヘッドホン本体側にも同じく1000mAhのバッテリが内蔵されており、こちらの駆動時間は120時間以上となっています。こういったデバイスは充電するのが面倒なので、駆動時間が長いというのは嬉しいですよね。
またさらに重要な進化として、M2トランスミッタはアナログ入力に加えてUSB-Cケーブル経由のデジタル入力に対応しました。パソコンのUSB-Cポートに接続すれば、デジタル信号をダイレクトに受け取ったワイヤレス送信が可能となりました。
M2トランスミッタをアナログで使用する場合は、付属の1.2mのストレートオーディオケーブルをM2トランスミッタの3.5mmジャックに接続します。付属の変換アダプタを使えば、DJミキサーなどの標準ジャック出力からも信号を取り込めるので、PCとの接続以外にも、さまざまな用途に使用できますよ。ちなみにUSB-Cとアナログ接続を同時に行った場合は、USBデジタル入力が最優先される設計となっていました。なお、M2トランスミッタを充電している最中は、3.5mmアナログ入力が無効になる仕様となっているため、充電しながら使う場合はUSBデジタル接続を利用するしかないです。
ペアリングの手順もシンプルで、ヘッドホンの電源を入れてモードスイッチをULL側に設定すると、LEDインジケータが緑色に点滅するので、M2トランスミッタ側も電源ボタンを3秒長押ししてオンにすると自動的にペアリングが完了します。ペアリングが終わると、ヘッドホンのLEDは緑色の点灯に、M2のLEDは白色の点灯に変わります。万が一うまく繋がらない場合でも、ヘッドホンの多機能ボタンを6回押し、M2トランスミッタの電源ボタンを6回押すことで、確実に強制ペアリングモードへ入ることができます。
4つの接続モードとデュアルジャック構造
さて改めてStudio Max 2の接続モードをまとめていきます。前モデルと同様に4つの接続モードを備えており、M2トランスミッタによる超低遅延ワイヤレス接続、スマートフォンなどと繋ぐBluetooth接続、そして3.5mmジャックと6.3mmジャックを用いた2種類のアナログ有線接続が可能となっています。
アナログ接続は、ヘッドホン本体の片方のハウジングに3.5mmジャック、もう片方に6.3mmジャックを備えるデュアルジャック構造となっています。有線ケーブルを接続すると、ヘッドホンの電源が入っていても自動的に電源がオフになり、有線モードに切り替わる仕様です。有線モード時はヘッドホン上のボタン類は無効化され、バッテリを消費することがなく、万が一バッテリが切れてしまっても、ケーブルを挿せばパッシブのヘッドホンとしてそのまま使い続けることができるようになっています。
ちなみにBluetoothモードで使う場合は、ヘッドホンの多機能ボタンを2秒長押しして電源を入れ、モードスイッチをBT側に切り替えます。ペアリング時はLEDが赤と青に交互に点滅するとともに音声案内が流れ、完了するとLEDが消灯。また、デュアル・デバイス接続にも対応しており、2台のデバイスと同時にペアリングすることができるようになっています。1台目のデバイスとペアリングした後にそのデバイスのBluetoothをオフにし、2台目のデバイスでペアリングを実行。その後、1台目のBluetoothを再度オンにすると、自動的に再接続されます。1台目で音源を再生しているときは、2台目を再生していても音声は流れず、1台目の再生を止めると2台目の音が聴こえるような仕組みとなっていました。
Bluetoothモード時は、多機能ボタンを1回押しで再生や一時停止、1秒長押しで着信拒否、3回押しでSiriなどの音声アシスタントの起動ができたり、ボリュームボタンは1回押しで音量調整、1.5秒長押しで曲のスキップ操作に対応。さらに通話中にもう一方から着信があった場合、ボタンの操作によって現在の通話を切って新しい電話に出たり、現在の通話を保留したまま新しい電話に出たりと、少し操作を覚える必要がありますが、ビジネスユースでも役立つ高度な機能を備えています。
超低遅延であるULLモードでの操作は、接続方法によって若干異なり、3.5mmアナログ入力の場合は、ボリューム調整と多機能ボタンによるイコライザ切り替えが可能。USBデジタル接続の場合はそれに加え、Bluetoothモードと同様に多機能ボタンの1回押しで再生や一時停止、さらにボリュームボタンの1.5秒長押しによる曲のスキップ操作も行うことができます。ただし、ULLモードではヘッドホン内蔵のENCマイクは使用できないので、通話に使う際はBluetoothモードで接続する必要がありますね。
充実の付属品
付属品としては、ヘッドホン本体とM2トランスミッタのほか、3mの3.5mmから6.3mmへのカールオーディオケーブル、1.2mの3.5mmストレートオーディオケーブル、ネジ式6.3mm変換アダプタ、両端Type-Cの1m USB充電ケーブル、そして専用の収納ケースが標準で同梱されています。
イヤーカップは左右180度の回転が可能で、内側への折りたたみにも対応。片耳モニタリングも容易に行えるので、DJはもちろん、DTMでの作業中にスピーカーの音も確認しながらヘッドホンを併用するような場面でも便利に使えますよ。付属の収納ケースに機材一式をまとめて持ち運ぶことができるので、スタジオ間の移動やライブ現場への持ち込みにも最適ですね。
実際にDTM環境で使ってみた印象
それでは最後にStudio Max 2をDTM環境で使ってみた印象を紹介しましょう。
まずはM2トランスミッタをオーディオインターフェイスのヘッドホン出力にアナログケーブルで接続し、超低遅延モードでDAWの音を聴いてみました。前モデルの20msでも十分に実用的だと感じていましたが、9msになるとさらに有線接続との差が縮まり、遅延を意識することは皆無になりますね。MIDIキーボードを弾きながらソフトシンセの音をモニタリングする場面でも、弾いた瞬間と聴こえるタイミングの間に違和感はまったく感じませんでした。
M2トランスミッタのUSB-C端子をパソコンに直接接続してデジタル入力で使う方法も試してみました。この場合、M2トランスミッタがUSBオーディオデバイスとして認識されるので、DAWのオーディオ出力先としてM2トランスミッタを選択して使うことになります。
M2トランスミッタをアナログケーブルで接続する場合は、オーディオインターフェイスやPCのヘッドホン端子のDACやケーブルに音質が影響されるため、PCと接続するのであればUSB-C端子で接続するほうが純粋な信号を聴くことができますよ。実際にUSB-C接続とPCの端子にアナログケーブルを繋いだ場合を比較すると、大きな違いはないものの、低音域の迫力やサウンドのクリアさは、USB-C接続時の方が優れていました。
音質面については、有線接続時やM2トランスミッタを使ったときのサウンドはバランスがよく、中高域も明瞭に聴こえますね。ボーカルの聴こえ方もいいし、低音域もモニタリングしやすく、Studio Max 2の素の音は前モデルよりフラットな方向にチューニングされている印象です。たとえば、ワイヤレス接続時は、ベースモードに切り替えれば低音域がしっかりブーストされるので、キックやベースの帯域を確認したいときに使う、といったことも考えられそうですね。
同価格帯のモニターヘッドホンと比較すると、純粋な音質だけを比べた場合、一歩及ばないところもあります。ですが、それ以上にケーブルがないことで得られる自由度は、実際に体験すると想像以上に快適です。DAWで曲を再生しながらシンセサイザーのツマミを触りに行ったり、ボーカルブースに移動してマイクの位置を調整したり、ギターを弾くときにケーブルが邪魔にならなかったりと、ヘッドホンを装着したまま自由に動き回れるのは、かなりストレスが少ないですね。
普段のリスニングや外出先ではBluetoothで、作曲やアレンジの段階ではM2トランスミッタを使った超低遅延のワイヤレス接続で、そして最終的なミックス作業には確実な有線接続でと、あらゆる場面をこれ1台でこなすことができます。DTMでの制作作業全般において問題なく使える解像度を備えているため、持っていて損はないアイテムだといえますね。
強いていえば、シビアなミックスやマスタリング用にはもう1本専用のヘッドホンを併用するのが理想的ですが、これからDTMを始める方への最初の1本として、あるいはすでに機材を揃えている方のサブヘッドホンとしては、圧倒的な汎用性を持つ製品となっています。
以上、OneOdio Studio Max 2について紹介しました。前モデルで実現した超低遅延ワイヤレスという革新的なコンセプトを受け継ぎつつ、遅延を20msから9msへと半分以下に短縮し、M2トランスミッタのUSBデジタル入力対応やモニタリングモードの追加など、DTMユーザーにとっても嬉しい進化を遂げていました。価格は27,980円と、これだけの機能が詰まってこの価格帯であれば圧倒的なコストパフォーマンスだと思います。ちなみにOneOdio Studio Max 2のイメージキャラクターにはDJ KSHMRを採用しているとのことです。 ぜひ、ワイヤレスでのモニタリング環境に興味がある方は、チェックしてみてはいかがでしょうか。
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使用期限:2026年7月31日
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【関連情報】
OneOdio Studio Max 2 製品ページ
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