60年前の日本初のテープレコーダーを再生させてみた

超高音質なポケットサイズのリニアPCMレコーダーが安価に手に入る昨今ですが、日本のレコーダーの歴史がどのくらいになるかご存知の方はいますか? 日本で最初のテープレコーダーが作られたのは1950年、今からちょうど60年前のことです。開発したのは、ソニーの前身である日本通信工業。そう、ソニーの創始者である今は亡き井深大さん、盛田昭夫さんたちが開発したものなのです。

その60年前のテープレコーダーが現存しており、実際に動くのを誰でも見ることができるのを知り、先日、東京・品川の「ソニー歴史資料館」に行ってきました。12月24日までとなっていますが、「日本初テープレコーダー誕生60周年記念」という催しが行われており、実物を触って当時の音を鳴らすことができるのです。


1950年に開発された日本最初のテープレコーダー、GT-3


日本初のテープレコーダーは、アメリカで当時すでに実用化されていた「マグネコーダー」を原型にしたもので、試作1号機ができたのが1949年9月。翌1950年1月「G型」が完成し、1951年に発売されたそうです。発売されたテープレコーダーの型番は「GT-3」。サイズ的には幅650mm×高さ360mm×奥行490mmで、重さ40kgというものなので、かなり大きな機材です。

そんな初期の機材が今でもキレイに保存されていて、ソニー歴史資料館に展示されているのです。ここには、このG型以外にも1952年に生まれ「デンスケ」の代名詞がついた街頭録音機「M2」、1966年に誕生した初のカセットテープレコーダー「TC-100」、1975年に発売されたカッパブックスサイズの薄型カセットレコーダー、「TC-1100」をはじめ、歴代のテープレコーダーが展示されています。


デンスケの異名を持つ持ち歩き可能なレコーダー、M2

もちろん、ソニーの歴史資料館なのでテープレコーダーばかりでなく、日本初のトランジスタラジオや世界を大きく変えたトリニトロンカラーテレビなど、さまざまなものが展示っされているので、こうした機材に興味のある方はぜひ行ってみることをお勧めします。


初のカセットテープレコーダー、TC-100

こうした機材は常設されており、いつでも見ることができるのですが、12月24日までの限定で開催されているのが「日本初テープレコーダー誕生60周年記念 これだよ、われわれのやるものは – 日本初のテープレコーダー開発をめぐって -」 というイベント。これはソニー歴史資料館の一番奥にある「アーカイブス」という資料室に、実際に動くG型レコーダーが置かれ、来館者が触って動かすことができるという企画になっているのです。


ソニー歴史資料館

実際に触れるのは初代機ではなく、1955年に製造され、35kgに減量された「GT-6」という機材。ここには、井深さんや盛田さんが会話をしていた内容が録音されており、その音を今に聴くことができるのです。iPhoneで録画したこのビデオだと音声がややハッキリしないもの、その場で聴くと、「これがホントに60年も前に録音した音なのか?」と疑いたくなるほどクリアなサウンドで録音されているのです。

60年前の音声があまりにもキレイな音で再生できたのには驚いた

イベント期間を過ぎてもある程度、モノを見ることはできますが、せっかくであればイベント中に行くのがいいと思います。入館は無料ですが、完全予約制となっているため、予め電話をかけて予約をする必要があります。連絡先などは以下のとおりとなっています。

■ソニー歴史資料館
東京都品川区北品川6-6-39
TEL:03-5448-4455
FAX:03-5448-2560
開館時間:平日、午前10時~午後5時

 

※2021.7.13追記

ソニー歴史資料館は残念ながら2018年末に閉館になってしまいました

Commentsこの記事についたコメント

2件のコメント
  • 亜蓮

    東京理科大学の近代科学資料館でも「録音の歴史」という展示をやっています。
    http://www.tus.ac.jp/info/setubi/museum/pdf/data.pdf
    なかなか面白そうです。

    2011年1月12日 3:58 PM
  • 藤本健

    ホントだ、情報ありがとうございます。
    同じG型がおいてあるんですね。
    できれば、展示が終わるまでの期間に行ってみます。

    2011年1月12日 8:19 PM

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