チップチューンの究極!?新作アルバムをファミコンカセットでリリース!「8BIT MUSIC POWER」がスゴ過ぎる!

ファミコンMSXPC-6001といった8bitマシンに搭載されていたPSG(Programable Sound Generator)などを使って作る音楽、チップチューン。以前「ファミコン8bitサウンドのフリー音源が64bitに対応だ!」という記事で紹介した「Magical 8bit Plug」などのエミュレーション音源を使って曲を作っている人も少なくないと思いますが、「エミュレーションじゃ物足りない!CDだって、録音でしょ。やるならホンモノ!」とトンでもないことをやってのけた方がいます。

 

漫画家・イラストレーターであり、自ら音楽レーベルも持つRIKIさん。RIKIさんは、今の時代になんとファミコンで再生できる音楽アルバムのカセット・カートリッジ、「8BIT MUSIC POWER」を1月30日にリリースしたのです。「え?今ファミコンの新作?8ビット音楽アルバム作品でカートリッジってどういうこと?」と不思議に思ってしまいましたが、現実にモノができているんですよね。RIKIさん、そして「8BIT MUSIC POWER」に作品提供をしている塩田信之さんに、どういうことなのかお話を伺ってみたので紹介しましょう。


ファミコン用カセット・カートリッジとして発売されたチップチューンのアルバム、「8BIT MUSIC POWER」


まずは、その「8BIT MUSIC POWER」について、実際にプレイしながらRIKIさんに説明してもらったので、以下のビデオをご覧ください。

 

なんだこれ??」ですよね。「8BIT MUSIC POWER」はゲームではなく、ファミコンおよびその互換機でプレイすることができる新作のチップチューン音楽アルバム。ビデオでRIKIさんも説明していたとおり、単に音楽が鳴るというだけでなく、演奏状態が鍵盤上に表示されるとともに、各パートごとにミュートすることができ、選曲する際はカーソルキーを押すと、ピュンピュンといいながら、まるでゲーム感覚で選べるようになっています。


今回、お話を伺ったRIKIさん(右)と塩田さん(左) 

 

もちろん実機で動かすわけですから、レコーディングでもエミューレーションでもなく、まさにホンモノで動く新作なんですね。

 

本職は漫画家なんですが、ファミコンが好きで好きで、コレクターとしていろんなゲームを集めていました。そんな中、漫画家として売れちゃったんで、そのお金で勢い余って店舗を丸ごと買っちゃってね…、しかも3軒も(笑)。コレクターとしてはやりつくしちゃいました」と、やはりトンでもないことを言い出すRIKIさん。


本業は漫画家・イラストレーターでありつつ、ファミコンにすごいパワーを注ぎ込むRIKIさん 

 

さらに8bitバーというのを自分でプロデュースして近所で営業したりしましたが、2013年には自分の生命力のすべてを使って『キラキラスターナイト』というファミコン用のゲームを作ったんです。2年がかりの大作です。そして今作の『8BIT MUSIC POWER』がAmazonで発売されたところ、ゲーム部門で3位内に入ったんですよ」とRIKIさん。


2013年にRIKIさんのオリジナルゲームとしてリリースした「キラキラスターナイト」

でも今ごろ任天堂がファミコン用のゲームの新作を出すなんてことはないですよね……?「はい、任天堂のライセンス製品ではなく発売元はFC POCKETという互換機を扱っているコロンバスサークルというところになんですよ」とのこと。


5000円強で購入できるFC POCKETに試作の「8BIT MUSIC POWER」をセットした写真。中央部は液晶ディスプレイ

 

私、そっちの方面には疎いので、「え??それって大丈夫なの?違法じゃないの?」なんて思ってしまいましたが、まったく問題ないのだとか。ファミコンを今持っていなければ、5000円ちょっとで販売されているFC POCKETとセットで購入すれば、すぐに使えるとのことで、先ほどのビデオもFC POCKETを使って再生したものです。


FC POCKETにはカセット・カートリッジを挿せるスロットがあるほか、AV出力端子も装備されている 

 

では、このアルバムに入っている曲はというと、以下の12トラックで収録時間44分20秒

 

<8BIT MUSIC POWER>
01 / 2:36 / BLACK CARTRIDGE : Hally
02 / 2:06 / PICO MY HEART : Takeaki Kunimoto (国本剛章)
03 / 2:16 / CIRCUS GAME : Hiroaki Sano (佐野広明)
04 / 3:46 / MASS PURPLE : Keishi Yonao (与猶啓至)
05 / 2:04 / NARU YONI NARU : Prof.Sakamoto (サカモト教授)
06 / 7:07 / PHASE OUT(0.8) : Saitone
07 / 3:12 / ORIENTAL MYSTIQUE : Masahiro Kajihara (梶原正裕)
08 / 3:51 / EIGHT BIT JUNGLE : Yuriko Keino (慶野由利子)
09 / 2:53 / TIP-TRACK 303 : Tappy
10 / 4:46 / KIRAKIRA BUSHI : Omodaka
11 / 7:23 / TESTPATTERN : Nobuyuki Shioda (塩田信之)
00 / 2:20 / secret : secret

 

「ゲーム音楽の世界で活躍されているさまざまな方にお声がけして、曲を提供してもらいました。ただ、最終的にファミコンカセットのROMに収録するために、容量的には厳密な制約があり、みなさんにはその点にご協力いただいたのです。具体的にはMMLで8KBとPCMで8KBの計16KBというものです」


「8BIT MUSIC POWER」は1月30日に発売された 

 

SSDが1TBを超えた時代ですよ…、その1/1000が1GBで、さらに1/1000が1MB、そのまた1/1000が1KB。そんな容量で今、曲を作るって……、しかもMMLって……。ここでMMLについての解説をするのはやめておきますが「CDEFG」とテキストで記述することで「ドレミファソ」って演奏させるMusic Macro Languageのことですね。

 

今回お願いした方々の多くは2~3分の曲でしたが、このルールを守りながら唯一7分23秒という長い曲をつっくってくれたのが塩田信之さんでした。伝説のソフト『Summer Carnival ’92』など、さまざまな作品を作られた方であり、私の前作『キラキラスターナイト』での曲提供もいただいた方なので、ぜひ、ということでお願いしたんです」とRIKIさん。


これまで関わってきた数々の作品を前に語る塩田さん

 

私の場合、MMLは慣れているんで、そのまま書きましたね。一応音の確認だけはPCのエミュレータを用いてチェックはしましたけど。とはいえ8KBという制限はなかなかシビアだったので、サブルーチンをどう設定するかなど、RIKIさんの仕様に合わせて細かくチューニングはしていきました」と塩田さんは語ります。

 

でも、そもそもファミコンの音源、FC POCKETの音源って、どういう構成だったのでしょうか?PCMって??

 

FC POCKETもファミコンも音源機能的同じで、矩形波×2ch、三角波×2ch、ノイズ×1chとなっているほか、チープなPCMが1ch。これららを使って曲データを入力していきます」(塩田さん)

 

PCMはプログラムを駆使することで使えるようになっていますが、ファミコン用に登場した過去約1,000本のソフトの中でPCMを使った作品は50本ほどしかありません。それを各作品で使っているというのも、今回のアルバムの大きな特徴なんですよ」とRIKIさん。


8BIT MUSIC POWERの各種画面 

 

そういわれると、ぜひFC POCKETとともに入手して手元で操作して聴いてみたくなりますが、このアルバムリリースを記念したイベントも2月13日に秋葉原で開催されるとのこと。詳細は以下の通りであり、RIKIさんや塩田さんをはじめ、作品に携わった方々みなさんによる大イベントとなっています。

 

会場では出演者本人による直書きサイン入り「8BIT MUSIC POWER」やFC POCKET本体の販売も行われるとのこと。こんなイベントそうめったにあるものではないと思いますが、残り席数すでにわずかなので、参加希望の方は、すぐにでも予約をしたほうがいいですよ。
■<イベント概要>
イベント名 :「8BIT MUSIC POWER LIVE」
開催日時 :2016年2月13日(土)13:00~16:00
開催会場 :AKIBAPOP:DOJO 秋葉原スタジオ
     東京都千代田区外神田3-13-8 東京角田ビル4階
     ※とらのあな秋葉原店C 4階イベントフロアー
 
開催協力 :株式会社コロンバスサークル
予定販売商品 :出演者本人による直書きサイン入り「8BIT MUSIC POWER」
      出演者全員による直書きサイン入りポスター など

 

■<出演者>
梶原正裕 (Masahiro Kajihara)
国本剛章 (Takeaki Kunimoto)
慶野由利子 (Yuriko Keino)
サカモト教授 (Prof.Sakamoto)
佐野広明 (Hiroaki Sano)
塩田信之 (Nobuyuki Shioda)
Tappy
Hally
与猶啓至 (Keishi Yonao)
RIKI……プロデューサー/イラスト
小野浩………グラフィック
EIN………グラフィック
BAN-8KU………パッケージドット

 

■イベント予約
https://akibap.com/community/475/493

 

【価格チェック】
◎Amazon ⇒ 8BIT MUSIC POWER
◎Amazon ⇒ FC POCKET

【関連情報】
RIKIさんのサイト
AKIBAPOP:DOJO

Commentsこの記事についたコメント

7件のコメント
  • 通行人

    面白いアイデアだと思うけど、いまだにファミコンを持ってる人ってどれくらいいるんだろう?そこがターゲット層なんだろうけど。儲ける気も売る気も無いんだろうな。

    2016年2月1日 9:35 PM
  • 藤本健

    通行人さん
    ぜひ、タイトルだけじゃなく、記事も読んでくださいね。

    2016年2月1日 10:02 PM
  • 斬られ役

    今、敢えてファミコンROMで出したってところに価値がある物ですね。音源だけだったらスマホとかでも余裕でエミュレートできるから、アプリで出す方がよっぽど商売になるはずだけど、そうしなかったところに遊び心を感じます。

    2016年2月4日 10:31 AM
  • のだっち

    エミュレーションで何でも出来ちゃうご時世だけど、あえて実機で聴くというところが
    良いんですよね。PCで何でも出来ちゃう時代にあえてアナログシンセ使って音楽
    やるのがイイんだよなぁ・・と感じるのと同じみたいな。

    2016年2月5日 8:52 PM
  • 名無し

    ※1にあえて突っ込んでおきますw
    5000円くらいでFC POCKETが今現在手に入るんだからファミコンの有無は関係ない
    それにファミコン互換機はゲーム屋とか雑貨屋でいくらでも売ってるし
    ターゲット層はファミコンユーザー限定ではない、チップチューンを愛する人すべて、
    それにこのひと生活かけてこれ作ったわけではない、あくまで趣味の延長
    つまりチップチューンの楽しさを一人でも多くの人と共有したくて作ったのだろうから
    儲けは二の次
    で、結果は話題にもなってゲーム部門で3位内に入ったとのことだから売れたし儲かった

    2016年2月19日 9:17 PM
  • ぬまっち

    ここのHP、正直おもしろいです・・・!!
    気づけば、更新されてないかな〜とチェックするお気に入りのHPになってました。
    更新、楽しみにしておりますので、これからもよろしくおねがいします^^

    2016年3月11日 10:42 PM
  • Kiddy

    「8BIT MUSIC POWER」ですが、レトロフリーク アップデート バージョン1.5でunknown起動可能 CRCはEB68F848
    「キラキラスターナイト」は、レトロフリーク アップデート バージョンが古くでも起動可能です。どのバージョンで対応したかは不明です。
    レトロフリークは、HDMIケーブルでテレビに接続できます。ゲーム画面は自動的に720pにアップスケーリングされ、アナログ接続だったレトロゲーム機本体とくらべて高品質な映像と音声でプレイすることができます。
    http://www.cybergadget.co.jp/retrofreak/
    8ビットゲーム作品「キラキラスターナイトDX」開発
    グラフィックを美しくパワーアップし、新しい音楽を10曲追加して、表現を豪華にしたデラックス版を2016年末頃発売予定です。ゲーム開発は完了してるのですが…!良い知らせをお待ち下さいませ!(大人の事情で何も言えないんです)
    (※注意※カセット販売はありません)とのこと、
    http://riki2riki.com/html/0_sample_kirakira_dx.html
    開発中の8ビットゲーム作品「キラキラスターナイトDX」も期待しています。
    ファミちゃんとてもかわいいだよね。グラフィックを美しくパワーアップしてさらにかわいくなるのかな?
    「8BIT MUSIC POWER」はAmazonのレビューによると任天堂純正FCでも互換性がシビアです。
    参照してみました。
    以下、手持ちの一般的な本体で確認を取ったリストになります。
    購入前確認として多少役立てられれば幸いです。(保証するものではありません)
    純正(赤白ファミコン)
     ・初期(ゴムボタン)型  起動
     ・中期(まるボタン)型  情報求む
       ※カセット受口が全て青いプラスチックなら起動の可能性が高い。銀枠が有れば注意。
     ・後期(FFマーク有)型  不動
    ツインファミコン
     ・前期型(連射機能無) 起動
     ・後期型(連射機能有) 不動
    NEW(AV仕様)ファミコン 起動(音質的にも推奨)
    とのこと、互換性がシビアですよね^-^;

    2016年3月19日 10:28 PM

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