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定番フィジコンが7年ぶりに大進化!Novation Launch Control XL 3を試してみた

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Ableton Liveユーザーにとって、ライブパフォーマンスや制作環境の定番ともいえるフィジカルコントローラ、NovationのLaunch Control XLが、約7年ぶりにフルモデルチェンジし、Launch Control XL 3として登場しました。24個のロータリーノブ、8本の60mmフェーダー、16個のボタンという多くのユーザーに支持されてきた基本レイアウトはそのままに、現代の制作環境に合わせて全面的にブラッシュアップされました。

最大の特長は、従来から定評のあったAbleton Liveとの深い連携機能。ちなみにLaunch Control XL 3ではAbleton Live以外にも、Logic Pro、FL Studio、Cubase、Bitwigとも完全連携するようになっています。USBケーブルで接続するだけで、複雑な設定なしにミキサーやデバイス、セッションビューを直感的に操作可能。さらにNovationの統合ソフトウェアComponentsにも対応することにより、あらゆるパラメータを自分好みにカスタマイズすることができるようになっています。デザインも現行のNovation製品群に合わせた薄型でモダンなものに刷新され、接続端子はUSB-Cへと変更。価格は28,600円(税込)で、2025年5月23日より発売が開始されていた、この新しいLaunch Control XL 3を実際に試してみたので紹介していきましょう。

現行のNovation製品と統一感のある、薄くモダンなデザインに刷新されたLaunch Control XL 3

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Launch Control XL 3概要、Ableton Liveとの連携

さっそくですが、Launch Control XL 3にバンドルされているAbleton Live Liteを起動しつつ、Launch Control XL 3がどんな機材なのか見ていきましょう。セットアップは非常に簡単で、付属のUSBケーブルでPCと接続するだけ。複雑なMIDIマッピングは一切不要で、すぐに使い始めることができます。

USB-CケーブルでPCと接続するだけで、ドライバのインストールなども不要ですぐに認識される

まず8本のフェーダーは、Ableton Liveのトラック1から8のボリュームに自動でリンクします。これを上下に操作するだけで、直感的に各トラックの音量バランスを調整可能。マウスで画面上の小さなフェーダーを一つずつ操作するのとは比較にならないほどスピーディで、音楽的なミキシング作業を実現することができます。

8本の60mmフェーダーはAbleton Liveのミキサーと連動し、スムーズな音量調整が可能

Launch Control XL 3では、2種類のDAWエンコーダーモードを選択でき、Modeを押して、左下にあるDAW Mixerまたは DAW Controlを押すことで、ロータリーノブの挙動を変更することが可能です。

「Mode」ボタンと左下の2つのボタンで、ノブの操作モードを切り替える

DAW Mixerでは3列で並ぶ24個のロータリーノブが、一番上の列がセンドA、真ん中の列がセンドB、一番下の列がパンに割り当てられています。つまり、フェーダーで音量を決め、すぐ上のノブで定位を調整し、さらにその上の2列のノブでリバーブやディレイといった空間系エフェクトのかかり具合をコントロールする、という一連のミキシング作業が、トラックごとに手元で完結。

ここで注目すべきなのが、24個のノブがすべて360度スムーズに回転するエンドレスロータリーエンコーダーになった点です。前モデルのような回転範囲に限りがある一般的なノブの場合、DAW側で操作対象を切り替えると、物理的なノブの位置とソフトウェア上のパラメータ値が食い違うことがありました。

24個のノブはすべてエンドレスロータリーエンコーダとなり、パラメータのジャンプが起きなくなった

たとえば、フィジカルコントローラでトラック1のパンを左いっぱいに振り切った後、DAW上でパンを中央に設定しなおしたとします。このとき、物理的なノブはまだ左を向いたままなので、そのノブに少しでも触れた瞬間に、DAW上のパンの値が中央から左いっぱいに飛んでしまう、パラメータのジャンプが発生してしまっていたのです。ミックス中に突然音が片側に寄ってしまうなど、意図しないトラブルを経験した方も少なくないでしょう。

それに対し、Launch Control XLのエンコーダーはDAW上の現在の値を常に基準として動作するため、こうしたパラメータのジャンプは一切起こりません。これにより、ストレスなく、よりスムーズな操作が可能になったのは、非常に大きな進化点ですね。

一方、DAW Controlモードにすると、上2列のエンコーダーが選択中のトラックにインサートされたエフェクトやシンセのコントローラーに切り替わります。16個のコントロールに自動的にマッピングされ、17個以上のパラメータがある場合は、Pageボタンを押すことで、コントロールするパラメータを切り替え可能。

DAW Controlモードでは、選択したトラックのデバイスパラメータが自動でノブに割り当てられる

たとえば、シンセを立ち上げている場合、オシレータの波形ポジションやフィルターのカットオフ、レゾナンスといったパラメータが自動でマッピングされます。有機ELディスプレイには「Fillter Cuto off」や「Attack」といったパラメータ名が表示されるので、PC画面を見なくても、まるでハードウェアシンセを触っているかのように直感的な音作りが可能となっています。

また3列目は、DAWのトランスポートをコントロールに切り替わり、以下の機能が割り振られます。

エンコーダー 機能 省略名
エンコーダーLEDの点灯色
1 アレンジメント・ビューの再生位置 PlaybackPosition
2 横方向のズーム
(再生位置を中心に)
Zoom Horizontal
3 縦方向のズーム
(トラックの高さ)
Zoom Vertical
ターコイズブルー
4 ループの開始点 Cycle Start 黄色
5 ループの終了点 Cycle End 黄色
6 ループが有効 Cycle Active 黄色
7 マーカー選択 Marker Select
8 テンポ BPM オレンジ

また、Ableton Live Liteは最大8トラックまでという制限がありますが、もし通常版のAbleton Liveを使っている場合、トラック数が8つ以上になることも多いでしょう。その場合でも、Trackボタンを押すことで、操作対象を1トラックずつ左右に移動させることができます。さらに、Pageボタンを押せば8トラック単位で一気にジャンプすることも可能。これにより、数十トラックに及ぶ大規模なプロジェクトでも、スムーズに作業を行うことができます。

「Track」ボタンで、操作するトラックを左右に移動させることができる

そして、フェーダーの下には、各トラックに対応する形で上下2段のボタンが配置されています。左端にあるSolo/ArmボタンとMute/Selectボタンを押すことで、これらのボタンの機能を切り替えることができます。たとえば、1トラック目を録音待機状態にしたい場合は、まずSolo/Armボタンを一度押してArmモードに切り替えます。ボタンが赤く点灯したら、1トラック目の上段ボタンを押せばOK。ボタンの光り方で現在の状態が視覚的にすぐ把握できるので、操作に迷うことないと思いますよ。

ボタンの点灯色で現在のモード(ソロ/アーム、ミュート/セレクト)が一目でわかる

さて前述していますが、今回のモデルチェンジで最も重要な追加機能が有機ELディスプレイ。ノブやフェーダーを操作すると、そのパラメータ名と値がリアルタイムで表示されます。これにより、いちいちPCの画面を見なくても、手元だけで正確な操作が可能になりました。さらに、Shiftボタンを押しながらノブを触ると、パラメータの値を変更することなく、現在の設定値だけをディスプレイで確認できる「プレビュー機能」も搭載。ライブパフォーマンス中など、誤操作を防ぎたい場面で非常に役立ちますよ。

有機ELディスプレイにより、PC画面を見ずに手元の操作に集中できる

また、もちろん再生ボタンと録音ボタンも搭載しています。普通に再生ボタンを押せば、セッションの先頭または開始マーカー位置から再生が開始され、Shiftボタンを押しながら再生ボタンを押すと、停止した位置から再生が再開されるなど、Launch Control XL 3だけで再生方法を変更することも可能となっています。

再生・録音ボタンも搭載し、基本的なトランスポート操作が可能

以上のようにAbleton Liveでの基本的な使い方を紹介しましたが、Launch Control XL 3はAbleton Liveと組み合わせることで、単なるMIDIコントローラという枠を超え、まるでDAW専用に設計されたハードウェアのような感覚で操作できるのです。ボリューム、パン、センドといった基本的なミキシングから、シンセやエフェクトの細かなパラメータ調整、さらにはプロジェクト全体のナビゲーションまで、あらゆる段階で効率的に音楽制作を快適に行うことができるようになります。

Cubaseとの連携

続いて、Cubaseとの連携も簡単に見ていきましょう。Launch Control XL 3をCubaseに接続すると、Launch Control XLは自動的にMIDI Remoteとして検出されますますが、もし自動的に認識されない場合は、MIDI Remoteメニューでセットアップを行います。

私の場合は、こちら(downloads.novationmusic.com)からスクリプトをインストールして、Cubaseを立ち上げたら、Launch Control XL 3が自動で認識され、特に設定することなく使用することができました。

Cubaseの場合はスクリプトをインストールすれば、複雑な設定は不要で使うことができた

CubaseもAbleton Liveのときと基本的な操作感は同じで、フェーダーでボリューム操作、DAW ControlモードではインサートしているエフェクトやシンセのコントロールやDAWのトランスポートをコントロール、DAW Mixerではパンやセンドのレベル調整を行えるようになっています。

DAW Controlモードは1列目がトラッククイックコントロールに割り当てられていて、2列目のエンコーダーは選択中のトラックの チャンネルEQに割り当て、3列目がDAWのトランスポートになっています。DAW Mixerは1列目2列目はセンド、3列目はパンという割り振りになっています。

フェーダーやノブが各パラメータに追従する

特徴は、Cubaseの場合、デフォルトで各チャンネルにEQが入っているので、DAW Controlモードの2列目で即座にEQがコントロールできる点。左から、Lo Freq / Lo Gain、LMF Freq / LMF Gain、HMF Freq / HMF Gain、Hi Freq / Hi Gainというマッピングとなっており、大まかなサウンドの方向性をサクッと調整できますよ。

また下のタブからMIDI Remoteを選べば、どこになにがマッピングされているのか、確認できるのもポイント。マッピングアシスタントを使えば、簡単にマッピングを変更できるのも嬉しいところですね。

MIDI Remoteのマッピング画面で、各コントローラの割り当てを視覚的に確認・変更できる

Componentsで自分好みにカスタマイズ

さて、続いComponentsを使ったカスタマイズについても見ていきましょう。DAW連携モードとは別に、Launch Control XL 3には15個のカスタムモードが用意されています。Modeボタンを押してから、上下2段に配置されたボタンのうち、右下の点灯しないボタンを除く15個のボタンで切り替えるのですが、この各カスタムモードに、Componentsで作成した自分だけのオリジナル設定を保存できるというわけです。なお、一番右下のボタンで選択されるモード16は、デフォルトのモードとして固定されているため、編集することはできないようになっています。

ブラウザ上で動作するComponentsで自由自在にカスタマイズできる

たとえば、ライブパフォーマンスで特定のソフトシンセのフィルターとレゾナンスだけを頻繁に操作したい、という場合、Componentsを使えば、カスタムモード1の1番目のノブにフィルターのカットオフを、2番目のノブにレゾナンスを、というように自由に割り当てることができます。MIDI CC番号やチャンネル、コントロールの最小値・最大値といった細かい設定も可能なので、あらゆるMIDI対応のソフトウェアやハードウェアを思いのままにコントロール可能です。

さらに、ElektronのDigitone、NovationのCircuitシリーズなど、人気のハードウェアシンセサイザ用に、あらかじめMIDIアサインが完了した設定プリセットも用意されているのは嬉しいポイント。これらを使えば、面倒な設定なしに、すぐにLaunch Control XL 3を外部ハードウェアのコントローラとして活用できます。

Componentsには人気ハードウェア用のプリセットも用意されている

背面の端子とライブパフォーマンスでの重要性

ハードウェアとの連携という点において、今回のモデルチェンジで背面の端子類が追加されました。従来モデルはUSB端子のみでしたが、Launch Control XL 3にはUSB-C端子に加え、フルサイズのMIDI IN、OUT、そしてOUT 2/THRU端子が搭載されました。

MIDI IN/OUT、OUT 2/THRUが追加され、ハードウェアとの連携が大幅に強化された

これにより、PCを介さずにハードウェアシンセやサンプラ、グルーヴボックスなどを直接コントロールできるようになりました。たとえば、PCとUSBで接続してAbleton Liveのミキサーを操作しつつ、MIDI OUT端子からはハードウェアシンセをコントロールする、といったハイブリッドなセットアップもその一つ。

さらに、PCを一切使用しないDAWレス環境でも、Launch Control XL 3はシステムの中心的な役割を担うことができ、MIDI OUTをElektronのDigitaktのようなグルーヴボックスに接続し、Componentsで作成したカスタムモードを使えば、各トラックのボリュームやエフェクトをフェーダーやノブで直感的に操作する、といった強力なライブセットを構築できるのです。

そして、ライブパフォーマンスといえば、どうしても強調しておきたいのが、この8本のフェーダーの存在。近年の機材は小型化やコストダウンのためか、フェーダーを搭載しないモデルが増えています。しかし、音楽的な表現を行う上で、フェーダーはノブとはまったく異なる操作感と可能性を持っています。最大の利点は、複数のパラメータを同時に、かつ直感的に操作できること。たとえば、複数のトラックの音量を一気にフェードアウトさせたり、逆にクライマックスに向けて盛り上げたりといった操作は、フェーダーならではの得意技です。

また、特定の一瞬だけディレイをかけるといった、ライブ感のある音響効果もフェーダーの得意とするところです。これはレゲエから派生したダブという音楽ジャンルで多用される手法ですが、スネアの音だけを狙って一瞬だけセンドレベルを上げる、といった操作は、タイミングがシビアなためノブでは難しいのです。しかし、フェーダーなら指先でタイミングを計りながら、ダイナミックな効果を生み出すことができます。

こうした音楽的な表現を支えているのが、Launch Control XLシリーズのフェーダーそのものの質の高さなのです。適度な重さとスムーズさを両立した操作感は多くのユーザーから支持されており、前モデルが長年の使用にも耐える堅牢であったことも、Launch Control XL 3の信頼性を高めています。ソフトウェアや機材を音楽的にコントロールする上で、こうした物理的な操作感は非常に重要な要素ですね。

充実のバンドルソフトウェア

Launch Control XL 3には、購入してすぐに本格的な音楽制作を始められるよう、豪華なソフトウェア群がバンドルされているのも大きな魅力です。DAWから高品位なエフェクトまで、即戦力となるツールが揃っています。

まずDAWは、Ableton Live 12 LiteとCubase LEという2つの強力な選択肢が用意されています。Ableton Live 12 Liteは、Launch Control XL 3と最も親和性が高く、セッションビューを使った直感的な作曲やパフォーマンスが可能です。一方のCubase LEも、プロフェッショナルな制作環境として定評のあるDAWの入門版であり、本格的な楽曲制作を始めるには十分な機能を備えています。

Launch Control XL 3には、豪華なバンドルソフトが付属している

さらに、サウンドを積極的に加工できるユニークなエフェクトプラグインも3種類付属します。KlevgrandのFosfatは、入力信号に応じてダイナミックに動作するEQとディストーションを組み合わせたプラグインで、サウンドに個性的なキャラクターを与えることができます。Baby AudioのParallel Aggressorは、ドライ音、サチュレーション、コンプレッションの3つの信号を並列にブレンドすることで、サウンドに強力なパンチと厚みを加える人気のプラグイン。そして、OutputのMovementは、4つのリズムジェネレータと多彩なモジュレーションソースを駆使して、あらゆるサウンドをリズミカルで複雑なパターンに変貌させる、非常にクリエイティブなエフェクトとなっています。

以上、Novationの新しいフィジカルコントローラ、Launch Control XL 3について紹介しました。定評のあったAbleton Liveとの連携はそのままに、エンドレスロータリーエンコーダや有機ELディスプレイ、そしてMIDI端子の搭載といった現代的なアップデートが施され、まさに正統進化を遂げた一台となっています。DAWでのミキシング作業を効率化したい方はもちろん、ハードウェアと連携させたライブパフォーマンスの表現力を高めたい方も、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

【関連情報】
Novation Launch Control XL 3製品ページ

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