DTMの音源選びにおいて、近年は巨大な容量を持つサンプリング音源が主流となっています。ですが、数十GBから時には数TBもの大容量ライブラリは、リアルなサウンドを得られる反面、パソコンのストレージを激しく圧迫するという悩みを抱える方も多いはずです。ストレージ容量をほとんど消費せずに極めてリアルで表現力豊かなサウンドを生み出す、物理モデリングというタイプの音源も着実に進化してきています。
そんな物理モデリング音源のメーカーであり、老舗であるのがカナダ・モントリオールに拠点を置くApplied Acoustics Systems(アプライド・アコースティクス・システムズ)、通称A|A|S。KORGのシンセサイザなどの製品に、A|A|Sの製品がいくつかバンドルされているので「使ったことがある!」という人も少なくないと思います。国内においてはメディア・インテグレーションが運営するMIオンラインストア限定で販売されている製品でもあります。そのA|A|S製品が現在セールを展開中で、すべてのプラグイン音源とサウンドパックを網羅した全部入りバンドル、The Integralが通常価格157,300円(税込)のところ、3月31日まで43,800円(税込)という破格で購入可能となっています。今回は、このA|A|Sというブランドがどのようなものなのか、物理モデリング音源の仕組みやメリットとともに紹介してみたいと思います。
知る人ぞ知る老舗ソフトウェア音源ブランドのA|A|Sとは
まずはA|A|Sというブランドについて、その背景を簡単に紹介しましょう。A|A|Sは、1998年にカナダのモントリオールで設立されました。音響学の深いバックグラウンドを持つエキスパートたちが集い、物理モデリングという音響合成方式を長年にわたってひたすらに追求し続けているメーカーです。冒頭でも触れたとおり、A|A|Sの製品は、KORG製品に一部ソフトがバンドルされているので、馴染みがある方もいるかもしれません。
現在、日本国内においてA|A|S製品はメディア・インテグレーションの直販サイトであるMIオンラインストアの専売となっており、一般の楽器店や販売店では購入できない少し特殊な位置づけとなっています。しかし、その技術力とサウンドの質の高さは、世界中のクリエイターから確かな評価を受けているのです。
同社の原点ともいえるのが、初期にリリースされたTassmanというソフトウェアのモジュラーシンセサイザ。Tassmanは、物理モデリングの仕組みをブロックのように組み合わせて自在に音作りができる画期的なシステムでした。米国NAMMが公開しているCEOのマルク・ピエール・ベルジュ氏のインタビューによると、彼らの当初の目的は既存のビンテージ楽器のコピーを作ることではなく、コンピュータならではの新しい可能性を追求することだったといいます。
しかし、ソフトウェア音源の黎明期において、ユーザにその革新性を理解してもらうためには、誰もが親しみやすい楽器をモチーフにする必要がありました。そこでA|A|SはTassmanの技術を発展させ、あえてエレクトリックピアノに特化したLounge Lizardなどを開発しました。重要なのは、これらが名機の単なるモノマネではないという点です。物理モデリングによって楽器の振る舞いを数式化することで、演奏者が本物の楽器を弾いているのと同じような生々しい反応や感覚を得られることを究極の目標としているのです。そしてその理念は、のちにリリースされるChromaphoneやMultiphonicsのように、現実には存在し得ないまったく新しい楽器の創造へとつながっていくのです。
物理モデリングとサンプリングの決定的な違い
さてDTMで使われるソフトウェア音源の多くはサンプリングという方式を採用しています。これは実際の楽器の音を一つひとつマイクで録音し、そのオーディオデータを鍵盤の操作に合わせて再生するという仕組みです。対してA|A|Sが得意とする物理モデリングとは、楽器の構造や弦の振動、胴の響き、さらにはピックで弾くのか指で弾くのかといった物理的な現象を、コンピュータ上の数式としてシミュレーションし、リアルタイムに音を合成する方式なのです。
サンプリング音源の場合、鍵盤を強く弾いたときと弱く弾いたときの音色変化は、あらかじめ異なる強さで録音された複数のオーディオデータを切り替えることで再現します。もちろん、現在の高品質なサンプリング音源では、切り替わりの境目を目立たなくする処理を施したり、膨大な数の強弱の段階を細かく録音するといった各メーカーの努力によって、極めて自然な演奏が可能になっています。しかし、そうしたリアルさを追求すればするほど、どうしても必要なデータ量は巨大になってしまうという側面があります。
一方、A|A|Sの物理モデリング音源は、入力されたベロシティなどのMIDI情報に合わせて、その都度リアルタイムに楽器の発音メカニズムを計算して音を生成します。そのため、どんなに細かく強弱をつけても、録音データの切り替えが発生しないため、音色の変化はシームレスで極めて自然です。演奏者の指先のニュアンスをダイレクトに反映するこの表現力の高さは、実際にMIDIキーボードを弾いてみると非常によくわかります。まるで本物の楽器に触れているような、生々しい反応が返ってくるというわけです。
大容量化する音源事情に一石を投じる圧倒的な軽さとCPU効率
また現在のDTM環境において、多くの方が直面する問題の1つがパソコンのストレージ容量です。高音質なサンプリング音源は録音データの集合体であるため、どうしてもファイルサイズが巨大になります。とくに近年はパソコン本体のハードディスクやSSDの価格が高騰している傾向もあり、大容量の音源を次々とインストールすることをためらう方も少なくないはずです。
ここでA|A|Sの物理モデリング音源が大きな強みを発揮します。録音された膨大なオーディオデータを持たないため、音源プラグイン自体の容量はわずか数十MB程度に収まります。全部入りのThe Integralをインストールしても、数百GBからTBクラスの空き容量を要求する巨大なサンプリング音源ライブラリと比べると、その差は圧倒的です。SSDの容量をまったくといっていいほど圧迫しないため、ストレージの空き容量に余裕がないノートパソコン環境などでも安心して導入できるというのは、現代の制作環境において計り知れないメリットです。
かつてのパソコンのスペックでは、この複雑な計算をリアルタイムに行うために高い演算処理能力が必要となり、動作が重くなってしまうという課題がありました。が、現在の標準的なパソコンの性能であれば、CPUのパワーには十分に余裕があり、1つのプロジェクト内で何十トラックも立ち上げても軽快に動作します。過去に物理モデリングは重いという印象を持っていた方ほど、現在の快適な動作には驚くはずです。
全部入りのThe Integralに収録されている音源を一挙紹介
容量の軽さや演奏の滑らかさに加えて、実際の楽曲制作におけるミックス時の扱いやすさもA|A|S製品の大きな特徴です。録音されたオーディオデータを再生するのではなく、その場で音を生み出しているため、音の立ち上がりがよくクリアであるという性質を持っています。
多数のトラックが重なり合う分厚いアレンジの楽曲の中でも、A|A|Sの音はほかの楽器に埋もれにくく、一つひとつの音がしっかりと前に出てきます。EQやコンプレッサで無理に音を持ち上げなくても、自然とアンサンブルの中で抜けてくる確かな存在感を放っており、特にエレクトリックピアノの粒立ちのよさや、シンセサイザのアタック感などは、物理モデリングならではの恩恵を強く感じる部分です。
さて、ここまでA|A|Sが誇る物理モデリングの魅力について解説してきましたが、今回のセール対象となっているThe Integralには、これら恩恵を最大限に受けられるプラグインがすべて収録されています。具体的にどのような製品が含まれているのか、バンドルを構成する6つの強力な音源と1つのエフェクトについて紹介していきましょう。
Lounge Lizard EP-5
Lounge Lizard EP-5は、エレクトリックピアノ音源の定番として長年愛用されているプラグイン。ローズやウーリッツァーといった歴史的な名機のサウンドを、物理モデリングならではのリアルな発音と豊かな表現力で再現しています。鍵盤を弾く強さによって変化する、ハンマーがトーンバーを叩くニュアンスまで生々しく感じられるのが特徴です。
Strum GS-2
Strum GS-2は、鍵盤楽器奏者にとってハードルの高いギターのコードストロークを、簡単に実現できるギター演奏音源。キーボードでコードを押さえるだけで、アコースティックギターやエレクトリックギターのリアルなストロークを自動生成してくれます。ピックの硬さや弦の材質までモデリングされており、本物のギタリストが弾いているような説得力のあるバッキングトラックを手軽に作成可能です。
Ultra Analog VA-3
Ultra Analog VA-3は、アナログシンセサイザのオシレータやフィルタの振る舞いを、リアルに再構築したソフトウェア音源。物理モデリングの技術を用いることで、本物のハードウェアのアナログ回路特有の温かみや、芯のある太い質感を再現しています。複雑なルーティングにも対応しており、図太いベースから抜けの良いリードまで幅広い音作りを楽しめます。
String Studio VS-3
String Studio VS-3は、さまざまな弦楽器の発音メカニズムを精密にシミュレーションした物理モデリング音源。ピックで弾く、弓で擦る、ハンマーで叩くといった弦に対するアクションと、サウンドボードの響きを自由に組み合わせることができます。実在する楽器の再現にとどまらず、アコースティックな質感を持った未知のシンセサイザサウンドを生み出すことも得意としています。
Chromaphone 3
Chromaphone 3は、マリンバや鐘、ドラムの皮といった共鳴体の構造をモデリングしたユニークなレゾネータ音源。2つの異なる共鳴体を組み合わせて叩くことで、オーガニックでパーカッシブなサウンドを生み出し、現実世界には存在しない仮想の打楽器や、アコースティックな響きを持つ幻想的なパッドサウンドといったオリジナリティ溢れる音作りが可能です。
Multiphonics CV-3
Multiphonics CV-3は、モジュラーシンセサイザのシステムを、コンピュータ上に再現したエフェクトおよびシンセサイザプラグイン。オシレータやフィルタ、シーケンサなどの多彩なモジュールを自由にパッチングすることで、複雑で独創的なサウンドデザインが行えます。視覚的に分かりやすいインターフェースを採用しつつ、モジュラーならではの偶発的で刺激的な音作りを深く追求できるツールとなっています。先日、v3.1(FM+)アップデートが公開されました。 新たにFM合成関連のモジュールが追加され、より複雑かつ自由度の高い音作りが可能になっています。既存のMultiphonics CV-3ユーザーには無償アップデートとして提供されており、あわせて追加の「FM Core」サウンドパックもリリースされました。
Objeq Delay
Objeq Delayは、単なるディレイの枠に収まらない、アコースティックなモデリングフィルタを搭載した高機能エフェクトです。入力されたオーディオ信号に対して、ドラムヘッドや弦、パイプといったアコースティック楽器の共鳴特性を付加することができます。これにより、無機質なシンセサウンドを温かみのあるアコースティックな音色に変化させたり、リズムループに複雑な倍音成分を加えたりと、まったく新しい響きを作り出すことが可能です。
The libraries bundle
さらに、The Integralには、これらの音源の可能性を極限まで引き出す拡張サウンドパック「Libraries」が収録されています。これは、A|A|Sが誇る多数のトップクリエイターたちが、各ソフトウェア音源のモデリングエンジンに合わせて専用設計したプリセット集です。
リチャード・ディヴァインやクリスチャン・ハルテンといった世界的に著名なサウンドデザイナーも制作に参加しており、エレクトロニックなダンスミュージックから、シネマティックな劇伴、アンビエント、さらには生楽器のリアリティを極限まで追求したものまで、多彩なジャンルをカバーしています。The Integralには現在リリースされている全タイトル、実に3700種類以上にもおよぶ膨大なプリセットがすべて収録されています。個別に買い揃えれば相当な金額になるこれらすべてのライブラリが最初から手に入るため、あらゆるジャンルの楽曲制作において、即座にインスピレーションを与えてくれる強力な即戦力となってくれます。
15万円の全部入りバンドルが43,800円となる日本限定セール
これら6つの強力なプラグインと、12,000音色を超える膨大なサウンドパック。A|A|Sの持てる技術と魅力がすべて詰まったこのThe Integralは、通常であれば約150,000円(税込)という価格で販売されているフラッグシップ製品です。
ちなみに、拡張サウンドパックの音色自体は、A|A|Sが無償で提供しているAAS Playerというソフトウェアを使用すれば鳴らすことが可能。ただ音色を根本からエディットし、物理モデリングの真髄を味わい尽くすためには、やはり各ソフトウェア音源のフルバージョンが欠かせません。The Integralにはそれらがすべて含まれているため、数万のプリセットをベースにしながら、制限なく自分だけの音作りを堪能できるようになっています。
今回、MIオンラインストアにおいて日本限定のプロモーションが実施されており、この究極のバンドルがなんと72%OFFの43,800円(税込)で購入可能となっています。これだけの高品質な音源とサウンドパックがすべて揃ってこの価格というのは、過去の歴史を見てもなかなかない破格のセール。ストレージ容量を激しく消費することなく、圧倒的な表現力とミックスで抜けの良いサウンドを手に入れる絶好のチャンスとなっています。
モジュラーシンセMultiphonics CV-3シリーズの50%オフセールも同時開催
The IntegralやObjeq Delayに加えて、今回はモジュラーシンセサイザであるMultiphonics CV-3シリーズに焦点を当てた期間限定の50%オフセールも同時に開始されています。
このプロモーションでは、最新のMultiphonics CV-3本体と新しい拡張サウンドパック「FM CORE」がお得に手に入るセットをはじめ、すでに旧バージョンのMultiphonics CVをお持ちの方向けのアップグレード版、さらには即戦力となる各種専用サウンドパックの単体販売など、用途に合わせて選べる多彩なラインナップが用意されています。
全部入りバンドルのThe Integralまでは必要ないものの、自由なパッチングによる独創的な音作り環境を構築したい方や、すでにMultiphonics CV-3を導入しておりモジュラーシンセの音色バリエーションを拡張したい方にとっては、見逃せない機会となります。自身の制作スタイルに合わせて、必要なツールだけを無駄なくお得に追加できる絶好のタイミングです。
| 名称 | 価格 |
| FM CORE | 3,465円 |
| Multiphonics CV-3+FM CORE | 17,435円 |
| Multiphonics CV-3 + PACK | 21,780円 |
| Multiphonics CV-3(旧バージョンからのアップグレード版)+FM CORE | 6,930円 |
| Multiphonics CV-3サウンドパック各種 | 各3,465円 |
以上、A|A|Sの物理モデリング音源の魅力と、The IntegralおよびObjeq Delayの日本限定セールについて紹介しました。サンプリング音源が大勢を占める現在のDTMシーンにおいて、物理モデリングという手法をブレずに追求し続けるA|A|Sの製品は、ほかにはない独特の存在感と確かな実用性を持っています。とくにSSDやHDDの容量問題に悩んでいる方や、より表現力豊かで楽曲に埋もれないサウンドを探している方にとっては、強力な制作の武器となるはず。MIオンラインストアでの専売かつ期間限定のキャンペーンとなっているため、ぜひこの機会にA|A|Sのサウンドを体験してみてください。
【関連情報】
A|A|S製品ページ
A|A|S The Integral 日本限定セールページ
The Integral製品ページ
【価格チェック&購入】
◎MIオンラインストア ⇒ The Integral












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