スポンサーリンク

ポケットに入るデジタルフルート、ARTinoise「trillo」がKickstarterに登場!スタンドアロン演奏対応の次世代ウィンドコントローラー

この記事は約10分で読めます。
この記事にはアフィリエイトなどPRが含まれています

イタリア・イェジに本拠を置くARTinoiseが、同社の新製品「trillo」(トリロ)を発表し、Kickstarterサイトを使ってのクラウドファンディングを5月5日(現地時間)にスタートさせました。trilloは「All-in-One Tiny Digital Flute」というコンセプトで開発された、全長わずか22cmのポケットサイズのデジタルフルートです。

最大の特徴は、スマートフォンやPCに接続しなくても本体単体で演奏できる点。内蔵音源を搭載しているため、ヘッドフォンやスピーカーを繋ぐだけですぐに演奏をスタートできます。さらにUSB-C MIDIおよびBluetooth MIDIにも対応しており、DAWや音源とのMIDIコントローラーとしての活用も可能です。Kickstarterのスーパーアーリーバード価格は€69(約13,000円)と200台限定)で30%オフの設定となっています。配送予定は2026年10月。日本への送料は€35(約6,500円)の見込みです。実際、trilloとはどんなものなのか、紹介してみましょう。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

わずか22cmのボディに詰め込んだ機能の数々

全長22cm、重量110gというtrilloのサイズ感は、まさにポケットサイズといえるものです。ジャケットのポケットやバックパックに収まり、どこへでも持ち運べます。それでいながら、ソプラノリコーダーの穴間隔の95%を維持しており、リコーダー経験者であれば指の感覚がほぼそのまま活かせます。

主な機能は以下のとおりです。

機能 内容
内蔵音源 スタンドアロンで即時演奏が可能。プレミアムサウンドスロットにも対応
オンボード伴奏トラック さまざまなスタイルのバッキングトラックを本体内に保存して演奏可能
ブレスセンサー 14ビットMIDI CC対応の高精度センサー。微妙な息圧の変化を検出
IMU(加速度計) 傾きや動きをMIDIメッセージに変換。ビブラートやフィルターコントロールなどに使用
サムボタン(右親指) ピッチベンド、ポルタメント、ドローンなどの機能をアサイン可能
USB-C MIDI 低レイテンシーのUSB MIDIコントローラーとして使用可能
Bluetooth MIDI ワイヤレス接続でDAWや音源を操作
オーディオ出力 ヘッドフォン、スピーカー、レコーディング機材と接続可能
マルチカラーLED 演奏状態や設定をひと目で確認できる視覚的なインターフェース

他社の主要なデジタル管楽器と比較すると、trilloのコンパクトさと機能の充実度がよくわかります。

製品名 全長 重量 接続 内蔵音源
ARTinoise trillo 22cm 110g USB-C MIDI + Bluetooth MIDI あり(内蔵音源、バッキングトラック、プレミアムサウンドスロット)
ARTinoise re.corder 30cm 120g Bluetooth MIDI アプリ経由で32音色
Roland Aerophone mini 44.5cm 500g USB + Bluetooth MIDI 6音色(アプリで50以上追加可能)
Yamaha YDS-120 56.7cm 810g USB MIDI 73音色
AKAI EWI Solo 76.5cm 860g USB MIDI 200音色

ブレス、モーション、サム——3層のエクスプレッシブなセンサーシステム

trilloの表現力の核となるのが、3種類のセンサーを組み合わせたシステムです。

ブレスセンサー:息圧の微妙な変化をリアルタイムで検出し、音量やティンバー(音色)を動的にコントロールします。14ビットのMIDI CCペアに対応しているため、これをサポートするソフトウェア音源では非常に繊細なダイナミクス表現が可能です。
IMU(内蔵モーションセンサー):MEMSアクセレロメーターを内蔵しており、楽器を上下左右に傾けることでMIDIメッセージを送出できます。ビブラート、フィルターカットオフ、エフェクトセンドなど、さまざまなパラメーターにアサインして使います。
サムボタン(右親指):背面に新たに追加された右親指操作ボタンです。ピッチベンド、ポルタメントのトグル、そして注目の「ドローンボタン」などの機能をアサインできます。ドローンボタンは再度押すまで現在の音をずっと鳴らし続ける機能で、バグパイプのような演奏や、ドローン音の上でアンビエントに即興演奏するといった使い方ができます。

4つの演奏モードと、コンパニオンアプリの可能性

trilloにはプレイヤーの経験や目的に応じて選択できる複数の演奏モードが用意されています。Recorderフィンガリングモードは標準的なリコーダー式の運指で演奏するモードで、代替運指のカスタマイズや設定保存にも対応しています。Lip Sensorモードはブレスを使わずに演奏できるモードで、年齢の低い子どもや、ブレスコントロールに制限がある方向けです。Keyboardモードはビートメイキングやサウンドエフェクトのトリガーに特化したモード、MagicWandモードは加速度計を活用したモーションパフォーマンスモードで、楽器を空間で動かすことで音楽的な演奏が可能です。

trilloにはiOS/Android向けの無料コンパニオンアプリも用意されています。スタンドアロン演奏中はアプリ不要ですが、MIDIファイルからバッキングトラックを作成・管理したり、プレミアムサウンドパックをインストールしたり、センサー感度やカスタム運指を設定・保存したりと、楽器をより深く使いこなすための機能が揃っています。また、ステップごとのガイドとリアルタイムのビジュアルフィードバックによる学習パスも搭載しており、初心者が演奏を習得するための入口としても機能します。

ARTinoise Davide Manciniさんインタビュー

ARTinoiseのファウンダー兼CTOであるDavide Manciniさんに、trilloの開発背景やコンセプト、DTMユーザーへの訴求についてメールインタビューを行いました。DTMステーションでは、これまでARTinoiseの製品を「アコースティックのリコーダーにBluetooth-MIDI搭載!?カスタマイズ自在なイタリアのlunaticaを試してみた」「スマホ時代のとっても小さなデジタル管楽器「Zefiro」、Kickstarterでクラウドファンディング開始!」といった記事でも扱ったことがありましたが、今回のtrilloはその流れを受けた新世代機となります。

今年の1月、NAMM Showでお会いしたDavide Manciniさん(右)

trilloが生まれた経緯——lunatica、Zefiroに続く第3弾

——trilloを開発した背景や動機を教えてください。どんなユーザーや音楽シーンを最初から念頭に置いていましたか?

Davide:re.corder/ルナティカは私たちにとって革新的な第一歩でした。世界中で使われている教育楽器であるリコーダーをデジタル化しながら、アコースティックとしての機能も残すという設計は複数の特許につながりました。しかし数年が経ち、ユーザーのコミュニティから多くのフィードバックをいただくなかで、次の世代の製品を構想するようになりました。「スマートデバイスなしで演奏したい」「内蔵音源がほしい」「USB-MIDIに対応してほしい」といった声が特に多く、こうした要望をすべて盛り込む形で昨年から設計をスタートさせました。アコースティック機能を廃してデジタルに特化することで全長22.5cmという超小型化も実現しています。現存するElectronic Wind Instrumentのなかで最もコンパクトな製品です。

re.corder/lunaticaとtrilloは共存する——それぞれの市場

——re.corder(lunatica)やZefiroと比べて、trilloはどのように位置付けられますか?コンセプトや使い方の違いを教えてください。

Davide:re.corder/lunaticaは今後も市場に残ります。ハイブリッド楽器として、とくに学校のような場では、アコースティックとデジタルの両方で使えることに大きな意味があります。また、最大16台のre.corderをclass.roomアプリに接続できる機能もあり、教育機関向けの展開をさらに進めています。一方のtrilloは、よりモダンなElectronic Wind Instrumentとして、音楽愛好家からプロまで幅広い層に向けた製品です。re.corder/lunaticaは、デジタル機器に不慣れな方からは少し複雑に見えてしまうことがありました。trilloは、ヘッドフォンやスピーカーを繋ぐだけですぐに演奏できる手軽さを最優先に設計しています。もちろん、より深く活用したい方はコンパニオンアプリでカスタマイズすることができます。

楽器なのか、コントローラーなのか——trilloのアイデンティティ

——trilloは楽器とMIDIコントローラーの間に位置するような製品に見えます。アイデンティティとしてはどちらを意識していますか?

Davide:どちらでもあります、と答えるのが正直なところです。軽くて持ち運べる練習・学習用楽器として大きな成功を期待していますが、一方でプロや音楽制作者の視点で見ても、同じ価格帯の他のコントローラーと比べて一段上の機能セットを持っています。Max4LiveやPureData向けのテンプレートや使用例を、artinoise.comのウェブサイト上で順次公開していく予定で、技術指向の音楽制作やサウンドデザインの分野でも存在感を発揮できると考えています。

特にこだわった表現力機能——ブレスセンサーとサムボタン

——trilloのなかで特に誇りに思っている表現力機能や技術はどこですか?

Davide:フィンガーポジションの検出速度と息圧の強さを高速で同期させており、非常に素早いノート検出を実現しています。また14ビットのMIDI CCペアを実装しており、これに対応するソフトウェア音源であれば、繊細なダイナミクス表現が可能です。サムボタンはre.corderにはなかった機能です。なかでも特に面白いのが「ドローンボタン」で、現在の音を2回目のボタン操作まで鳴らし続けることができます。バグパイプのような演奏や、ドローン音の上でアンビエントに即興演奏するような使い方が生まれます。またMEMSアクセレロメーターを使って、楽器を傾けることでビブラートやフィルターカットオフ、エフェクトセンドをコントロールすることもできます。

デジタル管楽器の未来——2つの方向性の「交差点」を目指す

——デジタル管楽器の市場はこれからどのように進化していくと思いますか?そのなかでtrilloはどのような役割を果たすと考えていますか?

Davide:現在、大きく2つの方向性があると思っています。ひとつは、より高機能でプロ向けの製品を突き詰める方向で、RobkooのClarii PRO、ASMのDIOSynth、RolandのBRIAといった製品がその例です。もうひとつは、より親しみやすく、シンプルで手ごろな価格の楽器を作る方向性で、こちらのほうが私たちの気質に合っています。ただ正直に言うと、私たちはその2つの方向性を「交差」させようとしています。すぐに手に取れる小型で安価な楽器でありながら、プロのミュージシャンやプロデューサーにとっても面白い機能を備えるという、両方の良さを兼ね備えたものを目指しているのです。

日本のDTMユーザーへのメッセージ

——最後に、日本のミュージシャンやDTMユーザーへのメッセージをお願いします。

Davide:日本は私たちにとって常に大きなインスピレーションの源です。私自身、エレクトロニック・ミュージシャンとして、若い頃に新品で買ったKorg MS-20を今も大切に持っています。re.corderの2020年のKickstarterキャンペーンでは、当時まだKickstarterが日本語になっていなかった時期にもかかわらず、信じられないほど多くの日本のバッカーに支援していただきました。日本は音楽への感受性が非常に高く、かなりの割合の方が実際に楽器を演奏されている国です。そうした文化は、私たちのようなテクノロジー製品との相性が非常に良いと感じています。DTMユーザーにとっても、DAWの隣に小さくて安価で高機能なMIDIコントローラーを置いておくことで、学校時代のリコーダーの記憶と結びついた、非常に表情豊かなトラックを演奏・録音できるはずです。

 

Kickstarterキャンペーンの詳細——価格、リワード、送料

Kickstarterキャンペーンは日本時間5月5日(火)よりスタートし、期間は30日間です。ファンディングゴールは€6,500と控えめに設定されており、ARTinoiseはこれまでにもKickstarterを通じた製品化で実績を積み重ねてきました。

プラン 価格 内容 数量制限
Super Early Bird €69 通常価格の30%オフ、trillo 1台 200台限定
Kickstarter Edition €79 通常価格の20%オフ、trillo 1台 なし
DUO Pack €129 通常価格の30%オフ、trillo 2台セット なし
EDU Pack(×5台) €295 通常価格の40%オフ、trillo 5台セット(教育機関向け) なし

すべての価格に税金および送料は含まれていません。日本を含む「Japan, China, Hong Kong, Macao, South Korea, Taiwan, Singapore, Australia, New Zealand」への送料の目安は€35(4月末時点の見積もり)で、中東情勢の影響による燃料価格の高騰が送料に影響する可能性があること、また一部の国では関税が適用される場合があることをARTinoiseは明記しています。配送予定は2026年10月で、Kickstarterのpledge managerを通じて管理されます。

【関連情報】
ARTinoise trillo — Kickstarterページ

この記事を書いた人

DTM、デジタルレコーディング、デジタルオーディオを中心に執筆するライター。インプレスのAV WatchでもDigital Audio Laboratoryを2001年より連載。「Cubase徹底操作ガイド」(リットーミュージック)、「ボーカロイド技術論」(ヤマハミュージックメディア)などの著書も多数ある。趣味は太陽光発電、2004年より自宅の電気を太陽光発電で賄うほか、現在3つの発電所を運用する発電所長でもある。

藤本 健をフォローする
MIDIシンセサイザ

コメント